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エンゲージメントの高い組織づくり 完全攻略ウェビナー ~落とし穴からポイントまで実践術を徹底解説~(全2記事)

過去の延長線上で、自分と同質の部下を管理する「古い管理職」 いま必要なのは「違う人を活かす」支援型マネジメントへの転換

テレワークの拡充により、社員間のコミュニケーション活性や社員の会社に対するエンゲージメント維持がより難しくなっています。予期せぬ離職やメンタル不全を未然に防ぐため、エンゲージメントの強化・定着が求められている一方で、その推進・運用・定着方法はさまざま唱えられており、実践術を模索されている人事担当者の方も多いのではないでしょうか。 そこで本記事では「エンゲージメントの専門家」である、株式会社NEWONE代表取締役社長の上林周平氏が登壇したウェビナー「エンゲージメントの高い組織づくり 完全攻略ウェビナー ~落とし穴からポイントまで実践術を徹底解説~」の模様を公開します。

エンゲージメントは「社員」と「会社」「仕事」の婚約関係

上林周平氏:Q&Aにご質問いただきました。「ターゲットだけエンゲージメントが上がり、それ以外の人のエンゲージメントが下がるような施策はやるべきでしょうか?」。このあたりも含めて、後半戦で進めていきます。

(スライドを指して)「エンゲージメントの高い組織作りのポイントとは」と書いています。これだけで何時間でも話せるようなテーマですが、よくある勘違いも含めて大事なポイントだけ今日はお伝えします。みなさん、解釈していただいて、自分の会社に適用できるものを持ち帰っていただきたいと思います。

大事なポイントの前提が、まず2つあります。エンゲージメントは「社員」と「会社」「仕事」の婚約関係という関係性であるということです。その時に、そもそも「誰のエンゲージメントを高めたいか?」ということが、非常に重要です。

これは当たり前と思われがちなんですけど、意外と当たり前にできているところは少なくて。人事界隈の打つ手にもなると思うんです。例えばマーケティング手法とか、何か商売をして物を売る時には、必ずターゲットを明確にしますよね。

よく使われる例ですが、Soup Stock Tokyoという会社が企業内ベンチャーで立ち上がった時に、最初のプレゼン資料の「想定する顧客」(の人物像をこと細かく設定していたそうなんです)。「秋野つゆさん(37歳)フォアグラよりもレバ焼きを頼む」ぐらいのところまで細かく(ターゲット像を)絞り込んで販売したら、ドンピシャで当たったという話があります。

マーケティングの定石は、最初にペルソナ・ターゲットをはっきりさせることです。でも実際これ、どうしてもあまり実行されていない。なので、やはりどういった人を狙うのかをしっかり定めることが重要です。

弊社としても営業サイドの人間のエンゲージメントを高めるために、手応えを感じるように、例えば報奨金やインセンティブ、表彰なども行っています。また、こういう目標を立てて達成感を得るみたいな施策もやっています。

そうすると、やはり営業サイド(ではエンゲージメントが上がりますが)、管理部門サイド、サポーティブなところではそれが得られないから、エンゲージメントが上がらないんですね。

社員側の“ベクトル”を作る、3つのポイント

そこで弊社では、そういった社員の(エンゲージメント)が上がるように、今回「Unipos」を導入しました。もちろん全体として効果がありますが、特にサポーティブで少しスポットが当たりにくい社員のエンゲージメントが、グッと上がる効果を感じています。このように「これは誰向けの施策ですか?」ということをしっかり考えなくてはなりません。

しかも、誰向け施策か考えたあとに「会社とつなげる」のか「仕事とつなげる」のか考えていく。会社への愛着であれば、先ほど言った「パーパス」「ビジョン浸透」「人事制度」などに寄せていく。仕事であれば「意義付け」「ジョブ型」などをやっていくことになります。

こういった大前提の中で、そこの2つを押さえる必要があります。その上で、いっぱい貢ぐのではなく、いろんな施策を考える時には「社員側のベクトルをどう作るか」ということが非常に大事になってきます。

そのためには何が大事か。大きく3つの観点をお伝えしたいと思っています。1つ目。組織とはそもそも共通目標に向かって進む集団だからこそ、目指す方向の明確化と浸透は重要なテーマとなっています。

2つ目が、先ほど言った結節点である管理職。その方の行動をどう変えていくかということが大事な観点になります。

3つ目は、一人ひとりが組織の方向性を意識しながら、自発的に行動できるように情報をオープンにして、チームに参画できる状態を作ること。この3つをうまく行いながら、組織全体が一人ひとりのエンゲージメントを高めていくことが大事になってきます。

