気持ちの良い環境がポジティブなインプットにつながる

江川みどり氏(以下、江川)「ゆるやかな死」を防ぐための対処法を教えていただきました。デザイナーの方以外にも役に立ちそうなことばかりですね。受講生のみなさんからもたくさんのコメントをもらっています。

例えば、先ほど「環境を変える」というところがありましたよね。そこで、「カフェに行って作業場を変えるということも良いことなんですか?」みたいな質問も来ていました。これは、もちろん良いんですよね?

モンブラン氏(以下、モンブラン):大事だと思います。自分の気分が高揚している状態でインプットする時のほうが「あ~良かったなあ」っていう自分の気持ちとともにインプットできるので。単純にポジティブなインプットになると思うんですよ。仕事に追われて、インプットを無理やりするよりかは。

さっきはカフェって言いましたけど。青空がカーッと綺麗なところや野原とかで、ゆっくりインプットすると気持ち良いじゃないですか。「自分の気持ちを高めるために」も場所を変えてインプットすることもいいことだと思います。

江川:何人かの方が「このSchooもまさにインプットとアウトプットの場なんじゃないか」とおっしゃってくださっていて、それはすごくありがたいことです。

受講生3:私も以前「ゆるやかな死」に直面した時がありました。でも、Schooに出会って復帰することができました。

モンブラン:良いですね~。

江川:ありがとうございます。実際にゆるやかな死を経験されたけど、ということですよね。

モンブラン:Schoo自体も良質なインプットの場という感じですよね。

江川:まさにそうです! ありがとうございます。うれし~い!

本屋は、思いもよらぬインプットができる場所

江川:ここからはディスカッションに入っていきたいと思います。先生、1つ目のお題をお願いします。

モンブラン:1つ目はですね。「みなさんのインプットの方法」を聞いてみたいですね。どういった場でも良いですし、どういった手段でインプットするのか。主語で言うと、「デザインのアイデアやスキルを、どこで、どうインプットしているか」をお聞きしたいですね。

受講生2:ネットでの検索がメインですが、図書館で本を借りることもあります。

江川:ネットと本というのを両方使い分けているということですね。

モンブラン:ネットと本って、やっぱり、けっこう違いがあると思っています。ネットは、ほとんどの場合、目的があって探すじゃないですか。「自分の目的のためのもの」だけをピックアップしていくと思うんです。

でも図書館に限らず、本を買って読むとなると、目的以外の情報にも出会えると思うんです。「なんでこの本があるんだっけ?」とか、そういう過程も全体的に見られたりするので、自分が思っている以上のインプットができて、けっこう便利だったりしますね。

江川:そうですね。あと、それこそ本屋さんに行くと、自分が興味のないもののタイトルとかでも目に入りますし。

モンブラン:見ますよね~。

江川:知らない角度からのものもあったりするので。いるだけで、いろんな角度から刺激がきているなって、いつも思っています。

モンブラン:そうですね。自分が買いたいものがあって来たはずなのに、いつの間にか違う本を見ているとか、ありますもんね!

アウトプットは、「些細なことでも書く」ことが大事

江川:先生、2つ目のお題をお願いします。

モンブラン:ここまではインプットの話をしてきました。今度は「みなさんはどうやってアウトプットをしているのか」についてお聞きしたいですね。

江川:「インプットはできるけど、アウトプットがなかなかできない」や、「インプットに対してアウトプットが1割にも満たない」みたいなコメントもいただいています。やっぱりアウトプットは、インプットよりもハードルが高いんですかね?

モンブラン:けっこうハードルが高いと思います。僕も記事を書いていますけど、やっぱり忙しいとぜんぜん書けなくなっちゃいますし...…。「これどう言えば良いかな?」みたいなものってあるんですけど。

アウトプットに関して、気を付けていることがあって、「些細なことでも書く」というのを大事にしています。例えば、Twitterで記事を共有することも、あるじゃないですか。そのときも、ただ記事をリツイートするだけではなく、例えば「引用リツイート」をして、「この記事はこう思ったよ」というのを1行でも良いから書くんですよ。

極端な話をすると、最初のうちは、「学びがあった」みたいなことで良いんですよ。じゃあ「学びがあった」と書けたら、次は「なんで学びになったんだっけ?」みたいなところを2行目に書いたりとか、そういたことがけっこうありかなと思っていますね。

あとは、そのために「プラットフォームを利用する」というのもありかと思っています。僕だと、「Pocket」っていう、記事の内容を保存するサービスとか。あとは、最近デザイナー界隈で、Twitterでけっこう話題になっている、「siori」というサービスも使っています。デザイナー向けのブックマークレットツールなんですけど、そこには、ただ共有するんじゃなくて、コメントを書く欄があるので、コメントに必ず1行書くというのを心がけていますね。

アウトプットの方法論で言うと、自分が今思っていることとかを紙に書くのがけっこう大事らしいんです。紙に書くと俯瞰できるんですって。なので、自分で今思っていることをただもう殴り書きでもいいから書く。それをあらためて、その日でも良いし、次の日でも良いし、振り返って見る。するとけっこう自分が考えていることが整理できます。それは、各事業とかアイデア発想とかに使えるみたいですね。

