レバインメソッドを使って、家庭でできること

アイシャ・レバイン氏:次は具体的な事例ですね。家でどういうことができるのか。もう少ししたら、学校でもレバインメソッドが使われるようになりますが、それはまたご説明しますね。今日は1つの事例を、すごく細かくお伝えしようと思います。

まず年齢別で考えます。0~3歳でも、何もできないわけではありません。この期間はとっても大切で親がステップ1をガッツリ取り入れることですね。親がとにかく子どもの見本になること。だから世界に興味を示す。ニュースを見る。パートナーとたくさん世界について話す。意見交換をする。「意見を持つことが大事だよ」という雰囲気をなんとなく作ることがベースになります。

もし先入観を持っているとしたら、それを意識して変える。もしくはキープしつつ新たな考えをプラスする。ステップ1は(親の)「自分探し」「自己認識を常に意識すること」なので、子どもがまだ言葉を話せなくてもできるんです。妊娠中から、あるいはもっと前からでもできることですね。

次は4~6歳の、ちょっと言語力がついてきてコミュニケーションできる子どもです。しゃべれるし、親が言っていることも理解できる年齢です。子どもによっては、3歳からできる場合もあるかもしれません。これらの年齢の時も、引き続きステップ1は続けてください。子どもはまだ自分の気持ちを完璧に話せるわけではないので、いきなり意見を求めることはしません。

ここでは、例えば映画を観ながらいっぱい話すこと。「こういうのがあるよね」「こういう車があるよね」「こういう人もいるよね」「こういう考え方もあるよね」「私も昔アメリカにいた時に、こういうことがあったんだよ」など、もう何でもいいんです。

子どもはまだ、世界について何も知りません。子どもの1日は先ほど言ったことの繰り返しなんです。だからそれ以外のインプットをしてあげる。「今日プレゼンしたんだよ」「今日会社で経理ばかりして、数字が見にくくてね」でもいいんです。

この会話から「経理」という意識、「仕事」「疲れる」など、いろんなことがわかるんです。とりあえず、家に自然にあるもの、映画・音楽・親の仕事・親の1日について、いっぱい話させて、いっぱい話すこと。これがインプットになります。

家庭のメリットを活かした意見交換

それからもちろんニュースですね。子どもに、純粋に世界に興味をもってもらいたい。世界をより良くしたいと思ってほしい。だからこのメソッドではニュースがけっこう大事です。エンパシーを持つためにニュースを見て、世界で起こっていることを無視するのではなく、気にかけてほしいんです。日本は世界の一部であるという考えに変えていかないといけないんですね。

小学生になったら、もう論理的に話せるようになります。思っていることを表現できるし、意見もある。だからここで初めて対話ができるんですね。ニュースを見て「ママはこう思う。アレックスならどうする?」とか、本当にそれだけでいいから、それを繰り返します。ちょっとしたことでいいし、1日1回ぐらいでも大丈夫です。これがあるのと、ないのではぜんぜん違います。

学校の先生方は、たくさんの生徒に基礎知識を与えることに追われています。特に日本はレベルもかなり高い。それに加えて今は政府から「自分で考える力を育てる」ことにも注力するように言われていて、そこも頑張っています。でも、やっぱり学校の一番の強みは知識を与えることだと思います。

そこは学校でOKなので、家庭では意見交換をするんですね。少人数だから、すぐに意見交換や対話ができる。小学生になったらこういう感じですね。アレックスも今や立派な意見が言えます。それを聞いて親は考えさせられますね。子どもの世界の見方は私たち大人とは違います。だから、その意見をできるだけ聞いたほうがいいと思うんですよね。

共感力やアイデンティティを育む、TVニュースの活用法

次は事例です。みんなこれを聞くと「なるほど」と言ってくれて、一番人気のあるトピックなんです。例えばNHKの朝のニュースで、5分ぐらいウクライナの話題になりました。0~3歳では、親同士で「これ大変だね。かわいそうだよね」「家があったのにいきなりなくなって、もう住むところがないんだよね」「歩いて探すしかないのに、歩きながらロシア軍に出会うかもしれないんだよね」「きついよね」と話します。

