内製化組織づくりの先進企業に学ぶセミナー

司会者:本日はパイオニア株式会社の岩田さまをお招きし、内製化開発体制についてお話しいただきます。ファシリテートを担当しますのは、メンバーズEMCカンパニー社長の西澤、メンバーズエッジカンパニー社長の塚本でございます。

それではさっそく第1部、パイオニア株式会社の岩田さま、メンバーズの西澤と塚本よりお話しいただきます。お願いいたします。

塚本洋氏(以下、塚本):よろしくお願いします。

西澤直樹氏(以下、西澤):よろしくお願いします。本日はお忙しい中、お集まりいただきまして本当にありがとうございます。今紹介にあずかりました、メンバーズの西澤と申します。本日は最後までよろしくお願いいたします。

今回のセミナーなんですけれども、我々メンバーズでは、デジタルマーケティング支援を専任チームでやらせていただいています。その中で日々、従来Webサイトや広告といった運用の業務を行っています。

今、企業さまのデジタル化が非常に大きなテーマになっている中で、もちろん我々のようなパートナーを活用いただいて、デジタルの活用を強力に推進していくべきなんですけれども。

それ以上に、企業さまご自身が社内でデジタル部隊を作っていきたいというニーズが非常に増えているという点と、世の中のものがすべてにデジタルに通じていく中において、企業さま自身が内製化組織を組閣し、デジタル活用できる状態を作っていく。それが非常に重要かなと感じています。

そこで今回は、先進的な取り組みを行われている、パイオニア株式会社の岩田さんをお招きしました。パイオニアのモノからサービスの内製化組織の作り方およびプロセスについて、具体的な実践内容を踏まえてお話しいただきたいと思い、セミナーを開催しています。

私からは、デジタルマーケティングの観点から、岩田さんの今のお取り組みについて深掘りしていきたいと思っています。本日はよろしくお願いいたします。

SECOMのエンジニアから、1年で外資系ベンチャーへ転職

塚本:一緒にファシリテーターをやらせていただきます、塚本です。私は、メンバーズエッジというカンパニーの社長をやっているんですけれども、たくさんのエンジニアが在籍していまして、アジャイル開発でお客さんのプロダクト開発を支援しています。

大手企業さんが内製化をする中で、どんな課題を抱えておられるのかをヒアリングさせていただいた時に、岩田さんのお話をおうかがいすることができまして。

そのお話が非常によかったので、ぜひ他の企業の担当の方にも聞いていただきたいということで、今回のセミナーが実現しています。私はアジャイル開発やシステム開発の観点からもいろいろと質問をしていきたいと思っています。岩田さま、さっそくですけれども講演をよろしくお願いします。

岩田和宏氏(以下、岩田):「新生パイオニアが挑戦する製造業からサービス企業への変革」と題しまして、お話しさせていただきたいと思います。

本日のアジェンダですが、最初に簡単に自己紹介をさせていただき、その後にソリューションサービスカンパニーへの変革への挑戦というところで、パイオニアの過去とこれからについて。

また、STC(SaaSテクノロジーセンター)の中での役割や挑戦について全般的にお話しし、私が就任した去年3月からの約1年2ヶ月の実践内容について、組織や採用・教育、プロジェクト、データ、業務DXのところでお話しできればと思っています。

最後に簡単に1年を振り返って、求められるエンジニア像、マインドや組織変革についてお話しできればと思っています。よろしくお願いいたします。

まず簡単に自己紹介です。新卒でSECOMに2005年に入社して、主に人の侵入検知などの画像センサーのソフトウェアの研究開発をしていました。

理由は割愛しますけれども、約1年後の2006年にはもう外資系のベンチャーのTERARECONという会社に入社しました。ここはサンフランシスコのサンマテオに本社があるんですが、CTやMRIから撮った画像データを活用して、放射線科の先生が見るような診断アプリのアルゴリズムやアプリケーション開発に従事していました。基本的には海外と日本を行ったり来たりしながら、そんな開発を2〜3年していました。

