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出版記念オンライントークライブ 急成長企業を育てるマネジメントの力(全5記事)

ベンチャーでは一部の完全理解より、“全体のざっくり把握” マネージャーに求められる、意思決定のスピード感

経営者やリーダー向けに、「経営」「マネジメント」をテーマとした各種セミナーを開催する経営者JPのイベントに、“ベンチャーマネジメントのバイブル”と称される『急成長を導くマネージャーの型』を出版した株式会社EVeMの代表取締役・長村禎庸氏が登壇。経営者JPの代表・井上和幸氏と共に、個の時代におけるマネジメントスキルの重要度や、ベンチャー企業の決断とアクションのスピード感などを語りました。

「独立=清水の舞台から飛び降りる」の時代ではない

井上和幸氏(以下、井上):あと、今日の本筋じゃないかもしれないんですが。例えば巨大企業とか大手がなくなることは今後もないと思うものの、おそらく多くの人たちが所属して何かをやる生業は、今後は小ユニットで動くものがどんどん増えてくる。実際に増えていますし。長村さんはそのへんをどうお考えですか。

長村禎庸氏(以下、長村):それは強くそう思いますね。僕は今は小さな会社の社長ですけれども、これをやる前にフリーランスをしたことがきっかけで、かなり思うようになりました。世の中的には今、井上さんがおっしゃったような潮流や議論があっても、ニュースとして見ていた感じで実感値がなかったんですけれども。

いざフリーランスになってみると、すごい世界になっているんですよね。例えば、一昔前だと会社のメールアドレスを取得するのはかなり大変だったと思うんですよ。

井上:確かに。

長村:Google管理コンソールで、もう1分でやれますし。誰か手伝ってくださいと声をあげると、副業とかでぱっと「入れまーす」という方が世の中に溢れていたりとか。会社のホームページ作りも昔は一大事で、ものすごいコストもかかるものだったんですけれども。今は自分でコードが書けなくてもぱっと作れたりしますし。

あと自分がフリーランスで商売を始めようという時に、宣伝やセールスが発生すると思うんですけれども。今はSNSで一言、「前職を退職して時間が空いていますので、どなたかお手伝いが必要な人はいらっしゃるでしょうか」と言ったら、誰か1人ぐらい連絡してくれますよね。こんなに独立、フリーランスをして働きやすい世界になっていたんだと衝撃でした。

フリーランス同士で「何かおもしろいことをやろうよ」と言っても、ちょっとした取り組みであれば気軽にできたりするんですよね。そういうことがどんどんできる時代なのに、ずっとその会社一筋でやることって、1人のビジネスマンとしてあまり魅力的じゃないという時代になってきてるんじゃないかなと思います。

「独立=清水の舞台から飛び降りる」とか、「独立=借金地獄」という状態じゃなくなってきているので。

井上:(笑)。

長村:本当に資本金や元手の貯金がなかったとしても一歩一歩積み上げていける時代だと思うと、会社という所属から外れて独立しようという人も増えるでしょうし。今だと会社という所属もありながら、もう1つ人格を持つ人もいるでしょうし、そういうのが本当にやりやすい時代になったとすごく感じましたね。

井上:いいことですね。

マネジメントスキルは、個の時代を生き抜く「武器」

長村:世の中で言われていることと、意見はまったく同じなんですが、自分の中でもものすごいリアリティがあります。きっとそうなっていくだろうなと、自分の感覚値として思いますね。

井上:そうですよね。いろんな規模の組織体が今後もあると思うし、スポーツ産業みたいなものは巨大企業化していくと思うんですけど。ただ巨大企業の中でも我々がお付き合いをさせていただくような方々は、今日お話しくださった事業開発とか、どんどん成長変化していくようなところに所属される。

あるいはもはや大手というかたちを取らずに、いろいろなユニット的に存在しているベンチャーやスモールカンパニーみたいなところが疑似大手みたいなかたちでエコシステムを作って、サービスが成り立っていくとか。いろんな会社さまの情報を見ていても、そういう局面に置かれる方がすごく増えてくるのが、たぶんポストコロナだと僕は感じるんですよね。

そういうところをうまくマネジメントいただくためには共通の型を持つことはすごく大切だし、会社の中にそういう共通言語化がちゃんとインストールされていたほうがよりうまくいくだろうと。

またポータビリティがあるといいなと思ったのは今みたいなことがあるだろうからですよね。日本・世界でデファクト(事実上の標準)になれば、別のチームと組んだり、別のところに行かれたりした時に、同じやり方でやれますからね。相手も言語を知っててくれれば楽ですよね。

