2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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久保田雅人氏(以下、久保田):ついでと言っちゃなんですが、ゴロリくんに関しましても、今日はちゃんとお話しさせていただきたいなと思っておりました。彼に関しては、番組放送中から巷ではいろんな噂が飛び交っておりました。
みなさんいいですか、彼はクマですよ。ほら、「えー!」って言う人が必ずいるんだぁ。犬・たぬき・狼……といろんな噂が飛び交っておりましたが、彼は5歳の子熊です。だからゴロリの「ゴ」と、5歳の「5」が引っ掛けてあったんです。
彼は長男で、(家族は)父・母・ゴロリ・妹。途中からお人形で途中から出てきたゴロネちゃんは違いますよ! 妹じゃなくて、父方の同い年のいとこでございます。ちゃんとこういう設定があったんです。
ただ、我々の会話の中だけに「お母さん」「お父さん」「妹」として登場するだけで、もちろん名前も着ぐるみもないんですよね。ゴロリくんの家では犬を飼っていて、犬だけは「グレート」という名前がついていました。でもみなさん、想像してみてください。クマが犬を散歩させている姿ってすごいですよね。
さぁ、わくわくさんの設定は知らないよな。最近お話もしたんですが、わくわくさんというのは、「子どもたちがわくわくするものを作ってくれる人」ということで、わくわくさんという名前なんです。わくわくさんの年齢は20代後半です。30年、20代後半をやってます。
わくわくさんの職業、知らないでしょう? 「世界を股にかけて活躍するデザイナー」という設定だったんです。みなさん、知らなかったでしょ。子ども代表のゴロリくん、大人代表のわくわくさんだったんです。子どものアイデアを大人のわくわくさんが形にしてあげて、それを2人で作る。そして、作ったもので遊ぶという番組の設定だったんです。
久保田:それで、これもよく聞かれました。みなさんにもよく見ていただいた、ゲームのコーナーがありましたね。よく(わくわくさんが)負けてたでしょ。「あれ、わざと負けてるんですか?」ってよく聞かれたんですが、本気でやって負けてました。
台本もそうなっていました。私のセリフで、「○○ゲーム、用意スタート。以下、実況中継風アドリブ」と書いてあるんです。最後に「勝者:わーいわーい、やったぁ。敗者:くぅ~残念」。これしか書いてないんだ。
これはなぜかと申しますと、特にテレビを見ている子どもたちは、大人の変な嘘を見抜きます。例えば、的当てゲームをやったとします。3発目にゴロリくんが当てて、5発目に必ずわくわくが当てる。こうして収録して放送しても、「嘘」だし「段取り」だから、子どもたちはなんにもおもしろくないんです。
だからやっぱり、真剣にやることが大切だっていうのは、ここで勉強しましたね。ただ、真剣にやってゴロリくんに負け続けた私もどうかと思いますよ。ゴロリくんってゲームがうまいんだ! 一番腹が立ったのはダーツ。今ご覧のみなさんは、ダーツぐらいやったことありますよね。1投目に私がペッて外して、2投目でゴロリくんったら1発で真ん中(に当てた)。
ここまでは私も許すよ。3投目にまた私が外しちゃったの。そうしたら、ゴロリくんったら4投目は的を見ずにカメラさんを見て投げて、それで当てやんの。腹立つわ~。だけど、本当にこのぐらい真剣にやってるから、子どもたちにも見ていたみなさんにも、おもしろみが伝わったんじゃないかなぁと思います。
久保田:先ほども言いましたが、ヒダオサムという造形アイデアの先生がいらっしゃいます。その先生から私が(工作の作り方を)教わって、私とゴロリくんがそれを演じて伝えるわけです。だから、最初の頃は下手くそでねぇ。とってもたくさん叱られました。
ヒダ先生から私に電話がかかってきて、1時間ぐらいお説教をされたこともあるんですよ。ただ、これも我々の考え方なんですが、ヒダオサムという天才の“名作曲家”がいるわけです。ということは、私とゴロリくんが“名演奏家”にならなきゃいけなかったわけですよ。
演奏されずして、人々を感動させられる曲はありません。だから、演奏者によりけりなんです。5歳の子が弾いてもバッハはバッハで、ブーニンが弾いてもバッハはバッハ。こういうことですな。「私とゴロリくんは名演奏家にならなきゃいけない」というのが大前提で、これが我々にとってはものすごく大切なことでした。
