2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
提供:サイボウズ株式会社
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熱田優香氏(以下、熱田):みなさん、こんにちは! 「サイボウズ社員だけど、テレワークが辛いんです」のセッションにお越しいただき、ありがとうございます。本日モデレーターを務めます、サイボウズ株式会社の熱田優香と申します。新卒6年目でマーケティングの仕事をしているんですが、みなさん、今回の登壇者のTシャツデザインに何か気付きませんか?
私は「テレワークすきぴ」というTシャツを着ていまして、どちらかというと私はテレワークが好きな属性です。テレワークが好きなので、今年7月に石川県に移住しております。こちらのメンバーともフルリモートで打ち合わせしていたので、1回もリアルで打ち合わせしたことがないまま進行させていただきます。よろしくお願いします。
山田理氏(以下、山田):、林田恵美氏(以下、林田):パチパチ~。
(会場拍手)
熱田:ありがとうございます。このセッションを始める前にみなさんに聞きたいんですが、「テレワークがしんどいなぁ」と感じている方はどれくらいいらっしゃいますか? みなさん、手を挙げてみてもらってもいいですか? ちょくちょくいらっしゃいますね。
山田:後ろのほうで、うちの社員がめっちゃ手を挙げてますよ。
熱田:ありがとうございます。手を挙げてくださった方、安心してください。本日の主役は、サイボウズ社員だけどテレワークがつらいこちらのメンバー3人です。20代・30代・50代とそれぞれ年代も違いますし、所属している部署も役職も違います。本日はこの3人と私でセッションを進めさせていただきます。みなさんよろしくお願いします。
一同:よろしくお願いします。
(会場拍手)
熱田:一人ひとり、自己紹介をお願いできたらと思います。まずは新卒1年目、フルリモート入社の鈴木えりかさん、お願いできますでしょうか。
鈴木えりか(以下、鈴木):今年4月に新卒で入社しました、鈴木えりかです。ビジネスマーケティング本部に所属していまして、ずっと同じ部屋でテレワークをしていて悩みも尽きなくて。そろそろ気が狂いそう……もう狂ってるかもしれないです(笑)。よろしくお願いします。
熱田:よろしくお願いします。
山田:お願いします。
熱田:えりかさんはおとなしめなんですが、(入社)1年目なのに今回の登壇を決意してくださって、ありがとうございます。続いて中途3年目の林田恵美さん、自己紹介をお願いしてもいいでしょうか。
林田:みなさん、こんにちは。私はふだん大阪オフィスに所属していまして、事業戦略室で働いております。3児の母で、お腹に4人目がいるのでもうすぐ4人の母になるんです。
熱田:おめでとうございます。
林田:ありがとうございます。育児をしながらなので、リモートワークにはすごく恩恵を受けてはいるんですが、つらいものはつらいので今日は吐き出していきたいと思います。よろしくお願いします。
熱田:よろしくお願いします。恵美さんは事業戦略の仕事をされていて、いろんな人とバリバリお仕事をされている印象があるんですが、それでも(リモートワークが)つらいということなので、本日はお話を聞いていければと思います。
林田:つらいです。よろしくお願いします。
熱田:最後のメンバーは理さんです。自己紹介をお願いできますでしょうか。
山田:元副社長の山田理です。うちは定年退職がなくて、自分で職のポジションを降りないといけないので、「元副社長」になりました。僕もなかなか古株だけれども、テレワークはけっこうつらい。たぶん、僕の年代の人はわかってくれるんちゃうかなと思うんですよね。
熱田:そうですね。9月に副社長を辞められたので、最近ですよね。
山田:そうそう。特にえりかさんは今年新人で入って、今日が初めましてです。初めまして同士で前に出されて「テレワークつらい」って語るのは、それもまたつらい話ですよね。