長村:はい。組みやすい世の中になるという意味では本当にそうですよね。

井上:はい。

長村:こういう時代なので、自分があるプロジェクトのマネージャーになる時もあれば、井上さんのプロジェクトのメンバーですってなる時もあるし、やっぱりマネジメントスキルって個の時代を生き抜くために、僕は必要だと思うんですよね。

井上:そうですよね。

長村:いろんなプロジェクトをやるわけですから、当然、中には自分でやりたいと思うこともある。自分がやりたいと思うんだったら、そこに人を巻き込んでしまうと自分がマネージャーになってしまうわけで。その時にぱっとマネジメントができるというのは、すごくみなさんの武器になると思うんですよね。

これが「自分はマネジメントができないので、やっぱり自分のやりたいことは自分1人でしか体現できません」だと、みなさんも煮え切らないところがあるんじゃないかなと思ったんです。

井上:ドラッカーがいみじくもエグゼクティブとは、自分自身のマネジメントでありエグゼクティブであるということを言っていますけど、まさしくそういうことですよね。

長村:本当にそういうことですよね。

ベンチャーで求められるのは、全項目「10%ずつ」の理解

井上:残りの時間、もしみなさんにご質問がありましたらチャットに書き込んでいただければ、お答えできると思うので。

長村さんの本でまとめのところだったかな。マネジャーのあり方みたいなところで、上司の方から上塗りしていくという話をされたというエピソードがあって、「そう、そう」と思ったんですよ。

自分でキャッチアップする時はペンキを薄く塗るようにキャッチアップしなさいというところで、項目1番から項目10番まで全部100パーセント理解できたらいいんでしょうけれども、やっぱりベンチャーで大事なのって、「項目1番2番だけ100パーセントわかっています」というよりかは、「項目1から10まで10パーセントずつわかっています」という全体感がすごく大事なんですよね。

長村:はい。やっぱりそれは意思決定しなきゃいけないからですよね。次はこうしないといけないと考えると、項目3番から8番、10番までまったくわからないと決められないと思うので。

井上:そうなんですよね。

長村:粗くてもいいから結論を出していかないとアクションが生まれない。どうしても早いアクションを求められるので、だったらアクションのベースになる現場の把握は10パーセントずつでいいから、全体感ということで、さっと決めていきましょうという感じがすごく大事かと思います。

「決める」がない限りは、アクションもない

井上:たまたま先週のトークライブで、どういうふうに新規事業をやればいいのかという話の中で、全体図を一生懸命書いて企画書を作ってる暇があったら、まずいったん超ラフに回してみることをまずやると。

ペンキを上塗りしていくという話と通じますが、それを繰り返しながら徐々に肉付けをしていけばいいという。そのほうが絶対うまくいくし、失敗することも多いわけだから1回ちょっとやってみて、あたりが悪いんだったらもっと抜本的に変えてやったほうがいいとか。

当社のパートナーでもある「地頭力」の細谷功さんという方がいますけど、昔うちで研修をやってもらったことがあって。あるお題があって例えば時間を40分取って、グループ分けしてみんなで考えて発表するというのをやるんですね。

次は、別の問題を10分でやって、別の問題なんですけど、最後が1分だったかな。要するに彼が伝えたかったことは、じっくり考える時間があるのなら考えればいいと。でも彼はコンサル出身なんで、コンサルの発想としてそれをやってくれているんですけど、1日しかないなら1日で何かを出さないといけない。

極論、いま社長とかに聞かれて答えなきゃいけないならその場でいったんガッと考えた中でファイティングポーズを取れることがすごく大事だって話をしてくれて。

長村:なるほど。

井上:すごくいい話だなと思ったんですね。ベンチャーなんかもそういう局面がすごくあると思うんですよね。

長村:確かに。

井上:別に半年かけてじっくり計画を練っていいんだったら別に練ればいいのかもしれないけど、1ヶ月以内にいったんローンチしなきゃいけないとか、1週間で取り組まなきゃいけないとか、そういうことのたぶん連続だと思うんですよね。

長村:いや、本当にそうですよね。何かを動かさない限りは、極端な話、明日を生きられないという話ですけれども。そういう環境に置かれながら働くものだと思うんで。

常に決めてアクションをするという。「決める」がない限りは、アクションもないわけで。その決めるに10日も20日も使う時間はありませんよっていうのがベンチャーなので。すごく大事なスキルですよね。