教育プラットフォーム「ストアカ」と「Japan Taxi」を立ち上げ

岩田:その後、2009年にスマートフォンがいよいよ来るというところで、iOS・Androidが出てきた時、東工大の時の先輩が起業すると聞きました。「これはちょっとおもしろいぞ」「チャンスだ」というところがありまして、そこにジョインしました。

その会社が、アプリ内課金のプラットフォームや受託開発をやっていて、一時期80名くらいまでいったんですけれども、いろいろありましてmixiにM&Aをすることになり、一時期はmixiにもいました。

その後、「やっぱり自分自身でもう1回起業してチャレンジしたい」というのもありまして、たまたま知り合ったCEOと2人で、ストリートアカデミーというCtoCの教育プラットフォームの立ち上げからCTOとして参画し、開発からサポート、コンテンツ獲得まで何でも取り組んでいました。ここは今も伸びていて、「ストアカ」でググってもらえると出てくると思うんですけれども。

その後、前職にいた2015年に、簡単に言うと「タクシー業界のDXにチャレンジしないか」という誘いを受けました。最初は「業界的にもちょっと難しいのかな」と思ったんですが、自動運転やビッグデータ、IoTを含めて、ここはちょっとおもしろい領域かなというところがありまして、本当にゼロからチャレンジして、Japan Taxiを立ち上げました。

最近CMでよくやっていると思うんですけれども、「GO」や配車アプリの子会社を立ち上げて、取締役CTOという立場で、タクシーサイネージ広告のデバイス開発もしていました。ここである程度大きくなり、途中DeNAのオートモーティブ部門をカーブアウトしてMoT(Mobility Technologies)という会社に統合したんですけれども、約6年間くらい諸々従事していました。

それで2021年の3月に、今のパイオニアに「ソリューションサービスカンパニーのターンアラウンドをやらないか?」というところがありまして、ここは「おもしろいかな」というところでジョインいたしました。

簡単に趣味を紹介しますと、土日は基本的に息子が所属している地元の少年団のサッカーのコーチ業をしています。今たまたま浦和に住んでいますが、「浦和レッズ」のファンで、小学校の頃からずっとサッカーをしてきました。

あとは車やバイク。バイクは今、「危ないから乗るな」と禁止されているんですけれども、子どもがもうちょっと大きくなったら、またツーリングとかしたいなと思っています。

スタートアップでも大企業でも「結局は人」という思い

岩田:これまでの経験を簡単にまとめますと、ソフトウェアやハードウェア開発の経験があり、主にSaaSサービス・プロダクトの事業開発経験、AI・データも含めたエンジニアリング組織作り、制度・文化を含めた組織作りを得意としています。

チーム開発やプロジェクトマネジメントを経験し、プロダクトオーナーもやっていました。あとは経営という立場で新規事業開発やCTO、時にはCOOロールとしても、いろいろ経験していました。

学んだこと、いつも大切にしているテーマは、「日々の努力の積み上げでしか結果は出せない」「熱量あるチームをいかに作れるか」というものです。スタートアップでも大企業でも、結局は人なのかなという思いはあります。あとは「チャレンジし続ける姿勢が大切」というところで、自分自身もいろんなことにチャレンジしています。

スピーカーやレーザー・光学技術に強み

ここからは、ソリューションサービスカンパニーへの変革への挑戦というところで、まず、パイオニアの全般の戦略をお話しできればと思います。

パイオニアは「より多くの人と、感動を」という企業理念を掲げ、約80年前の1938年に創設されました。従業員数は現在(2021年3月末時点)約1万1,000名で、売上高は約3,000億円。世界に約60社のグループ企業があります。主な産業はカーナビやドライブレコーダーなどのカーエレクトロニクス事業で、2025年に向けて「未来の移動体験を創ります」という企業ビジョンを掲げて、日々いろんなことを行っています。

歴史的には「世界初への挑戦」をずっと合言葉に、熱量を持って多くのモノを開発してきています。特に音響技術やレーザー・光学技術を中心として、家庭用のDVDレコーダーやプラズマテレビにもチャレンジしてきました。

