2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
kintone AWARD⑤株式会社サエラ(全1記事)
提供:サイボウズ株式会社
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田中良和氏(以下、田中):私たちサエラ薬局グループは、全国に74店舗を展開する調剤薬局グループです。毎年春には30~50名の新入社員を迎えますが、その採用に日々努力しているのが、人事部新卒採用担当です。
西川智美氏(以下、西川):次に私たちの自己紹介をいたします。私は西川智美と申します。人事部で主に新卒採用を担当しております。
田中:私は田中良和と申しまして、総務部で社内のWeb管理やデジタル化の推進を行っております。本日は「『ツールのために仕事をする』のは、もうやめました」と題して、kintoneの導入から現在に至るまでのお話をさせていただきます。
西川:弊社では毎年、薬剤師と事務職の採用を行っており、そのうち薬剤師採用では、1年度あたり約1,000名の学生さんと接点を持つことになります。こちらが当時使用していたExcelファイルです。一見よくあるデータと思われるかもしれませんが、まだまだ続きまして、最終的に250列×1,000行にも及ぶ、途方もないデータになっています。
しかもこのようなExcelファイルが複数年度ぶん、順次稼働していたため、ご覧のようなさまざまな問題が発生していました。おそらくどこの企業の方々にも「うちもあるな」と思われるような問題かと思いますが、当時の私たちもこういった問題をたくさん抱えていました。
Excelのデータの修復に最大で2日間かかるなど、本来の業務の時間が奪われることも珍しくない状態でしたが、学生さんに迷惑をかけることだけはしたくないと、我慢強く運用をしていました。
田中:この状態を見かねた担当役員から「なんとか抜け出せるように、力を貸してやってくれないか」と言われ、ヒアリングを行いました。Excelは縦や横に並んだ数字を計算したり、グラフを作ったりするための、数字のためのアプリケーションです。少しきついなと思いながらも、「知らんかもしれんけど、Excelってほんまは表計算ソフトやねんで?」という言葉も出ました。
西川:田中の言葉を受けて、「じゃあどうすれば?」というのが正直な思いでした。私たちが情報管理をExcelで続けていたのは、こだわりがあったわけではなく単に「ほかの手段を知らなかったから」です。
田中:さらにヒアリングを続けて、このようなユーザー像を想定し、求める6つの要件を書き出しました。市販されているパッケージソフトでも、フルスクラッチでシステムを作り上げても、柔軟に運用するのは難しく、いろいろと調査した結果、kintoneだけがこの要件を満たせると判断しました。
しかし西川たちがkintoneを使えるだろうかという不安は残りました。そこで、「こういうことができる」という情報を高頻度で発信しながら、とにかく触れて、知って、慣れてもらうというキャンペーンを部内で展開しました。
西川:実際にkintoneに触れてみて、まず思ったのが「自分たちがやりたいことをどうアプリ化すればいいかがわからない」ということでした。私はコードが書けるわけでもなく、システム部門での業務経験もない、いわゆるシステム初心者です。そんな私がこのような膨大なデータをアプリ化するということが難しかったのです。
まずExcelファイルをカテゴリ別に分割して読み込ませ、14個のアプリを作成しましたが、1年度あたり14ものアプリを事故なく運用するのは現実的ではなく、また私たちが望むことからも大きくかけ離れていました。
田中:この状況を打破すべく、2019年3月に開催されたkintoneのワークショップに参加しました。他社も同じような悩みを抱えていることを、西川にも知ってほしかったのです。
西川:ワークショップではサイボウズのスタッフの方に温かい言葉で背中を押していただきながら、本格的なトレーニングを開始しました。まず行ったのが、フィールド全種の個性をつかむことでした。例えば一見よく似ている「ラジオボタン」と「チェックボックス」の違いは何か。どのような使い方が適しているかなどを、一つひとつのフィールドに対して試していきました。
並行して、学生さんの情報管理に必要な項目やフローの見直しも行った結果、14あったアプリを7つにまで統合することができました。
田中:そしてこのワークショップの最後に、私はサイボウズのスタッフさんの前で「3年後の2022年に『kintone hive』(kintoneの活用ノウハウをユーザー同士で共有するライブイベント)にエントリーしてもらいます」と西川に告げました。
西川:当時は「アプリ作りすらままならない状態なのに、いきなりなんてことを言い出すんだ」と本当に焦りましたが(笑)、本日ありがたくもこの場に登壇させていただいております。
田中:西川の本業はアプリ作りではないので、行き詰まった時のために、いつでも質問できる環境を設けました。モヤモヤを抱える時間を最小限にし、「わからない」が原因で嫌いにさせないことを徹底しました。