「何のための目標か?」もわからず、エンゲージメントは上がらない

各社いろいろやられているので釈迦に説法かなと思いますが、最初に、方向性の浸透についてお話しします。そもそも「グループ」という言葉は「区分された集合体」という意味なんですが、「チーム」は「共通の目標達成に向けて、協力し合う集合体」となります。

すなわち、ちゃんと会社を“チーム化”していこうと思ったら、(スライドを指して)右側にあるように、それぞれに役割を分担して共通目標に進むという感覚を持つことが大事になります。「この会社でみんなが目指している目標」を全員が共通認識として持つ。これを浸透させることが、チームとして一体感を持って働く上でも重要です。

その際に、目標とは何を目指すのか。「売り上げ1億円です」では、人は動機付かないです。何を目指して・どのようになるかについては、人は必ず口にしますが、それ以上に大切なことがあります。

「なぜやるんですか?」「なぜ今回売り上げを上げていくんですか?」「なぜこの商品を日本に広げていこうとしているんですか?」など、より社会課題につなげていきながら、意義を語っていく。

これをトップがしっかりと発信していく。そして、そこから連鎖する未来を発信していく。こういった状況を作っていくことが、一人ひとりのエンゲージメントを高めていく上で必要なことになります。

何のためにやるのかもわからずに、エンゲージメントなんて上がるわけがないですよね。こういった目的のために、(上の方と従業員は)良い関係性を築こうとする状態になってきますので、上の方から順番に発信をしたり、発信を伴う行動を促進したりすることが大事なポイントになります。

「管理型のマネジメント」から「支援型マネジメント」へ

2つ目。「結節点としての管理職」と(スライドに)書いていますが、やはり(管理職という)間の方が重要なんです。今、世の中のマネジメントは、やはり「管理型のマネジメント」の延長線上にあります。

「自分に近い人に教える」という考え方から、「違う人をどう活かすか」という「支援型マネジメント」への転換が促されています。「支援型マネジメント」になってくると、一人ひとり違う人材に対して「なぜやるんですか?」ということを、今まで以上にしっかりと伝えていかなければなりません。

じゃあ「なぜやるの?」には、どんなことがあるのでしょうか。1つは「会社としてのWhy」。会社のパーパスやビジョンが、どのような上位目標につながっているのか。また、部署にとってこれは本当に重要な仕事なのか。こうしたことが、ちゃんと腹落ちしている状況を作ることが大事です。

また、メンバー一人ひとりとしても、これは自分にとって意味がある仕事なのか。メリットがあるのか。ここを腹落ちさせることも重要です。これはテレワークがどんどん進んできて、今まで以上に必要になってきています。

なぜかというと、(これまでは)同じ職場にいると、自分の作ったアウトプットを他部署が活用しているシーンを偶然見ることがありました。(しかし今、リモートになって)これがなくなると手応えを感じられないので、今まで以上に「Why」の浸透が求められています。

管理職の方は「結節点」なので、「社員と仕事」の結節点としての役割をきっちり捉えることが必要です。こういったことをいかにやるのかが2つ目です。

オープンの情報を元に、マネージャーとメンバーが一緒に「何が原因?」と考える

最後3つ目。オープン化に関しては、リモートワークがどんどん進んできて、ある意味で壁がある状況になっていると思われます。それに対しては、昔からある「工夫する主体性」「創り出す主体性」のように、仕事を自ら創ろうよという主体性も大事です。

さらにリモートワークが出てきた今は、それに加えて「情報を自分から取りに行く主体性」「自分から周りに発信する主体性」がより求められています。なので、こういったことを促進する状況を作ることが大切です。

しかも、人間には「自己決定理論」という、人から言われたことには基本的に受け身で、自分が決めたことには主体的になる特性があります。だから、いろいろな情報を多数オープンにしておいて、自主性が育つ環境をいかに作るかということが大事になります。

どうしても人は、受け身にならざるを得ない状況になると、どんどん“やらされ感”が出てきてしまいます。それを主体的にしていくためには、自分で決めなくてはいけない。その前提として、情報のオープン化が必要です。

「方針の背景」「チームの状況」「サーベイ結果」「タスクの状況」などオープンにしていきます。そもそもオープンでなければ、暗闇の中を全力で走れと言われているようなもので、それは無理ですよね。

