「手法」のないマーケティングの難しさ

司会者:著者のみなさま、貴重なお話ありがとうございました。引き続き、パネスディスカッションに移ってまいります。本パネスディスカッションは江端がモデレートを行ってまいります。江端さん、ではよろしくお願いします。

江端浩人氏(以下、江端):ありがとうございます。「心」「インサイト」「ナラティブ」とか、違う言葉を使ってるんですが、共通点がそこにあるのかなという感じが、すごくしたんですけどね。

鹿毛康司氏(以下、鹿毛):心とかナラティブとか、難しいね。

(一同笑)

「心はどうやって見つけるんですか?」「どうやって公式に入れるんですか?」最近の人たちはよく言うんですよ。みんな「くれくれ、くれくれ」ね。「どういう手法があるんですか?」って、手法があるんだったら全部AIでやってもらえ。お前いらねえや!(笑)。

江端:(笑)。デジタルマーケティングとかもできたりするんですよね。

鹿毛:デジタルマーケティングは過去のものしか見れないから。インサイト・心なんか見れますか?

江端:なるほど。そういう理論ですよね。

鹿毛:理論じゃなくて、脳科学者が「デジタルじゃわからない」って言ってるもん。

江端:推測はできる可能性はありますが、本当にはわからないですよね。

鹿毛:脳科学者は「こことここがワークしてるのはわかるけど、それが涙になることはまだわからない」ということを明確に言っております。もしそれがわかったら、AIでできます。

嵐のすごさは、マーケター泣かせの「演出」カット

江端:さっきの味の素の話とか、ナラティブは予測はできるんですか?

本田哲也氏(以下、本田):ナラティブの予測も、そういう意味では難しいんじゃないですかね。結局、今の話に関連していて。人の話だから「こういう物語になっていくよね」というのが予想できたらラクな話ですけど、そこはならないですもんね。

射場瞬氏(以下、射場):「嵐すごいな」って思うんですけど。同じライブを何回か、例えば札幌で観て……。すみません、どれだけ行ってるんだっていうのはあるんですけど(笑)。

本田:相当(ライブに)行かれてると思うので。

射場:それは置いといて。そうした時に、お客さんの反応を見て(演出を)ガラッと変えるんですよね。時にチームラボのテクノロジーとか入れて。「これめっちゃ金かかってるよね?」みたいなのを、変更したりするんですよ。「嘘だろー!? 思い切ったな!」という。

マーケター的には「あの予算は……」とか、ちょっと弾きたくなるような。お客さんが喜ばないものは、出してみてインサイトとして違ったら(やめる、変える)。

本田:やめちゃう?

射場:時にはやめちゃうんですよ。松本(潤)くんが番組で言っていましたが、あの潔さはすごいですよ。

江端:素晴らしいです。ちょっとA/Bテストみたいなところがありますよね。

射場:そうですね。観るとわかるので。一番最初の札幌から行くんですが、4日間でも演出を変えたりするんですよ。「嘘だろ!?」みたいな。

江端:毎日観てるんですね(笑)。誰が決めてるんですかね?

本田:やっぱり、嵐本人でみなさんたちが決めてるんですかね。

射場:嵐のメンバーが中心になって決めてるんだと思うんですけど。

片山義丈(以下、片山):素晴らしいですね。

時間をかけても、顧客の本当のインサイトはわからない

射場:「これだ」と思って時間をかけて作るわけじゃないですか。それでもインサイトはわからないんだと思います。

本田:自分たちが「やりたい」というよりも、どう喜んでいただけるかに尽きるってことですよね。

射場:お客さまにより喜んでもらいたいと思うと、自分たちの思いだけじゃできなくなると、変えていかざるを得ないっていう。マーケター的には「頭下がる」と思うんですが(笑)。それってなかなかできないじゃないですか。

本田:投資もあると、なかなかね。

片山:だってチームラボでしょ? 

本田:相当お金かけてると思いますよ。

射場:別にチームラボをやめたっていうんじゃないんですけど。でも、最初の時はあれもあれもチームラボだったのに、「あれ? ここんとこ切ったよね?」というのがわかる。

鹿毛:片山さん、ちょっと聞きたいんだけど。調査データをもとに、コミュニケーションやブランディングを作ったものってありますか?

