2024.11.25
「能動的サイバー防御」時代の幕開け 重要インフラ企業が知るべき法的課題と脅威インテリジェンス活用戦略
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――中高年の方が、20代に対して「まだ若いもんね」「今時の若い子は……」と言う場面があるかと思います。こういった言葉をかけられた時に、イラッとせずに上手に聞き流す方法はありますか?
井上智介氏(以下、井上):イラッとした時に一番ダメなのは、言い返すことなんですね。当たり前だと思うんですが、職場にはある程度の関係性や上下関係があるので、言い返しちゃいけない。人によっては「この上司をギャフンと言わせたい」と思う人もいるだろうけど(笑)、後先考えずにそれをやっちゃうと、自分が余計に居づらくなるのは、ちゃんと考えておきましょう。
イライラを解消するには、そういう声かけしかできない上司に対して、心の中で「人として大したことないんだろうな」とか、上から目線で評価する。そうやって受け流すのも1つです。
それこそ「こんな言い方されて、今に見てろよ」と、自分を奮い立たせる材料にするのもいいだろうし、「今後新人が入ってきた時、自分は同じことをしないように」って、反面教師にするとかも1つです。
頭の中で考えるだけじゃなくて、もちろん自分の好きな趣味に没頭したりや誰かに聞いてもらったりして、しっかりストレスを解消することがやっぱり大事なんですよね。自分の中でイライラとどう折り合いをつけていくか。
レパートリーをたくさん持っているのが、ストレスを扱うのが上手な人のやり方ではあるんですが、たぶん20代の人はまだまだ経験が少ないので。今まで怒られる経験も少なく、ストレスと向き合う経験がないから、ストレスを扱うレパートリーすら少ない状態なんです。なので、レパートリーをたくさん持っておきましょう。
――「ストレスを扱うレパートリー」とは、例えばどういったものがありますか?
井上:基本的には、好きなものをたくさん用意しておく。リストアップしておくのは僕もよく言っている方法です。実はカウンセリングとかで「自分の好きなものを100個挙げておきましょう」っていうのは言われるんですよね。
ただ「100個」と言うとけっこうしんどさを与えてしまうので、僕は50個ぐらいにしているんですが。具体的に、自分がどういったものが好きかをまずリスト化しておくのは、すごく大事な作業です。
ただ、「音楽を聴くのが好き」とか漠然としたリスト化ではダメです。かなり具体的にリスト化させなきゃいけないんですよね。例えば「Mr.Childrenの『Tomorrow never knows』を聴くのが好き」、しかもそれを「YouTubeで聴くのが好き」とかくらいに具体的でいいのです。
「こう言われたら、みんな同じ行動するよね」というくらいに、具体的にを挙げていくんです。それが1つ目だとしたら、2つ目として「カフェで1人でMr.Childrenの『HANABI』を聴くのが好き」、これで2個なんですよね。具体的に挙げることで、50個ってのは意外と軽く埋まっていきます。
大きなものから小さなものまで、何でもいいんですよ。それこそ「ハワイに海外旅行に行く」っていう、デカい話でもいいです。ただ、ストレスが溜まった時に、みんながみんなすぐにその選択を取れるわけではないと思うんですね。なので、身近なものでどれだけ挙げられるかはポイントです。
「コンビニのスイーツで何が好き」とかも、よくある話と思うんですよね。ストレスが溜まった時に、「少し高級なチーズケーキを家の近くのファミリーマートで買って食べる」という項目をあげる人も多いですね。
自分がイライラした時に、「どうストレスを解消しようかな?」と考えるんじゃなくて、(ストレス解消法を)「選ぶ」ようにしておくことですよね。そういうところまで自分を落とし込んでおかないと、うまく対処することはできないんです。なので、できるだけ自分の好きなものを具体的にリストアップしておくのは、ストレスと向き合う上でとても大事なやり方です。
――コロナ禍でリモートワークが普及して、多くの会社で「雑談が大事だよ」と言われていますが、「若手だから話してよ」という圧をストレスに感じている人もいると思います。こういった職場でのストレスと折り合いをつけて付き合っていく、何かいい方法はありますか?