このことによって親が世界に興味を持っていることを示していて、それを子どもに見せているんです。直接「世界に興味を持たないといけないよ」とは一度も言っていないんですね。毎日こういう会話をすることによって、それを見た子どもが自然に、「そうか、世界に興味を持つべきなんだな」と感じるんです。

そしてエンパシーです。「やっぱりつらいでしょうね」「何かできないのかな」「20人のウクライナ人が日本に入ってきたけど、これからもっと増えるかもしれないね」「もし家に受け入れることになったらどうする? 入れる?」など、エンパシーを示す。でもこれは普通の会話ですよね。そして「ウクライナ人は何もしていないのに、許せないよね」と意見を出すこと。

毎日の報道で、ちょっとした会話をすることで、「意見を出すことの大切さ」「エンパシーを持つことの大切さ」「世界に興味を持つこと」を伝えられます。それで、子どもはまだ言葉を話せない時から「なるほど、こういうふうに世界についてケアすべきなんだ」と感じることができます。

次はちょっと大きくなった4~6歳です。0~3歳でやってきたことをキープするだけでも大丈夫です。プラス、今度は子どもに向けて話すんですね。

「ロシアはいきなり違う国を取ろうとしているよね」「でも全世界が助けようとしているし、日本もそうだよ。すごいなぁ。日本も助けようとしていて良かったよね」「アレックスくんは保育園で、いじめられてる子って見たことがある?」「そういう時はやっぱり助けたいんだよね」「やっぱりそうだよね」という会話ですね。

10分もかからない、ちょっとしたやり取りですが、これによって、「人のために考える」「いじめられている友だちがいれば助けてあげる」「そういう行動を起こす」など、エンパシーが生まれます。それからアイデンティティですね。「日本もすごいね」「日本人で良かったね」「あなたも日本人だよ」「あなたの国が世界を助けているよ」という話をすること。完璧に理解できなくても、これでアイデンティティとエンパシーが加わりましたね。

小学生からできる、より深いアイデンティティの話

小学生だったら、さらにもっと深いアイデンティティの話ができます。「結局ロシアは、ウクライナはロシアのものであると言っているんだよね」「もしアレックスもある日『あなたは日本人ではなく、ロシア人だよ』と言われたらどうする?」「私はイヤだけどな。アレックスはどう?」と聞いてみる。

普通「自分は〇〇人である」ということは、パスポートを持って初めて海外に行く時に気づくんですね。でもアメリカやヨーロッパはいろんな人が混ざっている国なので、文化の中、日常の中で「自分は誰なの?」ということを常に考えています。

日本にはそういうチャンスがありません。学校にも日本人が多いから、そういうことを考えることはないですね。だから「私はどういう人?」「日本人ってこういうことなんだ」「それが取られるってことがあるのかな」「取られたくない」と考えることがアイデンティティの1つです。「〇〇人である」「私はメキシコ人である」といったことは、アイデンティティになります。

学校で、こういうことについて考える時間はないと思います。もしかしたら道徳の授業などであるのかもしれませんが、日常生活の中では考えることは少ないですよね。でも家だったら「あなたはどういう人なの?」と考えさせることができます。

10分の対話で得られるインプットの数

この10分の対話で、いくつのインプットがあるかを数えてみましょう。まず「世界が1つになれば、みんなが一緒になれば、いじめっ子も倒せるよ」というのが「将来の希望のインプット」ですね。子どもに「将来への希望を持たないといけないよ」と言わなくても、こういう会話をすることによって「将来には希望を持っていいんだな」と芯から理解できますよね。

それから地図を見せながら、大きなロシア、小さなウクライナなどを教えてあげれば、「世界の地理的な知識のインプット」にもなります。学校で学べるような知識を家でも学べます。