片山:調査データをもとに作ったものは、あんまりないですね。

鹿毛:調査データをもとに、ナラティブストーリーやシナリオを作ったことあります?

本田:ないですね。難しいです。

射場:じゃあ、逆に何で作るんですか?

鹿毛:ちょっと待って、もう1つ聞きたい。嵐は調査データを基に作ってるでしょうか?

射場:調査データをもとには作ってないですけど……。

鹿毛:作ってない。そこまで。OK!

(一同笑)

鹿毛:阿吽の呼吸だよ!(笑)。

射場:申し訳ないです(笑)。

鹿毛:「調査データ」をテーマにしたかったの。OK?

射場:はい(笑)。

「直感」だけで行うマーケティングの危険性

鹿毛:調査データをもって、なにか次のことをしようとしてない人がここにいるわけだ。これ、どう思います?

本田:最後、江端さんにいくっていう(笑)。

江端:避けられてよかったなと思ったら、来た(笑)。けど、調査データを基にしなくても「間違ってない」という何かが欲しいためにする人も多いよね?

鹿毛:調査はやりますよね?

江端:ある程度は。「間違ったとこに予算をかけない」というところは、欲しいんじゃないですかね。どのぐらいのマーケティング予算を張るかにもよるとは思うんですけどね。

鹿毛:じゃあ、スティーブ・ジョブズはめちゃくちゃ投資したけど、あれは調査してiPhoneを作ったんだろうか。予算によって「調査する・しない」を決めただろうか。

江端:スティーブ・ジョブズ、サラリーマンじゃないので(笑)。

(一同笑)

クビになって(Appleに)戻ってきたところでやってますから。そこは命かけてやってますから、ちょっと違うんじゃないかなあ。

片山:スティーブ・ジョブズを出すのは違うと思う。

鹿毛:違うんだ(笑)。

本田:さっきの片山さんの話だとね。

片山:そうなんです。すぐスティーブ・ジョブズに持ってっちゃだめなんです。平凡な会社や平凡な商品が調査をどう使うかというと、言われるように(データを)見るのは絶対に大事なんですね。

鹿毛:大事。

片山:大事なんだけど、それは信じちゃだめで。逆に「コップの半分(も水がある)」と思うのか、「半分しかない」と思うのかは、最後は人間しかできないので。時々、直観だけでやる人もいますが、スティーブ・ジョブズならいいですけど、スティーブ・ジョブズじゃないくせに直観でやって、大失敗する人もけっこう多いんですよね。

だから、確率を上げるという意味で、は調査データの上に乗っかった上で、次に「どれぐらい信じるか」「どこが違う」「限界があるか」というのは思ってやってますね。

江端:「どれをやったらいいか」ということを調査データで見るんじゃなくて、「これはやっちゃだめだろう」というほうが、ちゃんとわかるようになるっていう。

「データに基づいている」というロジックが強い武器になることも

鹿毛:やっちゃいけないものがわかるようになるんだね。じゃあ、ちょっと待ってくれ。スティーブ・ジョブズを出さなかったら、制作課長さんの時のソニーのWALKMANを作った大曽根幸三さんの話。これだったらどう?

片山:あの人も(ある意味)スティーブ・ジョブズですけど。

鹿毛:あの人はスティーブ・ジョブズじゃん。でもあの人は課長さんの時に、調査せずに手触りで木彫りで作ってたよ。これはどう?

江端:それは素晴らしいんでしょうね。

鹿毛:そう、素晴らしい話をしたい。だから、スティーブ・ジョブズだったらだめだっていうのは、ちょっとわからない論理だと思う。だって、大曽根さんもスティーブ・ジョブズじゃん?

