2024.11.29
“マニュアル作成が進まない問題”をAIで解決 管理者の負担も軽減できる、先進AIツール活用法
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--では、次のテーマにいければと思います。「『先スプレイニング』(「特に頼まれてもいないのに『先輩』や『先生』や『先行者』として説明をしてしまう」こと)が部下・後輩の可能性を阻害してしまうのではないか?」というところです。
要は、知っていることを教えられるとか。それは極端な例だとしても、例えば自分が一見さんでバーに行ったら、いわゆる常連さんの人に「それはね!」という感じで教えられたり、上から何か言われた時に気持ちが萎えることが、やっぱりいろんな場で起こり得るのかなと思うんですね。
若宮和男氏(以下、若宮):僕はこれも2段階ぐらいあると思っているんです。「ちょっとウザいな」とか「腹立つな。わかっているんだけどな」と思えているうちは、僕は弊害が浅いほうだと思っているんですよ。スプレイニングしてくる人はいるけれども「自分は自分なので」とか「笑顔で聞いてはいるけど、実は知ってるぜ」とか思っていられるのでいいんです。
ですが、それよりももっと深いリスクがあるなと思うのは「教えてもらうことを待っちゃうようになること」。むしろ、なんでもかんでも言われるので、先輩とか先生が「正解を持っているんだ」という意識になってしまって、自分の頭で考えることを途中からしなくなったりするんですよね。
本当はビジネスの提案書とか企画って“正解”があるわけではないじゃないですか。世の中に出してみなきゃわかんないんだけど「提案書を持ってきなさい」となって出しにいった時に、「どうですかね……?」って、先輩が望んでいる案を出しにいく感じになって(笑)。
「答えがある。それを相手が持っている」。しかも「先の人が正しいと思い込んでしまう」と、自分の頭で考えられなくなる。最初のうちは「うるさいな、この人」と思っていたのに、だんだんとそれに慣れちゃった時が一番危ないと思っているんです。
さっきの事例でいうと、視覚障害者ではなくて高齢者の場合。うちの祖母が一昨年ぐらいに亡くなったんですが、最後のほうはデイサービスみたいなものに行っていました。そこでは全部、車椅子の上げ下ろしを昇降車でやってくれて。さらに施設に行くと「あれをやりましょう、これをやりましょう」と全部決まっている。
それで楽しんで帰ってくるのでありがたいんですが、(身の回りのことを)やってもらっているうちに、自分の行動ができなくなってくるところがある。だから、サポートしているようで、かえってその人自身の可能性が先回りして奪われてしまう。そっちが本当に危ないなと思っています。
--なるほど。先スプをされた時に「腹立つな」「上から目線で言いやがって!」の先に、より深刻な問題があると?
