2年間で提供者数10万人、プロティアンキャリア協会

栗原和也氏(以下、栗原):本日は、「転職すれば解決する? 上司ガチャに悩む30代社員に贈るブレない自分の見つけ方」にご参加頂き、誠にありがとうございます。今回は「退職学®︎」研究家の佐野創太さんと、一般社団法人プロティアン・キャリア協会 代表理事 有山徹さんのお二人をお迎えし、キャリアに関するセッションを進行いたします。

モデレーターは私、栗原が務めます。普段は外資系ITサービス企業で新卒採用を担当しています。また、プロティアン・キャリア協会認定ファシリテーターでもあり、ワカモノのキャリア研究・支援を中心に活動しています。どうぞよろしくお願いします。

さっそくですが、有山さんのトークセッションに移っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

有山徹氏(以下、有山):よろしくお願いします。では、始めさせていただきたいと思います。一般社団法人プロティアン・キャリア協会の有山と申します。「30代社員に贈るブレない新しいキャリアの見つけ方」ということで、私のキャリアを交えて、今日は楽しくお伝えできたらなと思っております。

簡単に自己紹介ですが、一般社団法人のプロティアン・キャリア協会の代表理事と、4designsという会社のCEOをしております。最近なんですが、ISO 30414(人的資本開示)の資格を取得して、コンサルティングができるようになりました。ということで、一応(スライドを)黄色く目立たせちゃいました(笑)。

キャリアにつきましては、後ほどお伝えさせていただきますが、現在は、プロティアンを通じて経営視点での組織開発に取り組んでおります。あとは個人のキャリア開発支援ですね。

Zoomだとわからないんですが、187センチもあって。元高校球児で非常にでかいということで、経歴は(スライドに)書いてある通りなので、また後ほど触れたいなと思います。

「プロティアン」というのは、「変幻自在」という意味合いです。ギリシャ神話のプロテウスをメタファーとして、アメリカのボストン大学のダグラス・ホール教授が提唱されたキャリア理論です。

協会では、大手企業中心にサービスを提供させていただいていて、(提供者数は)2年間で約10万人です。プロティアンの考え方を理解していただき、認定させていただいて、認定者数は210名まで来ています。

キャリアは自分で作るのではなく、周りとの「関係性」で生まれる

有山:この協会なんですが、さかのぼること2年3ヶ月前、2020年3月に発足されました。この協会を、プロティアンキャリアの第一人者である法政大学キャリアデザイン学部の田中研之輔教授と立ち上げたことが、最近で言う私のキャリアにとっては最も大きな転機となりました。

なんで、私がプロティアン協会をタナケン先生と立ち上げられたのか。当時42歳で、起業してまだ1年も経っていなくて、輝かしいキャリアもない。別にキャリアの業界が長いわけでもない中で、「なんでなんだろう?」と思う方もいらっしゃるかと思います。

理由は「めっちゃ運が良かった」こと。運を自らの手で掴んだということですね。(現実には)ハート型の星はないんですが、言ってしまえばこれぐらいの奇跡で、あり得ないことが起きたということです。

なぜかは知らないですが、「月じゃなくて、星でもなくて、なんかハートの星がある」「なんか掴めた」ぐらいのラッキーだったんです。タナケン先生と出会ってから設立まで、話した時間はたぶん3時間もないくらいの関係性でした。

理由の2つ目が、戦略的にキャリアを仕掛けたことです。キャリアレバレッジをかけるのは、社会関係資本です。実はこれ、佐野(創太)さんの本にも出てくるんですが、キャリアレバレッジでは人間関係がとっても重要です。

プロティアンでも「キャリアは関係性である」というふうに考えるんですが、まさにキャリアは自分で作るものではなくて、周りとの関係性によって作られるものであるということは、私自身が感じたところですね。

理由の3つ目が、自分の中にブレない軸があったことです。逆に、30代でいろいろブレていたがゆえに気づいたという点もあります。

40代を過ぎて、2回の転職で「しくじり」

有山:(ここまでは)有山の過去を少々、ということで。別に細かな話はいいんですが、20代の後半と30代の後半、40代前半にかけてめちゃくちゃブレてました。ブレブレです。最近ではプロティアンをやって、ブレる間もなく突進しています、という感じですね。

今日は20代前半のキャリアの話は置いておいて、30代後半の「軸ブレブレ期」の私はこんな感じです。公益財団法人の内定をもらっていたんですが、そこだとめちゃくちゃ安定しているんですね。

誰もが知るようなサービスをやっている団体なんですが、「そこにしようかな」と思ったかと思えば、「政治家になろうかな」「医療系のベンチャーに行こうかな」「デジタル広告の会社に行こうかな」とか。結局、医療系のベンチャーへ行って3ヶ月で辞めて、デジタル広告の会社へ行って1年半ぐらいで退職することになってしまいました。

40代を過ぎて2回の転職のしくじり……転職エージェント経由での転職に限界を感じました。まだ「35歳転職限界説」が言われていた時代ですね。

今はもう「40代の転職が伸びてます」といういろんなデータがありますが、その時にはすでに転職を4回してましたが、40歳、42歳と40代で2回転職で失敗しました。佐野さんのような“天使のエージェント”はなかなかいない、という感じでした(笑)。