熱田:そうですね、つらい思いをさせてごめんなさい(笑)。
熱田:というわけで、今回は3人のメンバーで進めていければと思います。その前に、サイボウズのテレワークの現状を、4人で一緒に振り返っていきたいと思います。今、サイボウズはテレワークが基本になってきております。1,000名ぐらいのメンバーがいるんですが、91パーセントがテレワークをしています。けっこう多いですよね。
もともとサイボウズは、出社している時もグループウェアの書き込みがすごく多かったんですが、テレワークになってからはオンラインの書き込み、グループウェア上の書き込みがさらに5倍に増えておりまして。ほぼテキストコミュニケーションで仕事を進めている、と言っても過言ではないような状態になっております。
具体的には、「テレワークだと同僚の仕事の様子がわからなくないですか?」というご質問をよくいただくんですが、サイボウズは社内版Twitterの分報をやっています。
これは私の分報なんですが、「今日は午後抜けます」「ルンバをかける機会が圧倒的に減りました」「請求書を処理しました」という感じで、今何をしてるかをみんなで発信して、オープンにやっています。
あと、基本的にはすべての情報がオープンに共有されています。これは経営会議の議事録なんですが、経営会議の次の日には、誰がなんて発言したかが議事録で全社員に見られるようになっています。
経営会議の録画も社員が自由に見られるようになっていて、出社しないと情報が取れないという感じではなくて、わりとテレワークもやりやすい環境なのかなと思っております。
もちろんサイボウズなので在宅PCも配布されますし、モニターやキーボードも好きなものを頼めるので、テレワークすきぴの気持ちからすると、個人的には「めちゃめちゃテレワークやりやすそうじゃん」と思っているんですけれども。
熱田:今回セッションをやるにあたって、社内で「テレワークつらたんアンケート」を行ったんですが、そこで衝撃の結果が出てきました。
サイボウズ社員でテレワークをつらいと思った人の割合は、78.3パーセントです。これ、やばくないですか?
林田:拍手(笑)。
山田:拍手してる。どんだけつらいねん(笑)。
熱田:どんだけつらいの……ということで。サイボウズというと「みんながテレワークできて、楽しく働いてるでしょ」と思われてる方がいらっしゃると思うんですが、つらいと思っている方がけっこういる、というデータが出てきておりまして。
本日はこの3人でつらみを語っていこう、というセッションになっておりますので、「在宅勤務はもう限界!? テレワーク『つらい』勢の叫び」として、ぜひ3人からもいろいろと教えてもらえればと思います。そしたら、1個目のつらさを理さんから教えていただけますか?
山田:テキストコミュニケーションしんどい問題。これ、おじさんだったら本当にわかると思うんですけれども。僕はサイボウズに二十何年いるので、グループウェアは使い続けてるんですが、やっぱりテキストコミュニケーションはまだ慣れない。
さっき見たら(テレワーク後のグループウェアの書き込み数が)5倍に増えているじゃないですか。でも、みんなとほとんどテキストでしかコミュニケーションしていなくて、(リアルコミュニケーションが)なくなった時のつらさをあらためて感じた。
熱田:サイボウズはテキストコミュニケーションがメインだからこそ、それだけなのがつらいですよね。
熱田:これも実際の社内アンケートなんですが、どんどん数字を出していきます。「出したらやばいんじゃないか?」みたいなデータも出てくるんですが、テキストコミュニケーションで悩んだことがあるサイボウズ社員は6割以上というデータが出ております。
具体的には、「テキストなので誤解のないように書かなきゃと思うと、時間がかかってしまう」とか。あと、Zoomだったら「ごめん、これやっておいてもらえる?」というのが5分でできるんだけど、細かいニュアンスが伝わらない。「怒ってるんじゃないかな?」と思って悩んじゃうとか、アンケートでも本当にいろいろなつらさがありました。
