2024.11.26
セキュリティ担当者への「現状把握」と「積極的諦め」のススメ “サイバーリスク=経営リスク”の時代の処方箋
“家族がいるから、フリーランスがいい”ーー立派なキャリアがなくてもフリーランスとして稼ぎ続ける方法とは?(全1記事)
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徳田葵氏(以下、徳田):先生はこれまで、どういったキャリアを歩まれてきたのでしょうか?
山田竜也氏(以下、山田):フリーランスで活躍されている方のイメージって、僕も色々とお会いして感じたんですけれども、有名企業で活躍し、スキルを身につけてその時の人脈を持ったまま起業家やフリーランスになって稼いでいるというケースが多いんですよね。
私は、全然違っていて、関西の中小企業でシステムエンジニアを3年半ぐらいやっていました。もともと起業家になるとか、フリーランスになるつもりはなかったんですが、知人が起業することになり、その会社を手伝うような形で東京に来たんです。そこでは後に、トラブルがあって追い出されることになったんですね(笑)。
徳田:追い出されたんですか(笑)?
山田:はい、それで、また他の会社に行ったんですが、そこでもまたトラブルがあって追い出されたり自分から逃げたり、みたいことが3回ぐらいあったんです(笑)。それで「もうしょうがないな」ということで、仕方なくフリーランスになったという経緯があります。
徳田:転々としつつ、もうフリーランスしか選択肢がなかったということですね。
山田:「もう自分でやるしかない」という、後がない状況でフリーランスになった訳です(笑)。それまでは、システムエンジニアの仕事しかしたことがなかったんですが、実はその適性はないなと自分では思っていてマーケティングのほうでやっていきたいと思っていました。
しかし、もちろんですが、マーケティングのスキルもなければ、大学4年、社会人3年半の期間、関西にいたので、東京に来ても知っている人もいなくてコネもないですし、何もない状況でした。
徳田:本当にゼロからのスタート、ということだったんですね! かなり苦労されたのではないでしょうか?
山田:そうですね、破産しかけたりとかうつ病になったりとか、結構大変でした…...(笑)。
徳田:色々と苦労された山田先生のお話だからこそ、受講生の方に参考になりそうな部分もたくさんありそうです!
山田:そうですね、「大企業出身じゃないけど、大丈夫かな?」とか「スキルがなくて不安……」みたいな方にも、特別、立派なキャリアを歩んでいない僕だからできるお話があると思います。
徳田:先生はフリーランスとしてどのように希少性をつくってこられたんでしょうか?
山田:はい、仕事をするときに「ボヤッ」としたスキルだと仕事を獲るのは難しいんですね。どこかしらで「希少性」を生み出す必要があります。そのときよくあるのが、誤った希少性に走る人がいるんです。
それは何かっていうと、たとえば、「ハッピーラブラブコンサルタント」みたいな訳のわかならない肩書きをつくって、ブログをつくってやりだす人もいるんですけど、ニーズのないオリジナルのもので突っ走ってもなかなかうまくいかないです(笑)。
そこで、希少性をどうやってつくるのかを説明したいと思います。自身の「希少性」を考えていただくときに、軸にしていただきたいのが、「需要のあるスキル」ですね。
僕の場合は一番の柱は「マーケティング」です。フリーランスの方で多いのが、イラストレーターやライターの方ですが、僕は、本も出しているので、「ライティング」もスキルの柱の一つにしています。需要のありそうなスキルに色々と掛け合わせることで、「希少性」を出していくことにつながるんです。
山田:スキルを掛け合わせるという考え方はいろんな本などにも書かれているので、聞いたことある方も多いと思いますが、僕の考え方では、そのスキルの「深さ」と「広さ」の軸で掛け合わせをしていきます。
「マーケティング」と言っても、いろんなものがあります。私の得意なこととして、「WEB広告」や「SEO(検索エンジン最適化)」があります。これは「深さ」の部分に当たるのですが、どんな技術やスキルができるのかっていう深掘りをしていくんですね。