また、「日本人とは」「ロシア人とは」「みんな違うんだ」「そういうものを否定されるとどんな気持ちになる?」「アイデンティティは私が作るんだ」「自分が定義するものなんだ」という会話からは「アイデンティティのインプット」が得られます。

それから、「いじめっ子ってダメでしょ?」「いじめられた子を助けてあげたいんだよね」「今は、世界のみんながウクライナを助けているね」「同じようにお友だちがいじめられてたら助けようね」といった会話からは「エンパシーのインプット」ができます。

以上のように、1つの会話から4つのインプット・新しい知識が得られました。それを週3回だけやったとしても、1年となると624回のインプットになります。会話をすることによって、学校でも学べない、本でも学べないことが得られるんですね。

私は立派な国家試験を受けた先生でもないし、博士号を持っているわけでもないし、講師でもないんです。それでも、親が自分で世界を見て、思っていること・考えていることを子どもに伝えるだけで年間でこれだけの世界観や視野が増えます。

こういうことを5年間やってきた子と、学校や習い事のみの子では、どちらが自分の意見を言えると思いますか? それは圧倒的にインプット数の多い子ですよね。

インプットの活動を行うのはそれなりにきつく、常に子どもと会話をしているのは事実です。だから学校の良さをキープしないといけません。繰り返しになりますが、公教育や、普通の習い事も否定していません。こうした教育や、海外のやり方が学校の代わりになるわけではないので、プラスアルファとして加えるんですね。

レバインメソッドのような教育は今政府がその必要性を理解して、やろうとしていることと同じです。学校の先生たちに、教育改革として「これもお願いします」と言っているんです。でもそれは、「今までのことを全部変えてしまいましょう」ということではないはずです。それと同じで、先生たちのサポートをする感覚で、家でもこういう教育ができるということですね。

家庭にはない、学校の強み

次は学校についてですね。私は、このレバインメソッドを教えるために「レバインエデュケーション」という子育てコミュニティを作りました。日本人がつまずいているところをヘルプしたり、アドバイスしたりする目的で作ったんですね。保育士の方はもちろん、高校や中学の先生もたくさん参加してくださっています。しかも英語の先生だけでなく、体育や道徳の先生もやってくださっているんですね。

そんな中、「レバインメソッドって、学校にも使えるよね」と言われまして。私は正直最初はあまり考えていませんでした。親子を想定して、お金をかけずとも、インターナショナルスクールに行かなくても、家でできることがあると。国際バカロレアなど、日本では浸透していないし、先生たちも完璧にやりこなせていないということなので、家で何ができるんだろうと考えて始めました。

私たち親は資格を持っていません。幼稚園・保育園や学校と自宅では、何が違うかというと人数ですよね。学校や幼稚園には20~40人の生徒がいます。家は4~6人ぐらいだと思います。その人数の多さは学校の強みだと思います。人が多ければいろんな意見が出る。多様な価値観に出会える。

ヨーロッパやアメリカが優れていることは価値観が多様なところです。確かに国として社会としては、それによって混乱が生じることもあるけれど、常にいろんな人の考え方や価値観に触れているから「いろんな考え方があってもいいよね」と当然のように思っています。

学校も人数が多い分、正解のない問題をみんなで話し合うことによって、いろんな人の意見を聞くことができます。家は人数が限られます。だから、私がアレックスやオリビアと何かの問題について話し合う時は、極力いろんな人の意見を出すんですね。「ママはこう思う。でも他の人はこう思っているよ。こういう意見もあるよ」と、私が1人でいろんな意見を言うんです(笑)。

学校だったら、それが自然に生まれるんですね。いろんな人から、いろんな意見が出てくるので、子どもたちのインプットが増える。それが強みですよね。

「エンパシー」を教える機会も豊富な学校

他者にエンパシーを示す機会もそのぶん多いでしょう。家だと、オリビアが「アレックス大嫌い」と言った時に、「待って、それ言われたらアレックスもきついよ。その気持ちを考えてみて。じゃあ謝りましょう。もうやらないでね」と言いましたが、機会は限られますよね。一方学校なら、いろんな友だちとぶつかったり、意見が合わなかったり、いろんなことがあって無限に機会があります。

