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著者 安藤美冬も参加!つながらない練習をしよう!(全2記事)

「どうなりたいか」が浮かばないのは、「頭」を偏重しているから 安藤美冬氏が語る、SNSを手放して自分の「心」と向き合う方法

ハイブリッド総合書店hontoが主催する読書会「ペアドク」。2人でペアとなって同じ本を読み話し合ったり、直接著者に質問ができる読書会を通して、新しい読書のかたちを提案しています。今回は「スマホ・SNS中毒」をテーマに、安藤美冬氏の『つながらない練習』の読書会が開催されました。「SNSの伝道師」と呼ばれ、フリーランスのパイオニアとして活躍していた安藤氏は、2017年頃からインターネットの世界と距離を置くようになりました。本記事では、安藤氏が『つながらない練習』に込めた思いや、自分自身との向き合い方について語られました。

「スマホやSNSでのつながり」を見直す意味とは

安藤美冬氏(以下、安藤):よろしくお願いします。

松原嘉哉氏(以下、松原):よろしくお願いします。ちょうど今、ペアドクの参加者のみなさんに本(『つながらない練習』)を読んで対話してもらったところです。

『つながらない練習』(PHP研究所)

(コミュニケーションの本の中には、)スマホとかSNSを否定的に言う本がけっこうあると思うんですが、その中でも安藤さんの本の特徴は「全否定していないところ」だなとすごく思いました。

安藤さん自身もネットを完全に断つわけじゃなくてちょっとずつ始められていますし、みなさんの質問にも出てきたと思うんですけど、自分とちゃんと向き合うのが大事であって、別にSNSを断ちたいのではないということを、すごく本から感じました。

コロナ禍でみなさんはスマホとかパソコンに向き合うことも多かったと思うんですが、ぜひ今のタイミングで、そのつながりを見直す意味を、10分程度になるんですけど安藤さんの口から話していただけるとありがたいなと思っております。よろしく願いします。

安藤:みなさん、こんばんは。著者の安藤美冬です。本日はよろしくお願いします。けっこう早めに来たので「ペアドク」の時間も拝見していました。

松原:ありがとうございます(笑)。

安藤:質問一覧を見たんですけど、すごくいっぱい来ていて(笑)。こんなふうに丁寧に本を読み込んでもらって、すごくうれしく思っています。

SNSが「自分の価値」になっていたのを、2年かけて手放した

安藤:今、松原さんがおっしゃったことがすべてだなと思うのですが、この『つながらない練習』を書いた真意は、まさに「自分と向き合う」ということが、自分としても最終的に一番大切なことだなと思っていて。

この本の一番初めはSNSの話で、そのあとは情報の話、人間関係とか常識の話になっていて、最後は自分への許しとか本当に自分と向き合うことの大切さという、奥深いところに入っていくように設計しています。

いきなり「自分と向き合いましょう」とか「自分を許しましょう」とか「自分の外側の世界ばかり見るんじゃなくて自分の内側を見ましょう」と言っても、とても難しいと思います。最初はTwitterとかFacebookやInstagramのような、誰でも接している一番身近なSNSから導入部分として書いていって、最も伝えたいことを最後に持っていった構成の本にさせていただきました。

今まさに松原さんがおっしゃったように、この本はこのコロナ禍で狙って出したというよりも、結果的にそうなった感じなんです。ただ、担当編集のOさんに「今こそ出しましょう」とおっしゃっていただけたのは大きかった。

私自身がSNSをものすごく使っていて、スマホ依存やSNSがイコール「自分の価値」になっていた時代がすごく長かったんです。それを2年ぐらいかけて手放していった時に、今、振り返ってみても、SNSはやって良かったとは思います。でも、「あそこまでつながる必要もなかったな」とも思うんですね。何事もバランスです。

「本当に大切なもの」を立ち止まって考える大切さ

安藤:私がこの本の中で言いたいことは、なにも「SNSをやめましょう」とか「SNSは悪いものなんですよ」とか「人間関係を整理しましょう」ということではなくて。

自分にとってSNSが喜びの源泉で、それを使って世の中になにか発信をしたり人とつながっていくことが大きな喜びであればやっていい。多少はストレスを抱えていたとしても、いろんな人とつながる喜びが大きいんだったら、どんどんつながっていけばいい。

でも、「本当に大切なもの」をいったん立ち止まって考える大切さは、この本を通して伝えたかったところですね。

松原:なるほど。ある意味、例えば飲み会とかも今は見直すきっかけになっていますよね(笑)。「リアルでこの人と一緒に飲むのか?」ということを、みんな考えちゃう時期ですよね(笑)。