私の「ライティング」の場合は、「ブログ記事」と「本」になります。ブログ記事では、特に個人名は出していませんが、裏でバズる記事などを書いたりしています。他に、企業のオウンドメディアで、一定規模(数十万〜数百万PV)になるようなメディアを立ち上げて育てるのを手伝ったりしています。
そして、「広さ」についてですが、これは「ジャンル」です。例えば、マーケティングのところでは、僕の場合「旅行」や「教育」「Fintec」「シェアリングエコノミー」などですね。長くフリーランスをやっているので、これはたくさんあります。自分が過去に経験したものやこれから挑戦しようということを掛け合わせていくことがポイントかと思います。
僕の場合「ライティング」の「広さ」でいうと、Webマーケティングです。もともと持っていた「マーケティング」の知識があったので、それをスライドさせて「ライティング」のスキルへ移行することで、Webマーケティングの分野で本を書くこともできるようになりました。
他にもスキルを掛け合わせることで、フリーランスとしてやってこれたので、新しい分野として、「働き方」「フリーランス」のテーマで本を書くことに繋がりました。3つの軸を少しづつずらしていくことで、やれることを増やしていくことができます。
決して特別なスキルがなくても、平均より少し得意ぐらいのスキルでもよいと思うのでそういったものを掛け合わせて、ずらすことが希少性を見つけるポイントですね。逆に、3つのうち一つも軸がかぶっていないものに挑戦すると、失敗する可能性が高くなってしまいます。
徳田:「コミュニティ」への参加から仕事につなげるにはどうしたらいいでしょうか?
山田:安定して仕事を獲るという意味では、「コミュニティ」はすごく重要です。フリーランスにとってのコミュニティは、「ないと餓死する。奴隷になる存在」だと言っても過言ではないと思っています。
安定的に仕事を貰えたりとか、人間らしい仕事を得たいと思ったら、コミュニティに所属したり、そこでの関係性をうまく築くことがフリーランスにはものすごく大事だと考えていんです。
稼いでいるフリーランスは3分類できます。これはスキルというよりかは、稼ぎ方の分類です。1つ目が「職人ポジションのフリーランス」です。
高い職人スキルで仕事を取りまくっているような方ですね。仕事ができるから、どこかの企業から仕事がもらえるタイプで、たまに飲み会に呼んで貰えたりするんですけど、チームで仕事をするという感じではないパターンです。企業からしたら、この人はスキルが高いから仕事を発注したいという形で、スキルの高いフリーランスに、このポジションの人が結構多くいます。
2つ目が「相談役ポジションのフリーランス」です。何かしらのコミュニティや人間関係をたくさん持っていて、姉御とか兄貴みたいな存在の人ですね。何か困ったら、「この人に相談する、この人に聞く」っていう立場でコミュニティの中で活躍する人です。こういった立場にいる人ってすごく安定します。
相談役ポジションの人はどこかしらのコミュニティにいることで、頼れる存在であり、人をつなげるなどで、自身がコミュニティの中での潤滑剤の役割を果たしメンバーとして活躍します。
先ほどの「職人ポジションのフリーランス」は受託型で冷たい関係。スキルがあるから仕事を発注する、スキルがなかったり、値段が合わなかったら、「あなたは要りません」となります。ところが、「相談役ポジションのフリーランス」になると、一緒に仕事をしたいと思ってもらえるんですよね。
この関係になると、受発注の関係じゃなくて、チームになるんです。この形で仕事を獲れるようになると、だいぶ気持ちいいですね。
山田:3つ目は、「城持ちポジションのフリーランス」です。自分でコミュニティをつくっちゃうタイプですね。アフィリエイトで稼ぐとかもそうかもしれないんですが、ブロガーやYouTuberが有名な例ですよね。そういった形で自分のメディアを持っていたり、たくさん人が集まるものをつくって、「自分でコミュニティ(城)をつくって王様になる」というポジションです。
それで、この3つのポジションを掛け算したものが、フリーランスにとっての戦闘力だと思っています。
たとえば、職人ポジションの点数だけすごく高くても、コミュニティに所属していないと仕事を獲得するのは難しいですし「相談役」で「城持ちポジション」の点数が高くても職人ポジションの点数が低いと「スキルが何もない」ことになるので、その点のバランスは気をつけるべきところです。
徳田:先生、どうやってコミュニティを見つければいいでしょうか?