今日は、登壇者のみなさまが感じているテキストコミュニケーションのつらさもおうかがいできたらと思うんですけれども。理さん、先ほど(テキストコミュニケーションが)つらいとのことだったので、おうかがいしてもよろしいですか。
山田:そうですね。今は元副社長になっていますが、みんなが僕の発言を聞かないといけないとか。例えば、僕が書いた時に(間違っていても)突っ込みにくいじゃないですか。
若い子が書いたら、「もっとこうじゃない?」「ああじゃない?」って(議論に)なるかもしれないけど、僕が書いたら間違っていても突っ込みにくい。でも、本当にいいと思って突っ込んでくれてないのか、言いたいけど言えなくて突っ込んでないのかがわからないんですよね。結局リアクションがなかったら、僕1人でしゃべる感じになるから。
熱田:うわ~、それはつらい。
山田:もう、めちゃめちゃ孤独感。会社に行っていたら、「どうやった?」って声をかけて「よかったっすよ」ってなるかもしれないけど、そういうのがない、あの孤独感。「みんなからどう思われてんねやろ」「ここであまり発言しすぎたらあかんのかな」って、空気を読もうと思っても逆に読めない。
熱田:確かに。企画を進めようと思って自分がアイデアを出すんだけど、副社長だからみんなが忖度して「いいね」って言ってるのか、ちょっとわからないというか。
山田:そう。気を遣って書こうとすればするほど、文字は時間がかかるじゃないですか。
熱田:かかりますね。
山田:(テキストコミュニケーションは)ちょっと書いたらいいだけなのに気を遣うから、どんどん時間がかかる。そう思ったら、面倒くさくなって書かへんようになっていく。そこらへんが、けっこうつらいなって思うんです。
熱田:ありがとうございます。役職があるからこそのつらさがありますね。
熱田:フルリモート入社、新卒1年目のえりかさんはいかがでしょうか。
鈴木:そうですね。リアルとのコミュニケーションで一番差があるのが、テキストコミュニケーションだとやり取りに時差が生まれてしまうところです。返事が返ってくるのが少し遅くなったりすると、そのぶん相手の反応が気になってしまって。そういうところでどんどん(心が)消耗してしまうのはあります。
熱田:ありがとうございます。他の人に連絡して1日返ってこないと、「怒ってるのかな?」とか、単純に忙しいのかもわからないし。それでどぎまぎして消耗してしまうというか。
鈴木:そうですね。見えないぶん、やっぱりそこは気になります。
山田:新卒フルリモートで、今日このイベントに来て初めて社員の人に会うようなことが多いとか、昭和のおじさんからしたら、この状態でテレワークって想像つかへん。
熱田:そうですよね。
山田:本当にすごいなと思う。
熱田:えりかさんは1年目でサイボウズに入って、1,000人の社員を知らない状態でテキストコミュニケーションをするじゃないですか。それで、顔の見えない人に依頼する時になんにも返ってこなかったりすると、ちょっと緊張しちゃいますよね。ごめんね、えりかちゃん。大丈夫?(笑)。
(一同笑)
鈴木:大丈夫です(笑)。
林田:リアルでも緊張してます。
山田:まだ緊張してる。
熱田:ありがとうございます。続いて中途3年目の恵美さん、おうかがいしてもいいですか?
林田:私が入ったのは3年前なので、まだコロナの前だったんですが、大阪オフィスにいました。東京のメンバーとの仕事が多かったので、その時から「初めまして」がテキストになってしまうことが多くて。
標準語を読み解く(苦労)もあったんですが、相手の人がどういう人かをぜんぜん知らない状態だと、「怒ってるのかな?」というのを勝手に深読みして、傷ついてしまうタイプでしたね。
熱田:ありがとうございます。みなさん、サイボウズのテキストコミュニケーションがどんな感じかわからないと思います。具体的に、恵美さんがサイボウズに転職直後にテキストコミュニケーションがトラウマになった事件があるので(笑)、めぐみさんに教えてもらってもいいですか?
