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「データに溺れない、これからの顧客起点マーケティング~自社データと外部データの活用~」(全2記事)

2022.07.06

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ライト層とロイヤル層の顧客データは、“混ぜるな危険” 「顧客の実態」を把握するための勘所

提供:CCCMKホールディングス株式会社

Web広告やデジタルマーケティングを巡る状況は、2022年4月の個人情報保護法の改正、サードパーティCookieへの規制などにより、大きな転換点を迎えています。情報の取り扱いに関するルールが変化する中で重要性を増しているのが、ゼロパーティデータやファーストパーティデータといった、「自社で取得できるデータ」です。今回は、CCCマーケティング株式会社が保有する7,000万人のT会員の購買データを基に、これからの顧客起点のマーケティングについて具体的な事例をご紹介します。後半では、「パレートの法則」に関する誤解や、ユーザーの実態を見極めるためのデータ活用法をアドバイスしました。

「2割のお客さまが8割の売上に貢献している」という誤解

橋本直久氏:弊社CCCマーケティングがファーストパーティデータを活用するとどういったことが分かるのかを、ご紹介したいと思います。弊社ではまず、ファーストパーティデータ自体を定義しています。企業のみなさまと話していると、「ファーストパーティデータ=こんな人」というのを決めつけてしまい、比較せずに定義されているケースがあります。

みなさまが思う、自社が持っているファーストパーティのデータ、もしくはゼロパーティのデータに近いのはどんな人たちでしょうか。ロイヤルに近い人なのか、情報を取りに来ているだけのライトユーザーなのか。未利用者はいないと思いますので、おそらく、このどちらかをイメージされていると思います。

「わざわざサイトに来たり、登録してくれるからロイヤルユーザーですよ」と言う方が、非常に多くいらっしゃいます。ただ、実はファーストパーティデータでは、実際にどのぐらいのロイヤリティなのかがわからないのです。弊社のデータでは、それを明らかにすることができます。

この先入観(をなくす)というか、「ファーストパーティデータをちゃんと見ましょう」ということで、20:80、いわゆるパレートの法則の話をさせてもらうことが多いです。

みなさんが自社で取得したデータは、比較的ロイヤルユーザーだなぁというお話が多いのですけれども。会社のビジネスに貢献してくれるお客さまなんだと言って、その方(2割のロイヤルユーザー)たち向けに、さまざまな施策やサービスを考えることが比較的自然ですし、普通はそうだよねと思うんですけど。

20:80と言われているように、なんとなく2割のお客さまが8割の売上を(上げている)なんて思ってしまいがちなのですが、実は商品や業界によってかなり数字の差が出るということをお伝えしたいと思います。

ロイヤルユーザーを大事にするだけでは、売上の半分しか守れない

実際に、弊社のデータベースをご覧ください。スナック全体のカテゴリーで、年間1回、6ヶ月で1回以上買っている方たちの売上をすべて見てみました。客数を2割と8割で分けます。その方たちが、実際にどのぐらいの売上を構成しているか、ちょっと想像してみてください。

前段で20:80じゃないですよとお伝えしていますので、ちょっと違うんだろうな、もしくは10:90なのか。もう少し少ないのか、と考えられると思うのですけれども。実際にどのぐらいだと思いますか?

今回ご紹介するCCCの購買データで言うと、(グラフにある)2割の黄色の濃いお客さまが6割の売上を構成しています。8割までいかないですが6割なので、半数以上の規模です。ただ実は、残りのライトユーザーと呼ばれている8割のお客さまが売上の4割を構成しています。なかなか悩ましい数字ですよね。

さらに、今度はポテトチップスの購買者だとどうでしょうか?と。前段のお話ではスナックカテゴリ全体なので同じ傾向かな、と見てとれると思います。今回はその(購入)回数で出しているので、少し比率に誤差がありますけど、18.1パーセント。この方たちがどのぐらいの売上を作っているかと言うと、5割なのです。これもなかなか悩ましい数字ですよね。

つまり、(パレートの法則のように)2割の方を大切にすると売上の半分は担保できるのですが、それだけを大切にしすぎると、残りの半分の売上がないがしろにされてしまう、という見方もできると思います。

ですので、ファーストパーティデータを分解すると、実はどちら(ロイヤルユーザーもライトユーザー)も大切だということがわかりますので、ファーストパーティデータ自体を大切にすることが非常に重要だとわかります。

