連携を狙ったが「協力」より「競争」になってしまった

斉藤知明氏(以下、斉藤):では「問い2」にいってから、ディスカッションに移りましょう。ここまで各社様から「課題を発見して解決し、成果につなげていった」というお話がございました。とはいえ、それってすごく難しいことだと思うんです。

そこで今回の成果の裏側にある、課題発見からの変化。その裏側で、どんなお取り組みをされていたのか? どのようにステークホルダーを巻き込んでいったり、進めていったりしたのか? について、おうかがいしていきたいと思います。ではこちらも、中井さんからお願いします。

中井達也氏(以下、中井):はい。「組織の壁」がありまして。先ほども申し上げた「ストアアテンド」って、もともとは営業部の組織下にあるメンバーでした。紳士部門のストアアテンドであれば、メンズ館での買い回りを促進する役割というように、営業現場に紐づけられて組織されたんですね(ステップ1)。なので、(外商部のセールスと)紐付いている部門が全く違っていました。

ただ「この2つ(ストアアテンドとセールス)をなんとか連携しなきゃいけないね」というところで、ステップ2としては、ストアアテンドチームを営業部から離して、外商部とうまく連携させようと、こんな過程があったんですね。でもやはり紐付いているところが違うと、思ったほどシナジーが発揮できなかったんです。「協力」というより「競争」といいますかね。

そこで、(スライドを指して)ステップ3は、外商部とストアアテンド部を一体化しようと同じ外商部の組織下に組み込みました。そこでさらなる連携を図るために、件の「バディ制」をやりました。

なので、ちょうど組織を変えていったステップ2とステップ3の過渡期において、Uniposさん導入しました。組織の形を変え、人と人とのつながりもそういったツールを使ってコミュニケーションを促進していき、さらにその後にステップ3、「セールス」と「ストアアテンド」が同じ組織下になるこのかたちにして、ようやく「バディ制」をやったと。

なので、ここまでおこなってからバディ制を導入・実施したので、障壁というのはあまりなかったですね。ただ、そこに至るまで過程はこのようなものだった、ということです。

互いを知らないメンバー同士が、信頼関係を構築するまで

中井:あともう1つは「信頼関係の構築」なんですよね。ストアアテンドと外商セールスで「バディを組もうよ」となったあとの話なんですけれども、中には「私だけでできますから」という外商セールスもいたんです。そもそも「知らないメンバーに自分のお客さまを任せるのが不安だ」と。

そこで何をやったかというと、ストアアテンドの人たちは元々が各領域のスペシャリストなので「私は何が得意なのか」といったリストを作ったり、「セールス」担当の朝礼に参加して顔繋ぎをしたりとか。そういったベタなことをやったんですね。

なおかつ(スライドを指して)「まずやってみよう」とあるんですけれども、外商セールスの中で「ストアアテンドを使おうよ」という成功事例を作っていったんです。ストアアテンドと連携することによって、先ほどあった外商セールスの「不」である「深い提案ができない」とか「1人で多くを担当するので、手が回らなくなった」とか。そういった時に「ストアアテンドがいて助かった」と。

すると、お客さまの満足度が目に見えて向上したんです。そういった成果が見えたことで、周囲の意識がどんどん変化していきました。   もう1個あったのは、バディ制が波に乗ってくると、ストアアテンドも要員に不足感が出てきたんです。そこで店頭の人間を、ストアアテンドに転換しています。その要員増に動く時に行った工夫の1つとして「育児勤務者」を優先登用しました。

というのは、伊勢丹の外商のお客さまには、小さな子どもを持つ非常に若いお客さまが多かったんです。そういった方たちと話が合うとか、共感できるとか、お客さまに寄り添う事が非常に大切と考えておりますので、そういった同じ境遇であるメンバーをストアアテンドにすべきだろうということで、そのような人選をしていったということです。 

話は戻りますが、ストアアテンドと外商セールスが連携してきた時に「何をもって成果として評価されるのか?」というところが問題となりました。ストアアテンドは何人かのチームを組んでおりまして、例えば「お客さまの商品を用意する人」とか「配送する人」とか、それぞれいろんな役割をを担っているわけなんですね。そんな方たちを(売上だけでなく)きちんと評価する仕組みを別に走らせていましたので、そういった意味でも、ストアアテンドと外商セールスの連携もうまくいきました。