若宮:そうです。そっちに慣れちゃっている時がある。実は先スプレイニングは、学校教育の中ではめちゃくちゃされているわけです。「先生が正しいので」みたいな。多くの生徒に何かを教えている時に「先生、それ違うと思います」と生徒が言うと、独特の感じになるじゃないですか(笑)。
--わかります(笑)。なりますね。
若宮:その時に「いやいや、これはこうなんだ!」「先生が間違っているわけがない!」とやられてくると、「基本的にどこかに決まった正解があって、それを教えてもらったら受け入れるしかないんだ」という諦めがだんだん染みついてくる。
僕も大企業の社員時代に、新入社員の研修のメンターをやっていて。なにか提案してくださいと言うと、この間まで大学生だった新卒の子でも、コンサルが作ったようなきれいな資料が作れるんです。でも、そこには“自分の意見”がないんですよ。
「いやいや、自分の意見がないからやり直し」と言っても、「今度はこれを直してみたんですが……これでいいですかね?」みたいな(笑)。
--“目で訴えかける感じ”ですよね(笑)。
若宮:そうそう(笑)。「いやいや、僕も答えを持っていないので、自分のやつを持って来てください」と何回も押し返さないとそこから抜けられない、ということが起こっちゃう感じですね。
--さっきおっしゃった学校で起こりがちなやつで、私が強烈に覚えている自分のエピソードがあって、ちょっと聞いていただいてもいいですか?(笑)。小学校5年生の時に、俳句の授業があったんです。担任の教師が私たちに向かって「俳句というのは五七五の言葉で構成されていて、季語という季節を表す言葉が入っています」と説明して、それから自分たちで自由に俳句を作る授業で。
もう20年以上前ですが、鮮明に覚えていて。その時に私が作った俳句は「夏の海 人がいっぱい 泳いでる」というものなんですね。それは五七五で構成されていて、「夏の海」という季節を表す言葉も入っている。私はそれを作った時に「あ、俳句っておもろいな」と思って。それでウキウキしながら提出したんです。そしたら、担任にめちゃくちゃ怒られてですね。
「こんなもん俳句じゃないよ! やり直しなさい!!!」と。でも、俳句ってアートというか、芸術の分野だなと思っているんです。当時は「はぁ……これは俳句じゃないのか……」と思ったんですが、改めて考えたらおかしいなと思って。だってその担任の教師は、おそらく俳句の専門家じゃないと思うんですよ。
だけど、自分は教師だから正しくて「小学校5年生の作る、いわゆる『俳句的でないもの』は間違っているに違いない」と一刀両断されたんです。でも、果たしてそれが正しいのか? と。それから私は「俳句っておもしろくないな……」という気持ちに、やっぱりなってしまったんですよね。
若宮:それは本当にあるんですよね。アートでも「アートってよくわからないので、ちょっと」という人が多いんですが、それも「正解のある見方がある」と思っているから、わからない。でも、誰もわからないので。
よく「サッカー文化を盛り上げたければ、草サッカーからでも楽しんでいったほうがいい」という話をしているんです。アート界隈でも、ビジネスでアート思考というと、いわゆる素人っぽい今までアートに興味がなかった人が入ってくる。するとそこで「アートというのはね、もっとこうなんだよ」と、まずはすごくスプレイニングをして、ドーンって落とされる。
草サッカーをやってて「サッカーって楽しい!」となっているところに、急にロナウジーニョみたいな人が来て「お前らのはサッカーではない!」と言われたら「二度とやるか!」ってなるじゃないですか(笑)。そういうところが、すごくもったいない。
アート界隈とか他の業界でもそうだと思うんですが、「ニワカ」と言ったり。もともと自分たちが詳しい側にいると常連っぽくなっちゃうんですが、それって時間を巻き戻すのも大事だと思っているんです。さっきの話でいうと、自分も新入社員の時があったわけじゃないですか。それで失敗とかしながら学んできて、「今はこのゾーン」とわかっていることがある。
なので、例えば自分がバーの常連だったりして、その店にはいろいろルールがあったとしても「失敗しながら学んでいくんだよ」と思っていればいい。自分もその道を通ったのに、過去の自分を忘れちゃうんですよね。そしてスプレイニングをしちゃう。そういったところも注意が必要かなと思います。
--本当ですね。ありがとうございます。
--では「アドバイスの仕方」についてご説明いただきましたので、次のテーマにいければと思います。「自分も相手も成長するための、良き指導・アドバイスに求められるものとは?」について、お伺いしたいと思います。
これまでは学校教育のお話とか、部下・後輩といったビジネスの話も多かったんですが、例えば子育ても「親である自分」ってけっこう先スプだなと思いまして。このテーマの最初に伺いたいのは、要するに、子育ての場合とビジネスの場合、先スプに対する考え方って変えるべきなんでしょうか? それはもう一緒なんですかね?