井上:そうですよね。今はちょっと減ってると思うんですが、飲み会とかも似たところがあるのかな。忘年会とかもそうかもしれませんが、参加したくない若者はやっぱりたくさんいますので。
まずは基本的に、雑談をしなきゃいけない場面が苦手な人からすると、上司と2人きりになる場面をできるだけ避けられるかどうかがすごく大事だなと思ってるんですよね。3人以上、4人、5人いるなら、「誰かが話をしなきゃいけない責任感」は分散されるので、たぶんそこまで自分1人に重くのしかかることはないんです。
なので、「2人きりをできるだけ避ける」という話になるんですが、そのための言い訳を事前にどれだけ用意できているかが、僕はすごく大事だなと思っています。
そもそも「避けちゃいけない」「逃げてはいけない」と思っていて、「上司との雑談に対してどう向き合えばいいか……」のように、向き合うことが前提で悩む人は多いんですが、まずはいかにその場を逃げ切れるかを一番に考えて、悩むのはそのあとだと思うんですよね。
2人きりにならないためには、事前に言い訳を準備しておくことは非常に大事です。もちろん「ちょっとお手洗いに行きます」でもいいだろうし、帰りに駅の方向が一緒だったら「ちょっとコンビニに寄ってから帰ります」でもいいだろうし。リモートワークでも使えますが、「1本電話を入れてきますので」って、その場を離れるのはけっこうありですよね。
井上:僕がいろんな相談者さんにおすすめしてるんですが、最近は便利なもので、着信音だけが鳴るアプリで『フェイク着信』というのがあるんですよね。時間を設定したら、ちゃんとその時間に鳴ってくれるめちゃくちゃ便利なアプリがあって(笑)。
――今はそんなものがあるんですね(笑)。タイマーみたいな感じで使えるんですね。
井上:そうです。この手のアプリなどをうまく使ってほしいなと思っています。「電話がかかってきましたので、すいません」みたいに、その場を抜ける。
嘘とか、そういうふりをするのも、コミュニケーションの1つだと思ってるんですよね。「何か話してよ」っていう重圧やプレッシャーは、言い方が悪いですが、上司の人も話下手だからこそ出てくるんですよね。なので、言ったらこれって、お互いに話が苦手なんですよ(笑)。
だから、こっちが苦しい時は意外と上司もその空気感が苦しいんですよ(笑)。こうやって嘘をついてでも離れてくれるのは、実は上司としてもめっちゃ助かってるんですよね。それもコミュニケーションの1つだと本当に思っています。そういう割り切り方はすごく大事です。
「そんな嘘をついてまで」「そんなフェイクの電話までして」みたいに、たまに言われるんですが(笑)。いやいや、これは大事なコミュニケーションだぞ、ということをまずはちゃんとわかった上で、雑談と向き合ってただきたいなと思います。
井上:そのうえでも、どうしても5分、10分しゃべらなきゃいけないような時って必ずあるとは思うんですが、そういった時は思い切って仕事の話だけに特化するのもありじゃないでしょうか。
無理やり違う話題を出そうとするからこそ、変な空気になることもあると思うので。逆に「この人のプライベートはわかんないな」と思われるぐらい、がっつり仕事の話しかしないパターンもいいですよ。
自分の話が苦手だと思う人は、相手のプライベートに興味を持ったふうにして話していくほうがいいのかなと思っています。
「休日は何をされてるんですか?」「週末はどうやって過ごしてるんですか?」とか、相手に興味を持っていることが伝わるようなコミュニケーションをすると、上司は「興味持ってくれてるんだ」って、心地よく感じられるので。そういったやり方のほうがいいのかなとは思いますね。
――「逃げる」という選択肢がベストな場面もあるということですね。
井上:そうです。もう、最初にやることはそれじゃないかなと思ってます。第一手で逃げて、だけどやっぱりどうしても追い詰められる時はあるんですよね(笑)。