価値観の「浸透」ではなく、価値観の「涵養」

斉藤:ありがとうございました。では次は大角さん。お願いします。

大角晴美氏(以下、大角):私たちサントリーパブリシティサービスは、まず「ありたい姿」を自分たちで話し合うところから始めております。「いいチームにしたい。いい組織にしたい。現場を安定させたい」とみんな思っているんですけれども。

捉え方が「人それぞれ」になっていたということと、それを持ち合って話し合う機会があまりなかったものですから「日頃どんなことを考えていて『安定した組織』ってどういうものだと考えているのか?」について話し合うところから始めました。

組織や会社に対する不満もありましたけれども、そういったものも含めて全部出し合ったあとに「ではどうやったら安定運営できるのか?」を話し合って。

先ほどの受賞メッセージでも「属人化しやすい」とお話しいただきましたが、人それぞれの個人的な解釈にならないようにきちんと明文化して、みんなで見えるようにしたというところが、取り組みのポイントです。

毎回同じ「安定運営の4要素」の図を、会議体や研修の場でスタッフに見せて共有していくんですが、その際に「こう決めたから、こうやりましょう」ではなく、それぞれのペースで自分ごととしてそれを考えてもらっています。「じゃあ私はどうしたらいいんだろう?」とスタッフ一人ひとりが考える。

時間はかかるんですが、価値観の「浸透」ではなく、価値観の「涵養」という言葉を敢えて使っています。「自分のペースで、自分で解釈をして、自分でどうするのか考える時間」を作ることを意識して。これはイメージの問題なんですけれども、会議体・研修の場でも徹底するというより、こういったことを意識して話をするようにしていました。

そして、先ほどお話した「コミュニケーション機会の充実」というところについては、いろんな研修や会議の場はあったんですが、そういったものも「コミュニケーションの場」として一方通行の発表にならないようにしています。(スライドを指して)会議体の写真が出ていますけれども、みんな笑顔で参加してくれています。

斉藤:(笑)。

「全員で」「ジブンゴト化」して、ひたすら「やり続ける」

大角:先ほどの「課題に対して」というところで「涵養」という言葉を使いましたが、「全員で」「ジブンゴト化」して、ひたすら「やり続ける」。

(スライドを指して)水色の枠のところ、ポイントが3つあるんですが、1つ目に、会議体やプロジェクトに関しては「縦横ナナメ」という、通常の属性とは違う人たちと、敢えてコミュニケーションが取れるようなかたちを取りました。拠点がいくつもありますので、研修なども「拠点単体」で行うのではなくて「拠点MIX」で。いろんな人が集まってコミュニケーションが取れるような機会も設定しております。

そして、(スライドを指して)2つ目の「スモールステップでほめる」。「半年に1回の面談でほめる」とかではなく、Uniposをうまく活用して、できたことをリアルな声がけも含めて、ちょいちょいほめていく。

その「ほめる」というところも、重要なフィードバックになりますので、「ほめるワークショップ」というのもやっていまして。ほめ方を練習するとか、そういうこともやったりしています。

そして3つ目に、自分たちがやってきたことを「定期的に振り返る」。会議、それから研修のあとには必ずアンケートを取って「どんなところが印象に残ったのか? それを自分に活かすとすれば、どういうことなのか?」というアンケートを取って、振り返りをしています。

先ほどご紹介しました、1年に1回の社員意識調査の他に、自分たち独自で「拠点診断」という職場の“定期検診”を行っています。

こちらでは「安定運営の4要素」に紐付けまして「今は組織がどういう状態で、コミュニケーション機会がどれだけ充実しているのか?」というのを図っていって。「○×」ではなく、今の状態をきちんと図ることで、次のステップに活かしていくということを繰り返しやっています。

こちらの取り組みは2年間くらいやっておりまして、会議・研修ではずっと同じメッセージを伝えているんです。そうしますと、拠点単位の目標設定にも「安定運営の4要素」を取り入れて来るようになりました。更に「この1年間や半年間、どんなことに取り組むか?」という個人の目標設定なども、取り入れられています。