ロイヤルユーザーもライトユーザーも、マーケティング上はどちらも重要です。ロイヤルユーザーだけ大切にしていても、その方が一生お付き合いしてくださるとは限らないですし、逆にライトユーザーをないがしろにすると、このバケツのように新しい水が入ってこなくなります。

ですので、マーケティング活動自体は穴の空いたバケツに水を汲み続けることと言っていいと思うのですが、このロイヤルユーザーとライトユーザーを分けて、どのように水を汲み続けるかが非常に重要だということをご認識いただければと思います。

データで分かる、ロイヤル層とライト層の大きな違い

「どちらも大切だから、ファーストパーティデータはまとめて大切にすればいいじゃん」と思う方も多いかと思うのですが、弊社のデータベースである、CCCのファーストパーティデータで見ると、(ロイヤル層とライト層に)分解することができます。そうすると、このロイヤル層とライト層が大きく違うことが見てとれます。

またここで問題です。先ほど、ポテトチップス(購買層)全体の男女構成比率は、女性のほうが多いですよとお伝えしました。ポテトチップスの購買層は、4対6で構成されているので、ロイヤル層も同じような比率で、ライトとロイヤルを分けても、(男女比は)だいたい同じ(4対6)ぐらいかなと思われるでしょうか。

もしくは、いやいやもっと比率が寄っていて2対8ぐらいで、ロイヤルになればなるほど女性の比率が高くなるんだと思いますかね。この辺りは非常に重要ですよね。これをデータで見た時に非常に興味深かったので、ご紹介します。

先ほどの15万人のデータを同じように分解すると、少しわかりづらいのですが、ロイヤル層とポテトチップス全体を比べると、このロイヤル層は実は45.4パーセントが男性で、54.6パーセントが女性です。

つまり、先ほど6対4だったのが54パーセントまで構成比が下がり、男性が増えます。ですので、ロイヤル層とライト層に分けると、全体では女性のほうが多いのですが、ロイヤル層に寄せていくと、実はポテトチップスに関しては男性の購入比率が非常に上がってくるということがわかります。

逆にライト層は女性が増えてくるので、もしファーストパーティを一概にお使いになってしまうと、どちらかに寄っていた場合は、かなり逆張りのプロモーションをしてしまうことになります。

ですので、やはり分解することによって、データベースとしてはしっかりと把握できる。ファーストパーティと言えども使い勝手が良くなります、という事例です。

定性的なデータを元に、ユーザー像をより詳しく分析

ちなみに弊社のデータベースで、先ほどの顧客DNAという好みを分けると、左側に濃い色で出ているのが、ポテトチップスが好きなロイヤル層の好みです。テイクアウト好きやファーストフード好き、単品好きというのが顧客DNAからわかります。

一方、ポテトチップスが好きなライト層は、少しポイントの上がり方が異なります。ロイヤル層と比べると、一家団欒や女性層が多くなるのか、「1人でご飯を食べるのが苦手で野菜が好き」や、「品数多めに頼みます」といった、家庭を彷彿とさせるような好みが出てきます。まったく(ユーザー)像が違うというのが、こうした定性的なデータでもわかってきます。

ここまでがファーストパーティデータのご紹介で、今度はサードパーティデータです。弊社ではT会員のみなさまに許諾を頂いていますので、分類上はファーストパーティなのですが、みなさまから見ると、他社のデータを見るという意味でサードパーティデータになると思います。このデータをご紹介したいと思います。

弊社のデータベースでは、購買を掛け算して特徴を見ています。図で表しているのは、ポテトチップスを買っている方たちのライト層とロイヤル層が他の商品をどんなふうに買っているのかを特徴的に抽出しているデータになります。

横軸と縦軸の散布図になっているのですが、この横軸が年間の購買率になっています。右にいけばいくほど購買件数が多くて、左にいけばいくほど購買件数が少なくなります。

この縦軸は基準値を設けて、ロイヤル層よりもライト層が買っている量が多いと2倍3倍になっていって、ライト層よりも少なく買っていると、下にいくようになっています。

何をマーケティングで使うかといいますと、図にある赤や黄色でプロットされている点が、ライト層が買っている特徴的な商品群になっています。その掛け算をするとユーザーの属性がわかるので、よく使う分析の指標になっています。