片山:スティーブ・ジョブズですよ。

鹿毛:でも、課長さんじゃん。

片山:立場ということではなくて。たぶん、数字がデータで頭の中になくても、それはもう前提でとっくにわかって……じゃないな。あのへんになると、たぶん関係ないだろうな。

鹿毛:そうそう。そこは嵐も共通するものがあると思うんだけど。

射場:どうなんですかね。でも、わかるんだと思います。こうやってみたら「キャー」と言われた。その「キャー」の違いで、「こっちだ!」というふうにやってるんだと思います。

本田:ぶっちゃけ、周りの説得とかはあると思うんですよ。自分は直観で「絶対そうだ」とわかってる。ただ、利害関係者を動かさなきゃいけないというのが、大きい企業だとあるじゃないですか。

片山:直感同士で戦った時に、「データに基づいてます」というロジックはすごく説明しやすい。

本田:そうそう。これが免罪符になるっていう。

「調査からインサイトが出てくる」というのは誤解

片山:もっと言うと、失敗した時に調査データに基づいてたら、とりあえず死にはしませんが、そうじゃないのにやったら死んじゃうところがあるんですよ。

鹿毛:さっき(基調講演で)俺が見せたベスト個別学院、午前中にちょっとZoomでやったのね。「どうなってる? ちょっと実際に見せて」って、一番最初に言ったの。(そしたら)やっぱり、2時間の打ち合わせの1時間半は、データをじーっと見て分析してる。

江端:すごく見てますね。

鹿毛:ものすごく見てる。よく勘違いされるんだけど、こうやって「調査だけですべてが解決できない」って言うと、調査をしてない人のように思われるんだけど。俺、MBAよ?

(一同笑)

本田:調査をしてるんですよね。

鹿毛:した上で言ってるんだよ。

本田:「目的」と「いつやるか」ということで言うと、今の話はありますよね。

片山:調査に答えを求めるとだめですよね。

本田:そうそう。それです。

射場:「調査からインサイトが出てくる」と思うのは、ちょっと違うなって。

本田:「そこに答えがある」って、思い込まないようにはしないといけないですよね。

片山:仮説のない調査って、実はあまり意味がないかなと思ってて。「こうかな?」って思って、調査で「こっちが確からしい」というのは、けっこう使えるかなとは思いますよね。

鹿毛:これ、難しいよね。でも、ナラティブのシナリオは未来の話だし、嵐も未来の話だし。お客さんとの感度を合わせながら。

本田:そうなんですよね。

「約束」をしないほうがいい理由

鹿毛:ブランドなんか、さっき言ったように未来の話じゃん。「約束」って言っちゃいけないんだっけ?

片山:「約束」はだめですね。

鹿毛:なんで?

本田:そうだ、それ片山さんの本に書いてあった(笑)。

片山:本当に約束できますか? っていう。そのぐらいの覚悟を持ってるんだったらいいんですが。「人と地球が大好きです!」と言われて、「本当か?」って言わないですか? 「未来にチャレンジする企業です」と言うけど、「本当か?」っていう話ですよね。本当に思ってることだったらいいと思うんですけど。

本当は約束したほうがいいんですよ? 約束したほうがいいんだけど、だいたいの会社って、約束するほどそんなに立派な会社じゃなかったりもするので。商品にしても。

本田:そこは片山さんの話を聞きたかったんですが。確かに、大仰な約束は難しいかもしれないですけどね。さっき僕が言ったのは、未来を想像するということ。「具体的にこういうふうになってなきゃいけないんじゃないか」、あるいは「こうしたい」ということ。これはけっこう大事じゃないかなと思うんですよ。それと「約束」はちょっと違うんですよね?

片山:そうですね。それを「約束」と言うなら、たぶん「約束」なのかなと。「自分たちはこうしたい」と思ってるっていうのはすごく大事なんですけど、それを「約束します」まで言うのはちょっと不遜な感じがして。あくまでも自分たちが「やりたい」と思ってるだけであって。

本田:そういうことか。

江端:「やりたい」と思ってることができるかどうかはわかんないし。

「約束」に代わる言葉はあるのか

鹿毛:それが「約束」じゃなくて「宣言」だったらいいってこと?

片山:「宣言」は絶対にしないとだめなんですが、「約束できるだけのものを張ってますか?」という話なので。

本田:なるほど。

片山:私は安易に「約束」って言葉を使うのはすごく嫌いなんですよ。

射場:「宣言」と言うより、「思い」に変えたら気持ちが入るじゃないですか。

鹿毛:片山さんは5年後、どういう宣言をする?

