2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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司会者:セッション3、Sponsored by 宮坂建設工業、「宇宙産業の投資ポテンシャル」。それではご登壇者のみなさま、ステージへお進みください。どうぞよろしくお願いいたします。みなさま拍手でお迎えください。
(会場拍手)
青木英剛氏(以下、青木):みなさん準備できましたかね。それでは、セッション3のテーマは「宇宙産業の投資ポテンシャル」です。私含めて5人の投資家が、今日はこちらの壇上に集まっていただいておりますので、宇宙産業を投資家としてどう見ているのか、そういった話をしていければなと思います。
最初にそれぞれクイックに自己紹介をしていただいて、セッションに入りたいなと思います。と言いつつ、私がまず最初に自己紹介します。宇宙エバンジェリストとして宇宙ビジネスの啓蒙活動をやりながら、スペースポートジャパンの創業者として、日本にスペースポートを複数作る取り組みをやっています。あとはベンチャーキャピタリストとして、世界中の宇宙ベンチャーに投資をする活動をやっております。よろしくお願いします。
では、順番に登壇者の方々の自己紹介をお願いしたいと思います。まずは、家入さんからお願いします。
家入一真氏(以下、家入):はじめまして、CAMPFIREの家入と申します。よろしくお願いします。この後またお話しできたらなとは思うんですが、クラウドファンディングのサービスを運営していまして、現時点でもスペースポートさんのクラウドファンディングをやったり。
資金調達やコミュニティ作り、そういった側面からサポートして関わらせていただけたらいいなと考えてやっています。今日はよろしくお願いします。
青木:ありがとうございます。では続きまして、見學さんお願いします。
見學信一郎氏(以下、見學):見學と申します。珍しい名前なのですぐに覚えていただけるかなと思ってます。スパークス・イノベーション・フォー・フューチャーという横行な名前なんですが、投資運用会社であるスパークス・グループの中で、後ほど少しご紹介できるかと思います。
昨年、宇宙フロンティアファンドというファンドを立ち上げまして、その運営責任者をやっています。トヨタ自動車さんやメガ3行さん、ほか7社のご参画を得て、92億円で運用して、ひたすら宇宙に投資するファンドを運営している者です。どうぞよろしくお願いします。
青木:ありがとうございます。宇宙に投資する専門のファンドができたところも、やっぱり投資の魅力が高まってきているところなのかなと思います。後ほど、おうかがいできればと思います。
青木:じゃあ続きまして、三戸さんよろしくお願いします。
三戸政和氏(以下、三戸):三戸です、よろしくお願いします。日本創生投資というファンドをやっていまして、それ自体は中小企業のバイアウトファンドですので、宇宙とはあまり関係ないんですけれども。
一方で、インターステラテクノロジズの社外取締役をしておりまして、そちらでファイナンスのお手伝いなんかをさせていただきながら、いろんなVCさんを回ったりしてます。もともと前職はSBIというところでベンチャー投資をしてましたので、そのへんの観点でお話しさせていただければなと思います。よろしくお願いします。
青木:ありがとうございます。では最後ですね、坂本さんお願いします。
坂本惇氏(以下、坂本):日揮株式会社の坂本でございます。簡単に弊社のご紹介もしておくと、我々は、エネルギーやケミカル、ライフサイエンスといった、産業用のプラントを主に作っている総合エンジニアリング会社なんですが。
ちょうど今、青木さんがいらっしゃいますが、グローバル・ブレインさまと日揮ホールディングスの日揮の3社で、実は今年の4月に「日揮みらいファンド」というファンドを立ち上げております。
ターゲットとしては「宇宙」というか、持続可能で安心・安全なまちづくり、社会システムの構築をするのが我々のファンドの趣旨ですので、今後そういったところでスタートアップさんへの投資を増やしていきたいなと思っております。
私自身も、もともとエンジニアで会社に入ってはいるんですが、いろいろ経営企画とかをやっておりまして。今は日揮みらいファンドのCVCのフロントチームリーダーで、実務的なところをリードしておりますので、今日はそういった立場でお話しできればなと思っております。よろしくお願いいたします。
青木:坂本さんありがとうございます。日揮さんという、宇宙とはまったく関係のない会社さんが、宇宙に興味を持ってここに来ていること自体がすごく画期的なことなのかなと思ってますので、後ほどいろいろとご詳細をおうかがいできればなと思います。
青木:ここからは、いくつか質問をみなさんに投げさせていただきながら、議論をしていきたいと思います。みなさんからすると、なかなか投資ってピンとこない方も多いのかなと思ってますので、国内外の投資環境がどうなっているのか、少しご共有させていただければなと思っております。