さまざまな商材の購買データを掛け算すると見えるもの

先ほどライト層とロイヤル層を同一視しないほうがいいですよとお話しましたが、このライト層がロイヤル層よりもよく買っている商材が非常に特徴的なのです。

ベビーフード系の商材が出てきたり、ALTEX ASIAというメーカーのvita+とたらみのPUREというゼリーが上がってきたり、子ども向けの商品が出てきます。先ほどライト層は女性の比率が高いというお話をしましたが、これを見ることで、商品を買っているユーザー像のイメージがより具体化されます。

CCCのデータベースには雑誌もあるのですが、同じようにライト層がロイヤル層よりも買っている商品を見ると、大人が雑誌を買う場合は代理購買が出てくるのです。

図の通りアイドル・オーディション誌が出てきたり、子ども向けに買う雑誌がいくつか出てきます。その中に女性週刊誌や美容雑誌が出てくるので、お子さんにオーディション雑誌を買い、自分のおしゃれも気にされるようなお母さま方が多くポテトチップスを買われているんだなぁということがイメージできます。

このように、CCCのデータは掛け算をすることで、ユーザー像をもう少し立体的に表現することができます。

もう1つ、弊社はテレビの視聴データも取得していますので、そのデータの掛け算で興味深い分析をしてみましたので、最後にご紹介したいと思います。ちなみに「なぜ、CCCでテレビのデータがわかるの?」と聞かれるのですが、弊社はインターネットに結線しているテレビの一部にTポイントが貯まるコーナーのようなものを設けています。

T会員番号は16桁の整数なのですが、テレビのリモコンのテンキーと非常に相性がいいので、そのコーナーから、お客さまにテレビで会員番号を直接入力していただいてデータ連携をしています。

お客さまが連携をすると、都度都度テレビで何かゲームをするようにポイントがもらえます。弊社ではお客さまに許諾をいただいた上でそのデータをマーケティング活動に使わせていただいています。

ロイヤル層とライト層の視聴率から、TVCMに効果的な時間を分析

ちなみにこの(テレビの)データベースは、2014年から取得し始めたのですが、今ようやく46万人ぐらいまで増えています。小さなエリアでは、徳島となっていますが、その1県だけでも1,900人以上いまして、テレビのパネルとしては非常に大きなものになっています。

弊社のテレビ視聴データを活用して、興味深い分析をしてみました。先ほどの「ライト層とロイヤル層を混ぜて解釈するとよくないですよ」というのは、テレビの視聴傾向にも表れてくるのです。図で表しているのは、横軸が朝の5時から夜中の5時半までの時間で、縦軸が視聴率になっています。

図のグレーの線が全体平均です。弊社のテレビ視聴データでは15歳から69歳の視聴率になっていて、この図の視聴率はライブ視聴でかつ、平日の視聴実態を表しているのですが、朝と昼と夜に波があります。だいたいどこの世代のデータを見てもこのように出るのですが、点線のポテトチップスのライトユーザーと、濃いめの線のロイヤルユーザーに、少し違いがありますよね。

視聴実態に関しても違いがありまして、朝帯のライトユーザーは平均値に近い視聴なのですが、実はロイヤルユーザーは朝帯の視聴率が7パーセントも落ちます。

同じように、ファミリー層や女性もポテトチップスを買ってくれるかなという仮説でTVCMを出しても、この時間帯はロイヤルユーザーはあまり視聴していません。ゴールデンの時間帯もあまり高くないのです。

(差分が)3パーセントぐらいなので、(TVCMを出しても)「まぁいいですよ」と言ってくれる方もいるかもしれないですが、ゴールデンの時間をわざわざ取って3パーセントも獲得できないとなると、まあまあ費用的には損をしますよね。このぐらい視聴率が違ったりします。

ポテトチップス好きのロイヤル層の生活行動

もう1つおもしろい分析をご紹介します。ちょっと見方を変えて、先ほどの差分だけを抽出したグラフを見ると、おもしろい現象が起こりました。実はロイヤル購買層の視聴率が、夜中の23時半から24時半の時間帯にぐっと上がりますと。

図の真ん中のゼロは全体平均に対しての視聴率なので、その時間帯は平均の人たちよりも2パーセントほど高い。かつ深夜の2パーセントと考えると、まぁまぁ大きいと思うのですが、この時間帯にぐっと数字が上がってきます。

先ほどロイヤル層は男性の比率が高まるというお話をしましたが、家に帰ってきてからなのか仕事が一段落してからなのか、1人時間なのかで、深夜帯にテレビを見ているんだなぁということがわかります。