それで、どうしようかと思って。結婚していて子どもが3人いる状況でしたが、40代で起業すると決意しました。

数回の転職を経て、40代で「起業」を選んだ理由

有山:40代で2回転職しちゃうと、正直マーケット的には結構つらいですね(笑)。「じゃあ、起業はやけになってしたの?」と思われるかもしれませんが、そんなことはなくて。実は、私もいろいろ労働市場を見てました。

私はずっと経営企画をやっていたんですが、マーケットを見ていたら、経営企画の募集要項には、けっこう「起業経験なお可」と出ているなと思って。それまでとの経営企画における、募集条件のマーケットの変化を感じ取っていました。

これからの時代は、経営企画だけをやっている“事務屋”じゃなくて、起業経験もプラスなんだ。40代で2回転職しちゃってると条件も限られるし、より良い転職をするのは難しいなと。

また、2回の失敗は上司とうまく折り合わなかった部分もあったので、だとしたらもう1回自分の力を試す意味でも、横で経営を見ているのではなくて、自分で経営する「起業」が、実は今一番ベストな選択なんじゃないかと思って起業したんですね。

「今が一番若いし、じゃあ挑戦してみよう!」ということで起業しました。2019年7月に起業して、10月にタナケン先生のセミナーに参加して、初めてプロティアン教授こと田中教授に出会います。その時に名刺交換して、Facebookで繋がり、連絡先だけは交換をしていました。

起業して目をつけていたのは、自分が転職で悩んだこともあり「人事領域」と決めていました。これからはAIとかデジタル化で「人」のビジネスが成長するとか、「人」の分野はデジタルとかビジネスの分野で遅れているし、今後は人材流動性は確実に高まるし、多様な働き方がどんどん出てくることは間違いない。

変化が起きるところにビジネスチャンスは生まれるので特定の業界ではなく、経営企画のゼネラリストできた私にとってはとっつきやすいテーマというのもありました。

「ブレていた自分」を振り返って気がついたこと

有山:今、日本人はキャリアを考える習慣があんまりないけど、今後は徐々に増えていくだろうとコロナ前に思っていました。あとは、自分自身が転職を6回して、副業、フリーランス、起業など多様な働き方をしてきたので、「働く」というキャリアの領域でやりたいなという思いもありました。

そして田中教授に偶然出会って、考えたんですね。「よくわからないけどこういう先生がいるんだ。まだ起業1年目で、名刺交換して5分しか話をしてないけど、つながってるし、著名な大学の先生に『顧問をしてほしい』と言ってみようかな」「断られて当然だけど、失うものなんてないからいいや」と思って、ダメ元でメッセンジャーから送ったわけですね。

そしたら、5分後にピコンって音が鳴って通知が入ってきて、「もちろんお引き受けしま~す」と。「ええ? 本当ですか?」みたいな(笑)。逆に「引き受けてくれるんだ。どうしよう」という感じで、実はそんなところから社団法人の設立の話が動きだしたんですね。

30代後半から40代の頃、ブレていた自分を振り返ってわかったポイントは3つで、やっぱり「自己理解」が重要です。さっきも話にあったんですが、政治や公益法人へ行っていたら、私の幸せはなかったなと思うんです。「私はこういうことに幸せを感じる」「こういう仕事を選んじゃダメだ」という、自分の「幸せ」の軸は明確にあった。変化を欲していたんですね。

現状を踏まえて、未来志向で戦略的に転職のマーケットも見て、それで判断したという話もしましたが、やっぱりキャリアのポイントはそこですよね。未来志向で戦略的に考えて、次の一歩を考えたこと。

あとは社会関係資本ですね。これはタナケン先生との関係性もそうなんですが、つながりからキャリア機会を得たところです。

3つ目が、「ブレてもいい」というよりも、「ブレないわけはない」ということです。最短距離で行けるわけではないので、ブレる自分をオッケーとして前向きに受け入れつつ、行動することが大事だと思っています。

ブレる自分を前向きに受け入れ、行動することが大事

有山:プロティアン・キャリアのポイントも一緒ですよ。アイデンティティ、自分の軸を持ちながら、アダプタビリティ、未来志向で「自分がどうありたいのか」を考えたり、マーケットがどうなのかも考えて選択して挑戦していく。そこに対して、社会関係資本も利用していく。振り返ってみると、こういった考え方に沿って(キャリア形成を)やっていたところがあります。

変化を前提に、結果ではなくプロセス重視で、何を学んで・何を蓄積するのかを考えてやっていくことが大事であり、常にアップデートし続けることも大事なんだなと思っています。

では、実際の行動面でいくと、「プロティアン7つの習慣で心理的成功へ」ということで、こちらは私の著書でも取り上げさせていただきましたが、心理的成功に向けた行動です。

この7つを意識してやっていると、自分自身の心理的成功に向かいやすいと思いますので、ぜひこちらも参考にしていただければなと思います。簡単ですが、私からは以上です。ありがとうございました。

栗原:有山さん、セッションありがとうございました。プロティアン・キャリア協会設立直前まで、ご自身もブレていたとは存じ上げませんでした(笑)。

有山:恥ずかしいんですが、ブレブレでした。「プロティアン・キャリア協会の代表理事として話していいんだろうか?」という感じなんですけど。でも、ブレてもいいんです。

栗原:まさに今は、キャリアオーナーシップを推進されるリーダーとして動かれていると思うんですが、その有山さんでさえブレていたというのは、ある意味みなさんにとっては大きいターニングポイントになるんじゃないかなと思います。ありがとうございます。

有山:ありがとうございます。