営業における相手との距離感の重要性

河合克仁氏(以下、河合)お客さまのストレスにならないことは相当意識していますね。相手との関係性を見誤らないこと。「この方には、むしろ多めな相談をしたほうが喜ばれる」とか「この人には無理なお願いはしないほうがいいな」ということには、かなり丁寧に関わっていまして。

成瀬拓也氏(以下、成瀬):なるほど。そういう意味では、僕はけっこう無理な相談をされても「仕方ねえなぁ」みたいなタイプだと思うんですけど。ちょうど、僕と河合くんの関係に関する質問がきています。「河合さんと成瀬さんの会社員時代から今に至るまでの距離感ってどんな感じですか? 頻繁に連絡を取っていたのか、たまにしか連絡をしないのか」。どうですか?

河合:そんなに意識していないですよね。「成瀬さん、2ヶ月間が空いてしまったのでそろそろミーティングいかがでしょうか?」とかないじゃないですか。

成瀬:僕は今鎌倉に住んでいまして。由比ヶ浜海外から徒歩2分ぐらいのところにある、一軒家の事務所にいるんです。そして都内に行く時には、それを察知できるようなツイートをするわけですよ。

すると、河合くんから「そろそろ品川駅ですか?」とか「ランチは食べられましたか?」とか、「今日のアポイントの合間、どちらにうかがえばご挨拶できますか?」とか電話がかかってくる。だから「じゃあ飯食う?」とか「隙間時間ないから、じゃあ3時からのアポイント、河合も顔出せるなら紹介するよ」という感じ。別にわざわざ会ったりしないけど、意外と途切れないよね。

河合:そうですね。ちょっと間が空き気味だったり、頻繁だったりはあると思いますけど。

河合氏と成瀬氏の距離感

河合:成瀬さんは、僕のダメなところも含め、根底からわかっていただいていると勝手ながら思っていますので。僕のキャパの中で一応見誤らずにやっているつもりですが、たまに「成瀬さんに怒ってもらう部分があるなら直さなきゃな」ということもありますね。

成瀬:今思い出したけど、当時河合くんのニックネームは「軍人」だったからね。

河合:そう、そう(笑)。

成瀬:ぜんぜんお堅くてね。「はい!」みたいな感じで、軍人と呼ばれていて。お互いに「近づこう」と意識したことも別にないっていう。「弟がどっかでなんかやってる」みたいな感じ。とはいえ、なんだかんだ一緒に仕事したり、一緒に海外行ったりしたよね。

河合:そうですね。

成瀬:今後も一緒に企業支援の拠点を作ろうとか、大学の授業やろうとかもね。

河合:そうですよね。今、大学の授業も一緒にやらせていただきながら。

成瀬:だいたい僕がそういう話をもらうと、河合が「僕も一緒にどうですか?」みたいな。

河合:そのへんは、たぶんちゃっかりさせていただいていますが、一応僕の中でお返しさせていただこうとは思っています。

成瀬:まあ、実際そうですよね。

河合:仮に僕が「ちょっと河合どうした?」というお願いをしたとしても、成瀬さんは「なんか大変なんだろうな」と察して応えていただいたりして。そしてたぶん、長い目で見たら、僕からもお返しできていることもあったりで。こんな関係性を作らせてもらって、あらためて成瀬さん、本当にありがとうございます!

ギリギリで受けていくほうが、結果的にキャパは広がる

成瀬:時間も残りわずかなので、いただいている質問に答えてもらいたいんですけど。「今は営業ではなく、社内業務に従事しているのですが、相手に苦労をかけないように引き受けることが多々あり、おかげさまで応援してもらえたり、助けてもらうこともあります」。さっきの話を実践されているんですね。

「一方で、スキル的には対応できるのですが、引き受けすぎてしまって業務が回らなくなることがあります。河合さんは自分のキャパを超えるほど引き受けてしまうことはありませんか?」と。なるほど。どうですか?

