フローとしては一緒だが、職場での取り組みはみんな違う

斉藤知明氏(以下、斉藤):生田さん、ありがとうございました。ここからディスカッションのパートに移ります。今回、例に挙げていただいたのは、とある会社さんの中で取り組んでらした「WiCS研究会」の事例。

これって、僕は「結果としてすごくバラつきが起こったな」と思ったんです。このWiCS研究会の中ではみなさん、インプットというかフレームワーク自体は同じ枠組みで取り組んでいらっしゃったチームなんですよね?

生田洋介氏(以下、生田):そうですね。枠組みという枠組みで言うと、(スライドを指して)最初はオリエンテーションをして、サーベイをして、「今のチームの状況としてはこのぐらいの位置ですよ」と。そうなったとき、一人ひとりのバラつきがあるんですね。チームとしての平均は出るんですけど(個人の)バラつきがあって、すごく意識が高い人もいればすごく低い人もいると。

このように、職場ごとにまったくスタートの状況が違うので。ここまでのWiCS研究会を数年やってきた中で「こういったポイントは重要だよ」っていうガイダンス……というかガイドラインやザクッとしたいろいろ組織の理論は、最初、リーダーに提示するんですけども。

まずスタートとしては3日間の合宿ですね。いろんなチームのアクティビティをやりながら「自分はこういうチームを作っていきたい」とか「こういうリーダーになりたい」という、一人ひとりの理想のイメージを、まず作ります。

斉藤:うんうん。

生田:それを自分の職場に照らし合わせながら、どれだけ巻き込んでいくか。そこでの具体的な施策というか……例えば「コミュニケーションゲームをやろうかな」とか。あるいは「あるテーマで話そうかな」とか。これはもう自由なんです。

この1.5ヶ月間の活動がメインなんですけど、そこは本当にリーダーたちが考えてやるんですね。ただ、それを1ヶ月半ごとに集まって共有してっていう、大きなフレームワークは一緒です。だから今のご質問への回答だと「大きなフレームワーク・フローとしては一緒だけど、職場での取り組みはみんな違う」という感じです。

斉藤:おのおので考えて取り組むから、っていうことですよね。

生田:そうですね。それを事細かに詳細にログに残すので、バラつきに関しても「なんでこういうことが起こっちゃったのかな?」について、後で検証できる。そういう意味で「研究会」と言ってます。

「チームを良くしよう」と言ってるのに炎上するパターン

斉藤:ディスカッションの前半で解き明かしたいのが、今回のような学習する組織作りを通して、リーダーがどんな振る舞いをすると(スライドを指して)左上(の図)に行けるのか。

もちろん右上(の図)も、もともと活力が高いケースだとそのままチームとしての総量は上がっていく良い例だと思いますけど。(左上に行けるリーダーの振る舞いには)どんな特徴があるんですかね。

生田:もちろんリーダーって人間ですから、一人ひとりリーダーシップスタイルって違うんです。なので「その人に合った振る舞い」と「共通のもの」があります。

リーダーが取るべき振る舞いについて、1つ言うと。リーダー自身がこの施策を「会社の施策としてやんなきゃいけないからやる」っていう姿勢だと、うまくいかないです。

実際、初めのほうはそういうことがよくあって。「ああ、そういうことがあるんだ」と思った例が、合宿の後にリーダーが職場に戻りますよね。そこで「こういった取り組みをやっていくよ」ってメンバーにシェアするわけです。するとね、炎上するんですよ。

斉藤:ほう。

生田:「チームを良くしようよ」って言ってるのに炎上するんですよ。それはなぜかというと「なんでリーダーの『リーダーシップ研修』の課題に付き合わなきゃいけないんですか? この忙しいのに。勝手にやってください」と。

すごくないですか? リーダーが「自分のチームを良くする取り組みをしていくぞ」って言うと「忙しいから無理ッス」みたいな。でもやっぱり、これまでもいろんな会社施策の研修なり何なりやってきたんでしょうね。それが「なんかうまくいかなかった」っていうのも、背景にはあるんだと思います。

ただ、初めから他人事なんですよ。自分のチームのことなのに「勝手にやってください」と。「そんなのリーダーがやることでしょう? チームを良くしてくださいよ」って。そんな感じなんですよ。

だから、リーダーはまず会社から言われてやってる施策ではなくて、そこはもう無視して。「いや、俺がこういうチームにしたいんだ」とか「俺がみんなとなんとかしたいんだ」って本気で思えるかどうか。やっぱり本気で思ってるかどうかがね、出るんですよね。そこが大きな違いだと思います。

(我々も)わかるんですよ。集まっているリーダーが「この人、本当に自分事になっているかな」っていうのと「プロジェクトとしてここにアサインされてるから(仕方なく)毎回来てるんだな」っていうのがわかる。結果にちゃんと出る(笑)。

斉藤:それはさっき生田さんがおっしゃっていた、中間報告では「うまくやっていますよ」って言うんだけれども、結果になると(スライドを指して)右下に属してるようなパターン。

