悩める30代~40代ビジネスパーソンのためのライフシフト実践法

伊藤秋津氏:みなさん、改めましてこんばんは。伊藤秋津といいます。よろしくお願いします。今日は(「悩める30代~40代ビジネスパーソンのための『ライフシフト実践法』」という)厳めしいタイトルなんですが、リラックスして楽しみながら聞いていただければと思います。少しでも何かみなさんの参考になればという気持ちで、シェアをさせていただきます。

私自身の体験談、そして私どもがご支援させていただいているサービスから生まれた「こんなステップでライフシフトできるんじゃないか」という考え方。我々としては確信を持っていますが、「これが唯一絶対の方法です」とか「これしか正解がありません」ということではまったくありません。「そんなやり方もあるかもしれないな」「いいな」と思われたところを、ぜひ1つでも2つでもお持ち帰りいただけるとうれしいです。

簡単な自己紹介です。私の実例を後ほどお話ししますので、ここは簡単に。私は最初に銀行マンとして社会人のキャリアをスタートさせたんですが、そのあとコンサルティングの世界に入りました。そのあと事業会社の役員を経て、2013年、今から9年半前に独立をして、自分でコンサルティング会社を作り、今に至るまで日々楽しく仕事をしています。

山口揚平さんとの関わりは、我々がまだ20代の頃、20年以上も前の話です。アーサー・アンダーセンという会社で揚平さんと私は同僚として、楽しく一緒に仕事をさせてもらっていました。仕事も遊びも本当に楽しく過ごしたなという思い出があります。

そのあと彼は別のコンサルティング会社に行って大活躍をして、私も人事コンサルティングの領域を深めるために別のコンサルティング会社に行きました。仕事の接点はなくなったんですけど、相変わらず飲み友だちとして楽しくやっていたんです。

人生のターニングポイントは35歳

去年の4月に彼が『ジーニアスファインダー』という本を出版しました。本当にすばらしい本だなと思いますけども、その時も私は人事コンサルタントとコーチの仕事をしていたので、「あきっちゃん、これってどっちかといえばあきっちゃんの仕事の領域じゃない?」ということで、何かコラボできたらいいねという話をもらっていました。

そして去年の9月末ぐらいに、「単発のワークショップをやってよ」というありがたいお話をいただいて、さらにそのワークショップに参加された何人かの方にコーチングをさせていただく機会がありました。そうこうしてる中で「ジーニアス・ファインダー、おもしろそうだね。何か一緒にやりたいね」という話になり、去年の11月半ばからジーニアス・ファインダー(運営事務局)に参加させていただいています。

今は事業責任者というかたちで、各種ワークショップ・プログラムの開発やファシリテーション、コーチングといった業務をやらせていただいています。もちろん今も自分の会社がありますので、自分の会社の仕事もしながらジーニアス・ファインダーもやるという感じです。両方大事に、ワクワクしながらやっています。

私のライフシフトで言いますと、今から13年前の2009年、マーサージャパンという会社にいた時にものすごく大きなターニングポイントがありました。今日はその話を中心にお話しできたらいいなと思っております。

その話に入る前に、私自身2009年は35歳だったんですね。今48歳です。本当にこの35歳ぐらいから40代後半まで、まぁいろいろあったなと感じます(笑)。

30代〜40代が抱える2つの問題

今日いらっしゃってる方も30代〜40代の方が多いんじゃないかと思います。それぞれの方が、本当にそれぞれの人生を一生懸命がんばっていらっしゃると思います。

たくさんのことがあったし、これからもある。いろんなことを抱えてらっしゃると思うし、感じてらっしゃると思うんです。私自身もそうですし、いま私がコーチングでご支援している方、あるいはジーニアス・ファインダーのワークショップでご支援しているたくさんの方々の話を聞くにつれ、大きく2つのことを感じてます。

1つ目は、30代・40代って本当に「やらなければいけないこと」が目白押しです。例えば仕事でも、部下・後輩の方へ指導育成を求められる。プレイヤーとしても、中核として大活躍を求められている。ご結婚されてらっしゃる方、お子さんがいらっしゃる方は、育児・家事と仕事の両立。これは男性の方であれ女性の方であれ、求められている部分が非常に多いのかなと思います。

これとも相まって、外部からの有形無形の「プレッシャー」がけっこう大きいんじゃないかなと思います。例えば「結婚しないんですか?」とか「出産は?」とか同調圧力的なもの。もちろんこれらはプライベートなことなんですけど、こういったプレッシャーがまだまだあるというお声を、たくさん耳にすることがあります。

あとは会社からの期待として、専門知識、語学、資格などについて「もっと成長してほしい」というプレッシャーとか。それからお子さんがいらっしゃる方は「お子さんの受験どうするの」とかね。いろんな同調圧力をビンビン感じている方が、たくさんいらっしゃるのではないかと思います。

今の仕事や生活は悪くないけど、ちょっと違うという感覚

それから「不安感」ですね。こういったことをコーチングやワークショップでおっしゃる方も、たくさんいらっしゃいます。人生100年時代なんて言われて久しいけど、じゃあ長生きする中で「経済的には将来どうなの?」と。もしかしたらお金が足りなくなっちゃうんじゃないか。今からもっと貯蓄や投資をしなきゃいけないんじゃないか、とかね。

それから100年時代の中で、どこまで健康で生きられるのかという不安とか。親御さんの介護も、30代・40代はそろそろ気になり始める年代なのかなと思っています。

今申し上げたことは、私自身もものすごく感じることがありますけど、ぜんぶ「外側」からのものなんですよね。もちろんそれが悪いわけではないですけれども、「内側」から出てくるものではない。今日セミナーに来られている方々は、タイトルをご覧になられて来られているので、わりと多くの方が「なんかちょっと違うんじゃないかな」って思われていると思います。

