2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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司会者1:続いての講義は、工作の伝道師わくわくさんこと、久保田雅人さんです。
司会者2:目標に挫折した青年が芸能界入り。突如当たったスポットライトに戸惑う日々。それでも諦めずにわくわくさんを極めようと奮起した、自分との戦いをひもときます。
久保田雅人氏(以下、久保田):いやぁ、ありがとうございます。ご覧のみなさま、わくわくさんでおなじみの久保田雅人でございます。みなさんが小さい頃に見ていただいた番組、『つくってあそぼ』の中で工作をご紹介しておりました、わくわくでございます。
今日は工作の話というよりは、若いみなさんに向けての私からのメッセージでございます。こんな場で話をさせていただくのは初めてですので、私のほうがドキドキしております。どうか最後まで聞いていただけることを祈っておりますので、最後までよろしくお願いします。
これは番組をやっている当時からよく聞かれたんですが、「わくわくさんってどんな人なんですか?」というところから、話をさせていただきます。
こういうことをやっていますから、芸大・美大・保育関係といった関係の学校を出てるんだろうなと思われがちですが、まったく勉強したことはございません(笑)。
本当は「学校の先生になりたいな」と思って大学に行き、本当は日本史の先生になる予定だったので、科目は社会科でした。ねぇ、ぜんぜん違うでしょ? 大学の専攻は日本中世仏教史、卒論の課題が「加賀の一向一揆」で、これを見てる人は誰もわからないと思いますが、そんな勉強をしていたんですよ。
ここはみなさんにもおわかりいただけると思いますが、教育免許を取得するには、教育実習に行かなきゃいけない。これは当たり前ですな。2週間、自分の出身の都立高校に行きましたが、そこでコケました。
2週間実習をやって、「あぁ、私はもう無理だ」「教員にはなれねぇな」と思っちゃったんですよ。だから、私の学生時代の仲間はほとんど教員です。中には、教頭や校長になったやつもいます。私と違って、みんなはくじけずに先生になれたんですが、私だけコケちゃったんですな。
久保田:ちょうどその頃、大学のそばの本屋さんで雑誌を立ち読みしたんです。その中に、私が最初に所属した劇団の第1期生募集があったんですよ。さっきも言いましたが、「教員になれねえな、私はだめだな」と思ってくじけた時期だったのもあるんでしょうけど、フラフラっとそれに応募しちゃったんです。
劇団員募集のオーディションを受けたんですが、受かっちゃったんですよ。だから、大学4年から演劇を始めて、今に至ってるわけなんです。
みなさんも子どもの時に、「本屋さんで立ち読みしちゃいけないよ」と言われたと思いますね。そうなんです、立ち読みで人生が変わっちゃうこともありますよ。みなさんも気をつけてくださいね。
そんなこんなで、劇団に入ったのが大学4年。21、22歳くらいの年だったんです。ちっちゃい劇団で、これをご覧になってる方はわからないかもしれませんが、座長さんがアニメ『タッチ』の(上杉)達也くん役の三ツ矢雄二さん。
副座長にも声優さんで、今は『ONE PIECE』のルフィをやっている田中真弓さん。たっちゃんとルフィの劇団だったんですね。お二人に初めてお会いしたのがオーディションの時で、それまでお二人のことも知らなくて。まったく知らない世界に自分から飛び込んでしまったわけなんですが、それが大学4年の出来事でございます。
親方が三ツ矢さんなので、実は私も業界デビューはアニメ声優でした。本当はそうなんです、大学4年生の時にアニメ声優でデビューしました。劇団のオーディションに合格して、数ヶ月後に初めて受けたオーディションで(アニメ声優の仕事に)受かってしまったんですね。
今ではDVDだけど、もう40年ぐらい昔の話ですから(当時は)ビデオアニメ(OVA)だったんです。初めて受けたオーディションで、ビデオアニメの主役になっちゃったんです。
久保田:同じ作品でデビューしたのが、なんと山寺宏一さんでございます。「おーはー!」の山ちゃんです。だから、山ちゃんとわくちゃんは同じ作品でデビューしてるんです。しかも2人とも同い年です。これは本当ですよ。
ちょっと話が逸れますが、山寺さんに悪いかなと思って、私はこの話をずっと黙ってたんです。だけど山寺さんがこの話をテレビで言ってるので、私も負けずにしゃべります。
アニメの主役でデビューしたんですが、それまでにアニメの喋り方や演技の仕方等々は、勉強したことがなかったんですよ。それがいきなり主役ですから、周りからいろいろ言われるわけですわ。仕方ないよねぇ。こっちもなんとか応えようと思って、一生懸命がんばったんですけどね。
