2024.11.25
「能動的サイバー防御」時代の幕開け 重要インフラ企業が知るべき法的課題と脅威インテリジェンス活用戦略
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ヴィランティ牧野祝子氏(以下、ヴィランティ牧野):いい時間になってまいりました。先ほど申し上げたように、ポジティブフィードバックがないと、初めての場所にナビなしで行くように不安になってきます。ということで、実践してみましょう。
実践の仕方は5つのポイントを書いてあります。本には詳しく書いておりますので、よろしかったらぜひ読んでください。5つのポイントは、「すぐに」「頻繁に」「どこでも」「具体的に」「ポジティブに」です。ポジティブフィードバックを「すぐに」やっていただきたいんです。
「あの企画書、良かったね」「ここが細かくてわかりやすかったよ」というのを、作ってくれた次の日に言われたら「あれが良かったんだ」「ここを細かくやればいいんだ」ってわかると思うんですけど、3ヶ月後に「あの時の企画書は良かったね」と言われても、「どうだったかな?」って、本人が覚えていないと思うんですね。
なのでポジティブフィードバックは、年に1回の1on1や評価の時間とかを待つのではなく、常にしていただきたい。すぐに、頻繁にしていただきたいです。
あとは「どこでも」と書いたんですが、わざわざ1on1で、会議室で一緒に座ってリアルで会う時を待たなくてもいいんです。チャットでもメッセージでもいいですし、電話をしてもいいです。私の場合は出張に行きながらとか、エレベーターまで歩いている時につかまえてとか、そんな感じで本当にどこでもやっていました。
ヴィランティ牧野:あとは「具体的に」。例えば、「この前のプレゼンは良かったね」でもいいんですけれども、何が・どう良かったのか。話すペースが良かったのか、それとも話し方が良かったのか、声のトーンが良かったのかとか、そんなかたちで具体的にポジティブフィードバックをしていただくと、その方の自信につながって、何が強みなのかがわかるようになると思います。
そして最後に「ポジティブに」。これは当然なんですけど、「この前のプレゼン、すっごく良かったよ!」と、ポジティブにお話をしていただきたいと思います。
かといって、話すのが上手である必要はまったくありません。ポジティブフィードバックをする時に、別に話し下手でもいいし、ぼそっと言っても伝わりゃいいんですね。ただ、ポジティブな気持ちで思いやりを持ってしていただきたいと思うんです。「こういう人じゃないとできない」という制限はないと思います。
最後にポジティブフィードバックのやり方、特にネガティブフィードバックをポジティブにやるやり方についてです。「7つのコツ」と書いておりますが、このへんは本で読んでいただけたらと思います。
私はこの本を書いた時に、できるだけ事例を書こうと思って、私がいろいろな国で経験した事例をいっぱい入れました。うれしいことに、読んでくださった方の感想を聞くと、「いろんな国の状況を思い浮かべられて楽しかった」というお話をいただきます。よろしかったら、そのあたりも含めて楽しんで読んでいただけたらなと思います。
ヴィランティ牧野:ということで、私の内容は以上になります。藤原さん、チャットに質問とかってありますか?
藤原愛氏(以下、藤原):みなさんちょくちょくコメントしますね。
ヴィランティ牧野:ありがとうございます。うれしいです。質問のある方はいらっしゃいますか? これに関してでもいいですし、「INSEADでどうだったの?」「イタリアに住むってどうなの?」とか何でもいいですよ。
藤原:(質問者1の方)お願いします。
質問者1:お話を聞いてすごく参考になりました。1つお聞きしたかったのが、私自身もコロナ前からチームを率いていて。ただ、一緒に職場でやっていた時と比べて、コロナでそれぞれワーキングフロムホームでやる中では、チームのメンバーを見て話すことも少なくなってしまって。
(メンバーに合わせて)軽重をつけて対応したところ、一部のメンバーと正直ギクシャクしたんですね。任せておいて大丈夫なメンバーについて、まさに今言ったポジティブフィードバックというか、コミュニケーション自体がだんだんと希薄になってしまったところがありました。
正直、今も一部の方と関係が、対面でやっていた時になかったような悪い状況が続いているので、まさに今日お聞きしたようなところから、一からやっていくのかなと思いつつ。
ただ、そういう状況になってしまうと、そもそもポジティブフィードバックをどちらかと言うと拒否されるというか、ちょっと嫌がられるような反応も見えなくはないのかなと。そういうところまで今来ちゃってるんです。
ポジティブフィードバックされるのが苦手な方や、関係が悪化した方ともうまくやれるように、過去のご経験から何かアドバイスをいただければありがたいなと思いました。