エンパシーに関して、特に保育士の方は教えるのが上手ですね。「シェアしましょう」「みんなで一緒に使いましょう」とか、さらに踏み込んで「自分だったらシェアしてほしいでしょ? じゃあしましょうね」とか、エンパシーを教える機会は豊富ですね。

また、学校や幼稚園・保育園では「自分らしさが大事」ということが自然に育ちますよね。自然というより、先生によるかもしれません。私が見てきた保育園は、自分らしさを大切にする所が多かったですね。私立の幼稚園に見学に行った時は違いました。園のポリシーに合わせてほしいという感じでしたね。でも、公立の幼稚園や保育園は、みんな「自分らしく」でした。

例えば、折り紙を折ったとしても、他の生徒がたくさんいるからこそ「みんなのと違うね」「すごいね」「これ、特別だよね」ということで、より「あなたらしさ」を教えることができますよね。みんなで違うことをやっている。これこそがダイバーシティ、多様性ですよね。

ダイバーシティがあったほうがイノベーションが生まれるというのは、まさしくそういうことだと思います。いろんなところから、いろんな意見が出てそれがインプットになる。会社の中もそうですよね。

「正解のない質問」を投げかける絵本

それから、学校はワークシート文化です。家で座ってワークシートをやることもありますが、毎日ではありません。学校だったらワークシートでいろいろ考えてもらうことができます。そのことに気づいて、今レバインメソッドを学校向けに開発しているんです。

これ(スライドに表示したの)は、2年前(2020年)に私が自費出版した絵本です。英語と日本語で書かれていて、見開き6ページのすごくシンプルなストーリーなんですね。1ページごとに、こういうふうに正解のない質問を、日本語と英語で入れています。

だから、絵を見ながら、ここに書いてあるような質問ができるんですね。もちろん、すべての質問をクリアしましょうという意図で作ったわけではありません。ただ、ステップ3に入った時に、親はどういう質問や会話をしていいのかわからないこともあると思って。全部で見開き6ページあって、見開き1ページごとに「子どもにこんな質問をするといいかな」というものを6~7個載せています。

これはレバインメソッドを完成させる前に出したんですが、言ってみればこれはステップ3ですよね。だから、この絵本を利用してくれた方は、ステップ3から始めたことになって。子どもに絵本を読み聞かせて、質問を投げかけたものの「うちの子は『わからない』って言ってる」「なんで意見がないの?」「きゃー!」となってしまって。

その後『親から始まる「正解のない時代」を生き抜く世界基準の子育て』を書いて、ステップ1~3までを完成させました。

学校や、特に幼稚園・保育園ならこういう絵本を読み聞かせて、1ページごとにいろんな質問や会話をすればいいと思います。簡単にできます。この本を用いないとしても、他にもこういう読み方に向いている本はあります。また向いていない本もありますね。

今、レバインエデュケーションコミュニティの中には、向いている本をたくさんリストアップしています。日本語のものもあります。やっぱり、こういう読み方ができない本もあるんです。例えば、言葉が少ないとか、絵がシンプルすぎるとか。親にどれだけ想像力があっても、「正解のない質問を投げかけるのが難しいな」という絵本はあります。

向いている本であれば、1つの絵だけでも、いろんな質問をすることができるんですね。もちろんステップ1とステップ2を踏んだ後ですよ。ステップ3から始めてしまうと「わからない」と言われてしまいます。

エンパシーを教えるのに適した絵本や玩具

また、他者へのエンパシーを見せるための絵本として、私の大好きな『ひとりぼっちのパイナップル』というものがあります。Amazonなどでも買えると思いますが、私たちのBBショップというオンラインショップでも販売しています。エンパシーを教えるのに適した、ひとりぼっちになってしまったパイナップルのお話なんです。最後に、正解のない質問やエンパシーについて考えさせる質問も載っていて。