山田:これ、ほんまに出していいんか? と思うんですよ。
林田:本当ですよ。
熱田:じゃあ、お願いします。
林田:そうですね。3年ぐらい前なのでやっと笑えて出せるんですけど、もともと大阪オフィスのメンバーだけでやっていた議論で、メモ代わりにkintoneを使っていたんです。ほとんど接点のない、しかもめちゃめちゃ若い2~3年目の若手社員から急に通知が来まして。
熱田:どんな通知だったんですか? 読み上げてもらってもいいですか。
林田:こんな通知ですね。「このスペースをずっと見てますけど、まとめ方が正直いまいちなのと、使っている言葉のコミュニケーションコストの高さが(独特な用語が多い 例:「たこ焼きアプリ」「rainbow」)けっこう厳しいなと内心思ってました。改善に期待しています。」
(一同笑)
山田:これがぜんぜん知らん人から(送られてきて)。うちの場合、通知は行ってないけど全社に公開されていて、見ようと思ったら見れるから。
林田:完全に公開処刑ですよね。
山田:(笑)。
熱田:これ、「うっ」てきますね。
林田:「うっ」てきますよ。
熱田:ちなみに、これを言った人には(掲載)許可を取っていて。
林田:そうですね。
熱田:これを言ったメンバーが、特別性格が悪いとかではぜんぜんないんですよね。普通に対面で話すとめちゃめちゃいい人なんですが(笑)。サイボウズあるあるですよね。
林田:そうですね。
熱田:対面で話すと優しいんだけれども、テキストだとちょっと厳しい言葉を受けることがある。
林田:チクチク来ますからね。
山田:そうですね。マーケ部長の大槻(幸夫)さんも「おしゃべりキーボード」と言われていてね。ふだんはわりとおとなしめにしゃべるのに、キーボードになったらめちゃめちゃよくしゃべる。うちの会社はそういう人が多いですね。
林田:多いですね。
熱田:これがきたらショックですよね。でも一応、彼も絵文字をつけてくれたりはしてるので。
山田:一応、工夫してんのね。絵文字があるという。
熱田:いい感じに伝えようという工夫はしてるんですが、ちょっと「うっ」てなる感じですかね。
林田:そうですね。
熱田:その後どんな感じで返信をしたのか、恵美さんにおうかがいしてもいいですか。
林田:私も何を書いてるかよくわからないんですが、動揺を隠しきれない返事になってしまったんです。「ありがとうございます」と、とりあえず「わかってますよ」ということをやんわり伝えてます。
熱田:なるほどね。表面上は「もともと悩んでたのでありがとうございます」「ご指摘ありがとうございます」という返信をしてるとは思うんですが、その時は気持ち的にどんな感じでしたか。
林田:入ってすぐだったので、けっこうズタズタでしたね。
山田:もう、この一言でズタズタにね(笑)。
林田:ズタズタにされました。「東京怖い」って思いました。
熱田:「東京メンバー怖い」。
山田:東京怖い(笑)。この人、東京代表になってますやん。
林田:そんな感じでした。
熱田:そうですよね。ふだんの恵美さんのテキストコミュニケーションを見ていて、明るく返信されてることが多いのかなと思うんですが、テキスト上では明るく返信しているように見えても、受け取ってから考えて、ダメージを修復して……。
林田:そう、そう(笑)。ダメージを修復してから。
熱田:そこが見えないのが、また怖いというかね。
林田:そうですね。
熱田:ありがとうございます。こんな感じで、テキストコミュニケーションで傷つく事件がたまに発生するサイボウズなんですが、実際にサイボウズで「テキストコミュニケーションで傷ついたことがある」という経験がある人は、半数以上。
山田:すごいね、うちの会社(笑)。
熱田:みんな傷ついてる(笑)。
山田:半分以上の人が、血を流しながらグループウェアを使っているという。
熱田:そうですね。そんな、ちょっとギスギスな結果となりました。
熱田:そしたらえりかさん、「2つ目のつらさ」を教えていただいてもいいですか。
鈴木:2つ目は、つらい時に吐き出す場所がない問題です。
熱田:つらい時に吐き出す場所がない、具体的にはどんな感じでしょうか。
鈴木:仕事の仕方や進め方がまだわからない、ということもありますし。サイボウズのグループウェアはオープンなので、ちょっとネガティブな気持ちになった際に、誰もが見られる場所でネガティブな気持ちを書くことは、めちゃ難易度が高いです。
熱田:さっき「サイボウズはめっちゃオープンです」みたいな話をしてたじゃないですか。「気持ちをシェアできるよ」という感じで話してたと思うんですが、えりかさんやテレワークつらたんな人たちからすると、それは難しいんですか?
鈴木:そうです。時にオープンさが仇になることはあるかなとは思います。
(一同笑)
山田:深いわ(笑)。そんなことを新人の子から聞くと思わなかった。オープンさが時に仇になるって、今日ここに語録として残したいね。
熱田:そうですね、ちょっと書いておきたい。
林田:オープンな場所があってもいいんですが、やっぱり逃げ場がすごく欲しくなりますね。
熱田:顔も知らない1,000人が見ているところに「つらいです」「これで困ってます」ってシェアするの、勇気が要りますよね。
山田:今時の子はネット世代やから、ちっちゃな頃からオープンなところで発言するのが当たり前のように育っていて、おじさんのほうが慣れへんっていうのはわかるけど、今時の20代でもこういうことがあるんやなというのが、すごく新鮮やなと思います。
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