ヴィランティ牧野:いくつかあるんですけど。まず、そういう人と面と向かって話すと話しにくいかと思いますので、ChatworkとかメッセージとかEメールとか……そういうのはされますよね。
質問者1:しますね、はい。
ヴィランティ牧野:そこでポジティブフィードバックをしていくのがまず1つあるかなと思います。向こうはそれをどう受け止めるかわからないけど、取りあえずギブしていただきたいんですね。あまり、ポジティブフィードバックに「見返り」を求めていただきたくないんです。
ヴィランティ牧野:その人のいいところを無理やりでもいいから見つけて、それをちょっと書いたり、メッセージしたり、ちょこちょこ小出しにしてみるのがまず第1段階かなと思います。
あと、自分から言いにくかったら、「〇〇さんがこう言っていたよ」というのも使えますね。同僚だったり違うチームだったり上司だったりでもいいんですけれども、「〇〇さんが君のことをこう言っていたよ」というのが使えます。
お互いの関係性がめちゃくちゃ悪かったり、そこまで親しくない新しい上司でも、「何とかさんが」って言うと、その人はうれしいじゃないですか。
無理やり嘘をついてやる必要はぜんぜんないんですけれども、本当に良かったところを見つけて、そんなかたちでやるのがまず第一歩かなと思います。ちょっと良くなってきたなと思ったら、自分の思ったことを話してみてください。
質問者1:わかりました。週明けからさっそくやってみます。ありがとうございました。
ヴィランティ牧野:もしやって「良かったよ」とか、感想があったら教えてくださいね。
質問者1:はい、わかりました。
ヴィランティ牧野:ありがとうございます。
藤原:ありがとうございます。
藤原:では次の方。
質問者2:今日は素晴らしいお話をありがとうございました。先ほどの話の中で、1個私の実感としてあったのが、他のメンバーもフィードバックを見ている・聞いていることです。これってすごく大切でもあり、怖いこともあるなと。
怖いという意味では、1on1の時に「この間小島さん、誰々さんに対してこういうことを言ってましたよね」と言われたことがあって、ちょっとドキッとした経験を思い出しました。
ヴィランティ牧野:それはポジティブなことをおっしゃったんですか? ネガティブなことをおっしゃったんですか?
質問者2:それがネガティブだったんです。
ヴィランティ牧野:そうね。人間って噂をするのが好きなので、ネガティブな人の話を聞くと「わあ」ってなりますよね。
質問者2:そうです。100パーセントネガティブと言うよりは、「聞き方によってはネガティブに聞こえちゃうよね」という微妙な表現だったんです。私が悪かったんですけど、もっとわかりやすくポジティブに伝えるべきだったなって反省を含めて思い出しました。
ヴィランティ牧野:ありがとうございます。
質問者2:2点おうかがいしたくて。いわゆるカルチャーとかバックグラウンドによって、フィードバックの表現や言い方を変えていらっしゃったのかうかがいたいです。背景も軽くお話しをすると、私が一時期、中国人、ベトナム人、インド人という56人の多国籍チームを任せてもらった時があって。
その時にポジティブなフィードバックをしたんです。例えば「この間君が書いた赤い図、すごくすてきだったね」って言ったとするじゃないですか。そうしたら、次に出てくる資料が全部真っ赤っ赤になっていて「そういうことではない」って(笑)。
ヴィランティ牧野:(笑)。
質問者2:背景やカルチャーとかによるところが大きいな、という経験があります。
質問者2:牧野さんもご経験がいっぱいおありだと思うんですけど、どう対応されていたか、1個目にうかがえればと思っています。
ヴィランティ牧野:ありがとうございます。ありますね。カルチャーとかバックグラウンドもそうですけれども、その人によっても違うじゃないですか。なので、これは本当にトライアンドエラーでやりながらです。資料が真っ赤っ赤になっちゃったら、「実はそうじゃなかったんだけど」と話すしかないですよね。
「でも、ありがとうね」と行為は承認する感じで、「もうちょっと違うのも入れてみよっか」みたいな感じでやるしかないかな。
質問者2:「ちゃんとこの間の私の話を聞いていてくれたんだね。ありがとう」という一言を入れてもいいかもしれないですね。
ヴィランティ牧野:それでいいと思います。「なんで赤なんだろう」じゃなくて、「ちゃんと聞いてやってくれた。素直でいい子だな」っていうのがまずあって、「じゃあ次は応用編で、こうやってやってみようか」というようにするといいんじゃないかなと思います。
質問者2:もう1個だけ質問させてください。フィードバックを誰の前で言うか、1to1で言うのか、例えばSlackのグループで言うのか、DMするのかって、けっこう重要だと感じています。牧野さんがけっこう気をつけていらっしゃるポイントやコツ、ヒントを教えていただけたらうれしいです。