山田:コミュニティって、儲けようとして所属しないほうがいいんですね。自分のスキルが役立つとか、そういったものとは少し違って、どちらかというと、自分が好きなところに所属するほうがいいんですよね。雰囲気が合うところや、趣味のコミュニティなどそういったところのほうがいいと思います。
僕は、起業家がすごく好きで、そういった人が集まるところで、無料でセミナーをやったりコワーキングスペースでお手伝いをしたりしていますね。それは無償でやっているにも関わらず長く続いています。理由としては、やはり「好きだから」なんですよね。
自分が儲けようと思ったら、たぶん続かないと思います。邪念がないのでそういったものが伝わって、「みんなが受け入れてくれやすくなる」というところも大きいと思います。
徳田:安定して収入を得るための仕組みづくりについて教えてください。
山田:課金の仕方が重要になるかと思います。会社員の場合って、毎月同じ給料が振り込まれますよね。プラスでボーナスが入る場合も多いでしょう。それと同じで、フリーランスの場合も、毎月「固定収入」が得られるような仕事をどう取ってくるかがポイントになると思っています。
最近では「サブスクリプションモデル」と言って、スクーさんもそうですが、月額課金のビジネスモデルが流行っていますよね。それと同じで、僕の場合はWebマーケターなので、「コンサルタント」として顧問契約のような形で毎月お金をいただくようにしています。
徳田:なるほど! 決まった額が毎月入ってくるということですね。
山田:そうですね。そういった収入源をどうやってつくれるかが大事になってきます。しかしそういう話をすると、「そんなの出来ない!」という方もいらっしゃいます。たとえば、ライターの方だと編集者の方から、「原稿一本いくら」でという形の単発で発注をもらうケースが多いんですけど、これも工夫次第で固定収入に変えることができるんですよね。
僕の知人には、会社の発行するメルマガを毎月同じ分量書くので、月額で5万円とか10万円を貰うという契約をしている人もいますね。自分の職種でそういったモデルってないのかな?とか、他の職種で自分の分野にも応用できそうなモデルはないか?など調べてみるといいと思います。
もしくは、ぴったり定額の契約ではなくてもいいので、継続して発注してもらえるような仕組みづくりが大事になってきますね。
徳田:ちなみに先生は、顧問契約以外での収入源は何かありますか?
山田:顧問契約以外ですと、Web広告の運用管理ですかね。リスティング広告や、SNS広告の運用費のうち何パーセントをいただくという形で契約を結んでいる企業もあります。他にもアフィリエイト収入など、毎月入ってくる収入はたくさんあります。
質問者1:初めて仕事を受注した方法はどのようなものでしたか?先生はスキルがない状態からお仕事を得ていったとおっしゃっていましたが、実績のない状態からどうやってお仕事をとっていけばいいのでしょうか?
山田:ある程度のスキルというのは自分で勉強したりして身につけていかなければいけないと思います。私の場合、駆け出しの頃は企業のホームページ制作をしていましたが、そのスキルは「ある程度」独学で身につけました。
スキルがない場合、どうやって仕事を取るかというと、「相性が良く、あなたに共感してもらえる方」を見つけるしかないと思います。この人は仕事の能力が高いからではなく、「この人と仕事がしてみたい」という人を見つけるしかないということです。
「チャンスをあげたいおじさん」という優しい方が世の中には結構いて、そういう人に声を掛けてもらうには、好感度が高いとか相性が重要なので、そういう意味で自分が仲良くなれるコミュニティにいたほうが、そういう人に出会う可能性が高くなると思います。
徳田:先生にもそういう方がいらっしゃったんですか?