若宮:難しい(笑)。基本はどっちでも起こり得るし、気を付けたほうがいいと思うんです。僕は最近、そうじゃないほうに捉え直したくてビジネスをやっているので、なんとも言えないんですが。1個あるとすれば、時間軸だと思っています。さっき言ったようにスプレイニングしてしまうことで、失敗しながら育ったり自分の頭で考えていくことを、ショートカットして芽を潰しちゃったり受け身にしちゃったりはどっちでも起こり得ます。
ただ、ビジネスの場合はある程度、成果が出るまでの期間が短期じゃないですか。「すべて自分で学んでね」と思っているわけにもいかないので、導くのが子育てよりも早いんじゃないかなと。早いというのは、時々ちょっとしたスプレイニングを活用しほうがいいんじゃないかなということです。
--背中を押すというか、目標を決めてあげる。「この時までにここまで進んでおいてくださいね」みたいな?
若宮:そうですね。あとは、なんて言うのか正確には忘れちゃったんですが、その人のキャリアステージによって、どれだけ指示的な行動と援助的な行動を……指示的な行動というのは「こうやったほうがいいよ」ということですね。援助的な行動というのは「こうやったほうがいいよ」とは言わずに、動いていて大変そうだったら「なにか手助け要る?」という感じです。
キャリアパスが若いうちはなるべく指示的な行動が多いほうがいい。最初からいきなり援助的行動といっても、(山本五十六の)「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」みたいに。
最初にお手本みたいなのはあってもいいかなと思っています。子育ては、究極でいうと如何なる家族のチームだとしても、その人の人生にとってなので。わかりやすく教えたりして考える力を奪っちゃうのは、たぶんその人の一生を考えたらあんまりよろしくないなと思っています。なので、より子育てのほうが長い時間軸のスパンで考えるのかなという感じです。
--私がすごく好きな若宮さんのエピソードが「お子さんと一緒に小説を書き合って、見せ合いしている」というもので。前に別のイベントでお話されていたのをログミーで記事化をさせていただいたんですが、それがめっちゃ好きで(笑)。
若宮:本当ですか(笑)。そうですね。ああいうのもやってみて思うと、スプレイニングが逆転しておもしろくて。娘のほうが小説を書くのが好きで、書いてきたものに対して僕がどうこうと言っていたら「お父さん、自分が書いてないのになんで(アドバイスが)言えるわけ?」とか言われて(笑)。「おお、確かに」と思って。じゃあ自分も書くか! と思って、書いてPDFで娘に送ったわけですね。
それを読んだみたいで、寝る間際に娘から「『めっちゃつまんない』ってほどじゃなかったよ」みたいな(笑)。もう先にやっているから、先スプレイニング的にいうと彼女のほうが先輩なわけですよ。「まあまあがんばったんじゃね?」と、立場が逆転して、親である自分の方が「(アドバイス)ありがとうございます!」みたいな(笑)。
そういうことも実際にやってみると、僕は46歳になりますが、やっぱり新しいことを始めたら、どんなことでもド素人から始まることってあるじゃないですか。そうするとその道には先にいる人が必ずいらっしゃって、スプレイニングもいただくんです。ですが、いろんなことをやってみるとまた入口からの気持ちも思い出せていいかなと思います。
--ありがとうございます。では、やってしまった失敗談。先スプしちゃった具体的な失敗談と、逆に自分がしたアドバイスとか受けたアドバイスで、こんなアドバイスがすごく良かったという成功談があれば、いただければと思います。
若宮:自分の失敗はめちゃくちゃあります(笑)。それに、本当についうっかりやっちゃうことは多いんですよね。例えば「食べチョク」というサービスをやっている秋元里奈さんという素敵な、すごい起業家の方がいらっしゃるんです。
彼女は前職がDeNAという会社で自分と一緒でして、ちょうど同じぐらいに起業したので、起業したての時に渋谷でランチをしたんです。僕はその前から一応、企業の中で新規事業は長年やってきたと思っているので、今の「食べチョク」の事業アイデアなどを聞いて、「事業モデルのこういうところはやっぱり気を付けなきゃいけないよね」みたいなことを、めちゃくちゃ言っていたんです(笑)。
2年ぐらいしてどうでしょう。もう今や、押しも押されもせぬ(笑)。でも彼女はピュアで、「そんな嫌なアドバイスをもらった気もしなくて、いろいろ教えていただけるだけで本当にありがたくて!」と、いつも本当に爽やかに言ってくださるんです(笑)。
(手を斜めに上昇させながら)でも、もうバーッと行っているので、恥ずかしくてしょうがない(笑)。「どの口下げて、俺は上から言っていたんだろうか」とか。そういうのがちょこちょこあるんですよ。
あと「NO YOUTH NO JAPAN」をやっている、能條桃子さんというすごい方がいるんですが。その方からなにかのご縁で「どうやってファンドレイジングをしたら」と相談を受けた時、そういうスプレイニングっぽいのをやってしまって。もう相談や「話を聞いてください」とは言ってくださらないだろうなーと(笑)。そういう失敗がありますね。
--なるほど。逆に成功談というか、これは良かったなというものはありますか?