河合:あります! キャパを超えて引き受けていきながら、気づいたらちょっとキャパが広がっているみたいな。いいのかどうかはわからないんですけれど、例えば今回のこういったセミナーにしても、本当は成瀬さんやいろんな方々と事前打ち合わせをしたほうがいいのかもしれませんけど。

今、僕を必要としていただけるのなら100パーセントどころか120パーセントでも引き受けながら、調整していくということがあります。その中で、自分じゃなくてもできることがあるならば、質問者さまの後輩育成という観点も持ちながら、「仕事を引き受けることで自然と応援されたり、助けてもらうことがあるんだよ」と伝えつつ、後輩の方に仕事をパスしていくと。

こうしたことで、ちょっとずつできると思います。あとは、性格もあるし、キャパを超えてはいけない仕事もあると思うんですよね。

「いけると思ったんですけど、燃料ちょっと足りなくて、飛行機が落ちちゃいました」はあり得ないじゃないですか。でもそれは例外だと思うので、ある程度キャパを超えたとしても「大丈夫かな、どうなのかな」というギリギリでやっていくほうが、結果的にキャパは広がっていくと思うんですね。

これ以上仕事を受けられない時の「さりげなくかわす技術」

成瀬先ほどの、相手を傷つけないで断るトーク力もあれば、逆に「いざとなれば上手に断ればいいや」というメンタルで、「何か力になれることがあったら言ってくださいね」と言いやすくなるかもしれないですね。

河合:そうですね。

成瀬:クソ忙しくて、キャパギリギリの状態で、「これ以上仕事もらったら無理だ」とか「仕事に関係ないことまでできるわけないじゃん」というマインドで「何かやれることあったら、まあ、ちょっと……」では伝わらんよな。

河合:はい。成瀬さんが今おっしゃったような状況であれば、「やらせてください! ただ今、こんなAとBとCの業務があるので、金曜日中は厳しいかもしれませんが、月曜の朝一、9時までの期日でもよろしいですか?」みたいな感じで聞いてみる。それでもお願いされるかどうか、ですよね。

「今、△△さんからお願いされた別件もあるんですけれど、優先順位をがらっと変えちゃっていいかどうか、僕には判断できないので、〇〇先輩から△△さんに確認していただくことってできますか?」と言ってみると、「じゃあいいや」と言われるか、逆にそれでも「優先順位を変えたらいよ」と言われるのかみたいな。

今日お話ししながら、僕自身もいろんな仕事を受けまくってパンクしたり、キャパオーバーになった経験があるからこそ、さりげなくかわす技術も自然に身につけてきたんだろうなと気づきました。

成瀬:そう考えると、ゼロストレスの極意のもう1つは、「お客さまや仲間にストレスを与えないようにする対応」だね。だって相手がストレスを感じていたら、それもこちらのストレスになるわけだから。ただ、そういったスキルを磨くプロセスも含め、いろいろキャパオーバーになることもあるかもしれないけど、前向きに乗り越えていけるといいのかなと感じました。

営業で学んだことは、日々の充実につながる

成瀬:ということで、あっという間に終了の時間になってしまいました。きっとみなさん、まだまだ河合くんの話を聞きたいと思います。

河合:詳しくお話ししたいとか。

成瀬:「本をもう一度読んでみようかな」とか「一緒に働いている仲間にも本を薦めてみよう」と感じた方もいると思うんだけど。

それだけじゃなくて、勉強会をやるとか、それなりの規模の企業とかで、企業研修をやるならば、「ちょっと河合さんを講師に呼んでみようか」とか。そうやって、せっかくの機会なので、学んだことを業績やご自身の人生に役立ててもらいたいなと思いました。

いろいろな話があって、みなさんにとって実りのある時間になったんじゃないかなと思います。最後河合さんからも、みなさんへのメッセージやアナウンスがあればお願いします。

河合:まずは、このように出版の機会をいただき、また増刷に関しても、ありがとうございます。そして、今日お忙しい中ご参加いただきましたこと、成瀬さんにも無茶ぶりで一緒にお話しいただき、本当にありがとうございます。