安藤:そうですね(笑)。例えば「親友」「友だち」「友人」「知人」みたいに、つながりにもランクがあるじゃないですか。それって距離感が違いますよね(笑)。それがネットの世界ではすごく顕著です。

1回ネットをやめた私は、ネットだけでつながっている人もすごく多いということを実感しています(笑)。「こんなに頻繁に飲みに行く必要ないんじゃない?」みたいなことは、たぶん多くの人が体験している。

松原:まさにそうですよね。ありがとうございます。ぜひ質疑応答の中で、ここらへんを深く聞かせていただけたらなと思っております。さっそく質疑応答にいかせていただきたいなと思っております。

「自分と向き合う方法」が長続きしない

松原:1つ目の質問ですね。「この本は、一貫して『自分と向き合うことの大事さ』を伝えている気がします。瞑想や感情日記などさまざまな方法がありますが、私はいずれも続きませんでした。作りたい未来などを他人から聞かれることもありますが、答えらしきものが思い浮かばない、興味もあまり湧きません。」

「こういう時にどうすれば『自分』と少しでも向き合えますか?」という質問です。この質問の方は名前は言いたくない感じですよね?

質問者1:あ......私です!(笑)。

(一同笑)

松原:じゃあ、質問者のAさん(笑)。補足がもしあればですが、どうですか?

質問者1:前段として、私はSNSをわりと仕事とかでも使う派ですが、それとは別に自分と向き合うことがあまりできた試しがなくて。ジャーナリング(書く瞑想)とか、マジ1日やって終わるみたいな(笑)。自分と向き合うことがそんなになくて。

「どうしたいの?」とかいろんなことを聞かれるけど、嫌なことはあるけどやりたいことはないとか、自分が何を考えているかそんなによくわからない。なにか聞かれると、客観的事実を伝えてしまうところがあります。

「自分と向き合いましょう」という話をこの本は書いてくださっていると思ったので、どういう現象なんだろうと気になって、「自分と向き合う方法」についてお話をいただければなと思い、ご質問させていただきました。以上です。

「自分がどうなりたい」が浮かばない人には、頭の回転が速いタイプが多い

安藤:最初にすごく良い質問をありがとうございます。まず、自分の向き合い方の方法は様々ですから、そこに囚われなくてもいいと思います。

瞑想が苦しくなったり、感情日記を書き始めてもすぐ飽きちゃうことってありますよね。例えば、私も以前、瞑想を習ったんですけど、すぐに飽きちゃって。でも、書くことは好きなので、感情日記は続いています。

自分に合った方法に出会った時にパチッとピースがはまるかもしれないので、今は合う方法がなくても大丈夫だと思います。「いつかそういう時が来ればそうなるかもしれない」と思えていればいい。

また、自分の「どうしたい」とか「自分がどうなっていたいか」がすぐに出ない場合。質問者さんに直接話を聞けたので今パッと思いついたことなんですが、「自分がどうなりたい」が浮かばない人には、頭の回転が速いタイプがけっこう多いんですよ。

仕事ができる人とか、人の期待にがんばって応えられちゃう人とか、頭を回転させるのが得意で口がよく回る人とか。そういう人って反射的に人と会話をしたり、反射的に仕事をしたり、反射的に人の期待に応えることが瞬間瞬間でパッパッとできるので、それに慣れすぎているんですね。

でも、自分と向き合うってまったく逆のアプローチじゃないですか。動的の反対で静的。反射神経的に「何が大事?」「お金が大事」みたいな話ではなく、もっとじっくり自分の奥底を掘っていく。こうしたタイプの人にとって、じっくり自分に向き合うことは根気もいるし、時間もかかる。

自分の心とつながるための「ひとり合宿」のススメ

安藤:物事を深く考えることよりも、頭の回転の速さを使って生きてきた、どちらかというと心よりも頭を偏重させてきた男性や女性。こうしたタイプには、「ひとり合宿」をお勧めしています。

「ひとり合宿」のため、3泊4日、少なくとも2泊3日取ってください。家族や友人を交えないでくださいね。たった1人で過ごすことが最重要です。おすすめは、遠すぎない、家の近くや同じエリアのホテル。1人になって、スマートフォンをオフにして、日記やノートを持っていって、強制的に自分と向き合う時間を作ってください。

そこで、自分の未来のこととか、現状の課題、そこへの気持ちなんかを書きだしながら、じっくろと自分と向き合ってみる。たぶん1日目はまだ頭がざわざわしていると思うんです。でも2日目とか3日目になってくると、だんだん自分の心とつながる体験をしていくと思います。

質問者1:ありがとうございます。安藤さんが本の冒頭に書かれていたように、私も「私はなんとかなう」って1日に何十回も呟いちゃうタイプなので、たぶん最初はそわそわするだろうなって。「Twitterを見ると私の居場所がわかる」って言われるので(笑)。さっそくやってみようと思います。ありがとうございます。

安藤:ぜひぜひ。劇的な変化を実感できると思います。

質問者1:がんばります。

コロナ禍でも「つながりの弱い人」と出会うには?

