投資するべき対象の「若者」から搾取している社会の現状

山口揚平氏(以下、山口):これを考えていく中で、今は2021年じゃないですか。我が国だけのことを考えたとしても、おそらくこの2021年、2022年、2023年はすごく変革が起こるというか、全部ガラポンされちゃうと思うんですね。

行政の仕組みもそうだし、社会保障とかも医療費・介護費だけで50兆円も出しているわけですから、もう(これ以上)出せないんですよ。現役世代もぜんぜんお金を持っていません。若者なんてとんでもないですよね。お金がないから高校にいけないとか、そういう状況です。

一方で、僕らの世代のせいなんですけれども、やっぱり親元側との関係があまりよくなくて、DVとかいろいろ受けてきて。みなさんは僕と同い年くらいが多いのかもしれないですけども、たぶん気がつかないです。20歳前後は半分がHSP(Highly Sensitive Personality:感受性が強く人一倍敏感な性質)を持っていると言われています。なんらかトラウマを持っているという現状があるんですね。

そういった中で、社会は若者以外に投資する先なんてないんですよ。ないのにも関わらず、今の都市銀行の収益の10パーセントはなんと消費者金融です(笑)。お金を若者からまだ取り続けるのかって。そんなことやってちゃダメですよね。

新しい社会システムのコンセプトをどうするか

山口:ベーシックインカム(所得に応じて一定金額の現金を支給する制度)を導入する。各職人でもITでもいいんですけど、それぞれのコンソーシアム(共同企業体)の中で、まず若者に3年間で1,000万円程度を配っていかないとどうにもならないだろうと思っております。いずれにしても、社会システムが大きく壊れていく状態なのかなと思ってます。

社会システムが壊れていく中で、2024年から2025年にかけて、(日本は)新しい社会システムを作ろうとすると思います。それは頭のいい人に任せていいと思っています。でも我々のこの国は、システムでできてるわけではなくて、コンセプトでできています。そのコンセプトをどうするのかは、まだ決まってないんですよ。

私たちは、例えばスライドに「ワンファミリー」と書いていますけども、シームレスに「誰が誰の子どもでもいいんじゃないの」と考えたりしているんです。「非貨幣経済システム」と書いてますけど、僕は経済学者として「お金がない世界」を思考実験から持ってきて、それをどう達成するかということをいつも考えています。そのほうが楽なんです。

あとは「次元制国家」って書いてありますけども、言葉として「SBNR(Spiritual But Not Religious)」がすごくはやっています。国家は特定の宗教に依存するものではないという言葉なんですね。この言葉、みなさんもすごくいいなと思いますよね。

人が動くのは「意識の活動」である

山口:スピリチュアリティってあるけど、それは「排他的な宗教」ではないよねというところです。というのも、私はずっと考えて考えて考えぬくことが仕事だったんですが、その先にあったのは、ある種の「意識の活動」というか、周波がキャッチしてくるパーセプションなんですね。つまり「知覚」です。「知覚」と「認知」によって人は動いているんです。

そういう意味で、私は新聞も雑誌も本も一切読まないんです。本は書くんだけど読まない。なぜかというと、デヴィッド・ボームという人は「凍った光」と言いましたけれども、情報の束である「知識」は、「止まってるもの」なんですね。

「意識」は「動いているもの」だと思っています。自分の意識とその振る舞い対しては、すごく調整して生きるようにはしています。それをどう理系の言語や文系の言語を使いながら表現しようかというのが、今の「ジーニアスファインダー」という動きになっております。

ちょっと時間もないので今日はテーマとして3つ決めてたんです。「企業価値から地域価値へ」、「バーティカルワールド」、そして「ジーニアスファインダー」って決めてたんですけど、(そのうちの)ジーニアスファインダーの話をしたいと思っています。

「天才」とは、「自分の周波数から外れないで生きている人」のこと

山口:昨年『ジーニアスファインダー』という本を出しました。昨年亡くなった兄との共著で、彼が遺した原稿と僕が新しく付け加えしたもので出しました。「ジーニアス」は「天才性」と言うんですけど、「天才」と言えば「アインシュタイン」を思い浮かべるかもしれません。アインシュタインは、自分の「スピリチュアリティ」に逆らわないで生きた人なんです。

