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経営者力診断スペシャルトークライブ 経営者・役員になれる人 vs なれない人(全6記事)

外部から“プロ人材”を招いて「お手並み拝見です」はNG 企業がDXや社内変革の専門家を招聘する前にすべきこと

経営者JPのオリジナルプログラム「経営者力診断」のリリースを記念して開催されたスペシャルトークライブ「経営者・役員になれる人 vs なれない人」に、『社長が〝将来〟役員にしたい人』の著者で、プリンシプル・コンサルティング・グループ代表の秋山進氏が登壇。経営者JPの代表・井上和幸氏と共に、一部の経営者がDXによる新しい価値の創出に前向きになれない理由や、企業が外部人材の招聘する際に大切なことなどを語っています。

上場企業の社長サポートやリスクマネジメントをする、秋山進氏が登壇

井上和幸氏(以下、井上):みなさん、こんばんは。経営者JPの井上と申します。本日は秋山進さんをお迎えしています。では、秋山さん、今日はよろしくお願いいたします。

秋山進氏(以下、秋山):はい、秋山です。よろしくお願いいたします。

井上:今日の講師は、みなさんご存知の方も多いと思うんですが、プリンシプル・コンサルティング・グループ代表の秋山進さんです。ちょっと個人的なことを言いますと、僕が新卒でリクルートに入社して以来、長らくお世話になっている方です。同じ部署になったことはないんですが、新人の頃から勝手に先輩として尊敬しています。

秋山:ありがとうございます(笑)。

井上:気がつくとものすごい年数が経ちましたが。

秋山:30年以上。

井上:秋山さんは、上場企業の社長のサポートをされています。あとは、コンプライアンス系のところで改革や再建に入ったり、いろんな角度から経営を見ていますので、今日はそんな話もいろいろいただこうと思っています。

今日はみなさまに、こんなお題(プログラム)を事前にお届けしています。我々は、幹部に対するご相談やお悩みを日々受けているので、そんなところを皮切りにしたいと思います。

次のプログラムは経営者力を決めていく5つの要素。これに固執するよりは、今日は秋山さんのご著書『社長が〝将来〟役員にしたい人 これからのリーダー・管理者のためのビジネスセンスを磨く25の習慣』の骨格を交えていきます。かなり重なるところがあるので、(社長が〝将来〟役員にしたい人、25の条件の)3番のところを、メインでお届けしていこうと思います。

これから管理職のみなさま、あるいは上位の経営陣の方々がどんなことに注力していくのがいいか。そして、たぶんみなさんもご興味があると思いますが、「これからはどういう経営幹部が求められるか」など。これらを秋山さんの知見でいろいろお話しいただきます。

また、経営者JPとしても、エグゼクティブサーチ事業(経営層・幹部層の人材採用)やプラットフォーム事業(経営層・幹部層向け情報提供、セミナー・ワークショップ等の開催)で拝見しているところをいろいろお話しします。

唯一の絶対的な解があるわけではないと思いますし、今日は経営者の方、上位幹部の方々にご参加いただいていますので、逆にぜひみなさまから、「こうだと思うよ」という話もいただきながら進めたいと思っております。よろしくお願いいたします。

新しいビジネスモデルの提案に、前向きになれない経営者

井上:まず1つ目ですが、秋山さんは経営者の方々の幹部に対する要望や悩みをいろいろとお聞きになっていると思いますが、最近感じるところとしてどんなことがありますでしょうか?

秋山:経営者の方が会社のエグゼクティブに対して「ちょっとこんな不満があるんだ」とか、そういうことですかね?

井上:そうですね。

秋山:おかげさまでと言いますか、きっとクライアントが良い会社が多いのだと思うんですけど(笑)。あんまり経営者の方から「うちの会社の幹部はね」と文句を言われることがないんです。

井上:すばらしい。うまくいっている会社ばかりということですね。

秋山:一方で、経営者からの幹部に対する悩みではなく、経営者も含めて「AIやデータサイエンスと言われたって、本当は僕もよくわかんないし」という悩みとかはあります。

井上:なるほど。

秋山:新しいビジネスモデルを提案する若い人たちがいて、内容がけっこうよかったりもするんですが、「それで儲かっても、別にあんまりうれしくないんだよね」という。これまで会社が社会や顧客に対して提示した価値とは、ぜんぜん違う形態に変わることに対して、自分たちが一緒に乗っていけない感というのがある。それは経営者だけじゃなく、幹部もそうみたいです。

それで、「どうやってこの後フェードアウトするか」を、複数の会社の社長さんや経営幹部の方とお話しすることがあったんです。それに対しては、「もうそんなの気にしないでさっさと辞めましょうよ」という話をしていますね(笑)。

井上:さすが(笑)。なるほど。

秋山:だって、「あなたがわからないんだよね?」って。わからない人がわかったフリをして意思決定するのは、最悪だから。

これは今日の話にもなりますが、わかっている人で可能性のある人を早く良いポジションにつける。最初からいきなりぜんぶ自分(社長や経営幹部)が身を引くのは難しいけども、「徐々に引くための計画を作りましょう」というのを今けっこうやっています。

「フェードアウト」を考える経営者の特徴

井上:あえてそういうふうにおっしゃっている社長さまたちは、業態や規模感、社歴など何か特徴はありますか?