江川:なるほど。確かに「紙に書く」は良いですね。私も何かに成功したなって思う時は、それ用のノートを作ったことが多いなって、さっき振り返って思いました。

アウトプットは勇気がいるが、学びも大きい

受講生4:アウトプットって、勇気がいるし怖いと思うことがあります。

モンブラン:怖いという気持ちは、めちゃめちゃわかりますね。ただ、今って、アウトプットができるサービスやツールがいろいろありますよね。確かに、アウトプットすることは勇気がいるし怖いです。その原因は「外に発信すること」からきていると思うんです。だから、まず一旦はクローズド。例えば、Twitterだと鍵アカ(特定の人だけが見れるアカウント)にできるじゃないですか。

鍵アカで、アウトプットする用みたいなものを用意しておく。そこで、誰にも見えないですけど、あとで自分で振り返るために、1個、1行でも良いから感想を書いたりして続ける。でもそれだと、議論の場がなくなってしまうんですけどね。「自分がその時にどう思っていたか」というのをあとで振り返ることができるので。

例えば、それを2ヶ月後や3ヶ月後とか別の機会に、自分が鍵アカに書いた内容と同じ内容をインプットした時に、違う感情を持ったりとかすると思うんです。その時に「私はこういうふうに思っていたんだ」と。

「これやっぱり違っていたな」というのを振り返ることも大事なことだと思うんです。ちょっと時間はかかっちゃうかもしれないんですけど、そういったところからでも良いんじゃないかなと思いますね。

江川:いきなり大きいところに発表という形じゃなくていい。まずは、「自分って今どんな気持ちだったんだろう」とか「なんでこういうことを考えたんだろう」というところを文字にしたり、書いていくところから始めるということもあるんですね。

モンブラン:そうですね。それで言うと、さっき言ったポートフォリオサイトとかは、もう恐怖でしかなかったですけどね(笑)。「ポートフォリオサイトがないのに何を発表するんだ?」みたいな。

結果的には、けっこういろんな方から「おもしろかったです」とか、記事としてレポートしていただいていたので、結果オーライではあったんですけどね。そこを克服するっていうのも、ある意味大変なことではあります。「そういうことをしたからこそ、良い経験を得ることはできる」という感じはあると思います。

「意識高い人」と「意識高い系な人」

受講生2:アウトプットする際に、周りから「意識高い系」とドン引きされそうで怖いと思うことは多々あります...…。

モンブラン:本当に「意識高い系」な人って、意見がない人が多いですよね。そういう人のTwitterを見ると自分のツイートじゃなくて、「ただひたすらRTばっかり流れている」というのはあったりするので。「意識高い人」は、自分のアウトプットした内容に対して、けっこうな責任を持っている気がするんですよね。

意識高い人ってごく少数だと思うんですよ。本当に気持ちを高く持ってやっている人や著名人に限定しちゃっていますけど。だから、意識高い系と思われるのが怖いとかは、思わなくても良いんじゃないかなと思います。気にしなきゃいいですよ。

センスとは何か

モンブラン:3つ目、最後のお題は「センスとは何だと思いますか?」です。

受講生2:ニュアンスを表現する力。

受講生4:「ひらめき」と「機転」。

受講生1:空気感。

受講生3:何が「好き」で何が「嫌い」か。

モンブラン:僕、この意見にちょっと似ていて。たぶんセンスって、何かものがある時に、「これは良い」「これは悪い」というものを選択した結果だと思っているんですよ。これ、さっきの1つ目と2つ目のものにつながってきていると思っているんです。インプットをして、アウトプットをするじゃないですか。

そのインプットした内容から「これ、良い」「これ、悪い」というのを選択しているはずなんです。それで嫌だと、たぶん捨てると思うんですよ。見なくなるというか。となってくると、「好きというものの集合体」になってくると思っているんですよね。例えば、絵も一緒だと思うんですよね。

この絵を見ました。「この絵、良いと思う」「この絵、悪いと思う」というのは、たぶんその人のセンスだと思うんですよね。たまにあるじゃないですか。ボールペンで描いたようなイラストに対して、いろんな金額がつけられることとか。たぶん、そこに正解はないと思っています。1円で買う人もいれば、20万円で買う人もいたりとかするので。

そういうのが、「センスの違い」だったりとか、あとは「センスのズレ」、あとはネガティブになっちゃうんですけど「センスがない」って言われるところの、所以はそういうところなのかなと感じていますね。

江川:なるほど! それでは、最後に先生のほうから、今日の授業のまとめをお願いしたいと思います。

モンブラン:ものすごく短絡的なんですけど、「『ゆるやかな死』から抜け出そう!」というのが今日のまとめですね。ゆるやかな死って、誰しも起こり得ることなので。今回お話させていただいたこともそうですし、あとは、ディスカッションも有効です。

僕もあとで、自分のこの見識を深めるために、みなさんのコメントを拝見させていただこうと思っています。インプットと、アウトプットを繰り返して、「ゆるやかな死」が訪れないよう、一緒にがんばっていきましょう。