教室で読み聞かせをすれば、たくさんの子どもたちがいるから、いろんな意見を引き出すことができます。聞いている子どもたちも「いろんな意見があっていいんだ」「いろんな考えがあるんだな」と理解できます。

それから、最近日本に入ってきた「Big Feelings Pineapple」というもの。

これをレバインメソッドのおもちゃとして、みんなに紹介しています。これは昔からあるポテトヘッド(アメリカのおもちゃ)のように、目や鼻や口などを付け替えて顔を作ることができるんですね。目や眉毛、口の形を変えることによって、どういう気持ちを表しているのかを見せられるんですね。エンパシーを教えるのに適しているとして大きな賞を取っています。

これを使って、家で遊ぶことはもちろん学校や保育園で、例えばみんなで顔を作って「彼は今、悲しい顔をしているよね。なんでかな?」「じゃあみなさんは、どんな時に悲しくなりますか?」といった会話ができます。こういうことは、アメリカの学校は得意ですね。その代わり、日本が強い試験などはちょっと弱いんですけど。アメリカの教育には、こういうカリキュラムがしっかり入っています。

自分の「価値理解」につながるワークシート

また、レバインエデュケーションはボードゲームも作っています。先生たちは、これを使ってエンパシーについて考えるワークシートを作ることができるので、明日やってみるのもいいと思います。いろんな教材を使うことで、子どもがエンパシーを少しずつ理解していくんですね。

またこれはエンパシーだけではなく、「自分の価値を理解してもらうため」にも使えるんです。学校、幼稚園・保育園の子どもたちに「私はみんなと違うけど、このままの自分でいい」「みんなと違うけど、それでも立派だ」と思ってもらいたくて、そのためのワークシートを開発しました。

まず真ん中に、自分の似顔絵を描きましょう。クレヨンか何かでいいんです。文字が書ける人は質問の答えを書いて、まだ書けなかったら絵で描いたり、口頭で答えるのでもかまいません。

左上は「自分がすごく上手だと思っていることは何?」です。サッカーとか、折り紙とかですね。意外と子どもは最初はすぐ言えなかったりするんですよ。それは良くないですね。子どもには自信を持ってもらいたいから、小さいころから「あなたは〇〇が上手だね」と言ってあげてほしいです。

それから、生まれつき上手なものと、努力して上手になったものでは、その褒め方も違うんですね。「あなたは生まれつきサッカーができる。すごい! 天才!」じゃないほうですね。努力している場合は、「サッカー毎日練習がんばっているね」「だからうまいんだよね」「いつもシュートを決めるよね」「パスが上手だね」など、その認識を作る。「自分は〇〇が上手なんだ」という自信を持ってもらうことですね。

次は右上です。今度は、「上手になりたいこと」です。もしかしたら、今はまだ上手くできていないかもしれない。もしくは、やったことがないかもしれないけど、「これから上手くなりたいものはなんですか?」と。ちなみに、最近私が今ハマっているのは折り紙ですね。そういうものについて、ちょっと考えさせて、みんなでワイワイしながらお絵描きをしてもらって。

次は左下です。「これまでにやったことがあること」を書く。これも正解のない問題ですね。もしくは「自分がどんな人か」、アイデンティティについて考えさせるワークシートですね。「私は〇〇をしたことがあります」というのは、例えば「アメリカに行ったことがある」「料理を作ったことがある」「ママの洗濯物の手伝いをしたことがある」「パパの手伝いをしたことがある」ということを、何でもいいから1個だけ、いいなと思ったことを書くんです。

小さい子ならば絵を描いてもいいです。そして、最後は自分の夢を書きます。「みなさんはどんな夢がありますか? 何でもいいですよ」と言って考えさせて、ワイワイしながらみんなで楽しく書く。