みなさんも、いろんな人と出会うと思います。人との出会いはとっても大事なことだと思いますよ。その人から「ああしてほしい、こうしてほしいと」と言われ、いろんな期待をかけられる。これは仕方がないことだよ。逆に期待をかけられなかったら、本当に人生はおもしろくないからな。ヒダ先生からのお説教も、私への期待の表れだったわけだしね。
いろんな人から期待をかけられて、そのプレッシャーに押しつぶされそうになる。そういうもんなんですよ。だけど、それを乗り越えるためにはどうしたらいいのか。自分が何を求めてるのか、それを越えようと思ってるのか。実際に私がそうじゃないですか、学校の先生(になるという夢にも)もくじけたわけです。
だけど、次に入ったこの業界では、なんとか乗り越えてやろう(と思えた)。もう本当に、劇団や演劇の世界の一番下はゴミみたいな扱いなんですよ。先ほども言ったように、(デビュー作で)主役でとして出たのに、いきなりこっち(端役)ですよ。それで、本当にいろんな人から馬鹿にされるんだよ。
「そいつらをなんとか見返してやりたい」という思いと、「この世界でなんとか飯を食いたい」「アルバイトしないで生活できるようになりたい」、この思いだけです。そういう自分の強い思いや意志を持ってください。みなさんも必ず持っていると思います。
久保田:あなたが求める意志、「これをやろう」と思えることが必ずあるんです。私もそうだから、くじけてもいいんだよ。逆に言うと、その中からあなたに適したことが必ず見つかると思います。人生の選択肢はいっぱいあるので。
「これがだめだったから、私はもうだめだ」って思わないでね。それだけは本当にお願いしますよ。いろんな選択肢を持てる人間になってください。
それからこれは私の言葉じゃないんですが、私が敬愛してやまない中島みゆきさんの言葉を書かせていただきます。この「幸せ」という字ですね。これは、十分に辛い思いをした人が幸せになれるということなんです。いい言葉だなと思います。
さっきも言いましたが、どうぞくじけて、どうぞ辛い思いをしてください。そこを乗り越えれば、必ずあなたも幸せになれると思います。がんばってね!
司会者2:ありがとうございました。登場してくださってから、『つくってあそぼ』が始まったんじゃないかと思うくらいのわくわく感を感じました。
久保田:ありがとうございます。
司会者2:知られざる秘話を「こんなにしゃべっちゃって、大丈夫なのかな?」と思うぐらい明かしてくださって……。
久保田:今日、私がお話ししたことに嘘はございません。全部、実話でございます。
司会者2:びっくりしました。
久保田:瓢箪から駒、棚からぼた餅……じゃないな、棚から本マグロ?
司会者2:豪華ですね。
久保田:そんな人生です(笑)。
司会者2:見ている方々も「わくわくさん!」って、すごく呼びかけていらっしゃいました。
久保田:ありがとうございます。
司会者2:「小学生の時から見ていたわくわくさんが、大人になってからも見られてうれしい」という声もありました。質問もたくさんいただいてるので、時間の許す限りお答えしていきたいと思います。
久保田:大丈夫ですよ。もう30分しゃべっちゃおうか!?
司会者2:それはちょっとあれなんですが(笑)。ごめんなさい。
久保田:(笑)。
司会者2:まず、最初の質問にいきます。「自分も小学校の教育実習を終えて、『教員は向いてない』と思ってしまいました。人生の選択に迷った時に、どのようなアクションを起こすのが良いのでしょうか。久保田さんが経験されてきたことで、役立ったことがあれば教えていただきたいです」。
久保田:まず、小学校の先生は大変です。音楽も体育も美術もやらなきゃいけないでしょ。
司会者2:そうですね。
久保田:だから、本当に大変だなと思います。本当にご苦労さまでした。ある意味、私もくじけた人間としてよくわかります。その時に私はいろんな本を読みました。
いろんな生き方の本とか、それから歴史が好きだったので歴史上の人物の生き方とか、いろんな本を読んで勉強しました。その中の1つが、劇団員募集(が掲載されていた雑誌)だったんですよ。これが間違ったんだよなぁ!