若宮:成功談というか気を付けていることだと、わりと最近は家で子育てをしていても「中間地帯を作ること」と「それを相対化して伝える」のはけっこう意識してやっています。
どういうことか? というと、一対一で話していてなにか言われた時。例えば娘に「これってこうなんじゃないの?」と言ったとするじゃないですか。「え、そうかな?」と(娘が)言うと、「いやいや、わかってないと思うけどさ!」って乗っかる感じになるじゃないですか。
うちでは家庭でワークショップをめちゃくちゃやっているんですが、例えばなにかを決めましょうというとき。自由研究は何にする? となったら、娘と相談していると「いや、お父さんはこっちがいいと思うよ」と言って押し引きになっちゃう。なので「ワークショップをやろう」「考えましょう」と。
「最初は個人ワークです」みたいな。それで何分かしたら「出し合いましょう」と言って、ここの(若宮氏が手振りで台を作って)中間地点に対等な立場で(アイデアを)乗っていくんですよね。自分が持っている経験などから思ったアイデアを置けばいいんだけど、その台の上では(自分の意見も)娘のものと同じ「1つの意見」ということになるんです。なので、中間地点を作るように、話す時などもわりと意識をしています。
さっきの「相対化する」というのは、日頃、会社の中で事業アイデアのメンタリングをする時にも「あくまで、自分が今まで経験してきた中ではこう思う」と伝えています。ただし、サービスとか事業によって僕はメインのターゲットではないし、ぜんぜん違う可能性もあって。「それ(自分のアドバイス)がすべてじゃない」ということを、ものすごく気を付けながら伝えています。
そうじゃないとフラットに意見を交わすことができなくなったり、こっちが正しいことを言っているんだとしたら「『はい』と言って、この場を終わったほうがいいや」と(相手が)なってしまうので、そういうところを気を付けていますね。
--なるほど、大事ですね。話が変わっちゃうんですが、SNSでも「先スプリプ」みたいなものがけっこう散見されるなと思っていまして。「FF外から失礼」している人がいっぱいるなと思うんです(笑)。ご覧いただいている方の中に「自分もやりがちだな」という人がいらっしゃるかもわからないので、先スプリプをしないためにはどうしたらいいかへのご意見を伺えますか?