自己肯定感を高めるためのワークシート

一番楽しいのは発表の時間です。「〇〇ちゃんは何が上手くなりたいの?」「〇〇ちゃんは何が上手なの?」「何ができるの?」とか。子どもは、家でやるのと違って、この時20人ぐらいの「上手」「したことがある」「夢」を聞くことができます。それで「みんな違うんだ」「やっぱりそれぞれ違っていてもいいんだ」「正解はないんだね」と理解ができるんですね。

こうしたことを、家でも上手にできる親もいます。私も慣れているし、わりと好きですね。でも学校にはこういうワークシート文化がそもそもあるので、学校のほうが向いているのかなと思います。

それから、子どもの自己肯定感を高めるために、「私はいいところがたくさんある」というワークシートも作りました。これ(スライドにあるの)は花ですね。

この真ん中に、同じように自分の大好きな絵を描いてください。テーマは変えてもいいと思います。「夢を描いてください」でも、先生が考えたものでいいんですね。

あと、この周りに1個ずつ、「自分のすごいところ」を描いていく。これはすごく大事です。冒頭にお話しした「自分に満足している」「私には長所・強みがある」ということを見せるためなんですね。小さい頃から「私はこれが上手だ」「これもできるんだ」「私はすごいね。えらいね」と言える子は、大人になった時に自信を持ってものごとに取り組むことができます。

また、できないことがあったとしても「今はあまりできないけど、ちょっとがんばればできる」ということを理解しているんですね。学校、幼稚園・保育園にはこういうワークシート文化があるから、楽しくやってみる。そしてポイントとしては、多様性を見せるために発表させることが大事です。

レバインメソッドに基づいて作られたコミュニティ

最後の5分なのでまとめに入りますね。このメソッドは、ステップ1~3を繰り返し行うこと。そして、ステップ1~3を始める前のマインドセットや、やるべきこととして、7つの前提があります。モンテッソーリという教育法もありますし、子育てについていろんな考え方があると思いますが、私はステップ1~3と7つの前提を包括した子育て法をレバインメソッドと呼んでいます。

そのレバインメソッドを提供している場所が、レバインエデュケーションです。オンラインコミュニティ、ワークシートやおもちゃの開発、そういったものをレバインエデュケーションと呼んでいます。すべて、レバインメソッドに基づいて作られています。

だから、「このメソッドを家でやってみたい」「アドバイスがほしい」「まだやり方がよくわからない」「どこから始めればいいのかわからない」という方は、レバインエデュケーションというコミュニティをお勧めします。

たくさんの日本人の方に参加いただいていて、月1回、自己肯定感を高めるためのお題が出るんですね。それを1ヶ月かけてみんなで回して。ブログに「私はこういうことをやっています」「ああいうことをやっています」など書いたりですね。私も1ヶ月はそのお題に合わせた世界のニュースをお届けしたり、「もっとこういうことをやれば効果的ですよ」といったブログを書いたりするんですね。

月末にはワークショップで「みんながつまずいたこと」「難しかったこと」「もう1回説明したいこと」などを話し合います。また月1回、最近はお茶会や、単に「みんなで話しましょう」という会もやっていますね。

今月(2022年4月)からは、子供向けの自己肯定感のワークショップも行います。参加してくれた子どもは、私と直接話すことができるんですね。これは英語ではなく日本語で話します。もし、子どもがアイデンティティとして英語を話すのであれば、もちろんそれでも大丈夫ですが、基本的に私は日本語でやります。子どもに直接自己肯定感を教える、先生みたいな感じでやろうかなと思っています。興味があれば「レバインエデュケーション」で調べてみてください。

それと本です。『親から始まる「正解のない時代」を生き抜く世界基準の子育て』にも、今まで以上に細かくいろいろ書いてあります。文字が多い、絵の少ない本となっています。ぜひ読んでいただいて、もし何か伝えたいことがあればDMをお送りください。インスタのDMでもいいですし、コミュニティでコメントをくださっても、ワークショップで直接話しかけていただいても大丈夫です。私からは以上です。