CLOSE

自分を「観る」と、生き方が変わる。経営が変わる。_~由佐美加子の全てが詰まった集大成をひもとく!~(全3記事)

嫌いな人と「うまくやろうとする」「距離を取る」はNG? メンタルモデルの専門家が語る、つらい状況を学びに変えるコツ

手放す経営ラボ主催のイベント「自分を『観る』と、生き方が変わる。経営が変わる」に登壇した、『ザ・メンタルモデル ワークブック』の著者である由佐美加子氏。メンタルモデルとは「外側で起きていること、体験していることのすべては、その人の内側にある内的世界から創り出されている」という仮説に基づくものです。本記事では、物事の認知に必要な“レンズ”の存在について解説しています。

手放すトークライブ、今回のゲストは由佐美加子氏

坂東孝浩氏(以下、坂東):手放すTalk Live、今年最後は由佐美加子さんをゲストにお迎えしています。どうぞよろしくお願いします。

一同:よろしくお願いします。

坂東:楽しみでした。まずはこのトークライブの主旨について、少しご紹介をしてから進めたいと思います。手放すTalk Liveは「常識や固定見念を手放す」をテーマに、ゲストを招いてお送りするトークイベントで、月1回のペースでやってます。先月は若新雄純さんをお呼びしたんですが、これもすごくおもしろかったですね。

私たちの手放す経営ラボラトリーについてなんですが、新しい組織や経営スタイルを研究するラボを運営してます。ティール組織や自伝経営、ホラクラシーとかを、私たちは「進化型組織」と括っています。進化型組織のリサーチ数では、私たちが日本一だと思っています。

今は約100人のラボ研究員のチームになっているんですが、コミュニティカンパニーとして、ごきげんな組織と人が増える活動を実践しています。

経営を進化させるプログラムは、「DXO」と書いて「ディクソー」と読みます。テキストは無料でダウンロードもできますし、郵送もしてます。最近、最新バージョンにアップデートして、表紙から丸っと変わりました。無料でお届けしていて、「DXO テキスト」とググったら出てくると思うので、まだ持ってない方はよかったら申し込んでください。

YouTubeで配信したり、あとはいろいろな組織作りの実験をやってるんですが、コラムの裏側を配信したり、オンラインコミュニティで活動したり、進化型組織を取材しに行ったり、みんなで見学しに行ったりしています。先月も大阪に行ってきて、おもしろい会社を見学してきましたね。

感情を押し殺す社会の中で、自分の感情を表現できなかった

坂東:本日のスピーカーなんですが、まず私たちですね。(イラストの)真ん中が亜矢子さんです。手放す経営ラボラトリーというWebメディアがあるんですが、亜矢子さんは編集長をやってくれてまして。なんでこの鼻なんですかね?

大山亜矢子氏(以下、大山):これなんでしたっけ? 沙悟浄と……。

坂東:猪八戒ですかね。

大山:三蔵法師についてあんまり詳しくなかったので(笑)。私は猪八戒ですね。

坂東:そうです(笑)。猪八戒役で登場しております。福岡在住の亜矢子さんから、ぬいさんを紹介してもらっていいですか。

大山:乾真人さんは、一緒に手放す経営ラボの研究員をしております。『今日斬り』というYouTube番組を由佐さんとともに開設して、1ヶ月ちょっと経ったところなんですが乾さんは番組の2回目のゲストで、1回斬られております。

それを見ていただいた方は、乾さんの内面を知ってる方も多いんじゃないかなと思うんですが、今日は斬られた方代表として一緒に登壇していただいております。化粧品会社の経営者ということで、そんな乾さんでございました。

(一同笑)

大山:乾さんどうぞ。

乾真人(以下、乾):じゃあ「斬られた人代表」として、僕から由佐さんの紹介をさせていただきます。由佐さんはU理論やNVCの第一人者の方なんですが、細かいことはここに書いてあることを読んでいただいて、個人的な由佐さんを紹介させていただきます。

由佐さんは、僕を人間に戻してくれた恩人だと思ってます(笑)。これまで感情を押し殺すような社会の中で生きてきて、なかなか自分の感情を表に出すのが難しかったんです。

由佐さんに出会って、いろんな講座でも勉強させていただいたんですが、そこで「良い感情も悪い感情も全部あっていいんだよ」ということを教えてもらって、ちょっとずつ僕が人間らしさを取り戻せてるんじゃないかなと。そんなことを伝えてくれる方が、由佐美加子さんだと思ってます。

由佐美加子氏(以下、由佐):ありがとうございます(笑)。

:『ザ・メンタルモデル ワークブック』という新しい本が出版されましたので、今日はそちらの話も聞けるんじゃないかなと思ってます。

講座よりも詳しい? 書籍『ザ・メンタルモデル ワークブック』

坂東:ということで、この4人でお送りしていきます。よろしくお願いします。ここからはざっくばらんにいきたいと思うんですが、まずは『ザ・メンタルモデル ワークブック』ですね。みいちゃん、これは先月発売になりましたよね?