追い詰められる時は仕方がないので、その時にどうするかです。最初から逃げずに、全部真っ正面から「どう向き合うか」を考える人がいるんですが、それは本当に最後の最後(の手段)であることは忘れないでほしいですね。
――雑談の場面の切り抜け方を持ちつつも、とりあえず初手で逃げてみて、逃げられればそれが一番いいですもんね。
井上:本当に。それで上司も救われてますからね、そこを忘れちゃいけない。これはWin-Winですからね。
――確かにそうですね。「逃げてもいい」と聞いて、ほっとする人も多いと思います。ただ、逃げるのを恥だと思う日本特有の風潮もある気がします。
井上:もちろんそうですね。すごく同調圧力のある国ではありますので。特に「みんな平等だよね」っていう同調圧力はめちゃくちゃ強いので。「周りが苦しんでる時はあなたも苦しみましょう」という同調圧力、つまり「1人だけズルしたいとか、楽したいは許しませんぞ」「しんどい時やつらい時はみんなで苦しんでください」という同調圧力です(笑)。
ただやっぱり、自分の幸福のために心地よく感じる時間を増やす行動や考え方は正しいことなんですよね。誰がどう言おうと、正しいことはちゃんと自分の中で理解して、落とし込んでおかなきゃいつい流されてしまいます。
心地いい時間って、ある程度自分の欲求が満たされてる時間だとは思うので、今自分が本当に何を求めてるのかをちゃんと自問自答して、考えながら生きるのが、一番幸福に近づく近道なのかなと思いますね。
――「逃げる」という選択肢で自分が救われることもあるし、相手を救うこともあるとは思うんですが、今あるしんどさから逃げたら、また別のしんどさが待っているんじゃないかと思ってしまう部分があります。
井上:本当に人生はその場しのぎの連続ですよ。って、僕は思っています(笑)。逃げることに対する抵抗感がある人が大きくて、逃げなかった結果、病院に来てる人がほとんどです。
病院に来る人で、ずっと逃げ切ってどうこうという人はまずいません。逃げたかったのに逃げなかったとか、いろんなことを考えて逃げられなかったとか、基本的にはそういった人が治療に必要な状態まで調子を崩してしてしまう。
「なかなかみんなができないことをよくやった」ということで、1回、2回逃げていくことを僕は「成功体験」って言うんです。次にまたしんどいことがあって、自分の幸福や健康を阻害されるような状況だったら、やっぱり「逃げましょう」ということなんですよね。
逆に言ったら、「次に何か嫌なことがあっても、また逃げればいいや」って思えると、人間は精神的な余裕が生まれてきます。そこはすごく大事で、精神的余裕がないと、何をやるにしても身動きできなくなっちゃったりして、結局逃げることもできなくなります。
井上:逃げること自体は悪くはないし、「逃げた」という成功体験のもと、「次もまた逃げる」という選択肢をさらに取りやすくなるので、僕はぜんぜん悪いこととは思ってないですね。
――「逃げる」という選択肢を取れたら、「自分なりにつらさを乗り越えた」と、ある種自信を持っていいんですね。
井上:そうです。自分の幸せを優先したということなので、もう胸を張ってほしいなと。この同調圧力の強い日本で、負けずに自分の幸せを優先して行動できたのは、非常にすばらしいことなので、堂々と胸を張ってほしいなって思います。
「逃げた」というよりは、「自分の幸福に近づいた」と考えてほしいですね。嫌なことから離れたというより、実は幸福に近づいたということですね。
――「逃げていい」という選択肢を選べることによって、ふだんの生活や職場でのストレスを減らす手段になりますね。今回は20代のメンタルヘルスケアというテーマでしたが、井上先生のメソッドはどの年代の方にも使えると思います。すごく勉強になりました。本日は本当にありがとうございました。
井上:こちらこそ、ありがとうございました。
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