生田:そうですね。

斉藤:そこが透けて見えているってことなんですかね。

生田:おもしろいことに、PDCAシートを書いてきても、温度って伝わるんですよね。「表面的に書いてるな」とかって、わかるんです。

「活力を感じられていない理由」を、どこまで掘り出せるか

斉藤:そういう雰囲気があった場合、仮に僕がリーダーの立場だとすると「つらいな」と思うと思うんですよ。メンバーに「こういうのやりたい!」と言っても、「何で我々を巻き込むんですか?」とかって言われたら、僕はもう「つらいな」と思っちゃうと思うんです。

この図を見ていると、左上(の図)のうまくいった人たちの中で、すごく下のところからグッと上がっている人たちがいるじゃないですか。

生田:はい。

斉藤:ここってまさに、出発点で「個人の活力」も「チームとしての力」というか「意欲」も、そんなに高くなかったということだったと思うんですよね。

同じ点からのスタートでも、右上に行くチームと左下に行っちゃうチームだったり、滞留してしまうチームというのがあると思います。こういうチームこそ「何をやっていたか?」というのを、すごく解き明かしたいなという気がしています。実際、どんなことをされていらっしゃったんですか?

生田:いくつかそういうチームがあるので、ちょっとずつ違ったりはするんですけど。やはり、もともと低い理由がいくつかあって。例えば「仕事そのものが単調でつまらない」と思っちゃってるんです。

さっき言った「品質保証」という部門は、いろいろ外から言われるんですね。言われるんだけど、それって自分たちが開発していないものに対して言われるから、不毛な感じがするんでしょうね。

「俺たちは何の役に立っているんだろう」みたいな。そういう仕事そのもので低くなっちゃっている場合と、やっぱりあとは関係性ですね。もともとリーダーとの関係が悪かったということもあるかもしれないけど。

やりたいことがあったり、ずっと開発してきたのがある状況によってペシャンと潰されたり。そういうことが続いたりして、なんとなくやりがいを感じなくなっちゃっているとか、理由はいくつかあって。そこの「みんなが活力を感じられていない理由」を、どこまで掘り出せるかですよね。低い理由を掘り出して、そこを変えていくことができるかどうか? 

反抗的な人よりも難しいのは、冷めている人

生田:なんだけど。だからこそさっきの「ガチの対話」じゃないですけど、そこに持っていくためにはいろんなバリエーションがあって。(スライドの図を指して)これって、平均なんですけど、チームの中ではすごく高い人がいたりするんですよね。でも「ある数人の人が押し下げている」という場合があって(笑)。   

押し下げている人が、とにかくチームの雰囲気を乱す。会議でもなんかガーッと発言して、誰かが言ったことに対して「そんなのはさぁ!」みたいなこと(反論)をやったりするわけです。

それが若い人なのか年配なのかによっても、ちょっと違うんですけどね。もうこの先の可能性を諦めて、いろんなことが挫かれて拗ねちゃっている(年配の)人の場合と、まだ仕事の楽しさを開発されていない若い人の場合とで、またアプローチがちょっと違う。

ただ、怒りが噴出するような反抗的な人のほうが、実は変わったあとの変化にものすごく影響力がある。エネルギーはあるんですよ。(反抗している理由が)「なんとかしたい」「これじゃいけない」みたいなエネルギーの裏返しだったりする場合があるので。

そこをうまくリーダーが、集団がいる場でわざと炎上させるという手もあるんですけど、個別で本当に頼りにしてみたりとか、腹を割って話すとか。または自己開示して弱みを見せるとか。そういった尊重をすることで、少しずつ味方に取り入れていくということをした時に「あの人が変わった!」みたいな。チームに対しての影響は、ものすごく大きいですね。難しいのはどっちかというと、冷めている人ですね。

リーダーが「非を認めること」の、大きなインパクト

斉藤:とてもわかります。いろんなケース・いろんな人がいるんだなというのが、もう今のお話を聞いていてすごく伝わってきました。だからこそ、実践の場を敢えて「HOW」とかの型にはめるのではなくて、学びを共有したりとか、結果を報告したり状況を観測できる集合ミーティングみたいなものが、リーダーの間で実践していくことが必要だと感じます。

実践して、またそこで集合知化して。さらに実践して、集合知化してというサイクルで。それにうまくはまるチーム・はまらないチームがあって、またそれ自体も学習として5年間繰り返してきているということなんだろうなと思いました。(スライドを指して)こういう右下(の図)の「×」に一回はまっちゃったチームが、そのあとグッと改善するケースってあるんですか?