井上:そうですよね。いったん自分なりに前めに納期を切っておく癖みたいなのってけっこうベンチャーのマネジメントの方には大事な気がしますね。

長村:そうですね。

井上:今週中に考えればいいんだったら、もう今日作っちゃえみたいな。実際それを出すかどうかは別かもしれないんですけど。

長村:マネージャーの方が、毎回毎回100パーセントのアウトプットを求めるというのもね。それはそれで作るほうからしたら、「だったら時間かかりますよ」とかってなっちゃうと思うんで。あたりを求めるとか、方向性を求めるぐらいのイメージでやるといいと思いますね。

マネジメントが「わかる」を「できる」にするトレーニング

井上:盛りだくさんのお話をいただきましてありがとうございます。

長村:いえいえ。

井上:お世辞抜きにお話しくださったところを含めて、テキストとして永久保存的に使えて、折々手元に置いてやっていただけるものだと思うので、お手元にない方はぜひご購入いただければと思います。

長村さん、短い時間の中でしたが、本当に密度濃くお話しくださってありがとうございました。

長村:ありがとうございます。

井上:ぜひまた続編もお願いします。長村さんからお知らせがあるということですが。

長村:ありがとうございます。最後に僕がやっていることをちょっとご紹介させていただきたいと思うんですが。

EVeMという会社を経営していまして、サービスはマネジメントの型を教えて、かつみなさんがそれを実行できるよう、僕らは研修という言い方はあまりしたくなくて、トレーニングという言い方をしてるんですけれども。マネジメントのトレーニングを提供している会社になります。Emoというのが個人向けのスクールで、法人さん向けにはEVeM for Businessというトレーニングプログラムがあります。

今創業1年3ヶ月ぐらいですが、EVeM for Businessはたくさんのベンチャー経営者、マネージャーさんから支持をされていて、企業数で言うと50社、トレーニングを受けている経営者、マネージャーさんで言うと合計250人以上に使っていただいています。

知識を学ぶだけじゃなく、できるようになる、ところが僕らのコミットメントのラインですので、1on1をやらせていただいたり、課題をたくさん課しますので、「やりましたか」「やりましたか」「やりましたか」と、ものすごくしつこくプッシュしたりとかですね(笑)。

そういう感じで教えるだけじゃなく、できるようになってくださいねというところがあります。この本も惜しみなくいろいろ書いたつもりですが、「わかる」と「できる」にはやっぱり壁がたくさんあると思いますので、そこを乗り越えていただくためのトレーニングという感じになります。

「経営者JP」 x「 EVeM」の可能性

長村:マネージャーコミュニティEmoというのは3ヶ月間スクールで学んでいただいて、そのあとはEVeMのプログラムを受けた人限定のコミュニティサイト・SNSを用意していますので、そのコミュニティのタイムラインに学びを投稿してもらったり、経営者JPさんのイベントのように、僕たちも会員だけのイベントをやっていたり、あとは講座があったり、動画や記事の公開などもあります。

なのでEVeMのプログラムで3ヶ月学んでいただいたら、その後残りの9ヶ月はこのコミュニティでEVeMのプログラムを学んだ人だけの共通言語で、他社の人と交流するというコミュニティで、スクール+コミュニティで1年間のメニューになります。Googleで検索いただいたらこのEVeMのページ出てきまして、Emoのページもあります。説明会もやっていますので、ぜひお越しいただければと思います。ありがとうございます。

井上:ご興味ある方はぜひご活用いただければと思います。ありがとうございます。

あとは長村さん、細かいところはまだこれからちょっと打ち合わせさせていただきますが、経営者JPごとで言うと、今サービスを新しくローンチしているんですけれども。本格的には年明けからになるんですが。(※2021年12月2日に開催されたイベントです)

経営チームに対して、個々の方々一人ひとりが強くなるということがもちろん大事なんですけど、その上でチームとして強くなるということが、僕らいろいろ関わらせていただいていても、やっぱりすごく大事だと思っていて。ちょっと長村さんにもご一緒いただいて。

たぶん長村さんとはベンチャー系の会社さんを中心にだと思うんですが、経営チームを一枚岩にしていくようなかたちの取り組みをEVeMさんと当社でできればというふうに思っていますので、ご興味あるみなさんぜひ、お楽しみにしてください。

では長村さん、あっという間でしたがありがとうございました。本当に参考になる具体的な話をいっぱいいただけました。

長村:本当にありがとうございます。

井上:ぜひまた続編をよろしくお願いしますね。みなさん、今日はご清聴いただきましてどうもありがとうございました。

長村:ありがとうございました。

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