「世界と日本の宇宙産業への投資の現状」というのを、少しだけ私から共有させていただきます。Zoom越しなんですが、オーストラリア、シンガポール、タイ、インド、もう本当世界中の宇宙起業家の方々に、昨日(2021年11月4日)ちょうど講演をしました。
宇宙起業家としてどうあるべきか、どうやって資金調達を進めるべきかを講演したんですが、世界中で宇宙ベンチャーがどんどん盛り上がっていて。世界中で宇宙に投資をする方が増えてきているのを、本当に実感した昨日のイベントだったんですけれども、他人事ではないと。
これはファンドを運営している投資家のみならず、事業会社さんにとっても投資の対象になり得るところですので、今日はいろいろと情報を集めていただければなと思ってます。
まず最初に、宇宙ベンチャーって世界にどれぐらいあるのかを共有させていただくと、インターステラテクノロジズもその1社なんですが、2000社を超える宇宙ベンチャーがあるんです。
アメリカはそのうち半分ぐらいを占めてるんじゃないかと言われてますし、日本は50から100ぐらい。今年も続々と宇宙ベンチャーが生まれてますので、50社を超えてきている状況なんです。あとはヨーロッパや中国が、数百社の宇宙ベンチャーを抱えている状況です。
青木:これらの宇宙ベンチャー2,000社が世界で資金調達をしながら、投資家が投資をしている現状がありまして。昨年2020年はコロナ禍にも関わらず、実は歴史上過去最高のお金が宇宙ベンチャーに投資されました。その金額は6,000億円。
年間に6,000億円もの巨額のお金が宇宙ベンチャーに投資をされています。6,000億円と言うと、JAXAの年間予算の3倍。めちゃくちゃ多い金額が宇宙ベンチャーに入っているのを考えると、これは日本だけの予算ですが、国家予算を上回る金額、欧州宇宙機関の予算ぐらいの金額がベンチャーだけに注ぎ込まれている実情があります。
これ、本当にもう目を瞑っていられる状況ではなくて、ちゃんと直視しないといけない状況になってきてます。この後、少しだけ見學さんからも共有していただきますが、日本はだいたい年間100億円いく時もあれば、いかない時もある。特定の企業さんが数十億円、数億円調達するのが、年間数件発生しているような状況になっております。
見學さんのようなファンドができてきているので、これからもどんどん増えていくのかなと思っております。見學さんからも少しだけ、国内外の宇宙産業の投資の状況をご共有いただければと思います。
見學:はい。若干補足させていただきますと、今青木さんから「日本の宇宙系ベンチャー50社から100社」と。私の定義でいくと、「宇宙to宇宙」、宇宙の中で仕事をするビジネスをするベンチャー、あるいは企業。それから「宇宙to地球」、典型的には衛星ですが、宇宙から地球を眺めて、地球の困りごと・課題を解決していく。(日本の宇宙ベンチャービジネスは)大きく2つに分かれているかなと思ってます。
私の定義でいくと、100社を超えてきたかなと思ってます。特に、地球を眺めながらいろんな課題を解決していく「リモートセンシング」と言われている(技術で)、既存の企業のみなさんとのコラボレーションが出てきてるかなと思ってます。
見學:宇宙ベンチャーが伸びてきた大きな時代背景としては、アメリカのNASAが2000年代までは、ひたすら自前でスペースシャトルの製造を行ってきたのが典型だったわけです。お金がかかりすぎた大反省から、自分たちはプログラムを走らせるけれども、サービスなり技術そのものは民間から買ってくると。こういう転換をしてきたのが、大きな節目になったかなと思います。日本もJAXAに続くかたちをとってきたのが1つ。
日本のベンチャーの中のもう1つの特徴は、大学発のベンチャーが多くて。宇宙工学の専攻の学生さんって、地頭がすごくいいんですよね。その人たちがファーストキャリアとして、自分が好きな衛星や宇宙周りのことを、自分たちの手で自ら起業する。こんな動きが出てきたのが、今の日本の宇宙系ベンチャーで見える風景かなと思ってます。
青木:ありがとうございます。もう1点だけ補足すると、投資して回収できるのか。アメリカなんですが、今年はすでに10社以上の宇宙ベンチャーがナスダックに上場済み、もしくは上場を予定しているということで、この流れは今後も増えていくかなと思っております。
ナスダックを見れば、一般の個人投資家の方々も株が買える状況になってきますし、来年から日本の宇宙ベンチャーの上場もぱらぱらと出てきますので。そうすると、東京証券取引所に上場している宇宙専業の企業が現れるのも、もう来年は実際に起こるだろうと思ってますので、みなさん楽しみにしていただければなと思ってます。
青木:では、次ですね。みなさんが宇宙とどう関わってるのかを、それぞれの立場でお話しいただければなと思います。じゃあ、手前側からおうかがいしていきたいなと思いますので、まず坂本さんから。「今、どう宇宙と関わってらっしゃるのでしょう?」というところをお聞かせください。