(デビュー作で)山寺さんは、ほんのちょい役だったんです。出てきてすぐ死にました。それから半年後、とあるアニメのスタジオでまた山寺さんとお会いしたんですが、山寺さんが主役で私が端役でした。逆転するのに半年かからなかったんですね。やっぱり山寺さん、あの頃からうまかったもん。
ちゃんとした実力のある人は、最初のスタートが低くても、必ず上にぽんといけるもんなんです。だから逆に言うと、上でデビューしても実力がないと、結局は下になっちゃうわけです。これがやっぱり、この業界の難しいところ。やっぱり我々の世界では実力ですな。まぁ、どこの世界もそうだと思います。
久保田:そんなこんなでアニメデビューしたわけですが、師匠の三ツ矢雄二さんがアニメ『タッチ』の主役のたっちゃんでしたので、実は私もラスト1年間だけ準レギュラーというかたちで、同じ野球部員の役で出ていました。あの『タッチ』の最後のほう、ちょこっとだけ私も出てました。
またちょっと話は逸れますが、何が大変だったかというと、野球のお話ですから試合のシーンがいっぱいありますよね。正確に言えば、まずは我々が所属している明青学園学校で9人必要なわけです。野球だから、相手方にも9人必要なわけですよね。
それから審判が3人いますから、本当は18+3の21人が必要なんですよ。それが(そんなに声優の人数は)いないから、我々端役はいろんな役をやるわけです。すごかったのは、相手方のピッチャーをやって、審判まで一遍にやったことがあるんですよ。自分で(ボールを)投げておいて、「アウトォ!」と言わなきゃいけないとかね。
それからアニメだけじゃなくて、実は映画のエキストラなんかもやらせていただいてました。初めて出たビデオ映画(の役)は、空き工場の中で大勢死んでいる中の1人でした。
それから、みなさんもドラマなんかでよく見ると思いますが、喫茶店のシーンやレストランのシーンがありますよね。あれの、映るか・映らないかぜんぜんわからないお客さんの役。同じスパゲッティを3時間かけて食うんですよ。みなさん、ぜひやってみてください。3時間経つと、さくって(パスタが一塊に)全部くっついちゃうんだ。
久保田:本当にそんなことばっかりやっていたんですが、これだけははっきり覚えてます。田中真弓さんはNHKの番組にもレギュラーを持っていました。『おーい! はに丸』って、覚えていらっしゃいますか? 田中真弓さんは、NHKにも出入りをされておりました。
平成元年の3月のある時に、私の(出演していた『つくってあそぼ』の)前にやっていた、ノッポさんの『できるかな』が終わることになっちゃったと。20年間なにもしゃべらずに、ノッポさんを20年間やられたんです。すごいわ。
『できるかな』が終わることになっちゃったけど、NHKとしては新しい工作番組を続けたい。出演者を探していた時に、「ノッポさんより若くして、ノッポさんと違ってしゃべらせたい」という向こうの希望があったんですよ。
たまたま、「田中真弓さん、誰か知りませんか?」という話があったんですよ。うちはちっちゃい貧乏劇団ですから、大道具・小道具は自分たちで作らなきゃいけないんです。「大道具・小道具を作って、手先が器用でしゃべらせるとちょっとおもしろいのがいるから、オーディションだけでも受けさせてください」と言ってくださったのが、実は私だったんです。
それで、NHKに初めてお伺いしたのがNHKのオーディションだったんですね。あ、初めてじゃないな。その前にもNHKの番組のオーディションは行ってるんですが、これも落ちたんだ。あれに受かったのは、(『いないいないばあっ!』の)ワンワンのチョーさんなんだよな。
チョーさんの『たんけんぼくのまち』というNHKの番組があるんですけど、これを知ってらっしゃる方はもう少ないだろうな。そのオーディションも実は落ちてます(笑)。
久保田:そんなこんなで、田中真弓さんの紹介でNHKのオーディションに行って、まずはディレクターさんとの面接があって、次に工作のオーディションがありました。「まぁ、絶対に受かるわけないなぁ」と思ったら、合格になっちゃったんですね。それが平成元年の5月頃の話です。
驚くなかれ、7月には「試しに番組を1本撮りたい」という話だったんです。もう、即ですわ。それで撮ったのがすごいタイトルで、『わくわくおじさん』だったんです。私、当時まだ27歳ぐらいだよ? タイトルが「おじさん」だからね。子どもにしたら、27歳ってもうおじさんかもしれないけど、タイトルだけはちょっと抵抗があったな。
これも、もうみなさんは覚えていらっしゃらないかな。おさるさんのモンタくんとソラミちゃん、それと水島裕さんが「ゆう兄ちゃん」として出演されておりました。ゆう兄ちゃんとモンタくんとソラミちゃんが、なんでも作ってくれるわくわくおじさんのところに遊びに行くという設定で、平成元年の8月に放送があったんです。