今もモノ作り系のエンジニアがたくさんいるんですけれども、やっぱり技術者志向で「俺たちがやるんだ」というマインドは、本当に高いなと日々感じています。

現在は、市販事業として、オートバックスなどで販売されている「carrozzeria」シリーズの「サイバーナビ」や車載専用Wi-Fi、ドライブレコーダーなどを展開しています。また、自動車向けOEM事業として、カースピーカーなどを、例えばレクサスにも納めています。

今、モビリティサービスカンパニーのサービス部分をいかに伸ばすかということが大事なんですけれども、「ビークルアシスト」という車の管理システムを行っています。

あとは、実は(ハイエンドオーディオの)「TAD(Technical Audio Devices)」という大きなスピーカーも作っています。一式揃えると2,000万円近くします。

こういったものもいまだにマニアックに、世界中の音楽愛好家の方に向けて販売しています。細々とですが、マイスターと言われる製造技師の方が1個1個手作りで組み上げているところもあります。あとは、光用のサウンドストレージといったデバイスソリューションをやっています。

老舗のモノ作り企業から、ソリューションサービス企業へ

岩田:ここからは新しいパイオニアが目指すものです。2019年に、長年続いた厳しい経営状態を理由にベアリングの資本参加になりました。ここからターンアラウンドをしようというところで、再スタートが始まっています。いくつかの構造改革や経営陣の招聘を経て、今大きな目標として「ソリューションサービス企業へ」という成長戦略を掲げています。

こちらが具体的な、「ソリューションサービス企業って何なんだ」「どう目指すのか」というところです。パイオニアのこれまでのモノ作りの強さを活かしつつ、モビリティデータなどを活用したソリューションサービス企業へと変革して、会社全体をモノ作りからサービスカンパニーにシフトするんだ、というところを全社を挙げてやっています。

具体的には、去年時点はプロダクトの売上がほとんどで、全社的なソリューションサービスはたぶん今2割もないくらいですかね。そこを2025年から2030年くらいには、売上ではなくてサービスとしての利益で半々くらいの会社に持っていこうというところで、日々取り組んでいます。

変革のハイブリッド組織の構築というところで、より多くのスペシャリスト人材がこの変革には必要になってきます。今現在、ITやSaaS関連の会社からいろいろなスペシャリストが、どんどん入社してきています。

もちろん課題はあるんですけれども、いろいろなプロ人材(スペシャリスト人材)と生え抜きメンバーの融合した、ハイブリッド組織を構築するというところで、ちょうど変革の真っ只中となっています。

その変革を象徴とするプロダクトとして、今年3月に「NP1」というしゃべるドラレコのようなものをリリースしました。音声のみでナビゲーションできて、かつドライブレコーダー的機能もあります。

これはネットワークを介して常にアップデートされるということで、OTAでアップデートし続けるようなサービスになっています。もちろん専用の付属のスマートフォンアプリもあり、SaaS的に顧客のカスタマーサクセスをしっかりしながら、日々アップデートをし続けるようなサービスを事業部と一体となって進めています。

開発の上流工程をコントロールできるようになる「手の内化」

岩田:ここから、簡単にSaaSテクノロジーセンターについて、ご紹介できればと思います。

「ソリューションサービスカンパニーへ」ということを主な目的として、SaaSテクノロジーセンターを2021年8月に立ち上げました。モビリティ領域におけるさまざまな課題を、「“モノ”と“コト”を掛け合わせたソリューションで解決する」というところで、SaaSビジネスを強力かつ迅速に推進することを掲げています。

その中でも大きな目標として「サービス開発・運用の手の内化・内製化」の3つを掲げています。ここであえて「手の内化」と話しているのは、技術選定やアーキテクチャ、設計やインフラ環境において、上流工程をしっかりと確実に我々がコントロールできるものにするということです。

これまでは基本的にサービスはすべて外注だったんですね。サービスをアジャイルに開発しながらPDCAを回して、どんどん成長させていくということでは、やっぱりぜんぜん話にならない。そこでまずは手の内化した後に、実装やコーディングを含めてやれるような部隊を作りたいと思っています。まずは手の内化が先ですよねというところで、強化していこうとしています。

