曽山哲人氏が考える、「活躍する若手の定義」

田中研之輔氏(以下、田中):失敗を恐れずにアクションし続ける。行動に対しても他責にしないで、自分でしっかり握っていくということですよね。このあたり、つながる部分がすごくあると思うんですが、曽山さんはどうですか? 

曽山哲人氏(以下、曽山):「活躍する若手の定義」について、3つくらい思いつくことがあって、先に言いますね。1つはまず、成果を出せる人、活躍できる人は、逆算ができるんですよ。「成果からの逆算」と僕は呼んでいます。そうでない人は、思いついたことを積み上げるだけ。僕の昔の営業スタイルがそうだったんですけど、「これやったほうがいいかも、これやったほうがいいかも」という。

だけど、パワープレイでそれをがんばっても、目標の8割しかいかないんですよ。MVP社員になると、目標から逆算してプランを考えている。思考の時点で、もうぜんぜん違うんですよね。だから、成果の逆算をしてほしいのが1つ目。

もう1つは、それこそソヤマンYouTubeで、いろんな若手のMVP社員をヒアリングして分かったことがあるんですよ。「これめっちゃ共通している」と思ったのは、「毎日の振り返り」なんです。さっきタナケン先生が「1週間分ちゃんと頭を整理しろ」とおっしゃったように、MVP社員には振り返りの習慣があるんですね。時間をたくさん取ってやるのは大変なので、毎日一瞬でいいからやってみる。

例えば、帰りのバス、電車、シャワー、お風呂でOK。「今日はどうだったかな。良かったところはここで、悪かったところはここだな」みたいに振り返る。すると、何が起きるかというと、1日1個、何か学習があるんですよ。

1年間200営業日で、200の学習をしている人と、何もやらなくて0の人がいる。もう0と200だから、差というレベルじゃないんですよ。なので、ものすごく活躍している人はこれをみんなやっている。僕も「やべぇ、20代の時やってなかった」と思って、すごくショックを受けたぐらい、大事なんです。

3つ目は、「意思表明」です。成長する人は「やりたい」ということを口に出します。しかも、だいたい上司とマンツーマンの時に言っている。良いか、悪いかのリアクションが返って来るから、学習になり、決断経験にもなります。周りのみなさんに見えていないことがポイントです。ぜひこの3つはやっていただきたいと思いますね。金井さんの話にも、かなりつながると思います。

田中:これはやっていきましょう。今日からできることを、まず実践したほうがいいと思う。

「自分のやりたいこと」を見つけるための7つの質問

田中:僕は、キャリアについて悩み続けている人を何とかしたいんだよね。悩むんじゃなくて「考える」フェーズにいってもらいたい。

曽山:「考える」にいきたいですね。

田中:そう。考えれば動き出すから。ずっと1人でモヤモヤして、苦しんでいるんだったら相談したほうがいい。やっぱり一歩外に出たほうがいいんだよね。今日参加されている若手の方で、「これからのキャリアをどうしたらいいかな」ってモヤモヤと霧がかかった状態の人もいるかもしれない。そんな時に「若手の活躍の定義」を振り返ると、みなさんのできることが見つかると思うんですよ。

金井さんと曽山さんから5つヒントをいただいたから、そのうちの1つはやると決めてみる。それを明日からは2つ、3つと増やしていってください。我々ホストパネル向けの質問が1つ来ていますね。では齋藤さん、お願いできますか?