斉藤:ありがとうございます。いやぁ、地道ですね。

大角:そうですね(笑)。

斉藤:まさにそこがポイントなんだろうなと感じ始めています。

まだ役職のない30代の女性を、プロジェクトリーダーに抜擢

斉藤:では蓮井さんのお話しもお聞かせください。日阪製作所さんでは、どのようにして巻き込んでいかれたのでしょうか。

蓮井恵一氏(以下、蓮井):私どもは、ひと言でいうと「自分ごと化」をキーワードで進めてきました。プロセス段階からの社員巻き込みのポイントとして、3つ挙げさせていただいているんですけど、1つ目は「役職のまだない30代の女性をプロジェクトリーダーに抜擢」しました。

これは全社レベルのプロジェクトでは初めての試みで、注目度と心理的安全性がアップしたんじゃないかなと思います。その結果、アンケートの回答率は70パーセントを超えました。あと、公募したプロジェクトには、社員の1/4にあたる166名が「参加したい」もしくは「オファーがあれば参加する」という回答をしてくれました。

2つ目として「プロジェクトメンバーの多様性」。166名に応募していただいたので、年齢・性別・役職・職種などの異なる人を集めることができました。また、国内外の関係会社への出向者もメンバーとすることで、さまざまな視点からの意見を考慮することができました。

3つ目は「オブザーバーの積極的関与」。プロジェクトメンバーは14名としたので、ここに入れなかった応募者にも、何らかのかたちで関わっていただきたいということで、オブザーバーとして招集しました。

社内SNSグループを作って議事録を共有して、オブザーバーも意見を述べる機会を提供しました。一例なんですけれども、新理念体系は素案では「HISAKA WAY」という名称だったのですが。プロジェクトで再検討して候補を3つ挙げて、その中からオブザーバーの投票を行って。結果として「HISAKA MIND」という名称に変更しました。役員会でもこのプロセスを説明することで、スムーズに名称変更も承認されました。

以上のような巻き込みを行ったことで「自分たちも関わったんだ」という新理念体系になったと思います。

浸透のフェーズでどういう巻き込みを行っていったか?

蓮井:次に「浸透のフェーズでどういう巻き込みを行っていったか?」というところですけれども、1つ目は「Uniposを活用したHISAKA MIND行動指針表彰」というのを、今年6月からスタートしました。

(スライドを指して)右にありますように、例えば今年9月にピックアップしたのは「謙虚であり続ける」という行動指針。このハッシュタグ付きの投稿の中で、拍手が一番多かったものにMVP投稿にするなどの「プチ表彰」を毎月行っております。

2つ目が「評価制度への反映」。いくら大事だ大事だと言っても、そういった行動が評価されないと、なかなか理念に基づく行動の促進は難しいというところから、現在、評価制度に見直しを行っています。管理職は来年4月から、一般社員は再来年の4月から、制度改定の予定で進めております。

3つ目は「役員・本部長対象のワークショップ」。自身のこれまでの判断・行動を、企業理念と照らし合わせて振り返っていただいて、理念に基づく判断・行動事例を作ってもらう。

それを朝礼などで部下に紹介してもらうことで、上からの率先垂範といいますか、本気度を上から示していってもらいます。こういったワークショップは、全社的にどんどん広く展開していくことを計画しております。

4つ目として「理念Song・理念体操」も作ってみようと。五感を使って理念を自分ごと化していこうということで、なかなか珍しい取り組みだと思いますので、これをメディアに取り上げていただければありがたいな思っております。

「ありがとう」と言われて、うれしくない人はいない

斉藤:では日向さん、お取り組みについてお教えください。

日向美奈子氏(以下、日向):乗り越えたハードルであったりとか、巻き込むために何かをしたか? というと、正直言って「ない」んです。ハードルがそもそもなかったので、自然に浸透していきました 1つ懸念していたのは、SNS世代の若い世代だけではなく、弊社には50代や60代を超える社員もいますので、その社員たちがUniposをどう活用するか? というところです。少し懸念はしていたのですが、やはり「人から『ありがとう』と言われてうれしくない人っていないんだな」と実感しました。