生田:僕がこの風土改革のプロジェクトの中で、きちんとサーベイをして図るというところからは外れて(施策が)終わってしまうので、これは後日談としてですが。「あの人、その後どうしました?」とか聞くと、やはり異動しちゃっている場合もあるんですよね。

斉藤:なるほど。

生田:数字についてプロジェクトの中では振り返り・フィードバックをしますので、その人が経験・反省をもとに「やっぱり進め方がよくなかったかもしれないね」とか「自分勝手に進めちゃったかもしれないね」とか。次のチームで、違うアプローチを取ってくれていることは祈りたいですけど(笑)。

もしそのリーダーがまだ継続してチームを持っているとした時に、V字回復まではいかないにしても、下降をストップさせて、ちょっとでも上向きにさせるためには、やっぱりこの結果をもとに「ごめん!」と。「ちょっと突っ走ってしまった。ごめんね」と。

斉藤:なるほど。

生田:リーダーが非を認めるって勇気がいりますけど、けっこうインパクトが大きいんですよ。(失敗の)エビデンスが出ちゃってて「すまん。自分としては本当に『よくしたい』という思いで突っ走っちゃったんだけど、そうじゃなかったね。みんなのことを考えてなかった。だから一緒に考えようよ」ってできたら、十分変わると思う。やっぱり人間って感情の生き物なので「あ、すごく歩み寄ってくれた」とか。

グイグイ進めるリーダーの行動傾向って、仕事もふだんからそんな感じなんですよね。もう指示だけ。目的はあまり伝えない。口癖は「いいからやれ」なんですよ。

斉藤:(笑)。

生田:でも、そこを「リーダーがちょっと自分を顧みた」なんて姿勢が見えたら、メンバーの反応も随分違います。

斉藤:リーダーのほうにも力が必要ですね。自分も変わっていく覚悟だったり、それを開示する心の強さだったり。それをメンバーに開示して「ごめん」って言ったあとは、きっといい意味でネガティブフィードバックをもらえるじゃないですか。そこを受け入れる度量というのも必要になってくるんでしょうね。

生田:やっぱり覚悟はいると思います。ただ、そこをケツまくっちゃえば、リーダーも楽になると思いますよ。でもリーダーの経験だけで乗り越えていけないことだらけじゃないですか。これは松下(幸之助)さんじゃないですけど、周りにサポートされて。「一緒にやろうよ」みたいな。

もちろん難しさはありますよ。職種によっては、リーダーがある程度の現場の実績を持ち続けていないと、下から信頼されない部分もあるんですよね。だけど、そこの認識さえもやっぱり変えていくべきだし、変えていけるし、変えていかないといけないと思いますね。

毎日眺めているだけで、周りの人のデータが頭に蓄積されていく

斉藤:そうですね。ありがとうございます。ではここで、Uniposのご紹介をさせていただきます。僕らUnipos株式会社が運営しているのが「Unipos」というサービスです。

これは「ピアボーナス」というもので、オープンな環境限定でAさんからBさんに対して「こういうことをしてくれて、ありがとう」というメッセージとともに、少額のポイントを送ることができるサービスです。

簡単な仕組みで言いますと、(スライドを指して)このようなかたちですね。称賛をおくる人がもらう人に対して「こういうことをしてくれて、ありがとう」というメッセージとポイントを送る。さらにそれを見た他の人が「パチパチパチ」と拍手すると、投稿を送った側にもポイントが入る。

こうやってオープンな場所で人を称賛することそのものが「尊い行動だよね」「大事な行動だよね」ということを、組織にインストールしていく。「大事だよね」という環境を構築していくサービスです。

実際にメッセージとしては、このようなかたちで「経費精算のシステム化をすすめてくれてありがとう。申請がすごく簡単になり助かったよ」。39ポイント(サンキュー)と言ってメッセージを送って、周りが見た人がこうやって「パチパチパチ」と「いいね!」(拍手)するような仕組みです。

自社でも5年近く運用している中で僕がすごくよかったなと思うのは、Uniposを毎日眺めているだけで「○○さんって、こんなこともしてくれているんだ」という、自分のチームの人だったり周りの人だったりのデータベースが頭に蓄積されていくんですよ。

それでUniposという場があることで、自分がふだんだったら言葉にしなかったような感謝を、メッセージに変えて誰かに伝える習慣もつくので、誰かと対話しようと思った時に「相手のことをすごく知っている感」が出るんです。

しかも、相手も自分のことを知ってくれているという状況。「どんな貢献をしていた」「こういうことをしてくれていた」と知っているいう状態が生まれるので。

何か意見する時、メッセージを伝える時、コミュニケーションする時に、お互いのことを全員で認め合っている。相手がこういうことをしてくれているのを「知っていますよね」「知っていますよね」という状態が生まれるので、対話しやすくなったという効果を感じていて。

実際にUniposをご導入いただいたみなさんは、導入から数ヶ月すると、だいたい心理的安全性の項目がクイッと上がるんです。「話やすさ」だったり「意見のしやすさ」のサーベイが上がる仕組みになっています。

今回のテーマでもあったような「ガチの対話」をUniposの上でするというよりかは「『ガチの対話』をする前に、お互いのことを認め合っているという前提の信頼関係」を作るためにも、Uniposはご貢献できるのではないかと考えています。

実際に、たくさんの企業のみなさまのご導入していただいておりまして。大手の企業の製造業、メーカーのみなさまからIT系のみなさままで、いろんな企業のみなさままでご導入をいただいています。

Uniposにご興味をお持ちいただけましたら、エンゲージメントの高い組織作りだったり、マネジメント力を高める仕組み作りとは? について、大手企業のエンゲージメント醸成などに携わっているNEWONEさんと一緒にやっている実践編のウェビナーもございます。ご興味をお持ちの方はお申し込みください。