秋山:賢いことですね。自己認識ができていて、社会が今どういう状況になっているかも認識できている。もちろんみなさんプロフェッショナルなので、実際に出るところに出てしゃべれと言ったら、AIのことでもかっこよくしゃべるんですよ。部下たちがサポートして立派なものを作るから、というのもあるんですけど。

しゃべることはできるし、見ている人も「この人よくわかっているな」と思うけど、当人は「大事な肝みたいなところがわからないんだよね」と考えている。「わからない人がやっていたらまずいよね」という自覚があるという意味においては、大変自己認識、それから社会状況の認識が高い方だと思います。たまたま今、そういう良いお客さんと仕事をさせていただいて感じたことですが。

井上:僕らも幹部研修やエグゼクティブサーチ、幹部採用に関わるケースが多く、経営者のみなさんの「何か変えなきゃいけない」というジリジリした感じは、最近すごく感じますね。もちろん現任の幹部の方々に変化を求めていますし、同時に機能として外から強化したいということで僕らに相談されるんですけど。

決して他責になっているとは思わないんですが、いろんな意味で、「もうちょっとダイナミックに動けないのか」「もっと変えてくれよ」とか「もっと思いっきりやってほしいんだけどな」というお声は最近はよく聞きますね。

秋山:やっぱり今はDXと考えている方は多い。ちょっと言葉が大きいので難しいですけど。パターンがいくつかあって、企業の根幹の価値は変えないけど、デジタル化を進めることで変革が簡単にできるとか。あるいは、バリエーションをもっと増やせるとか。そういう意味のDX的なことを求める会社さんは、根幹はわかっているけど、デジタルツールを使ってどうやっていけばいいのかがわからない。

そういったところ(DX)に強い人に来てもらって一緒にやっていく中で、自分たちの価値も多少変えていくことができることのほうが実際は多いんだろうなと思います。

井上:そうですね。

外部人材の招聘で大事な、仕事をしやすい環境づくり

井上:僕らのクライアントに、今秋山さんがおっしゃってくださった事象をダイナミックに推進している企業があります。ありがたいことに、この1〜2年、トップマネジメント系のDXの体制強化をさせていただいていて。最近メディアにもけっこう出ています。

秋山:すばらしいですね。

井上:その企業は、トップが大きな意味で目指すべきことをかなりはっきり持っていらっしゃる。大きな会社ですが、会社の中にDXのリードができたり専門性がある方がいないので、外部から招聘しているんです。

僕らはそこを独占的にお手伝いをさせていただいていますが、外部から着任した方たちが気概を持って入り、思いっきりやれている感じがするので、少なくとも初動は良いかたちになっていると思います。その会社とお付き合いして、トップの任せ方もすごく重要だと感じるところがけっこうありますね。

秋山:なるほど。やっぱり、今どんどん時代が変わってきて、例えばファイナンスのやり方なんかも今や直接金融で、しかもバリエーションもすごく増えている。昔ながらの財務部長的CFOは、もうしんどいですよね。そういう面においては、先進的な取り組みをされている人たちを上手に迎えて、上手に使わないといけない。

井上:そうなんですよね。

秋山:その意味でいくと、会社が目的みたいなものを明確にして、その人が仕事をやりやすい環境を上手に作ってあげないといけない。「お手並み拝見です」とされると、なかなか会社のリソースの使い方がわからないので。そのへんの支援もしてあげることが前提になるでしょうね。

井上:そうなんです。最近、パーパス(企業の根本的な存在意義、目指すべき指針)と言いますけど。ミッション、ビジョン、パーパス。僕はどの言葉でもいいと思っていますが、そこがちゃんとはっきりしていて、目線が合っていることは、すごく大事だと思いますね。そこがあいまいだったり擦り合っていないと、それなりの方が着任しても、すったもんだする感じはあります。

個性や得意・不得意のセルフチェックに使える「経営者力診断」

井上:(トークライブの視聴者は)トップマネジメントを含めて、経営陣・幹部陣として活躍されているみなさまなので、今後どうすればいいかのヒントを受け取りたいと思ってくださってると思います。そんなお話に入っていければと思います。

お題(経営者力を決める5つの力)は立てたんですが、あまりそこに固執せずにお話を進めていこうと思います。

この「経営者力診断」は、秋山さんにもいろいろアドバイスとサポートをいただきながら開発に着手しましたが、完成した今、あらためて秋山さんにも受験いただきました。

秋山:受けました(笑)!

井上:いかがでしたか?

秋山:高スコアでしたよ。そんなのどうでもいいんですけど(笑)。経営は、何をするかを決めるWhatとHowの両方の部分だと思いますが、執行者と意思決定者の両方がハイレベルの評価だったと思います。点が良かった・悪かったというよりも、あの項目で自己評価をして、「ここはもう少し鍛えたほうがいい」と、自分の目標設定に使えるのがすごくいいと思いましたね。

井上:そうおっしゃっていただけるとうれしいです。開発側の立場としても、使い方はいろいろあると思っています。まさしく秋山さんがおっしゃったセルフチェックとして使ったり、定点観測的に見ていただいたり。もちろん個人情報はぜんぶ排除していますが、(「経営者力診断」は)我々の活動の中で得たデータから整理して作っています。

5つの「構想力」「決断力」「実行力」「リーダーシップ」「学習力」。その中の因子も含めて、こういうところを強くしていくといい、というものをまとめています。経営者やマネジメント人材の人材開発を、これを使って発見しながら進めていただけると、みなさんが向かう方向を明確にしやすいんじゃないかと思っています。

秋山:私は実行力が低かったです。やっぱり人に言うだけの仕事だから(笑)。実行のところは低くて、まあこれは仕方がないなって思いました。

井上:いやいやいや(笑)。秋山さんの中での相対としてですからね。全体の中でいえば、ぜんぶがかなり高いんですけど。その中で、みなさんごとの個性や得意・不得意が出ますと……。ごめんなさい、そこは僕も拝見したんですが、なるほどと思いました。

秋山:後でコーチングしてください(笑)。

井上:学習力とかがすごく高く、それは秋山さんらしいなと思いました。お手元に診断結果がある方は、よろしければ少し因子を眺めながら、お話を聞いていただけるといいかと思います。

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