2024.11.26
セキュリティ担当者への「現状把握」と「積極的諦め」のススメ “サイバーリスク=経営リスク”の時代の処方箋
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司会者:今回、弊社の鈴木泰平が『科学的に正しいチームメソッド30 メンバーが実力以上の力を発揮できるチームの作り方』を出版した記念としてセミナーをやっています。
今回のテーマは「組織として自然な状態とは? 生きてる組織・死んでる組織」で、これまで以上に難しい内容になっているような雰囲気はするんですが、解説していただければと思います。じゃあ鈴木さんお願いします。
鈴木泰平氏(以下、鈴木):みなさま、本日もセミナーにお越しいただきありがとうございます。「生きてる組織・死んでる組織」というテーマで、今の組織の状態についてどんなことが言えるのかというヒントをご提供できればと思っていますので、よろしくお願いします。
あらためまして、株式会社ワークハピネスの鈴木と申します。タイトルにもあるように、今回本を出版させていただきました。その1つのパートとして、健康でナチュラルな組織というテーマがあるんですが、そちらについて解説した内容になっております。
私の探究テーマが「場に命を与える組織開発」なんですが、この「組織」ってなんでしょう。物質の集まりではなくって、いわゆる生命性みたいなものがあると思っていまして。科学的な視点から、どんな状態なのかを今回は解説します。
あらためて、私の基本的な考えをもうちょっとだけ解説したいなと思います。物事や人もそうなんですが、「心身一如」という言葉があるように、心の部分と体の部分、物質の部分と精神の部分という2つの見方ができると思っています。
今の組織開発や人材育成の業界は、心理学ベースで扱っていると、基本的には左側の考え方なんですよね。けれども、それは物事の半分の部分を捉えていることであって、右側の体の部分や生命科学、物質的な部分、自然科学は忘れられている部分があると思っています。
なので、この両方の側面を捉えることによって、より人間や組織の本質を捉えることができるんじゃないかなと思って、さまざまな活動をしております。
鈴木:いろんな手法が世の中にあふれていて、How toを真似して、そのまんまのやり方でやってしまうところがあると思うんです。そうではなくて、Whyの部分ですね。なんでそれは効果があるんだとか、どういう変化を生み出せるのかを押さえないと、本当の意味で効果を発揮できないですから。
このWhyの部分を押さえる。人、生命の本質を知る。原理原則を学んだ上で、どんな実践・手法があるか。それを自社らしくアレンジ、チューンナップしていくことで、組織や人をよりよい状態に持っていくことが健全なんじゃないかと思っています。
さらっと(過去イベントの)1・2・3回の振り返りをお話ししたいと思います。過去3回に参加できなかった方も、ご要望やご希望があればスライド等を共有しますので、いつでも言ってください。
1回目は「心理的安全性」で、オキシトシンというホルモンをベースにお話をさせていただきました。オキシトシン分泌の関係がある、このネットワークですよね。いわゆる組織の心理的安全性という状態です。その状態が、人のパフォーマンスや、組織の一体感につながってるというお話をしております。
2回目はこんな話をしました。「エネルギーを生み出す」というところで、人のエネルギー源を大きくまとめると、ドーパミン・セロトニン・ノルアドレナリンという3つのホルモンで成り立っていると、生命科学的には言えると思っています。
どれも大事で、どれかが偏っているとよくない状態であり、この3つのバランスが整っている状態がとても健全で、組織としても個人としてもパフォーマンスが高い状態なのではないかとお話しさせていただいておりました。
鈴木:第3回は、アイデアを作る組織構造のお話をさせていただきました。これまでドーパミンやオキシトシンなどを取り上げて、その負の側面をお話ししました。
例えばドーパミンですと、1つのものにすごく集中してそれに向かってがんばるという構造ができるんですが、それが過度になってしまうと、いわゆる中毒症状みたいになってしまって、これ以外に興味を示さなくなってしまうんですよね。これが新しいアイデアを潰すと言いますか、それ以外の着想が得られにくい状態になってしまうとお話ししました。
もう1つ、オキシトシンの負の側面もお話ししました。オキシトシンってすごくいい感じのホルモンに見えると思うんですが、敵と味方の区別をつけるようなホルモンでもあるんですよね。なので、コミュニケーションがない人たちは「敵」とみなされてしまう。
これは「排他性」と言われることがあります。組織の一体感を維持するためであったり、絆を維持するための生き物としての自然な仕組みでそうなってしまうと言われています。