50代、60代の方でも、一緒に働く仲間に「ありがとう」と言ってもらえると「この年になって、家族にも『ありがとう』と言われることがないので、すごくうれしい」と、お返事として(今度は自分が)Uniposに送りどんどん活性化していったので、乗り越えたハードルというのはないです。

ただ「さらなる浸透・利用促進のために取り組んだこと」として、投稿数No.1を毎月表彰しています。表彰といっても何かをプレゼントするとかそういうものではなく、全社員に「今月の投稿数No.1は○○先生でしたよ」と紹介しています。

さらに、1ヶ月で30以上の投稿をした職員に対して「ユニポス有給」を1日付与しています。弊社には160人弱の社員が居るのですが、毎月100人以上の「ユニポス有給」取得者がいます。この取り組みをしたことによって、投稿率が79パーセントから93パーセントまで上がり、100パーセントに近づいてきました。

「ありがとう」と相互間で送るだけではなく、「いいね」「ありがとう」を見える化したことによって、それに対する「素晴らしいね」「素敵だね」という拍手率も、60パーセントから79パーセントまでUPしました。

やはり人が定着するには「社員の心理的安全性が高まること」がすごく重要です。私たちが目指しているのは「また明日も来たい保育園」。これは子どもだけではなく、保護者ももちろん、働く社員にとっても「また明日も来たい」と思ってほしいので、これからも継続していきたいと思っています。

「上から降りてきたもの」は、やはり他人事になってしまう

斉藤:ありがとうございます。すごく実践的なTIPSも含めてお伝えいただけました。みなさん、課題に向き合ってから、現場の声にすごく耳を傾けていますね。それこそ伊勢丹さんの事例でも「ストアアテンドに任せるのが不安」という声があった。だからこういう対処をしていったんだ、と。

日阪さんの事例でも「自分が関わっている」という意識を出すためにいくつかの巻き込みを進めていったとのことでしたが、(本当は)トップダウンでやったほうが早いじゃないですか(笑)。でもその中でも、やはり「自分ごと化した・してもらう場作りをした」。もしくは耳を傾け続けたことで、みなさんにとってどういったうれしいことがありましたか? また、そこでの困難ってありましたか?

例えば蓮井さん。30代女性で無役職の方をリーダーに抜擢されたという話。その方って、最初から「やるぞ!」というかたちでしたか?

蓮井:元からインナーブランディングをやっていた女性でして「体系化をやりたい」ということを、個人的にも思っていた人でした。僕としては、当初から「自分がやるんじゃなくて、その人にやってほしいな」という思いがありました。

でも一応、ステップは踏みました。素案作りのプロジェクトは私がリーダーをしていたんですけど、まずはそのメンバーに入ってもらって、素案作りにも介入してもらって。あと社長への中間報告にも、その人を連れていって内容説明をしてもらうといったところで、認知してもらって。

「プロジェクトリーダーは彼女でやりたいんです」と言ったら、ほぼスッと「わかった」と。社員向けにもまだ名前が知れていなかったので、先ほどお話しした9月の理念の素案の説明は、彼女にやっていただきました。

というステップを踏んだところで、会社としても「女性の活躍」が1つの課題でもあって「いい機会だな」という認識を持っていたので、思ったよりスッと(スムーズに)いったかなというのが正直なところです。

斉藤:そこで会社として大事にしていきたいこともちゃんと語れるし、そこを変えていきたいという意欲もある。また、そこがいい意味で経営と離れている。「経営でずっとやり続けたわけじゃない人たち」が主体になることで、新しい風だったりとか、現場の多様性を取り込めるんじゃないか? という仮説が、蓮井さんの中であったということなんですかね。

蓮井:そうですね。本当に「自分たちで関わる」というところを、すごく大事にしたかったんです。「上から降りてきたもの」「自分が決めることにまったく関与していないこと」って、やはり他人事になっちゃうんで。

そこは「少しでも多くの人」という意識があって、その中ではリーダーというのは1つの象徴。今回は非常にうまくいって、彼女がすごくがんばってくれたのでよかったです。

斉藤:ぜひUnipos(で称賛を)、送ってあげてください(笑)。

「無理矢理させること」と「自主的にやってもらうこと」のバランス

斉藤:こういう「会社として強いるコミュニケーション」って、どうしても必要になってくるじゃないですか。組織風土を作るとか、あとは「部署を異動させた」「部署を組み替えた」という話も、中井さんのケースでありました。