坂本:はい、ありがとうございます。青木さんが冒頭でおっしゃられたとおり、日揮が宇宙ビジネスをやっているって、あんまりイメージがないかと思うんですが。現時点で申し上げると、確かに今はあまり大きく事業をやってるわけではございません。
ただ、1980年代から2000年代初頭にかけては大きな事業部もありまして、主に微小重力の実験支援や宇宙環境利用で、JAXAさまと連携させていただきながら事業を進めていた時期がございます。
最近で申し上げますと、弊社の兄弟会社の日揮グローバル株式会社が、JAXAさまと連携協定を結ばせていただいて。月面の産業プラントを作っていく、月面の推薬プラントを作っていくところのビジョンの策定で、連携協定を結ばせていただいてる状況でございます。
今はどちらかと言うと「宇宙to宇宙」というか、宇宙の軸で話をさせていただきましたが、地球環境、地上を見ても、リモートセンシングとか昨今の技術進歩がありますので。我々としても、リモート災害監視とかいろんな事業に使えないかということで、水面下でいろいろ議論している状況でございます。以上です。
青木:ありがとうございます。地上でプラントを作って、我々が宇宙に生活基盤を広げれば、自ずと月、火星にもプラントが必要ですよね。もう必然的な流れかなと思って、すごく腹落ちした感じです。ありがとうございます。じゃあ次、三戸さんの宇宙との関わりを。
三戸:ちょっと私、質問をしたいんですが。
青木:どうぞ、どうぞ。
三戸:いきなり最初から月に工場ができちゃうんですかね? 人が住むんじゃなくって、工場が先にできるイメージなんですかね?
坂本:もちろん人が先だと思うんですが、これは私が直接やってるわけじゃないので、なんとも申し上げられないんですけど。「火星に行く」というマイルストーンがある中で、月を拠点にしてそこからエネルギーを充填していく考え方もありますので。
そこでのプラントというか、月を利用して新しく次のところに行くのは、世界的にも大きなポイントになるんではないかなと思ってます。
青木:水資源があるのは月でわかってますので、そこから水素を取れれば、ロケット燃料が作れますよね。地球の重力を脱出するよりも、月の重力を脱出して飛んでいったほうがいいですよね。というところで言うと、いずれプラントが必須になるということですね。
三戸:さっき控室でうかがってたら、それは2030年、あと10年後(に実現する)っておっしゃってたから、すごく近い未来だなと思って。
青木:あっという間にくると思いますね。
三戸:なぜ私が質問してるかというと、実はインターステラで身内なので、「堀江貴文さんと稲川さんが言ったことがすべて」みたいな感じなので(笑)。私自身が宇宙産業の関わりを説明しても、「もう聞いたな」っていう話が多いんですけれども。
私自身は、役員としてインターステラの資金調達をずっとしてるんですよね。VCさんをいろいろと回っていまして、投資家と対話してる側なんですが、投資家のみなさんも今みたいな話がまだイメージが湧いてないっていうか。10年後に月に人がいるとか、工場があるんだっていうのが、リアルに想像できてないので。
「ロケットに投資しよう」という感じには、なかなかならないのが今の現状なんですよね。先ほどお話がありましたが、「宇宙to宇宙」みたいな感じというのは、まさにそういう状態で。
「宇宙to地球」っておっしゃっておられましたが、「宇宙に衛星を打ち上げれば、こういうセンシングでこういうサービスができるよね」という衛星系は、投資家のみなさんもすごくイメージがすごくつきやすいので、投資のお金がずっと集まっていくんですよね。
なので、グローバル・ブレインさんとかも投資してる先で言うと、衛星系のベンチャーで、時価総額何百億円とか数千億円いっているようなベンチャーがあると。だけど、我々みたいなロケットのインターステラは、まだそのあたりのイメージがついておられない方がたくさんいるといます。
これはもう、堀江さんや稲川さんがおっしゃってると思うので、今日みたいなセッションで、衛星を打ち上げるインフラとしてのロケットがすごく大事であるということを、ぜひみなさんに気づいていただいて。やっぱりインフラを持つほうが、プラットフォームを取れるんで。
ネットサービスでいうとGAFAみたいな感じだと思うんですが、衛星を打ち上げるためにはどうしてもロケットが必要だと。宇宙ビジネスが盛り上がっていけば、最終的には「土台や土俵を抑えてるところが強い」というふうになっていくなと、私自身は確信しているので。
いかに投資家のみなさんにロケットに関心を持っていただくか。ここにおられるみなさんも、日本発のプラットフォーマーとしてのロケット事業に、どのくらい関心を抱いていただけるかがすごくポイントかなと思って、今日はお邪魔させていただいてます。
青木:ありがとうございます。
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