その「スピリチュアリティ」本で言うところの「ジーニアス」というのは、もともとゲニウス(genius)というラテン語から転じたもので、そのゲニウスというのは「霊性」という意味です。「ポルターガイスト(Poltergeist)」とか聞いたことあると思いますけども、自分の特別な周波帯とかエネルギーの振る舞い、そういう粒子的な振る舞いをジーニアスって言うんですよ。

だから「天才」とは何かというと、「自分の周波数から外れないで生きることを、かたくなに守った変人」です。だから「天才」は見ようによって「変人」になっちゃうんですね。世間の周波数に合わせないということです。世間の時間の流れに合わせない、世間のお金の流れに合わせない、そういうことを貫き通すんです。

そのためには、「自分の霊性」をよく知っておいたほうがよくて。社会とぶつかった時に「自分と周波数が違う」というか、「なんか折り合いがつかないな」という時に撤退していく。撤退していかないと、そこで大きな軋轢が起こって、それが大きな傷となってPTSD(Post Traumatic Stress Disorder :心的外傷後ストレス障害)的にトラウマになってしまうことがあります。

自分の居心地のいい「意識」の使い方を、自分で調整する

山口:なので、この「ジーニアスファインダー」の流れの中では、自分の中に刺さっちゃった「トゲ」を抜くというプロセスをやっています。一方で、自分の中のジーニアスなポイント、つまり自分の「霊性」に沿った生活環境とか仕事の仕方、あるいは社会との距離感だとか言葉の使い方、時間の使い方を、自分で調整していくことを行います。

これは世界に緯度と経度があるように、やはり自分にとって適切な緯度と経度があって、その細かいところを調整していくという内的な作業があります。

「天才性を知ること」は、自分の生きるポジションを微細にしていくこと。それは何かというと、自分の体の感じ方とか体の動きとか、意識がどういう層だと心地よいのか。それは人によって違うんですね。

あるいは社会からの距離感で言うと、僕は本を書いたり、メタなレベルで考えごとをするのが好きなんですね。その下にいくと金融的な人もいるし、その下にいくと起業家的な人もいるんです。その下にいくと、オペレーショナルな人もいて、工作が得意な人もいるんです。

僕には僕の好きな「意識」の使い方があって、そこで生きていけばいいんじゃないか。テレビでコメンテーターをやったり本を書いたり起業をしたり、いろんな挑戦するんですけども、得意じゃないところは疲れちゃいますよね。でもいろいろやった結果、自分の居心地の良い「意識」の使い方がわかるんですね。

天才性は、4次元以上に宿る

山口:最後に「次元性の話」をしたいと思います。「Spiritual But Not Religious」という話をしました。このスライドでは「精神性」を7つの次元性で書いていますね。

「次元(dimension)」っという言葉はアインシュタインの言葉らしいです。基本的には我々は3次元的な感覚を持っていて、それは聴覚とか視覚とか触覚とかの五感で把握できるものをもって「現実」としていると思っています。2次元というのは絵とか線とか、「面」ですね。静的な状態のものを指します。

1次元は点とか数なんですけども、それは吸着しやすいんです。私はお金という概念についてずっと研究をしていますが、「お金がなぜ人を惹きつけるのか」には2つ(の理由があるということがわかりました。お金は「4次元的」であり、かつ「1次元的」なんです。

すごく難しいですけど、さっき言ったように、お金は「概念」なんですよ。「みんながお金だと思ってる」からお金なんです。みんなが価値がある、信用できると思ってるからこそ、お金をみんなが信用するし、使えるようになるという汎用性があるんです。なのでお金を使えるのはやっぱり「概念」を持てる「ヒト」だけなんですね。

一方でお金って、数字でアウトプットされますよね。例えば「1億円」とか。そうすると、その数字は1次元なんですよね。だから下からの吸着力・引力がすごく強いんですよ。人は概念が得意です。頭の中にイメージを浮かべられるので、梅干しをイメージしたらつばが出るというのが、「4次元」から「3次元」に下がってくるということですね。イメージしたものを(五感でわかる)物理的な現象として出すことができる、というのが人間です。

で、1次元はわかりやすいですね。要するに、お金は数字で表現されるので(イメージが容易なんです)。僕は「最強言語」と呼んでいるんですけども、そう言えるかなと思います。