若宮:しないためにかぁ(笑)。僕も時々やっちゃうのでね。
--(笑)。
若宮:やっちゃいたくなる時って「自分が詳しい」と思っていて、イコール「相手は知らない」という前提に勝手に立っちゃうんですよ。やっぱり、ここをぐっと踏み留まる。僕も何度かFacebookなどで、誰かが「これこれこういう時にスケジューリングがどうのこうの」と言っていたら、「こういうスケジューリングのツールが最近ありますよ!」とスプレイニングで教えたり(笑)。
後々聞くと、実はその人は“その道のプロ”みたいな人だったりして。「うわっ……あの人に何を言っているんだ、俺は!?」ということがあるじゃないですか(笑)。それで、もうきれいに“シャッター”も下ろされてしまうわけです。「自分のほうが詳しい」という、これはもうバイアスだと思うので持ってしまうのはしょうがないんですが。
「もしかしたら自分よりも知っているかもしれない」でいうと、リプをする時にも「こういうのがあるよ」など、だいたいクソリプのスプレイニング的なものって、女性の起業家の方だとめちゃくちゃ飛んでくるみたいなんです。「こんなこと知らないんだろう?」「教えてあげるよ」という“体(てい)”のおじさんが多くて。
そこにリスペクトを持つことで、相手を「最初からわからない」「自分のほうが優位にある」と思うのではなく。「知らないかもしれなので教えてあげたい」と、本当に相手のことを思うんだとしたら、説明するというよりも「自分のケースではこういうので助かりました」「もちろんご存知かもしれないんですが」と(伝える)。
全部が全部、婉曲がいいというわけではないんですが、根っこに「相手が知らないから」とか「俺が知っているから教えてやろう」があると、やっぱりよろしくないかなと思いますね。
--なるほどですね、ありがとうございます。ここまでは「自分が先スプレイニングをしてしまう側」の人へのアドバイスをいただいたんですが。最後に「自分が先スプを受けてしまった時」や「誰かが先スプを受けているのを見てしまった時」にどうやって対処するのが正解なのか、ご意見をいただけますでしょうか?
若宮:めっちゃ難しいですね。僕も大企業にいた時にめちゃくちゃ経験があるので、これはもう短期的な対症療法と本質的なもので違うと思うんですが。短期的なところは、「ありがとうございます!」と言いながら聞かない(笑)。
「勉強になります!」と言って、きれいに“太鼓を叩いて”気持ち良くして、(心の中では)「はよ終われ!」とやるのはあるんですが。これはこれで、そうすると相手がずっと気付かないので、いろんなところにそれを撒き散らしていくんですよね。
それが「一瞬の出会い」とか「この人の話は、今日のこの場で聞いておけば終わり」でいいんだったら、太鼓を叩いて帰してあげるでもいいんです。ですが、同じチームや家族にいる場合にはやっぱり気付かないと。ずっとそのままいくのは、ご本人にとってもよくない時があると思うんですよ。
でも「それは先スプですよ」と本人に言うのは、なかなか難しいところもある。これはさっきの「受け身にならない」とセットで、受け取った時に「おっしゃるとおりです」じゃなくて、「めっちゃいいヒントをありがとうございます。自分で考えてみます」と、ちゃんと伝える。そうすると、(アドバイスした自分と)その人の意見や行動は違ってもいい。
これは本当に大事だと思っていて、僕は究極、教科書とか今は科学的に真実だと思っていることも「ただのヒントなんだ」と思うようにしているんです。「2掛ける2は4」というのはそうかもしれないけど、もしかしたらそうじゃないかもしれない(笑)。
天動説や地動説の話で、昔は地動説を唱えたら死刑になっていたわけです。そういったように科学的真理すら変わっていくので、「今はこういうことになっていますよ」というのは、まず1個のヒントなんだと。それを基にして自分がこれからどう考えますか? と。ヒントを抜きにして、「全部ノーヒントで考えます」だと、世の中は進んでいかないし、成長もないんです。
(相手のアドバイスの)そのとおりにするわけじゃなく、「ヒントをありがとうございます。ヒントに対してどう考えて、どうアクションするかは自分で考えてみますね」と、相手にも「(あなたのアドバイスは、自分にとって)あくまで1つのヒントなんだ」ということを、ちゃんと伝える。そうすれば、受け取ったけど、相手の「そのとおりにしてほしい」というものとは違う感じが伝わっていくのではないかなと。