次に、DevOpsによる開発・運用効率化です。当たり前ですけれども、SaaSは継続的なデリバリーが大切なので、そこでカスタマーサクセスの実現を掲げています。

最後に、サービスへのデータ活用強化について。自分たちが提供しているサービスを、本当に誰がどれくらい使っているのかも、まったくデータを取っていない状況だったんです。データを中心とした分析やサービス立案が当たり前の世の中で、そこも含めて基盤を作らなきゃいけないということで、この3つの目標を掲げています。

大企業ならではの課題を抱えていた、パイオニアの改革

岩田:STCのミッションにまいります。まず、「リフト×シフト」を掲げています。そこは最初に、私と統括部長レベルで決めたんですけれども。まずは社内の教育や採用といった組織再編・プロセスを含む、社内のいろんなもののバージョンアップをしないと、もう太刀打ちできないところもありますので、中のバージョンアップもしっかりやりましょうと。

その中であり方を変えるというところで、「DevOpsができるような事業等の体制・体系もしっかりやっていこう」「これを我々が、STCという組織が中心になって推進していくんだ」と掲げました。

これは大企業の抱える課題へのチャレンジと考えています。たぶんググったりすると、大企業ならではの課題が出てくると思うんですけれども。

例えば、スピードやコスト意識、マインド。縦割りの組織だったり、顧客起点ではなかったりすると、形骸化されたルールが当たり前のようになってしまう。私もそうですが、やっぱり外から来た人材が、「なんでこんな無駄なことをやっているんだ」と思うようなことも正直たくさんあるので、そういったことを改善していこうとしています。

そういったものにチャレンジするのが、我々の組織なんだ。ただの技術、SaaSだけを提供するのではなくて、組織を変えていかないとSaaSベース的にならないので、そういったところをやっていくんだというのは、今みんなで強く意識してやっています。

このスライドは他から取ってきたんですけれども、一応「まだこのへんです」というのが言いたくて。今日は「変革の実践」がテーマだったと思うんですが、やっぱりたった1年というところもありまして、いろんなメンバーからようやく「それって顧客のためなのかな?」といった言葉が出るようになってきました。

目指すべきところはまだまだなんですけれども、カルチャーといったところを大きく変えるという意味だと、やっぱり5年、10年スパンですよね。会社をサービスカンパニーに変えるということは目指して、「どんなことをやればいいのか」というところを含めて、日々のPDCAを回しているところになります。

豊富な起業経験を持ちながら、老舗のパイオニアを選んだ理由

西澤:いったんここで切らせていただいて、ここまでの内容について少し深掘りしながら、お話を聞けたらと思っています。先ほどご経歴にあったように、岩田さんはベンチャーもご経験されて、ゼロイチのプロダクト開発等のキャリアがある中で、パイオニアさんという歴史ある大企業に入って、その内部から変革を試みるという、大きなチャレンジをされています。

先ほどもいくつか、大企業にありがちな課題感を挙げていただいたと思いますが、実際に岩田さんが入られた時に最初に直面した課題と、それをどう打ち破っていかれたのかを、もう少し詳しくおうかがいできるでしょうか?

岩田:いっぱいあったんですけれども、1つだけあげるのは難しいですね。

西澤:(笑)。最初に着手された点でもいいかなと思います。採用等もやられているということで、まず人の強化をされたのか、カルチャーのところから変えられていったのか。

岩田:人の強化は常に(必要)なので、採用・人事を含めて連携する仕組みは作りましたが、やっぱりマインドの変革に時間がかかると思ったので、最初に、「今こういう状況であって、ここを目指していくんだ」ということを早めに掲げました。

西澤:なるほど。それが先ほどの中計に掲げられていたような、具体的なミッション・ビジョンであり、目標数値なんですね。

岩田:そうですね。

塚本:僕も1つ質問したいんですけれども。大手企業からベンチャーまでキャリアがある中で、これまでもさまざまな選択肢があったと思います。その中で、当時決してそこまで状況が良くなかったパイオニアさんを、あえて選ばれた理由をおうかがいできますか?