ロイヤル層をターゲットにしたTVCMの場合には、やはり朝帯を狙うのではなくて夜を狙う。ライト層は、逆に朝帯やゴールデン帯を使っていくと良さそうだというのが非常によくわかったりします。

このように時間帯でも非常に違いが出るのですが、7パーセントや3パーセントと言われてもようわからんなぁ、ということもよく言われます。

今年(2022年)のお正月は、各局がいろんな新しい番組を編成している傾向の年だったかと思いますが、ここでもその区分によって傾向が出てくるのです。やっぱり(ロイヤル層とライト層で)分けたほうがいいよね、ということを最後にご紹介したいと思います。

ユーザー像を把握することで、より効果的な戦略が可能に

まず図で表しているのは、関東圏の15歳から69歳の男女の人口構成に分かれた人たちが年末に見ていた視聴率の順番を表しています。

1位は『紅白歌合戦』。今年は「Colorful ~カラフル~」といったテーマでおもしろかったですよね。また『鬼滅の刃』が2位にランクインしています。3位には『M-1グランプリ』があり、ほかには金曜ドラマ『最愛』、金曜ロードショー『千と千尋の神隠し』、『義母と娘のブルース』2022年 謹賀新年スペシャル、などがランクインしていました。

ここでまた先ほどのライト層とロイヤル層に分けた場合の視聴実態を見てみましょう。

おもしろいのが、ライト層は『紅白歌合戦』よりも『鬼滅の刃』が良かったというのがわかります。この視聴実態が差分になってきますよね。

さらにおもしろかったのがロイヤルユーザーで、先ほど「深夜帯にテレビが見られています」や、「男性が少し多いですね」とご紹介したのですが、やはり見るものもかなり違いました。

1位は『鬼滅の刃』、2位はTBSの金曜ドラマ『最愛』。このドラマが年末の中で、実は紅白の視聴率を抜いて2位でした。通常どの世代でも年1回の大型特番は、2位ぐらいには入るのですが、ロイヤル層にとっては『最愛』というドラマ番組のほうが見られていたのです。

このように層によって視聴傾向も違いますので、弊社がよく各局のテレビ番組でどこの枠がいいですよという場合には、図のようなヒートマップを出しながら、属性を見つつ生活行動を分析し、テレビ番組のプランニングやTVCMのバイイングに活用することが多いのです。

ライト層がよく見ているところが赤で、あまり見ないところが青になっているのですが、このライト層とロイヤル層を見比べてみても、ヒートマップの色味の付き方が違うことがわかります。

全体的に日テレがいいというのがわかるのですが、ロイヤル層にいくと日テレが少し減り、テレ朝・TBS・フジテレビといったほかの各局に寄っていったりします。やはり最適なターゲットを狙う、もしくはターゲット層を分析して見ていくことによってマーケティングのエッセンスはかなり変わってくるんだな、ということをお示ししました。

これからのマーケティング戦略で重要なポイント

このようにファーストパーティ、サードパーティデータを区分しながら見ていくことが非常に重要です。

ただ、サードパーティもファーストパーティも、やはり単位もしくはキーになるものをつなげて見る必要があります。まったく異なるパネルや条件下で分析されたものを比較してしまうと、道に迷ってしまうと思います。

昔はCookieをシンク(同期)させて、サードパーティのCookieとファーストパーティのCookieをつなげることでさまざまな分析ができる時代もありましたが、これからはそれがなかなかできない時代になってきます。

また、情報の使い方に関しても非常に厳しくなってきていると思いますので、つなげるということがとても難しいです。情報が(ファーストパーティもサードパーティも)双方だんだん大きくなったり、可視化するツールが出てきたことによって、なんとなくわかったつもりにはなるんですけれども。

やはり、分母になるデータや条件が違うことで、そもそも見えてくる景色が変わってくると思います。そこを意識されて、ファーストパーティやサードパーティのデータをお使いいただくことが、非常にポイントになるかと思います。

CCCのデータは昔から情報をつなぎ、ただ分析するだけではなくアクションにつなげるような使い方によって、企業のみなさまのお手伝いをさせていただいています。

今回ご紹介したデータは、実際のデータです。アンケートではなくて(商品を)買ったという購買データを基にして分析して、購入した方たちがどういうテレビ番組を見ているのかというところまでつなげています。

マーケティングを一貫させる、循環させるという見方で、データを活用するプロになっていけたらなと思います。今回のお話を聞いて興味を持った方は、ぜひ弊社CCCマーケティングへお問い合わせいただければと思います。

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