ヴィランティ牧野:ありがとうございます。これも応用編だと思うんですけれども、本のほうにもいくつか例が書いてあります。他の人がいないほうがいい時、例えば妬む人がいる時は1on1ですね。それは別にリアルじゃなくてもいいです。
さっきは「他の人が聞いていると怖い」という話だったんですけど、みんながお互いにポジティブフィードバックをするカルチャーになると、すごく強いんですよ。
ヴィランティ牧野:チーム同士でやり合えるとすごく強くなりますので、最終的にはそこを目指して、最初は上司からAさん、上司からBさん、上司からCさんと。あと、「たまにフィードバックをお互いにしましょう」みたいなアクティビティやチームビルディングをやったりすると、少しずつカルチャーができてきます。
ポジティブフィードバックをお互いにしあえるチームができると本当にパワフルですので、そこがゴールですね。ただ、最初はみんなの前でやると「〇〇さんには言って僕には言わない」とかが出てくるので、ちょっと気をつけてください。
あと、人の前で言うとすごく効果的なこともあると思います。例えばその人に自信がなかったり、若い人だったりする時は、周りがどう思うか気をつけて言わなくちゃいけないんだけれども、人の前で言うとすごく効果がある時もあると思います。
これはサイエンスというよりアートだと思います。「こうかな」と思ってやってみて、ダメだったら、ひねくれている人にもっとポジティブフィードバックをして……という感じでリカバーしていけばいいかなと思います。
質問者2:わかりました。ありがとうございます。勉強になりました。
ヴィランティ牧野:ありがとうございます。
藤原:ありがとうございます。手を挙げていらっしゃいます。
質問者3:今日はどうもありがとうございました。非常に参考になりました。できるだけ私もポジティブにフィードバックすることを心がけているんですけども、ポジティブにフィードバックするとスルーされている感がある時もあるんですよ。明確にうまくフィードバックが伝わらずに、指示がうまくいかないところがある。
ポジティブにするのと明確に伝えることを両立するのは、なかなか難しいなって思ったりするんです。「厳しく言ってもいい時もあるんじゃないのかな?」って思ったりするんですけどね。
ヴィランティ牧野:それはあると思いますよ。私も「君のことを期待していて、できると思ったのに」みたいなことを言われたことがあります。ただ、「期待してきてくれたんだ。できなくて悪かったな。今度はがんばろう」となりますので、「もう私、この仕事辞めたいな」とは思わなかったんですね。きついことを言っちゃいけないとは思っていません。
質問者3:ちょっとそのへんがなかなか……。ポジティブに伝えて、真意が通じる人と通じない人が出てくるのかなと。すごく慎重にやってくれる方と、ポジティブに伝えたことで「これでいいんだ」って勝手に思ってしまって、段階を踏まずにやってしまったりする人との差があるのかなと。厳しく言うことはいいっていうことですよね。
ヴィランティ牧野:いいと思います。
ヴィランティ牧野:あと効果的なのは、コーチング的な会話です。今思うと、よく上司にやられていたんですけど、「君はどう思う?」というやつですね。なので、部下に「これをやってほしいな」というものがあったとしても、それを言うんじゃなくて、言わせることが大事なんです。
そうすると「自分で言ったからやってみよう」となると思いますので、いろいろ聞いて言わせるのは1つあるかなと思います。
質問者3:同じことを言われたことがありますけど、言ってもらったほうが相手方の動きがうまくいくっていうのはその通りだと思います。ありがとうございます。
ヴィランティ牧野:ただ、時間がないと「そんなことやってらんないよ」っていう時もあると思うんですけれども、言わせて「すっごいいいアイデアじゃない?」とか「いつまでにできるの?」という感じでやると、モチベーション高くやってくれるんじゃないかなと思います。
質問者3:ありがとうございます。
ヴィランティ牧野:ありがとうございます。
藤原:ありがとうございました。そろそろお時間なんですけれども、牧野さんのポジティブフィードバックに対する私の印象として、仕事の指示や仕事の業務に関してというよりも、それに関係ない、もうちょっと人間的な部分でポジティブフィードバックをあげることで、仕事でもコミュニケーションが円滑になっていくんだと、そういう理解を私はしました。
ヴィランティ牧野:仕事の業務に関してでもそうですし、そうじゃないところも、両方ですね。
藤原:両方どちらでも、ということですね。わかりました。私もさっそく実践したいと思います。ありがとうございました。
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