私自身もそうでした。今のやっている仕事とか生活は悪くないんだけど、何か本当の自分の心とはパチッと一致しない感覚があるまま、なんとなくやっている。本当は自分の気持ちにもっと正直に生きられたら、もっともっと充足感を感じて、満ち足りた気持ちになるんじゃないかな……という直感がしている。

例えばプロジェクトがうまくいった時とか、仕事で成果を出した時の高揚感とか満足感って、もちろんあると思うんですね。でもそういう高揚感とは別に、自分が自分らしく生きられてる温かい感覚というか、手触りのある感覚というか。自分の気持ちに正直に生きることで、その「安心感」を感じられるんじゃないかなと思ってる方が多いと思うんです。

なぜ「自分らしい生き方」に踏み出せないのか

では、そうした「自分らしい生き方」に、なぜ踏み出せないのか。いろんな理由があると思うんですが、こんなところもあるのかなというところで挙げてみました。

まず「どうやってそれをやればいいのか」がよくわからん。なんか良さそうなんだけど、どうやってやればいいのか、やり方がわからない。

あとは「いや、そりゃ自分の気持ちに正直に生きられればいいんだろうけど、そもそも自分の気持ちが何なのかということが、なかなか解像度高く見えてこないよ」という方も多いかと思います。自分が本当は何をやりたいのか、どう生きたいのか、明確に見えていない。だから自分らしく生きにくい。

もう1つ言うとすると、「いや、なんとなくわかってる」と。だけどそれを実際にやるのがちょっと怖い。「家族にとってみれば、単なるワガママなんじゃない? 自分勝手なんじゃない?」「失敗したらどうするの? 家族を路頭に迷わせちゃうんじゃないの?」とか。

せっかくここまでみなさんががんばって積み上げてきた収入とか社会的な地位とか、会社でのポジションとか専門性とか安定感とかを、いきなりポーンと捨てて、自分が本当にやりたいことに思いっきり飛び込んだりしたらどうなっちゃうのか。やっぱり怖さはあると思うんですよね。当然だと思います。

自分の人生を生きようとした瞬間に聞こえてくる「自分の声」

私自身も、怖さがめちゃめちゃありました。この「怖さを避けよう」とする心の動きって、コーチングの言葉で言うと「サボタージュ」って言います。「サボる」の語源の「サボタージュ」です。これは変化を避けて現状維持を望む自分の声です。みなさんの声、私の声です。

自分に正直に、自分の人生を生きようと思った瞬間に、まず間違いなく聞こえてくる自分の声ですね。本当はこういう仕事をやりたい。「もうここらで本当にやりたいことやろうかな」ってジャンプしようとしたりとか。

東京もいいんだけど、横浜もいいんだけど……私、横浜に住んでるんですけど、もう少し違う所で、「田舎暮らしとか、自然の豊かな所で暮らしたいな」とかね。リモートできるようになりつつあるし……と思って、「やろうかな」とした瞬間に、「待てよ」と(笑)。

「ここまで築いてきたのに、これもこれもこれも捨てて、収入半分になったらどうすんの? やめとけよ」という声。「奥さんが心配するんじゃないの? 実家の両親がなんて言うと思うの? やめとけ」という声。実は全部「自分の声」なんですね。

これは悪いものじゃないんですね、良いものなんです。みなさん自身を守ろうとする自分の大事な本能です。ありがたいものなんです。ありがたいものなんだけど、これが強く働きすぎると全部「やめとけ、やめとけ」となります。

それに従うと、安全な人生は歩めると思うんだけど、最期、自分が亡くなるという時に「本当はこう生きたかったのに、なんでこう生きられなかったんだろう」と後悔しながら亡くなってしまう、ということも起こってしまうのかなと。

「サボタージュ」を乗り越えるには

もしそうなるとすると、すごくもったいないなって私らは思うんです。もちろん、全部が全部、すべての局面で「自分らしく」を選択するって難しいかもしれないけど。要所要所、ここはというところでは自分を第一に、自分を大切に、自分らしく生きる選択をしても、きっといいんじゃないかなって思っているんです。それが実は周りの方々にとってもハッピーなことなんじゃないかなと、心から私らは思っています。

そうしたサボタージュとか、あるいは「そもそも自分って何をやりたいのかよくわからん」というモヤモヤ。こういったものを越えて、本当は自分はどう生きたいのか、何がしたいのか、何が得意なのか。人と比べるんじゃなくて、自分の中で「本当の自分の気持ち」を明らかにして、それに沿って生きることを実践すると、シンプルに言うと、とっても「楽」になるんですよね。

私も100パーセントできているかはわかりませんが、3年前、5年前と比べて明らかに「できてる」感覚があります。本当に周りの方々のおかげもあって感謝してるんですけど、感覚的には1枚1枚、鎧を脱いでるような感覚なんですね。

ずっと着てたから麻痺してて、着ていたことすらわからなかったんです。でもある時「うわっ、なんじゃこりゃ」って気づいたんですね。それを1枚1枚脱いでて、どんどん体が軽くなるような感覚。

自分に正直に生きるという生き方をしたら、もう戻れない。あるいは戻りたくないという感覚が強くあります。「子どもがもう少し大きくなったら」とか、「この仕事が終わったら」とか言い訳をせずに、今、この瞬間から少しずつ、生きたいように生きる。そんな人生が実現できたら、すごく幸せだろうなと思っています。

じゃあそれを実現するためにはどうしたらいいのか。あくまで参考ですけれども、こんな考え方もあるんじゃないかなということでお伝えしたいと思います。