齋藤あい氏(以下、齋藤):はい。「『何を成し遂げたいか』という発言がありましたが、どのように見つけるのでしょうか? 自己分析サービスなどを利用したのですが、いまいち自分がわからず、解決や方向性を理解できていません」という質問をいただいています。ありがとうございます。

田中:これは、曽山さんですね。

曽山:そうですね。これは本当に難しい。「やりたいことが見つからない時にどうするか」という、ソヤマンのYouTubeの動画のリンクを後で送りますので。

(一同笑)

曽山:その内容を、今ここでお伝えしますね。僕がお勧めしているのは7個のことを書き出す方法です。まず、1番目と2番目に、過去の自分の「成長体験と挫折体験」を書き出します。

3番目と4番目には、「好きなことと嫌いなこと」を書き出しましょう。やりたいことを見つけるには、自分の「本能と煩悩」に向き合うことが大事なので、嫌いなことを書き出すのがかなり大事です。

5番目は、オリジナル単語ですが「未来煩悩」といって、未来のあなたの煩悩を、欲を書いてください。「家を買いたい」「ハワイに住みたい」「金を儲けたい」でも、何でもいいです。社会に貢献とか、きれいなものでもいい。とにかく煩悩を書き出す。

6番目は、「世界最高の自分」を書き出してほしい。もしあなたが、教科書や本、新聞などに載るとしたら、どんな感じで書かれたいかを妄想する。

最後7番目は、「社会インパクト」。1~6番目まで書き出すと、かなり自分らしさが出てくる。仮に隣の人と見せ合ったら、絶対違うものになっていると思います。そして、最後に「突き抜けた社会インパクト」として、何がしたいかを書き出していただく。

以上です。こんなことを社内の研修でやっています。

成長するために、渇望感を感じる環境に身を置く

田中:今のは私も覚えたいのですが、けっこう情報量ありましたね。

曽山:ソヤマンのYouTubeでも公開されています。リンクを送りますね。

田中:曽山さんのチャンネルでも公開されているし、このイベント自体も公開されるから、それらをチェックしましょう。次のスライドにいきましょう。「20代~30代で活躍する上で大切なことは?」。では、金井さんからお願いします。

金井芽衣氏(以下、金井):そうですね。私は最近常々思っているんですが、あえてしんどい環境に身を置けるかどうかですね。社内で活躍していると、みんな「すごい」と言ってくれるじゃないですか。それで満足してしまう人がけっこう多いんですよ。そうなると、井の中の蛙になってしまうと思います。私の起業家の先輩たちは、上場していたりとか、会うと圧倒的されて辛さしかないんですよね。

今までの友達に会うと、「芽衣の会社大きくなってきたね」と言ってもらえるんですが、まだ目標に達していないし、常に自分の至らなさと足りなさを痛感しながらやっていて。自分に対して満足するポイントがないんですね。なので、もし褒めていただいたとしても、「ありがたいな」と思う一方、「大して何もできていないのにな」とずっと思っています。いい意味で渇望感を感じながらやることは、すごく大事だと思いますね。

田中:ちょっと言い換えるならば、自分の目の前のチャレンジというフェーズを、少し上げるということかな?

金井:そうですね。自分が「すごいな」と思う人たちの中に居続けることが大事だと思っていて、自分が一番上にならない環境を作っておくことが大切ですね。

知らないうちに「残念な人」にならないための損失の回避法

田中:曽山さん、このお話はどう思われました? 

曽山:金井さんはどっちかというと攻め側の考えで、絶対重要なのでみなさんもぜひやってほしいです。でも、キャリアを作るには損失を回避することもすごく大事です。僕がみなさんにお伝えしたいのは、「知らないうちに残念な人にならないように気をつけよう」ということです。

そうならないために、具体的にやっていただきたいことが2つあります。1つは「斜に構えない」ということです。斜に構えて、「どうせあいつさぁ」とか「あの組織はさ」と他責で発言する人は、自分が傷つくのが怖いから保険を掛けているだけなんですよね。

そこで、僕は「ブーメラン思考」と呼んでいるんですが、「あいつが嫌だ」「あの組織が嫌い」となったら、ブーメランで自分に戻す。「俺は何ができていないんだっけ」「俺のせいだな」と、戻せるだけ戻すんですよ。