なので、このオキシトシンの負の側面を理解した上で、いわゆるセクショナリズムや排他性をどうやったら抑えていくことができるか、また、排他性を下げることによって、シナジーを生み出しやすい組織をどうやって作っていくかを前回お話ししました。
これが1・2・3回の振り返りです。本当に簡単に「こんなお話をしました」というところで、スライドや資料が欲しい方は言っていただければお渡ししたいと思います。
鈴木:今回はだいぶテイストが変わったお話になっています。「生命体的組織とは」というところで、(本題に)入っていきたいと思います。
「生きてる組織・死んでる組織」というテーマでお話をするんですが、先ほどお話したようなシステムは、物理学的には「死んでいる状態」と規定されているんですよね。その反対が「生きている状態」と言うことができると思っています。
また、2018年に出版された『ティール組織』でもメタファーがあります。生命体だという例えられ方をするんですが、ビジネスのティール組織も生き物的な挙動をするというか、生命体的な側面があるというのが、いろんな研究からだんだんとわかってきて。それについて、少し解説していきたいと思っています。
まず目線合わせで、生命体的組織というテーマでお話をしていきたいなと思います。「生きている状態って何?」と聞かれると、けっこう難しいんじゃないかと思います。みなさん、こう聞かれたらどうですかね? ちょっと考えてみてください。
これが生きている状態か、組織に当てはめたらこんな状態かということなんですが、これはけっこう難しい問いですよね。組織モデルとして大きく二分すると、「機械的組織」に対して「生命体的組織」という言われ方をするんですが、聞いたことがある方もいらっしゃるんじゃないかと思います。
簡単に説明すると、機械的組織はこのスライドのイメージですね。トップがいて階層構造で枝分かれしているものが、いわゆるピラミッド型の組織と言われていると思うんですが、無機的なヒエラルキーで成り立っている。トップダウンで管理されている感じであったり、いわゆる外発的動機で動くメンバーが多い印象があるかと思います。
日本企業とか、どちらかと言うと大企業寄りの会社は機械的組織なんて形容されたりするかもしれないんですが、そんなイメージの組織ですね。
鈴木:もう1個。この右側の生命体的組織とは、有機的なネットワークで、個々のメンバーが自律分散型でつながっていて1つの形を成しているイメージですね。ボトムアップによるメンバーの自律的な動きがあって、どちらかというと内発的動機によって動いているようなイメージだと思います。
ティール組織が出てきてから、「すごい組織」は生命体的だというような文脈で、いろんなところでいろんな方が語ってると思うんですが、ティール組織を見てみたいと思います。
知ってる方も知らない方もいらっしゃると思うので、さらっと解説すると、組織は同心円状になっています。レッドからアンバー、オレンジ、グリーン、ティールと進化してきてこんな形になっていますということを、コンサルタントの方がまとめたのが『ティール組織』という本です。
最初はレッド、力による支配。狼の群れのような組織が、長期的な計画を立ててそれを管理するような。アンバーは、いわゆる官僚型組織みたいと言われたりするんですが、そんな形になっている。
次にオレンジが来て、そこからやっとイノベーションや、科学的マネジメントということが言われ出す。グリーンで、どういうことを実現したいか、どちらかというと内発的な思いみたいなことが少し出てきて、それぞれの思いを尊重しあえるような状態になってきていると。
最後にティールが信頼で結びついている。指示命令系統がなくていいと書いてあるんですが、これがまさしく生命体的(組織)だと言われています。
鈴木:正直、生命体的(組織)って何だ? というところなんですが、これは基本的にあるの理論に基づいていると言われているんです。それが自己組織化ということですね。「自己組織化」はみなさん聞いたことありますかね。組織経営に関わる方でしたら、聞いたことがある単語なんじゃないかなと思います。
自己組織化とは、このような定義かと思っています。バラバラな要素が相互につながりあうことによって、秩序や構造が生まれる現象ですね。いろんな要素があって、それが相互に結びついた時に1個の形になるのが自己組織化のイメージだと思っていただいて大丈夫かなと思います。
例えば、雪の結晶ですね。一つひとつは粒氷だと思うんですけれども、それが時間が経って、だんだんきれいな六角形の構造の結晶になってくる。そして、この右側の渦は渦潮ですね。それぞれの波がつながりあって1個の大きな渦になっていくというのが、例えとしてあると思います。これが自己組織化と言われているんですね。ティール組織、そのメタファーが生命体となっています。これは自己組織化のエネルギーを使って、そういう形を生み出していると言われています。
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