(当時は)「わくわくおじさん」でしたけど、わくわくさんとして世に初めて登場したのがその時でございます。その時から、黒い眼鏡、トレードマークの赤い帽子を被って登場したんですね。
このオンエアを見たんですが、どうしようもなく下手でしたね。だって、遊びに来た水島裕さんのほうが工作が上手でしたから。「じゃあ(わくわくさんが)来る必要ねぇだろ」みたいな、本当にそんな出来だったんですよ。
その年に、「これでもう終わりだろう」と本人も諦めてました。そしたら「12月に放送したい」と言うので、もう1本撮ったんですよ。その時に、初めてゴロリくんが登場したんです。
ゴロリくんが初めて登場した時、ゴロリくんが住んでいる星に私がロケットで不時着、そこで空き箱で工作という、すごい設定だったんですよ。そういう設定で、平成元年の12月にゴロリくんも初めて世に登場したんです。
久保田:それ以来の、わくわく・ゴロリのコンビでございます。「絶対にレギュラーになるわけない」と思ったんですが、その翌年の平成2年4月からレギュラー放送になっちゃったんですよ。だから、かれこれもう30年以上です。2人でいろんなことを(してきました)。
これまた不思議なもんです。番組が始まってしばらくして、ディレクターさんに聞いたんですね。これは本当に信じてもらえないかもしれないんですが、ディレクターさん曰く、オーディションしたのは私だけだったと言うんですよ。
他の番組では絶対にありえないですからね。『おかあさんといっしょ』なんて大変なんだから。歌のお兄さん・お姉さんは学内オーディション、劇団内オーディションから始まるんです。そういうのをいっぱい勝ち抜いて、初めてNHKのオーディションなんですから。
ディレクターさんに、「なんで私しかオーディションしなかったんですか?」と聞いたら、「だってさ、オーディションで何人も見るのはめんどくさい。1人来たからそれでいいや」と。本当に、こんなのはうちだけですよ。そんな馬鹿な決め方をしたのは私だけです。それで番組を23年間やっちゃったんだから、恐ろしいもんでございますな。
そんなふうにして始まったのが、平成2年の4月からです。レギュラー放送になった段階から、タイトルが『つくってあそぼ』に変わったんです。それから30年経ってるわけですから、すごいもんでございます。
久保田:みなさんにも子どもの頃見ていただいた、『つくってあそぼ』に関しまして、どうしてもお伝えしたいことがございます。これもよく聞かれたんですが、「わくわくさん、番組はどんなふうにして撮ってたの?」。
『つくってあそぼ』を見ていただくとおわかりですが、15分番組と、平日の夕方に放送していた『つくってワクワク』という短い5分枠があったんですよ。
15分番組とはいえ、いくつかのパートに分かれてたんですね。これを抜粋して、頭の部分やつなぎ目の部分やラストの部分の、「それじゃあ、この次も作ってわくわく~!」を撮り直して、再編集したのがこれ(5分番組)だったんですよ。
ところが、これで問題が起きたんです。下手すると、大本(の映像が)が15年ぐらい前の作品だったりするんですよ。ということは、どういうことが起きるかというと、私が瞬間的に若返ったり老けたりした。これ、実話です。実はあの番組、そういう楽しみ方があったんです。
本編の『つくってあそぼ』について、これもよく聞かれたんですが、「わくわくさんは毎週番組を収録されているんですか?」。いやいや、違うんですよ。ものすごく大雑把に申しますが、月4週のうち3本は再放送で昔のやつだったんです。
新作はだいたい月に1本のペースだったんですね。この1本を撮るのに、木・金・土曜の3日かかったんです。まず、木曜日にご紹介する工作のリハーサルを行います。
それから、これもちゃんと申し上げますが、23年間『つくってあそぼ』の中で、いかにも自分が考えたように工作をやっておりましたが、何も考えてません。すべて、造形作家ヒダオサム先生のアイデアでございます。
まず、木曜日に私がヒダ先生から「今回はこういったものを作りますよ」というのを教わって、練習するわけです。そして金曜日はゴロリくんの声(の収録)。彼は内臓と声が別なので、声は俳優の中村秀利さんなんです。(金曜日には)中村さんも来て、全部が収まるかどうかを練習するわけです。
その翌日、土曜日がもう本番。すごいでしょう? スタジオの照明さん、音響さん、カメラさん、スタッフのみなさんの打ち合わせから入れると、おおよそ7時間。7時間かかって(収録できるのが)15分、1本です。
ですので、ふだん見てらっしゃるドラマ(撮影)がどれだけ大変か、ご想像がつくと思いますが、テレビはこんなふうに放送してたわけですな。
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