由佐:はい。

坂東:これ、めちゃ分厚いんですよ。

由佐:ねえ、気がついたら(笑)。

坂東:気がついたら(笑)。

:僕も最初に見た時びっくりしたんですよね。いろいろ講座を受けさせてもらっていて、講座で教えてもらったことが全部入ってるから、「これ大丈夫なのかな? こんなに全部本に出しちゃったら、講座どうすんだろ?」と思って。講座より詳しいんじゃないかと思って、ちょっとビビったんです。

(一同笑)

坂東:講座というのは、何の講座だったんですかね? ぬいさん受けたんでしょ?

:僕はいろいろ受けさせていただいてるんですが、NVCの講座だったりとか、JTSという紐解きの講座なんかを受講させてもらってます。

坂東:なるほど。JTSの略は何でしたっけ?

由佐:「Journey to the Source」です。源に返っていくという意識を育てたくて。4つの講座からなる1つのJourneyなんです。すごくシンプルに言うと、適合しようとして外側に合わせて、抵抗を原動力とした「こうなっていこう」という意識状態があるんです。

「あるものは全部内側にある」というところから、現実を作り出していくという意識。それこそ、自然に返っていくプロセスに意識的に人間が戻れるようにする。プロセスとして必要なパーツを組み立てて、編集をしています。4つの講座があって、最初の一番長い講座がその本になっています。本が教科書みたいになってるんですが、けっこう長いやつがあります。

リアルでやれていた頃は、合宿で2泊3日でやっていた講座があって。体として個体として分離してるけれども、すべてとつながっている中で、「この世界に魂としてもたらしたいものを現実で作り出していく」という意識まで橋渡しするんです。それが「Journey to the Source」という、1つの長い旅なんですよね。

人間は「知識」や「情報」によって変化するわけではない

坂東:『ザ・メンタルモデル ワークブック』と書いてるんですが、こんなに分厚いのにメンタルモデルのことはほとんど出てこないんですよね。

由佐:そうです。

坂東:まずそれが不思議だったんですよ。「ザ・メンタルモデルのワークブックじゃないんだ」みたいな。

由佐:ザ・メンタルモデルのワークブックなんだけどね(笑)。

坂東:「ザ・メンタルモデルに至るまで」という言い方をされてましたよね。『ザ・メンタルモデル ワークブック』はそういう位置づけなのかなと。

由佐:そうです。

坂東:なぜこれを出そうと思ったのか。ぬいさんが心配していたように、「こんなに全部出しちゃうのはなんで?」みたいな。みいちゃんが「集大成」って言われていたじゃないですか。

由佐:そうなんですよね。人間は知識とか情報で変わるのではないと、すごく思っていて。じゃあ何で変わるのかというと、組織も「気づき」によって変わっていくんですよね。じゃあその気づきはどこで起きるのか、どうしたらその気づきを日常で起こせるのかっていうのが、私のテーマとしてすごくあって。もうおかしいぐらい、自己啓発オタクになったわけですよ(笑)。

世の中でやってないものはないくらいに学びまくってるし、自己啓発って特別な場を設けるじゃないですか。研修もそうだし、修行とか講座を受けに行ったりとか、なにかを体験しにいく。

もちろんそこでの気づきは大きいんだけれども、日常に帰ってくるとみんな揺り戻されるんですよね。一過性の気づきの場合、それはそれですばらしいんだけれども、「瞑想を習慣にしましょう」みたいな古来のやり方はあったとしても、私はあんまり瞑想が得意じゃないのもあって(笑)。

日々、人間が自分の身に起こること。例えば「この人とうまくいかないな」「こういうことを言われたらムッとするな」とか、日々生きている生活の中で起きることに気づきをもたらすのが、本当はあるべき姿だよね。そこが本丸のはずだと思っていて。