西川:kintoneでアプリの作成や改善を行いますと、自然とPDCAサイクルが回ります。それを繰り返すうちに、「もっとこうしたい」「もっと便利にしたい」という前向きな思いを、自分で次々と抱けるようになりました。私のこの変化を見て田中は「西川が覚醒した」と思ってくれたようです。
kintoneの良さは、利用者である自分たちでアプリの作成や改善を行うことによって、「自分ごと化」できる点です。システム部門や外部に依頼をするとなると遠慮してしまうような小さな不便さも、自分たちの工夫で改善できるところが最大の魅力だと思います。
当然アプリの作成や改善には時間を要しますが、それはポジティブな時間消費です。以前のように「復旧しなければ業務が止まる」といったネガティブな時間消費ではないところは、非常に大きな変化でした。
田中:アプリの作成や改善をすることで、西川に業務の改善や意識の変化が見られましたね。
西川:そして2020年の夏前には、冒頭でお話ししたあの膨大なデータを、学生さんのカルテアプリ、内定者専用のアプリの2アプリにまとめることができました。
アプリを集約したことで、1アプリに対するフィールド数は多少増えましたが、タブ機能を用いることで、カテゴリ別にすっきりと見やすくしています。さらにリマインダー機能を積極的に活用して、ヒューマンエラーの防止も行っています。
西川:アプリ化によって定量的な成果も得られました。データ修復等のネガティブな時間が、月間約40時間から0時間に。会議等の資料作成の時間が、月間約20時間から3時間に、リカバリー件数も月間約20件から2件程度に激減しました。
田中:このようにスキルアップをすると、100パーセントのアプリを目指しがちですが、ハードルを上げないように、最低限運用可能な状態でリリースすることを意識させました。
西川:当初の課題であったご覧の3つは2020年内にすべて達成しましたが、現状に満足はしていません。私には叶えたいことがまだまだたくさんあります。「ツールのための仕事をやめる」ことを目的に導入したkintoneは、こんなにも野望を抱けるツールでした。
田中:仕様や要件を詰めて高価なシステムを導入しても、本当に必要なものができるとは限りません。「使う人が作る」ものが欲しいものに一番近く、「理解したつもりの人」が出しゃばらない。最大の学習である「自らの気づき」を得てほしかったのです。私の伴走ポリシーは「知恵は貸しても、手は出さない」。これを徹底しました。
西川:私がkintoneと仲良くなれたのは、お化けExcelをどうにかしたいという明確な目的があり、田中のサポートがあったからです。kintoneがあるだけで何かが劇的に変わることはありません。
kintoneに寄りかかるのではなく、自分が一緒に成長していくこと。これが非常に大事だと考えています。また今後の目標として、次は私自身が誰かの伴走者となり、業務改善や仕事の楽しさを知るサポートをしたいと思っています。以上、ご清聴ありがとうございました。
(会場拍手)
相馬理人氏(以下、相馬):ありがとうございました。お二方にもZoom応援団のみなさんがいらっしゃいますので、お呼びしたいと思います。Zoom応援団のみなさーん! こんにちは。
ありがとうございます。ではお二方にもお話を聞いていきたいと思います。Excelが手軽で柔軟なところはkintoneと似ていますが、「表計算ソフトだ」と指摘されたと。(笑)。
田中:(笑)。
相馬:すごく印象的だったのは、「知恵は貸すけど手は貸さない」とおっしゃっていて、その線引きをどうされているのかを、まず田中さんにおうかがいしたいです。
田中:「何かに行き詰まった」という相談が来たら、必ずその時点でわかる範囲で答え、わからない時は「#kintone」とかでみなさんのお力を借りて(笑)、西川に伝えるということをしていましたが、私がアプリの設定画面を開いて何かをするということはしませんでした。
相馬:なるほど。逆に「知恵は貸してくれるけど手は貸してくれない」ということに対し、進め方等を含めて、西川さんはいかがでしたか?
西川:先ほど「悩む時間を最小限に」という言葉が田中からありましたが、相談にいくといつもすぐに困っていることに対するフィードバックをもらえました。そして「ここからは自分でやります」と持ち帰り、また詰まったら聞きにいって……というかたちでしたので、放置されているとか、冷たくされているような印象はまったくなかったですね(笑)。
田中:(笑)。
相馬:なるほど。知恵を与えてくれる存在と、そこに引っ張ってもらいながら自分で手を動かしてやっていくという、お二方のすごくいい関係があったのですね。
今回のイベントで初めてのチームでの事例でしたが、お二方の立場がそれぞれ違ったので、非常に参考になる発表をしていただけたと思います。みなさん、お二方にもう一度大きな拍手をお願いいたします。
(会場拍手)
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