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正しい目標のつくり方【「目標が持てない時代」のキャリアデザイン 限界を突破する4つのステップ - 片岡 裕司】(全1記事)

真面目な人ほど、一度立てた目標を「諦めること」が大事なワケ “これまでの常識”に囚われない、キャリアデザインの考え方

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「目標が持てない時代」のキャリア論

片岡裕司氏:今回書いたのは、いわゆるキャリアの本(『「目標が持てない時代」のキャリアデザイン 限界を突破する4つのステップ 』)です。書いた動機にもつながるんですが、いろんな国際調査や国際比較をしても、日本という国は先進国の中で最もモチベーションが低いとか、エンゲージメントや会社に対するロイヤリティが低いとか、やる気がないとずっと言われています。

いろんな条件はあるかなと思っているんですが、やはりキャリアや仕事への向き合い方を少し変えていかないと難しいのではないかなということで、キャリアをテーマに書きたいなという思いはずっとありました。

多くの方々が、自分ではどうにもならない世の中の変化によって、目標を失っていっているところがあるかなと思っていて。

そういう時でも「立ち直っていく」というか、キャリアと言うと、「イケている人」とか「意識が高い人系」と思われがちなんですが、そうではない人も含めて、目標が喪失していくことを前向きに捉えられるようなキャリア論が書けないかなと思って書いたのが、タイトルを含めた経緯となっています。

「絞り込む」キャリアアプローチの限界

私は大学院でキャリア論を教えている立場なので、今までのキャリアのアプローチ方法自体は、20世紀の終わりくらいから限界だとは言われていました。簡単に言うと、「絞り込む」キャリアは限界がきて、「広げる」キャリアを普及させていかなきゃいけないという考え方があります。

キャリアの目的と言われると、イコール人生の目的なので、みなさんは「そんな大層なもの」「難しいですよ」とおっしゃいますが、明らかに、自分のキャリアの未来を予測することのほうが絶対に難しいわけですよ。未来がどうなるかなんて、誰もわからないので。

でも、キャリアの目的はみなさんの中にあるものなので、「必ずあります」というのがポイントです。なので、自分自身の過去の人生を辿ってみたり、うれしかったこと・悲しかったことをちゃんともう1回捉え直して、自分自身が本当に何を大事にしているのかを考えてほしいなと思っています。

どうしても就職活動の時とかって、「人生の経歴書」じゃないですが、自分のよかったことばかりを書くんですが、誰でも成功すればうれしいので、そうじゃないところを丁寧に見つめることによって、自分の本質が見えてきたりするかなと思います。

目標を作るのが苦手な日本人

私の固定観念かもしれませんが、日本人は「自分の本質はこれだ」と言うのが苦手というか。「私の人生の目的はこれです」「私はこの価値をすっごく大事にしている」と言いたがらないところがあるんですが、自分のためでもいいので、これからはしっかりと自分で書いておくことがとても大事かなと思っています。

たまに「目標をたくさん作る」というのが大好きな人がいるんですが、多くの場合は「(目標を作るのが)すごく苦手」という人がとっても多いです。

なぜならば、我々はキャリアをより良くしていくために「なるべく効率的に達成しよう」と、大学受験の時から刷り込まれています。もちろん、目標は絞り込んだほうが集中できるので良い側面もあるんですが、たくさん作ることが苦手です。

「良い目標」って、あるだけでけっこう元気になるんですよ。なので目標を立てるポイントは、それを聞いて自分がニヤッとできるか。達成していなくても、あるだけで前向きになれるような目標を作れるといいかなと思っています。

目標を立てる時に考えたい3つの領域

もちろん、じゃあ「いっぱい(目標を)出してください」で出せるといいんですが、なかなか出せないので、おすすめは今の仕事の領域での目標(を立てること)です。「今の仕事の領域ではないけど、こういうことを仕事にしたいな」と思っている領域があれば、そこでの目標。2つ目の仕事や、副業でもいいのかもしれません。

3つ目は、趣味とプライベートの目標もしっかり立てましょう。趣味と仕事って分けがちですが、人間はやはり1つです。趣味でできる人間関係やネットワークはとてもフラットで、自分に気づくものになったり、大切なものになっていきます。それをまずは分けて作りましょう、と研修でも言ったほうが、ちゃんと作れるかなと思っています。

特に大きな会社で研修をすると、みなさん真面目なので、達成できるような目標しか書いてくれません。なのでまずは、達成できないような目標を立ててみましょう。達成できない目標を立てれば1歩目が大きくなるので、そこでまた新しい人間関係が起きて、新しい目標や新しい目的が見つかったりします。

「なるべく、ちょっと無理そうな目標を立ててみたらいいんじゃないですか?」ということは、冗談半分ですがよく言っています。

ブレーキをかける「癖」を緩めて、目標を増やす

先ほど言ったように「仕事」とか、仕事にしたいなと思うことや趣味を作ることからスタートかなと思っています。そこが決まると1歩目ができて、出会いがたくさん生まれてくるかなと思っています。

大事なことは、仲間との出会いによって「こういうこともいいんじゃない?」「ああいうのもいいんじゃない?」「先日、これがあったよ」と、仲間が仲間を呼んで、仲間が情報を呼んで、今まで自分自身が出会っていなかった世界に巡り合えるようになることがとても大事だと思っています。世界は広いので、いろんな仕事があったり、いろんなチャンスがあります。

我々は、目標をどんどん増やすことにブレーキをかける癖もついています。今の仕事でのパフォーマンスも落とせないし、家族との時間も大事にしないと怒られるし、「うーん、無理かな」ってなるんですが、そこをちょっと緩めてあげて、目標をどんどん作っていけばいいかなと思っています。

立てた目標を「諦める」タイミング

大事なことは、立てた目標を1回やってみて「ちょっと違うかな?」と思ったら、すぐ諦めることがけっこう大事です。どんどん捨てていただいていいかなと思っています。

真面目な人ほど、立てた目標を達成するまでがんばっていて。例えば、私もキャリアを考え出した20代の後半くらいで、よくわからないけど「経営にはお金が大事だから、簿記を学ぼう」と思って。

簿記は大事なんですが、途中から「違うな」って気づいているんですけど、意地でも受かるまではやめられないみたいなモードになって。途中から違うビジネススクールでアカウンティングを学びだして、「こっちが大事だった」と思って。実務を知っていることはいいことなんですけどね。

やはり、真面目な人は達成するまでちゃんとやろうとするんですが、「ちょっと違うな」と思ったら(潔く諦める)。何も知らなかった自分よりは、ちょっと手をつけた自分は成長しているので、そこで自分を褒めてあげてください。

「失敗した」とか「諦める」のではなくて、「十分この分野がわかったから」ということで、止めればいいかなと思っています。それを通じていろんな視野が広がった時に、今まで我々がやってきた「絞ってがんばる」という目標の立て方に切り替えていいと思います。

「目標がたくさんないな」という時は、「どんどん広げていく」というキャリアデザインの方法と、私が言っているキャリアデザインの方法をうまく取り混ぜるといいのかなと思っています。

キャリアを前向きに楽しく描くために

ご視聴ありがとうございました。みなさん、キャリアはどうでしょうか。前向きに楽しく描けているでしょうか? もしくは、なかなかうまく先が見えないという方もたくさんいらっしゃると思っています。

決してみなさんが悪いわけではなくて、キャリアの考え方が今の時代に合わなくなってきていることが原因です。この本の中にある、新しいキャリアへのトライの方法をぜひみなさんも試していただけると、きっとたくさん目標が生まれてくると思いますので、ぜひよろしくお願いします。

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