アウストラロピテクスと人間の違いは、思考が3次元か4次元か

山口:ここまでくると、4次元の話がわかると思うんですよね。ユヴァル・ノア・ハラリが『サピエンス全史』で書いたのは、「人間とは4次元を持っているよ」ということでした。つまり「共通思念」というのがあって、そこで宗教だとか倫理だとか道徳だとかお金だとかが生まれたから、それならみんなで時間を決めて集まって、「アウストラロピテクスをボコボコにしよう」と話すわけです(笑)。だからホモデウスは強いんだと。

そりゃそうだよね、彼ら(猿に近いアウストラロピテクス)は3次元しか持ってないんだから。一言で言うとそういう話なんです。

そこから上の5、6、7次元がやっぱりおもしろい。5次元は「0か1」なんですよ。世の中は0だというのが禅的な発想で、「ない」ということですね。で、世の中は1だというのは、やっぱりベルサイユ宮殿のような「愛」というやつですね。「ある」ってやつです。だから考え方が西洋と東洋でわかれていくんです。

国旗も違いますからね。アジアのほうにいくと太陽だし、向こう(西洋)にいくと星になるわけです。真ん中が月の国旗はイスラム教徒だったりします。このように、東洋思想と西洋思想では、「0か1か」という大きな違いがあったりします。

さらにその上にいくと6次元で、「0かつ1」というのがあります。「色即是空・空即是色」ですね。「あり」かつ「なし」という意識になると、「人間万事塞翁が馬」という故事がありますけども、「なにが起こってもさもありなん」、つまり「しょうがないよね」っていうぼやっとした感じになる。芦田愛菜ちゃんも大好きな言葉です(笑)。

7次元はもう、なにもない状態。要するに、「人間万事塞翁が馬」的な精神性を常に持っているので、ぼーっと生きながらにして、私の意識はその7次元にある。つまり、何をもってしても動じない、知覚をしながらもそれを流す状態で、かつその知覚しているものはそれぞれ楽しむよという状態です。これを維持するのが7次元です。

意識の次元性をあげると、「自分を評価する」ことがなくなる

山口:ようやく7次元たどり着きましたが、自分もできるだけ次元性を上げて7次元の状態を目指すということだと思います。

次元性を上げるのは訓練の問題なので、難しい話じゃないです。意識が何を知覚しているか。パーセプション(知覚)とレコグニション(認識)をしていって、次元を上げていく訓練をしていく。常に注意がいろいろ取っ散らかっちゃってて、「そういえばあれ忘れたな」とか「カード使えない」とか、いろいろあるわけです(笑)。そういうこともありながら、一方でそれを客観的に見ている自分もいるという状態に、意識を整えていく。

そういったことを日々やっていくことによって、次元性をコントロールできる。「私は今2次元的に考えてるな」とか「3次元的なものを知覚しているな」とかって理解できるようになる。

自分もすごく高尚な本を書いていても、すごく世俗的な人間だったりします。良い人か悪い人か、良いことが起こったとか悪いことが起こったとかではなくて、「まぁそういう時もあるな」と、自分で自分の悪癖も良いところも俯瞰して、「そうか、そうだね」って思えるようになると、すごく人生が楽になるかなと思ってます。

自分のことをより微細に、解像度を高くしていくと、より楽しく生きられる。つまり「自分を評価しない」わけですね。良くもあり悪くもあり、角度を変えたり時間軸を変えれば評価も違いますし、空間を変えれば違うわけですから。ただただ「そういう特性のものなんだ」と理解していくと、生きていきやすくなるのかなと思っております。

自分の解像度を上げると、自分の特性を理解できる

山口:今日の話のまとめは、自分に対する解像度を上げていくことによって、自分の特性を理解しやすくなるということでした。ありがとうございました。ずっとしゃべってましたね(笑)。

司会者:山口揚平さん、ありがとうございます。パーセプション、それからレコグニション。それから、それにあたってのアテンションですね。まさにここはWisdom2.0がテーマにしているところじゃないかなと思います。

幅広く、経済の話から職業の社会的価値の話から、ジーニアスの話まで。聞いていただいている方もいろいろ情報のシャワーを浴びて、少し(頭の中が)取っ散らかってるかもしれませんけど、考えるためのいろんなキーワードをいただいたんじゃないかなと思います。

ではお時間になりましたので、山口揚平さんのご講演を終了させていただきます。山口揚平さん、どうもありがとうございました。

山口:ありがとうございました。