岩田:パイオニアの経営陣を含めて、いろんな方とお会いする中で、「ターンアラウンドをやる」という言葉が一番響いたと思います。ソニーさんとかは違いますけれども、特に電気系を含めたいろいろなエンタープライズ企業がすごく弱ってきていて、外資に買われて、違う会社になってしまうというのがあって。

自分の中では、「日本の会社をもっと元気にしたい」という思いもあったんですよね。なので、前職も「日本のタクシーというインフラ産業をもっと良くしたい」という思いがありました。

知人の経営者らに忠告されても揺るがなかった覚悟

岩田:そんな中で、けっこう大きな会社でターンアラウンドをしなきゃいけない、変革しなきゃいけないというのは、自分にとっても「経験できるチャンスだな」というのがありました。

「絶対難しいし、大変だし、面倒くさいことばっかりだよ」と仲がいい経営者の方とか、いろんな人に言われたんですけれども。それができるか、できないかというのは、自分にとっては大きな挑戦かなと思ってやりました。

あと、最初にSECOMという意外と大きな会社に入った時にいろんなことを感じたんですけれども、それ以降は、ほとんどスタートアップ・ベンチャー企業で十何年もやってきた中で、もう1回エンタープライズ企業で、自分がどれくらいの力を出せるのかが試してみたいというのもあって入社を決めました。

塚本:なるほどですね。非上場化されてファンドが入って、本当に「もう変えていくしかない」といった覚悟がある状況も決め手になったりしましたか?

岩田:もちろんそうですね。他の経営陣の方も覚悟を持っています。やっぱり本気の人たちとやらないとおもしろくないと思ったので、そこはあります。

塚本:ありがとうございます。私もDXといったキーワードで、いろんな会社さんと「どういうふうに進められていますか?」「内製化はどうですか?」というお話をたくさん聞いて回ったんですが、やっぱり本当に危機感があるところが成果を得つつあるような状況でした。

余裕があるとなかなか、DXや内製化といった大きな変革は進まないですが、本気でやれば成果が出るというところに魅力を感じられた部分もあるんだなと思っています。危機感と「本気でやろう」という覚悟はとても比例しますし、だからこそDXに取り組める部分があるんだなと思ったので、今のご質問をさせていただきました。

西澤:では実際にパートに沿って、まずは組織と採用について、ぜひお話しいただければと思っています。

モノ作り企業に欠けていた、カスタマーサクセス思考

岩田:わかりました。では続きで。これは私が2021年3月の入社時に「何か一言しゃべってくれ」ということで、1,000人くらいの技術者の前で話をした時の内容です。

そこで掲げたのは、やっぱりプロダクト開発技術、今まで持っている技術とSaaSを掛け合わせた、SaaSカンパニーとしてのアジャイルな組織体制を作っていくとか、カスタマーファーストですね。もちろんプロダクトを作っている会社なので、プロダクトアウトでいいんですけれども、カスタマーサクセス思考が十分でなかったので。

モノ作りなので、やっぱりウォーターフォール的な、受発注的な関係性が強かったんですが、そうではなくてサービスや顧客をメインにしたシームレスな融合体制が必要だろうと。データ・ドリブンな開発・体制、MaaS系・SaaS系人材の採用スキームの構築や、改善サイクルや技術と事業のシームレスな融合体制が必要だろうと思って入りました。

それから「即効性のある策はない」というところは当然として、入社して2ヶ月くらいかけて、200名以上のいろんな人と1on1をして、いろんな課題を抽出していきました。

その上で、モビリティサービスを目指す上での課題として、基本はモノ作りベースの文化・制度がある中で、文化的な課題は社内の受発注的なプロセスです。発注依頼書を書いて、まず見積もり依頼してというかたちでやっていて、大企業に見られる部門間縦割り組織でした。プロダクトを作るまでがゴールというかたちで、カスタマーサクセス体制がありませんでした。