日向さんのケースだと、今回の「No.1を表彰します」や「Unipos有給をあげるから投稿してね」というのは、ある意味でのルール化。1日1回の投稿を、新卒で入ってきた人に対してルール化しました、と。これって経営側からすると「甲乙あるな」と感じることはあるんですよ。

「無理矢理させること」と「自律的・自主的にやってもらうこと」って、バランスがあるなと思っているんですけど、日向さん。この取り組みをみんなに共有した時ってどんな反応で、どうやって浸透させていきました?

日向:そうですね。本当に(社員が)「ルール化」と受け取っていないんだろうなと思っています。

斉藤:なるほど。

日向:「『ありがとう』と言われたらうれしいよね」と全社員に発信したんです。私たちには13園の保育園あるんですが、今はコロナ禍で園間の異動がなかなかできない。それまではけっこう顔を合わせてやっていたんですが、今は顔を合わせることがない中で、やはりこのUniposのメッセージは中身がすごく大事だと思っています。

その場にいなくても、その時の情景がわかるようなメッセージがすごく多いんですね。ひと言「ありがとう」でももちろんいいんですけども、「この時こういうふうにしてくれて、こういうふうにしてくれたから、私はこう思いました。本当に助けてくれてありがとう」とか。その場にいない人でもわかるメッセージが多いです。送りあっている社員同士も「ルールだから」と受け取っていないと思っております。

斉藤:チャットでも「(投稿の)数が増えたら内容薄まっちゃうんじゃないの?」というコメントも出てきたんですけれども、そこは何か工夫されていたポイントはあるんですか? 自然とそうなったんですかね?

日向:そうです。保育士という職業柄、保護者宛てに毎日お便りを書いているのも関係しているのかもしれません。

斉藤:なるほど

日向:一人ひとりの子どもを見るとか、そういうのには長けているのかなと思います。なので、それが「Uniposは一緒に働く仲間を見ましょうね。感じたことを言葉・メッセージにのせましょうね」というぐらいなので、内容も特段薄まることもなく、似たりよったりということもありません。メッセージの内容をちょっとお見せしたいくらいです。

斉藤:ぜひ今度、こっそり見せてください(笑)。

日向:はい。

斉藤:いろんなみなさまのご状況を見ていて、(メッセージに)慣れてくるといいますか、書いてくると得意になっていくと感じます。さっきおっしゃっていた「保護者のみなさんにメッセージを書く習慣があるから、書き慣れてくる」というのと同じで。

Uniposでは多く送っている人ほど、投稿の文字数が増えていくという傾向が実際にあったりするんですよ。社内のデータで見てみると。そこはもしかしたら「薄まるんじゃないか」という懸念は杞憂なのかもしれないですね。ありがとうございます。

いろんな専門性を持った人間と連携しないと対応していけない、変化

斉藤:また、改めてUniposの外の話になりますが、中井さん。さきほどのお話で「部署を替えた」というところについて。けっこう僕もUnipos社の中でやりがちなんですよ。でも、ゴリッと変えるとみんな最初は戸惑うじゃないですか。現場はどうでしたか? 乗り越えられました?

中井:私たちの会社では外商だけじゃなくて、組織変更が比較的多くありまして。

斉藤:はいはい。

中井:お客さまが刻々と変化しているので、そこに対してやはり我々も変化・対応していかなければいけないです。店頭を変えるとかそういうことだけではなく、働き方だとかそういったものを変えるために、けっこう組織変更をやっているんですね。

ですので、もともと2つに分かれていたセールスとアテンドを1つにしたことに関しては、そんなに大きな戸惑いはあまりなかったんですね。

斉藤:逆に、もともと分けていたことでの「連携しづらさ」は、みんながなんとなく感じていて。それを中井さんが現場を見ていらっしゃる中で受け取っていて。なおかつ「売上最大化=顧客への価値最大化をしていく」という旗印がちゃんとあれば、そこに対してみんな違和感なく変化を受け入れてくれた、というかたちなんですかね。