本はもう出しちゃって内容は変えられないんですけど、内容についての質問や、活かしていく方法ということでしたら、今からでもお答えすることができます。

質問や、「本に書いてあることをやってみたんだけど、なかなかうまくいかない」ということがあれば、お気軽にご連絡いただきたいと思います。僕、たまに抜けているところがありますので、返信が遅かったら「忘れてませんか?」とリマインドしてくだされば必ず答えますので。

とにかく「営業で売れる人を作っていく」というよりも、コミュニケーションをスムーズに取ることで、みなさんやみなさんの周りの方の日々が充実していくといいなと思うんですね。そういうところに営業を通して学んだことを活かしていただけたらうれしいです。

今コメントをいただきました。僕は6月2日に、大阪梅田にある蔦屋書店で、著者専門のプロデューサーの長倉顕太さんと、出版記念講演会をリアルで行うんですね。それで、東京在住の方が「行きます」とコメントしてくださって。わざわざ東京から、ありがとうございます。

たぶんあと2~3席ぐらいなのかな。直前だと席も埋まってしまうという話も聞いているので、今からだともう満席になっているかもしれませんが、興味がある方がいらっしゃったらぜひどうぞ。誰かリンクを貼ってくれたらうれしく思います。

ということで、お力になれることがあれば「お気軽になんなり」と思います。今日お話を聞いていただいてもわかるように、成瀬先輩から学ばせていただいたこともめちゃくちゃたくさん本に書いています。

僕で答えきれない部分があれば、成瀬さんにも答えていただきますので、ぜひなんなりと質問をお寄せください。

すべての仕事に、「営業力」を

成瀬:じゃあ最後に、みなさんを代表して質問を1つして、それに回答いただいて終わりにしようと思います。今日主張させていただいた僕をはじめ、数十名からの質問だと思ってください。「何か、河合さんのために私たちがお力になれることはないでしょうか?」。

河合:なるほど。ありがとうございます。ではシンプルに、この本で貢献ができる方がいらっしゃったら紹介してください。買ってください。シェアしてくださいというところでございます。逆に、それを通して僕がみなさんのお力になれることがあれば、なんなりと。先ほどの件のリンクも貼っていただきありがとうございました。

コメントいただきました。「福岡にも1度お越しください」。うれしいです。ありがとうございます。たぶん7月ぐらいに福岡にうかがわせていただくはずです。今まで福岡の仕事は、コロナも含めて、行きたいのにオンラインで完結できちゃっていたんですけれども、ついに行けると思っております。ぜひ成瀬さんも一緒に行きましょう!

成瀬:福岡ね(笑)。本日は「すべての仕事に、『営業力』を!」ということでした。(『今日からできるゼロストレス営業』は)3冊目の処女作という謎な感じなんでしたっけ?

河合:そうです。3冊目の著作。

成瀬:本の出版に携わるのは3冊目なんだけど、監訳や共著で、1人で出版するのは今回が処女作ということです。本日は、すばる舎さんの『今日からできるゼロストレス営業』の出版を記念して、著者である河合克仁さんに来ていただきました。

僕と20年来の付き合いの河合くんを講師として、いろいろと営業の極意、ゼロストレスの極意、営業職以外でも使える「人に応援される関わり方」など、いろいろ掘り下げて聞かせていただきました。

今日の講演を聞いて「いいな」と思われた方は、彼からの「この本を通して多くの人に貢献したい」という思いを受けて、ぜひ「この本いいよ」とか「こんなこと学んだよ」とシェアをしていただきたいと思います。そして、必要とされる方にこの本が届けばすばらしいのではないかと思います。

今日の感想は、全部講師の河合くんも目を通してくれるはずなので、そこにいろいろ伝えたいことを書いてもいいと思います。河合くんは講演もやっているので、「人をたくさん呼べる」とか「交通費をみんなで出せる」とかだったら、全国に来てくれるかもしれないので、そういうものの主催などに興味がある方はアンケートに書いてください。

ということで、本日の「すべての仕事に、『営業力』を! 出版記念講演オンラインセミナー」、終了とさせていただきます。今日の講師の河合くんと、本日進行役を務めました「なるなる」こと成瀬拓也です。どうもありがとうございました。

河合:ありがとうございました!