物事の認知に必要な“レンズ”とは

由佐:とはいえ、物事をどう認知したらいいのかという“レンズ”が要ると捉えていて。『ザ・メンタルモデル ワークブック』では、日々の気づきを起こすために12種類のレンズを伝えているんですね。日々体験することをレンズから見てみた時に、「どういう気づきがあなたに起きますか?」という、体験にいざなっていく仕立てになっているんです。

気づきを起こすことによって、自分が自分について理解していく。それが自己統合のプロセスです。それは個人の体験の中にあるんだと思っていて、知識や情報がわかったからといって起こるわけじゃないから。

気づきを起こすためのレンズを提供し、自分で見て、感じてみて、それぞれが「こういうことが自分の中にあるんだ」という気づきを起こすために作った本なんですよ。だから、瞑想の代わりみたいな。

坂東:なるほど。講座を受けたら、「こういうレンズで見ればいいんだよ」という自分の見方は教わったりはできるんだけど、日常的にそれを使えるようにする感じなんですかね?

由佐:そう。どういうタイミングで気づきが起こるかは人によって違うし、知識と情報ではなくて「認知」なんですよね。結局、気づきを起こしてる根幹は、自分自身がどう見るかなんですよね。

例えば「嫌いな人ワーク」ってやつがあるんだけど(笑)、「こいつとはもう付き合いたくない」「なんかこの人と仕事したくない」という嫌いな人が出てくるわけですよ。今の人間の認知の仕方は、あくまでも嫌いな人しか見えないし、「こいつはなんでこうなんだ?」というふうにしか見えない。その認知だと、分離しちゃってるから気づきが起こらないんですね。

だけどワークブックで何をしてるかというと、嫌いな人が出現した時にどういうふうに認知すればいいのかという、物の見方が書いてあるんですよ。

レンズを通して見てみた時に、「自分はこの人のここが気に入らないと思ってるってことは、何を分離させてるのか?」という、内省につなげる物の見方のレンズと、そこからどう自分を振り返るのかをセットで提供してるんですね。とにかく、これがテクノロジーとしてずっと伝えたかったことなんです。

坂東:そうなんですね。

「研修」や特別な場でなくても、日常から気づきを得る

由佐:私の夢は、世界が研修なんてことをやらなくてよくなって、みんなが日常の中で気づいていけること。そういう気づきが常に起きるような器になっていくことが、一番人間が進化を遂げられると思ってるから、特別なことをやらないと人間が成長できないとか進化できないっていうのは、違うんじゃないのかと思ってるんですよね。

すばらしい学びの場はいっぱいあるし、もちろんその恩恵もあるんだけれども、それだけじゃなくて。日々自分が何に気づけるのかで、意識の進化にものすごくブーストをかけられる。この可能性に懸けているんですよ。

JTSはもともと講座として作ったんだけれども、いつか内容をテキストブックにしたかった。そうしたら本でもかなり分厚くなっちゃったから、3,000円弱ぐらいで売ってるんです。みんながレンズに触れて自己探求ができるものを、それぐらいの金額でとにかく社会に投げ込みたかった感じがあるかも。

坂東:みいちゃんからしたら、もう講座や研修とかがなくなっちゃってもいいというぐらいなんですよね?

由佐:(講座が)特別な場であるって、おかしいと思ってるんですよね。学びの場って日常じゃないですか。一番人間が葛藤を起こすのは、その人の人生に起きている人間関係、仕事、家族の話、会社の話。人間の学ぶ材料は何ですか? といったら、その人が日々体験しているところであるというのは、人間は延々と変わらないところなんだと思うんですよ。

:講座中もずっと、みいちゃんから「今、あなたは何を体験してますか?」と問いかけられてるような感覚だったんですよね。

由佐:そう、とにかく体験。

:体験の中に気づきがあるということを、講座中にずっと教えてもらってたので、最近は日常でも自分がどういう体験をして何を感じてるのかという内側を見にいきやすくなりました。

坂東:おお、なるほど。気づきが。

嫌いな人とは「うまくやろうとする」か「距離を取る」の2択になりがち

大山:気づきって、「自分がどういう人間なのか」という気づきですか?