中井:そうですね。そこはやはり大きかったのかなと思います。あとやはり、外商のセールスにしてもアテンドにしても、お客さまと対応していく中で変化を感じるんですよ。というのは、これまでだったら「特定の商品は人気がある」みたいな。ある意味「内向き」じゃないですけど、そんな商売だった。

そこをお客さまが「1人の中に多くの価値観を持つようになってきた」ということは、いろんな専門性を持った人間と連携しないと、対応していけないんですね。

やはりそういった現場の危機感も背景にありましたので、こういった連携というのは、最初は「信頼できる・できない」はあったんですけど、比較的すんなり受け入れられた。そういった危機感が土壌にあったということですかね。

「どうしてそう思うのか?」を一緒に考えていく“場”

斉藤:「危機感があった中で、土台作りを一緒にしていきました」ということだったのかなと思うんですけれども。

サントリーパブリシティサービスさんの中でも「ありたい姿の明文化」。これって中井さんのお話でも、日向さんのお話の中でもあった「感謝されてうれしい」という文化を作っていくこと。また、いろんな価値観が多様化していく中で、複数のスキル、いろんなスペシャリティを持った人に当たらないといけないんだ、という伊勢丹さんのお取り組みもあったと思うんですけれども。

サントリーパブリシティサービスさんの中でも「安定運営」というのが、今回のキーワードとして出てきました。これは、みんなで分かち合えてた中で、会社の強みを据えおいた結果として出てきた言葉なんですか?

大角:そうですね。今日、文章として示してはいないんですが「安定運営」と言いましても「休暇や休憩がきちんと取れる」とか「コミュニケーションの機会がちゃんとある」とか「スキルアップの機会がちゃんとある」といったレベルで、すごく難しいことではなく。

本当に当たり前のことで、みんなの頭の中では当然あるものをちゃんと言葉にして。「みんなここを目指していて、これが達成されたとき『安定している組織、安定しているいいチーム』と呼べる」ということを、共有していったという感じです。   斉藤:共有していきつつ、あとはかなり研修・ワークが多いですよね。みなさんと共有する時に、一緒に考えるという習慣を作っていらっしゃるんですかね。

大角:そうですね。もちろんティーチングみたいなところもあるんですが、基本的には対話型のワークショップみたいなものを中心にしています。「どうしてそう思うのか?」とか「理想に近づけるためにはどうしたらいいのか?」ということは、一緒に考えていく。答えがない世界ではありますけれども、そういった場を大事にしております。

回し続ける「知る・変える・進化させる」のサイクル

斉藤:ありがとうございます。ではここでまとめに入らせていただきます。今回、中竹(竜二)さんのご講演でありました「組織文化を『知り、変え、進化させる』」。これ、最初に「知った」ら「あとは動くだけ」ではないなというのは、みなさんの事例を聞いていて思ったことです。

まず、知ります。それに対して共通見解を作って「どう向き合っていきたいのか?」を発信します。それをみんなも作り上げていって、共感できているのかをまた知ります。そして実際に実行していきました。

実行していった結果、伊勢丹さんの事例であったような「信頼できないんだよね」ということが妨げになっている。これもまた知って、変化させていくという、「知る」と「変える」と「進化させる」が、ずっとグルグル回っていっているし、回し続けていく取り組みをしていらっしゃる会社さんは、変化をし続けられる。

逆にいうと「1回動かしたから、もういいでしょ」となっていると、たぶん歩みが止まっちゃって。お客さんもどんどん変化していくんだから、変化をし続けないといけないものなんだねということは、今回のみなさんからの学びだったかなと思います。

我々はUniposとして、こういうお役立ちができているのが本当にうれしいなと思っています。僕らはこの変化をしたタイミングで、率先して動いた人たちが「やってよかった」とか「動いてよかった」と思える瞬間。

「『ありがとう』って言われたら、うれしいじゃん」というのも、そのとおりだと思うんですけれども、「やってよかった」と思える瞬間を世の中に増やしていくことで、引き続きみなさまの変化し続ける組織作りを支援していきたいと、あらためて強い使命感を抱きました。ではパネルに参加していただいたみなさん、今日はあらためて、ありがとうございました。