松原:ありがとうございます。じゃあ次の質問にいきたいなと思いますけど、質問者のMさんですかね。「ウィークタイ(weaktie)、弱いつながりの人たちとつながるお勧めの方法はありますか? 例えばこの会のようなペア読書はとても良いコミュニティのような気がします」ということで、Mさんはいらっしゃいますか?

質問者2:はい。ありがとうございます。

松原:ご自身が置かれた状況でもいいですし、質問があった背景をしゃべっていただけるといいかなと思います。

質問者2:すごく素朴な疑問で、なんだか恥ずかしいんですけれども(笑)。例えばこのペア読書の会は私も何回か参加させてもらって、初対面の先入観がない人とのつながりってすごく気づきが多いなと実感しているので、このウィークタイの人たちとつながるのはとても良いことだとは腹落ちしたんですけど。

かたや、今コロナ禍でリアルでのつながりはないので、もともとつながりの弱い人と出会うきっかけってそんなにないなというところがあって。そのウィークタイの人たちとつながる先生のお勧めの方法とかがあれば、教えていただきたいなと思って質問させていただいた次第です。

松原:よろしくお願いします。

大人になってからのつながりは、「目的」や「夢」の円が重なる人と

安藤:ありがとうございます。こういう「ペアドク」もオンラインで開催なので、まさにウィークタイですばらしいコミュニティだと思います。あとはオンラインサロンが去年の3月、4月ぐらいからすごく会員数が伸びていることを周りにも聞いたんですが、オンラインサロンもコロナ禍にピッタリのウィークタイだと思います。

あと、今習いごとをやっていて。リアルの少数の通学者とオンラインでの参加者がごっちゃになっている感じで授業が進んでいるのですが、色々な人とゆるくつながれていて、楽しいです。

松原:何をやられているんですか?

安藤:脚本の勉強です。

松原:脚本!

安藤:はい。今はコンクール向けに作品を書いています。ドラマとか映画とかゲームシナリオの脚本家としてデビューすべく勉強しているところです。

大人になってからやりたいことを学ぶってすごくおもしろいので、ただオンラインで集まるではなく、「目的」とか「夢」とかが円のどこかで重なるような人たちだと、より良いつながりが持てるんじゃないかなと思います。

質問者2:ありがとうございます。

SNSは「情報収集ツール」の1つでしかないという捉え方

松原:では3つ目の質問ですね。少し抽象的かもしれないです。「今の安藤さんにとって、SNSはどのような存在でしょうか?」

SNSもそうですし、ネットもどう捉えていいかというところがありますが、これには音声配信も含めましょうか。SNSとかネット関連全般について、今はどう捉えていらっしゃるかをお聞かせいただけたらと思います。

安藤:現在は、「情報収集ツール」の1つでしかないという感じですね。重要度で言ったら、かつて活用していた自分と比べて1割未満です。

松原:なるほど。

安藤:1日見ない日もありますし。今はオンラインサロンをやっているので、Facebookのアカウントはありますが、クローズドなコミュニティ以外で発信はしていません。ネットのニュースは、時々LINE NEWSのボタンを押し間違えちゃって目にするくらい(笑)。Yahoo!ニュースとかのニュースサイトはは半年以上見ていないですね。

松原:なるほど。そうすると、SNSは「アウトプットの場所」になっているイメージですか。

安藤:そうですね。ただ、SNSはアウトプットとしてもあまり重要じゃなくなっているのが実際のところですね。今の自分にとっては、伝えたいことはすべて本にこめていますから。

松原:これから自分のバランスとして増やすということも、状況によってはあるんですか? いつも「感情のバランス」を見て決めていたりするんですかね?

安藤:未来のことはわからないので、その時にはまるSNSが出てきたらやるかもしれないし、自分が脚本家になって「SNSを新たにやっていこう」という可能性はあります。ただ、現在のところは、これ以上はないですね。ほかにやりたいことがいっぱいあるので、SNSに費やす時間がもったいないなと思っています。

松原:ありがとうございます。

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