なので、できる限り全体をオープンにしながら、自発的に動ける環境を作る。その上で参画できるとさらに良いと思います。例えば、エンゲージメントサーベイの結果(を受けて)、一方的に「お前らこうしろよ」と言われても、その時点で受け身的になる。

オープンになった情報を見て、マネージャーとメンバーが一緒に「何が原因なのかな。どうしたらいいのかな」と考えることこそが、一番エンゲージメントが高くなることとも言われています。

こういったことをしていくと、スコア的にも、管理職とメンバーの参加型のほうが(エンゲージメントが)上がると言われています。

「会社の方針を押し付ける」から「相手の意向を調整する」へ

それを踏まえて「組織変革へのポイント」のお話をしていきます。コッターという学者は、組織変革は(スライドを指して)こういうステップで、最初に短期的な成果を生んで、大きく展開することが大事だと提唱しています。

これ(スライドを指して)はある会社さんでやらせていただいたものですが、企業全体をガラッとエンゲージメントの高い組織に変えるには、トップから順番に意識を変えていって、かつ、一人ひとりがアクションできる余地を残すのがポイントです。(メンバーが)手を挙げられるようにしたり、どんどん相手方のベクトルを作っていくことを、うまく設計していきます。

その中でも、ミドルの方々に対しては、やはり重点的にやっています。先ほどのとおり結節点なので、いかにしっかりと今までの意識を変えて、ちゃんと役割を果たせるかということが重要となります。

30年前には「24時間戦えますか」みたいな言葉があって、今の管理職の方々はその感覚で育ってきています。それが、このエンゲージメントを高める結節点の役割とは真逆なので、なかなかできないところがあるんです。なので支援していく必要が出てきます。

今の若い方々は昔と違って「成果を求める」「お金持ちになりたい」みたいな欲求で働いている人は少なくなっています。もちろん、お金が欲しいという方もいますが、「成長実感」「好奇心」「人間関係」などを大切にする傾向にあります。

昔と違って、人によって(価値観が)バラバラなので、「会社としての方針を押し付ける」「本人の意向を尊重しすぎる」などではなくて、「相手の意向を調整する」ことが求められてきます。

例えば婚約する時に、完璧な条件のフィアンセを狙いにいっても、なかなかいない。「ここは絶対譲れないけれども、ここは大目に見よう」と言わない限り、出会いがないのと同じです。このように、仕事もメンバー一人ひとりに1回調整をしていって、「確かにその仕事って前向きにやりたいな」と思う状況を作らなくてはなりません。

弊社NEWONEでは、相手の意向を知るツールとして、(スライドを指して)こういった無料のサービスも用意しておりますので、ご活用いただくことができます。また、それを元にどういう1 on 1をしたら良いのかという、無料の冊子もございます。ご興味ある方はどうぞご活用いただければなと思います。

重要なのは、管理職の意識と行動を変えていくこと

今、いくつかご説明しましたが、何か1つの大きな(施策)だけで、サクッとエンゲージメントが上がるわけではありません。そうではなくて、全体を通じて変わってくこと。特に、管理職の方の意識と行動を変えていくことが重要です。

悪気がなくても、(価値観が昔のままなのは)仕方のない話です。(今は)自分が育ってきた環境とぜんぜん違うので、かなり支援しないと変われないのが前提としてあります。

それとやはり、テクノロジーがありますので、オープンにして一人ひとりが行動しやすい状況を作ってあげること。弊社もそういう意味でUniposを導入して、もう2~3年経ちますが、こういったベースを作っていくことが大事だと思います。

内容としては以上です。ありがとうございました。

(いただいた質問に関して)。会社と仕事が別々になる人もいれば、そこが一直線上になる人もいます。会社が好きで、仕事自体は何でも良いという方ですね。

例えば、立ち上げた時の理念が明確で、しっかり浸透しているベンチャーなどは「会社は好きなんだけど、1個1個の仕事は雑務だから好きじゃない。でも会社のためならがんばろう」という状況が起こります。(逆に)先ほどのプロフェッショナルエンジニアのように「会社はどこでも良いんだけど、この仕事でないと」というパターンもあります。

もちろん両方が好きだから仕事をがんばるパターンもあります。なので手を打つ時には、どっちも意識をしながら「これはどっち側を高めるんだっけな」と考えていけば良いと思います。

それでは時間となりましたので、締めさせていただきたいと思います。今日はありがとうございました。

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