--「受けとめる」のと「受け入れる」のは違う、ということですよね。
若宮:おっしゃるとおりだと思っています。よく「触発」という言葉を使うんですが、アート思考って自分起点なので、触発って誰かから何か言われたりヒントがあった時に「その刺激を受けて自分がどういうかたちの変化をするか?」という、やっぱり「自分がどう変わるか?」の話なんですよね。
人のかたちがあってそれに合わせにかかっちゃうと、自分らしさを失っていってどんどん誰だかわからない、誰かの器に合わせたようになっていっちゃう。
なので「受け入れる」と言っているんだけど、そのままそれに合わせるんじゃなくて。「それはそれでヒントとして、じゃあ自分はどうするか?」と、もう1回引き付け直して、自分の在り方を考えるのがいいのかなと思っています。
--なるほど。ありがとうございます。では、そろそろお時間も来てしまいましたので、最後に今日ご参加いただいた方へのメッセージと、あとはお知らせがございましたらいただければと思います。
若宮:今日はありがとうございました。「先スプ」と偉そうに語っているものの、ぜんぜん自分も日々できなくて、大変だなと思っています。僕がもともとのnoteの記事で書いたのは、やっぱり先スプする側としてどんなに自分が無意識にそうなっちゃうのか。
スプレイニングしたことで、さっき言ったように次はもう聞いてくれなくなったり、だんだん自分に対して「おかしいよ」と言ってくれる人がいなくなるんです。そういう政治家の方とか大人がいっぱいいると思います。
もう“裸の王さま”になっちゃって「自分の価値観が違うかもしれない」という疑いすら持てなくなってくるのが、一番怖いと思うんです。なので、自分が優位であったり、今日は強めの立場にいるなという時こそ、ちょっと気を付けてやっていくのが大事だなと思っています。めちゃくちゃ難しいので、一緒にがんばりましょう(笑)。
あとは告知が1つだけあります。渋谷の駅にあるスクランブルスクエアというビルに、SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)という場所があるんですが、11月の23日から30日まで、アートのイベント「ART THINKING WEEK」という現代アーティストの人と作品の展示や講演があります。あと、これは珍しいんですがアーティスト本人がワークショップをしてくれるんです。
五感をテーマにしていて、視覚を揺らすようなワークショップや聴覚が拡張しちゃうようなワークショップなど、それぞれ嗅覚のワークショップ、味覚、触覚と、来ていただくとけっこう価値観が揺れるような体験ができると思います。
ワークショップが会場での鑑賞のみと、オンラインでもなんとかやりたいと思って今は準備しています。なので、興味がある方はぜひ。
--詳細をこちらのYouTubeページの概要欄に貼らせていただきましたので、みなさんにも見ていただきたいなと思います。
若宮:そうですね。これは今日の話とぜんぜん違う話題のようで、先ほどは俳句のお話もありましたが、アートってそもそも正解がなかったり、スプレイニングするような「わかりやすい」や「こっちが強い」があんまりない領域です。
だからこそ、答えがない中でお互いに意見を交わしたり作品を見た時に、「これが当たり前で、自分は合っていたと思っていたんだけど、ぜんぜん違うかも」と揺れたりできる。僕がアート思考と言っているのも、アートに触れる機会が増えれば増えるほど、スプレイニングしづらくなってくると思うので(笑)。
--(笑)。
若宮:先スプを避けるためにも、ぜひアートに触れていただけたらと思います。
--みなさん、概要欄のURLと併せて、若宮さんの2冊の著書『ハウ・トゥ・アート・シンキング』と『ぐんぐん正解がわからなくなる! アート思考ドリル』もぜひチェックしていただければと思います。では、本日は以上とさせていただきます。ご参加いただいたみなさん、そして若宮さん。本日はどうもありがとうございました。
若宮:こちらこそ、みなさんありがとうございました。
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