由佐:自分が知らなかった自分ですよね。

大山:「自分ってこういう人なんだ」というのを、日常的な事象から気づいていく回数がめちゃくちゃ増える。

由佐:そうですね。人もそうだし、「こんなふうに反応するんだ」「この言葉に反応するのは、こういうものを信念として掲げているからなんだ」とか、何があるからそれが作り出されてるのかを理解できることが、人間にはすごく大事だと思うんですよね。

快・不快で反応するのではなくて、なぜこの体験を私はしているのかを理解できれば、ぜんぜん違う対応ができるんですよね。例えば嫌いな人だったら、「この人すごく不快だし、いても心地よくない」と感じた時に、普通はうまくやろうとするか距離を取るかのどっちかしかできない。

けど、「この人は自分のここを受け入れてないから、この人がこう見えて気になるんだよな」ということがわかると、心地が悪いからってその人を切り離したり、うまくやろうとして我慢するのではなくて、ぜんぜん違う自分の理解から体験を変えていけるんですよ。

「だからなのか」って理由がわかると、その人がぜんぜん気にならなくなったりする。それって現実を一番早く変えられるコツだし、「ただ逃げてる」か「うまくやろうとしてるか」というパターンから出られるんですよね。違うものを作り出せるから。

自分の内側にある「何が外側の体験として作り出されているのか」を理解できたら、人間はどんなふうにでも現実は変えていけるのだと、けっこう確信を持っています。それを伝えたくて(『ザ・メンタルモデル ワークブック』を)書きました。

大山:『ザ・メンタルモデル ワークブック』を序盤しかやってないんですが、本当に気づきを得たんですよね。今みいちゃんが「現実を変えていける」と力強く言ってくれたから、「本当!?」ってなりました。

:希望が持てた。

大山:自分の不都合な現実というか、ダメな自分をダメなものとして諦めてたんです。「もう別にいいや」って。これをどうにかしようと努力もしないし、諦めてました。でも現実を変えていけるんだなって、ちょっと希望が湧いた感じがしました。

ほとんどの人は「抵抗すること」を変化だと思いこんでいる

由佐:そうなんですよね。亜矢子さんがやってるのって、「それは仕方がないや」という諦めじゃないですか。要は諦めって、見ないようにする逃避なんですよね。諦められない人は、嫌だからこれを変えにいくわけですよ。

いずれにせよ、もともとあるものに対して抵抗を起こしてることには変わりないんですよ。抵抗を起こしているものを、変化の起爆剤に変える原動力に使っているか、抑圧するかのどっちかになっちゃうんです。

『ザ・メンタルモデル ワークブック』に共通している普遍的な原理は、まずはあるものに対して抵抗を起こすのをやめようと。「それが正しいと思ったし、そうに違いないと自分で思い込みました」というのが真実であって、本当にそうかと言ったら怪しいんですよ(笑)。

人間って、真実に至ったものをなにかしら持っているわけじゃないですか。それが「信念」ですよね。信念に抵抗するのをやめて、真実を握りしめて生きてきたんだということを感じると、人間はあるがままを受け入れられるわけですよ。

ほとんどの人は抵抗することが変化だと思ってるんだけど、さんざん組織開発的なことをやってきて痛感したのは、人間は抵抗の中に変化を起こせないということなんですよね。

坂東:でも、受け入れるって大変です。

由佐:頭はね。でも、感じる世界を使うとぜんぜん大変じゃないんですよ。「受け入れたくないものがある」というのは誰しもが認めざるを得ないって思ってるんだけど、それを感じると頭が思考が発動して、感じないように思考が回っていくんです。

その手前に、感じている私が必ずいるんですよ。「不快だから難しい」って、みんな逃げようとしたり、避けようとしたり、解決しようとしたり、抵抗の行動を取ろうとするんだけれども、ここに留まれって話なんですよ。

坂東:それがつらい。

由佐:「本当に嫌だ」「痛いなあ」「悲しいな」とか感じ)。でも本当は、頭が「つらい」と言うほどつらくはなくて、大して痛みがあることではないんですが、頭はそう判断しちゃうんです。

だから思考に入る前に、「本当は私の内側に何があるのか、何を感じているのか」に踏み留まることで、人間はいろんな知恵を得ることができるんですよ。ひと言で言うとこんな感じなんですが、その本(『ザ・メンタルモデル ワークブック』)の中では「ああでもない、こうでもない……」とずっと言っている感じです(笑)。

「自分を愛せなかったら、もちろん他人を受け入れられない」

:不快な感情や痛みを感じるのがすごく怖いという話をしてた時に、(実際には痛みが)2分か3分間ぐらいしか持たない、と言ってもらったんですよ。

もしかしたら、2、3分だったら我慢できるかもしれないと思って痛みを感じに行けるようになった。「痛いな」と思ってたら、次の瞬間には1分ぐらいで別のこと考え出すから、味わえている時間は本当は少ないなって体感しました。

坂東:なるほどね。自分をまだ見ていないしてない人が手をつけることが多いと思うんですが、私も2年前ぐらいまでは自分を見ることが本当に嫌だったんですよ。

由佐:普通はそうだよね。

坂東:自分では絶対にできないっていうか、したくないんですよ。自分を見て、何が出てくるのか怖くて。そういう人はどうしたらいいんですか?