司会者2:いやいや、そこがわくわくさんの始まりですもんね。
久保田:そこが間違ったなぁ。あそこで立ち読みしていなかったら、私の人生はまた変わってると思うな。だから、いっぱい本を読まれるのもいいことだと思います。役に立ったのは本、映画、ドラマ。こういうのをいっぱい見ましたね。
その中から「自分は何が向いてるのかな」とか「今の私はどうなんだろう?」というのをつくづく考えたのが、教育実習でコケた頃ですね。
司会者2:どこにヒントがあるかわかりませんね。いろんなものに触れたほうがいいかもしれません。
久保田:とにかく自分でいろんな物を広げる、見る、聞く、しっかりしゃべることです。耳は2つありますが、口は1つです。それだけ聞いて、1つにまとめてしゃべりなさいということで、神様はこういう形にしたんだと思います。
司会者2:なるほど。
久保田:なんか私、ちょっと柄にもねぇこと言ってるな。
司会者2:いやいや。本当に学びが多いです。
久保田:やべぇな。
司会者2:しゃべることで、自分がどういう考えを持っているのかも整理できますもんね。
久保田:そうですね。やっぱり伝えることが大切なんですよ。この方も、どこかでしゃべる機会があれば、その中からまた自分の考えが出てくるだろうし、ぜひチャレンジしてください。
司会者2:ありがとうございます。では、続いての質問です。「まだこの世にない『わくわくさん』というオリジナルの職業を30年間貫き通した今、1つのことを貫き続けられた原動力は何か聞きたいです!」という質問です。
久保田:原動力ねぇ。さっきもちょっとお話ししましたが、「この世界だけで食っていける(ようになりたい)」という思い。それから、この「わくわくさん」というものに賭けてみたかったので、思い切って賭けてみたんですね。
最初にお話ししましたが、実はわくわくさんのオーディションに受かった後、短い時間ですがアニメの声優も一緒にやってたんです。ある時にそれを全部やめて、わくわくさんだけにしちゃったの。
司会者2:他の選択肢をなくしたんですね。
久保田:自分で選んで、全部なくした。その時は、長女が生まれる頃でした。
司会者2:またそんなタイミングで。
久保田:だから、偉いのはうちのかみさんだな。
司会者2:そうですねぇ。
久保田:これから子どもが産まれるっていうのに、亭主が仕事の幅を狭めちゃったんだから。「でも、お父ちゃんがやりたいんだったらそれでいいよ」って言われたんだよね。そんな話は置いておいて。
司会者2:いやぁ、すばらしい奥さま。
久保田:だから続けてこられたのは、「賭けてみよう」という自分の決心です。もし本当にそれでもだめだったら、また考えようと思ったんです。選択肢は必ずあるはずだと思って、とにかく食らいついたのが、この「わくわくさん」というキャラクターだったんですね。
司会者2:どうして、そこまでわくわくさんに賭けようと思えたんですか。
久保田:まず、やっていて自分が楽しくなっちゃった。ゴロリくんと2人でいろんなものを作ってお見せする、それからいろんなことをやる楽しみがどんどん増えてきたんですね。でも、“名演奏家”にならなきゃいけないというプレッシャーはものすごくありましたよ。
人間は、周りの期待に押しつぶされそうになるんだ。でも、それを2人でなんとか乗り越えようということで、2人でいろんなチャレンジをした。私とゴロリが出したアイデアは、ほとんどボツですから。
司会者2:そうですか。
久保田:番組では、なーんも採用されませんでした(笑)。
司会者2:そして、あれだけの準備時間を取っていることにも本当に驚きましたけど、それを30年間というのは本当にすばらしいですね。
久保田:そうですね。30年同じことをやっちゃってるもんな。
司会者2:見習いたいです。
久保田:自分でもびっくりしてますけどね。今日もこういうふうにお呼びいただいておりますが、みなさんが子どもの時に見ていた番組を覚えていてくださっていることは、本当にありがたいことだな。スタッフ一同に成り代わりまして、みなさんに御礼申し上げます。
司会者2:記憶に残りますよ。
久保田:それはもう、我々にとってありがたいことでございます。
司会者2:みなさんの記憶にずっと残っていると思います。
司会者2:では、続いての質問にまいります。「わくわくさんを通して、子どもたちに一番伝えたかったことを聞きたいです」。
久保田:やっぱり一番伝えたかったのは、自分の手で作る「工作の楽しさ」なんですよ。でもこれは、見ただけじゃだめなんだよね。ヒダ先生のアイデアを見事に演じるプラス、番組を見終わった後に「あぁ、おもしろかった」だけじゃだめなんです。「あぁ、おもしろかった。よし、あれをやってみよう」と思ってもらえるためには、私とゴロリはどうしたらいいか。これもまたプレッシャーですわな。
司会者2:なるほど。
久保田:本当に子どもたちに伝えたかったのは、工作の楽しさ、自分の手で物を生み出す楽しさですね。
司会者2:(工作の楽しさを知る)きっかけになった、お二人の時間だったと思います。
久保田:そうですね。そうやって、真似して作ってくださったら本当に良かったです。
司会者2:そうだと思います。
久保田:それこそ自分で作るから、自分で修理ができるんですよ。ということは、自分で作った物が壊れたら、繰り返し繰り返し修理して、初めて「物を大切にする」ということがわかるんですよ。
司会者2:そういったところまで身につくということですね。ということで、お時間が迫ってきてしまいました。
久保田:あらま!
司会者2:最後にご覧いただいている視聴者のみなさまへ、一言メッセージをお願いします。
久保田:どうかみなさん、いろいろチャレンジをしてください。そしてくじけて、失敗をしてください。その失敗は、必ずあなたに何かをもたらしてくれます。そしてそのために必要なのは、失敗することだけじゃないんです。失敗を失敗と認める自分を持つようにしてください。そこから必ず何かが生まれてきます。がんばってくださいね。
司会者2:ありがとうございます。では、久保田さんに最後に盛大な拍手をお送りください。ありがとうございました。
(会場拍手)
久保田:またね!
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