山田:僕の場合は異業種交流会などに出まくったんですけど、なかなかうまく行きませんでした(笑)。ごくごく稀に仕事が取れるのですが、難しかったですね。今では、クラウドソーシングでも仕事が取れますが、単価が低くてなかなか食べていける水準まで稼ぐのは難しそうです。
色々なフリーランスで働く人の話を聞いていても、いい金額の案件は対面で出会うほうが転がっているのかなと思います。それは、スカイプなどのWeb上でもいいので、顔をあわせることが大事だと思います。コミュニティに飛び込んでいく時に大事になるのは、いかに「共感を得られるか」ということです。
例えば、子育て中の方であれば、「子育てコミュニティ」に入ることで、「同じ苦労がわかるあなただから仕事をあげたい」ということもあるので、仕事のスキルとはまた違ったことで共感を得られそうなコミュニティを探してみるのも一つの手かもしれません。
質問者2:フリーランスになりたいけど、家族がいることで、動けないという人もいるかと思うのですが、先生からアドバイスはありますか?
山田:これはなんとも言えませんが……「家族がいるからこそフリーランスになったほうがいい」場合もありますよね。私は結婚していて、子供もいるのですが、実はその子が医療的ケア児といって、障害を持っているんです。
それで、病院や福祉施設を10箇所ぐらい回っているんですけれども、フリーランスじゃなかったら絶対に破綻していると思います。なので、私の場合は家族の幸せを思うとフリーランスのほうがいいという生活なんですよね。
昼間に病院に行ったり、子供と遊んだりするかわりに、夜中に仕事をすることも多々あるんです。労働時間が短い、長いというのではなく、柔軟に働く時間を選べる今の働き方は理想的です。
ですので、家族がいるからフリーランスはやりにくいというのは、なんとも言えないところですね。「私の家族にとっては私がフリーランスの方がいい」のではないかと思っています。
ただ、家族が反対するから説得しなくてはいけないという場合もありますよね。それで家族を説得する場合には、家族を巻き込んだほうがいいと思っています。フリーランスになりたいのであれば、フリーランスでうまくいっている人を探して、仲良くなって、家族に会ってもらったりするのがいいと思います。
たとえば、会社員のうちから、イベントやセミナーなどの副業(複業)をはじめてみて、そこに家族を呼んで受付を手伝ってもらうというのもいいかもしれません。
私の場合、妻に趣味で始めた読書会をずっと手伝ってもらっていました。毎月開催しているイベントだったのですが、受付や書類づくりを手伝ってもらったんです。すると、私が「どういう人と付き合っていて、どういったことをやっている」のか家族もわかるので、安心してもらえるんですよね。
一番家族が嫌がるのは、「わからない」ということなんです。儲かる、儲からないということよりも、「何をしてるかわからない」ことのほうが「この人信用できない」という不信感につながってしまいます。なので、具体的に見える形にしていったほうが、説得しやすくなると思います。
徳田:先生は、フリーランスになって「これは良かった」ということはありますか?
山田:そうですね、家族と一緒に居られる時間が増えることですかね。時間の使い方を自分でコントロールできるところがいいと思います。少し語弊があるかもしれないのですが、会社員って、強者の働き方だと思うんですよね。会社員をするには、家族や自分が健康でないと続けられないですよね。
自分自身の健康はもちろんのこと、子どもや親、配偶者が介護が必要な状態などになると、あっという間に破綻してしまう。今、介護離職は問題になっていると思います。
一方、フリーランスは、家族などを介護する必要があるとか、周りが結構大変な状況にある中でも、割りと柔軟に動くことができるのでそういったところもフリーランスの魅力的なところかと思います。
私の場合は、フリーランスになって、不安が減りました。お客さんが複数いるので、一つのお客さんに依存しなくて済むんです。会社勤めをするとどうしても、上司って変えられないですよね。上司と相性が悪くても我慢しなければいけないじゃないですか(笑)。付き合う相手やお客さんを選べるという点でも、フリーランスはいいなと思っています。
もちろん自分のことだけではなく、お互い相性の良い、気持ちいい関係で付き合える人と一緒に仕事が出来たほうが相手の方にとってもハッピーなんじゃないかと思っています。
もちろん、組織の中にいないと、実現できないような価値や、仕事も沢山あると思うので、あくまでフリーランスは働き方の一つだと思います。私自身は、今のフリーランスというライフスタイルで、関わる人たちに価値を提供しつづけていきたいと考えています。
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