もう1つは、「とにかく謙虚でいよう」。ポイントは、今は活躍しているかもしれないけど、未来はわからないということです。活躍って賞味期限があるんですよ。なので、のちのち凹んだ時に助けてもらえなくなるので、とにかく謙虚でいましょうということです。

ネガティブ思考は「癖」、ポジティブは「習慣」

田中:僕も、今日の220人のみなさんにお届けしたいことがあってね。「活躍するのに大切なこと」につながると思います。これは断言できるんだけど、ネガティブ思考って日本人のメンタリティの「癖」だと思うんですね。そして、ポジティブは「習慣」だと思っています。

曽山:なるほど。

田中:つまり、誰でもネガティブに感じるし、そう感じやすい国民性だと思う。例えば雨が降れば、日本人の8割くらいが「今日雨降っちゃったよ」「嫌だな」「服が濡れる」と思うの。でも、違うんじゃないかな。つまり、雨が降った。「良かった、濡れるわ」みたいな。

(一同笑)

田中:「たくさん汚れてる~」って、これポジティブじゃん。

曽山:私、なかなか思えないです(笑)。

(一同笑)

田中:でも、ポジティブを手に入れるためには、習慣化しなきゃダメなんですよ。

曽山:意図してやることが大切ですよね。

田中:そう。徹底的に習慣化しなきゃダメ。先ほど、僕は「でも」という言葉は絶対に使いたくないと言ったけど、「どうせ」も同じだよね。これも口に出すと、ネガティブなサイクルに入っちゃう。だから、目の前のありとあらゆる現象に対して、ネガティブになってしまうところを全部ポジティブに切り替えていく。

これは習慣だからできなくてもいいんですよ。でも、それをし続けようと思うだけでも、ずいぶんとキャリアはグロースしていくと思います。これは伝えておきたいなと思いました。

曽山:本当に、そう思いますね。

組織や社会に対しての我儘は「イノベーションの芽」

田中:では、次のスライドにいってから質問タイムにしようか。

齋藤:はい。では、最後の質問です。曽山さん、金井さん、「組織をつくっていく上でどんな人と働きたいですか?」。では、金井さんからお願いします。

金井:そうですね。うちは、今まで「心根のいい方」を中心に採用してきたんですよ。それは、サイバーさんの「いいやつ採用」を真似させていただいて。

曽山:ありがとうございます。

金井:「心根のいい方」ってすごく伸びるというか、みんながその人を「なんとかしてあげたい」と思うんですよね。それがベースにあります。そして私たちは今、フェーズ的にもどんどん拡大しているので、「人のためになりたい」という思いとともに、ハングリーさのある人も採用していきたいと思っていますね。やっぱりいろんな人がいるから組織は強くなると思っています。

田中:ポジウィルはいろんな可能性をもった優秀な若手が集まっていて、ダイバーシティだよね。そういうハイブリッドな組織を作りつつ、大きくなっていくという局面なんですかね。ハングリーって、貪欲さ?

金井:そうですね。

田中:爆発力かな。

金井:そうですね。私がもしスタートアップに入るなら、「こういうミッションを持って、半年以内にこういう結果を出すので、給料をこのくらい上げてください」と社長に言いに行くと思うんですよ。

(一同笑)

金井:そのくらいのハングリーさがほしいですよね。

田中:明日殺到しない? 大丈夫?

(一同笑)

金井:私なら「そのくらいの気持ちで責任を持ってやるので、昇給してくれませんか?」と言うと思うんですよね。うちのメンバーは、そういうタイプがあまりいなくて、「任されたミッションをちゃんとがんばります」という方がすごく多いんです。それはそれで大事なのですが、もっと我儘でもいいのになと思います。やっぱりいろんな人がいることが刺激になると思うので、みんなが飽きない状況をどう作っていくかを考えています。

田中:自分に対して我儘なのは社会的に評価されないけど、組織や社会に対しての我儘は、イノベーションの芽なんですよね。

曽山、金井:そうですよね。