由佐:坂東さんが言うとおりだよね。多くの人たちは、「人間の内側はパンドラの箱だ」という感覚を持っていると思ってるんですね。開けたら、邪悪なものや恥ずかしいもの、汚いものがいっぱいあるんだと思っていて。もしくは、弱い自分とか情けない自分、簡単に言うとダメな自分がたくさんいる感覚があるんですよね。

今の自分では十分じゃないから、みんなすごくがんばってる。でも、汚いように見えているものの奥には、本当は何も汚いものはないってことをすっごく伝えたいんだけど、開けて感じてもらうしか道がないんですよ。

坂東:(自分で開けるしか)道がないんですね。

由佐:うん。開けてもそんなにひどい自分はいないし、生命が作り出したどんな自分もちゃんと目的や意味があるし、自分を体験してるのは全部設計済みのデザインなんです。本当はどれくらい人間が美しく作られてるかがわかるよ、って言いたいんだよ。

そう言いたいんだけど、この概念にはなんの意味もないとわかってるわけですよ。だって、世の中のほとんどの人たちはそう思ってないんだもん。なので、自分の中にあるものが生命としてすべて美しくて、生命に必要だから持っているということを自分で感じて、理解してもらう以外には道がないんですよ。

でも、人間がそこにたどり着かなかったら、人間はいつまで経っても自分自身を愛せないわけ。自分を愛せなかったら、もちろん他人を受け入れられないわけですよ。自分が分離していたら、人のことは受け入れられないんですよね。だから内側を見てほしい。生命の世界は、知覚できるものとして内側にしかなくて、外のところは物質化しています。

自分を愛することと、甘やかすことは違う

坂東:確かに、手に入れられるんじゃないかと思っちゃう。さっきみいちゃんが「器」と言いましたが、結局は受け入れる自分の器が必要というか……勇気っていうのかな。

由佐:自分のことを受け入れられるほど、絶対に自分のことが愛おしくなるし、慈しめるようになっていきます。でもそれは、甘やかすとは違うんですよ。自分の中の気づきでつかんでいくんですね。それが人間の意識を拡張させていく。

要は、生命を理解していくことは自己理解そのものなので。生命が自分に何を問いかけていて、何を訴えていて、何を作り出したくて、この人生をどう創りたいのか。この情報は、全部(自分の)内側にあるから、人間がそこにアクセスしていってほしいよねって思います。

でもそれって、外からのものにひたすら抵抗して、自分のすごさを証明して、能力を証明して、所有物で証明して、なにかを手に入れて……ということをやり尽くすからこそ内側があって。

外側を向いてやり尽くしたからこそ、「でもこれじゃないよね」ってなる。「じゃあ本当は自分は何で満たされるの?」という問いを持った人しか、ベクトルは内側に向かないんです。

(外側への抵抗を)やり切ってからでいいんだけど、外側と内側の世界のつながり、内側の世界が外側に現れていることがわかると、めっちゃ生きやすくなるのになと思います。(自分の内面を)見たくない気持ちはすごくわかるけど。

坂東:生きやすくなるんですね。

由佐:生きやすくなります。理解って、最高の愛だと思ってるので。

坂東:理解が愛、か。

由佐:なぜその人がそうせざるを得ないのかとか、どうして自分はそう考えるのかがわかると、許せるじゃないですか。「だからそう言うんだね」「だからこういうことが起こるんだね」ってわかったら、人生は生きやすいでしょ?

ほとんどの人たちの不満は、「なんで私にこんなことが起こるの?」「なんで私はこういうことしかできないの?」という世界だから。それをよく理解できるって、やっぱり平和につながっていくなと思います。そういう人たちを増やしたいんですよね。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

  • 採用担当者が自社ブランドを作るための「5つのフェーズ」 企業と求職者の間で起こる“ズレ”を解消するためのヒント

人気の記事

新着イベント

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!