片山:のんびり暮らしていきたいなと(笑)。

(一同笑)

本田:それが宣言なんですよね(笑)。

片山:会社にしがみついて、のんびり暮らしていきたいと思います。よろしくお願いします。

鹿毛:「あと5年でどう宣言する?」って、言葉はちょっとおかしくない?

本田:確かに(笑)。

鹿毛:「あと5年でどうなりたいか約束してくれない?」もちょっと言い過ぎだし、「宣言」もちょっと難しいね。片山さん、開発して。

片山:開発します。宿題で。

本田:「約束」だとちょっと強い。そこは難しいですね。

消費者と一緒に共創する姿勢が重要

片山:どうしてもそういうキャッチーな言葉って、使った瞬間にそっちに寄ってしまうんですよね。

江端:そういう意味だと「ナラティブ」は、いい塩梅ですよね。

本田:どうなんですかね。でも、さっきの「ナラティブ」の話でいくと、企業が約束するというのは、確かにそれはそれでなんか上から目線だなと思うかもしれないです。

江端:むしろみなさんと一緒に、「この指標を目指してがんばりましょう」「実現できるかわかんないけど」というほうがいいんですかね?

本田:そうなんじゃないですかね。

鹿毛:この会(江端氏のマーケティング研究会)は何か約束していますか?

江端:もともとは、フィリップ・コトラーさんの「マーケティングの次は何だろう?」ということをやってる会だったんですけどね。

鹿毛:フィリップ・コトラーさんって、今はもう『Marketing 5.0』を出したでしょ?

江端:『Marketing 5.0』を出しましたけどね。

鹿毛:英語がわかんなくて、読んでないんですけど。

(一同笑)

本田:いやいや、MBA(笑)。

鹿毛:俺ね、英語へたくそなのよ。『Marketing 5.0』って、どういうことが書いてあるんですか?

江端:今日はその話はやめましょう(笑)。

鹿毛:ぜんぜんこの話に共通しない?

江端:そうですね。ちょっと違うかもしれないですね。最近、共著が多いので。

本田:そうですよね。共著が多いですよね。

江端:それ以上は言わないです(笑)。

今も繰り返される『Marketing2.0』の引用

鹿毛:とりあえず、僕がフィリップ・コトラーさんに詳しいから言うけど、よくみんな「コトラーさん、コトラーさん」って言って。もちろんそれはわかるんだけど、だいたいフィリップ・コトラーさんの『Marketing2.0』で終わっている話をずっとみなさんしゃべっている感じがしないですか。そうでもない?

江端:そこがわからないので、この研究会をやっているという感じです。

鹿毛:そうなんだ。この会に入ったらよくわかるようになる?

江端:入らないよりはよくなります(笑)。どう答えたらいいのか(笑)。

本田:絶妙な答え方ですね(笑)。

(一同笑)

鹿毛:この会をリーダーが「こうだよ」って言ってくれればね(笑)。

本田:「約束」(笑)。

江端:それは「約束」じゃないです。約束はできないけど「一緒にやりましょう」ってことです。さっき言ったことじゃないですか(笑)。

鹿毛:そっか。

本田:思いは伝わりますよね?

江端:「思い」は伝わる。

鹿毛:これがブランドですよね?

片山:「ブランド」ですね。

「すべての人に愛されようと思わないのは、すごく大事なこと」

江端:今日みなさんの話を聞きに、すごくいろんな人が(来ています)。そういえば質問は来てないんですか?

(一同笑)

鹿毛:質問を投げかけないと。

本田:質問が投げかけにくいんじゃないですか? という気持ちです(笑)。

江端:射場さんの話で刺さったのが、「嵐のファンは(全国民の)3パーセントなんですよ」っていうところが。

射場:そうですね。2.4パーセントくらいですね。

本田:(人数で言うと)300万人。

江端:日本で一番すごいグループでも、それぐらいしか囲ってないんだよね?

射場:でも、囲わなくても世界で一番アルバムとか売れちゃうんですよね。だって、200万枚くらい売ればいいじゃないですか。

本田:ですよね。すごい。

射場:別にすべての人に愛されようと思わないのは、すごく大事なことですよね。

江端:そうですよね。

片山:すべての人に愛されると思った瞬間に誰からも愛されない。

本田:そうです。今はそういう時代。

「ナラティブ」の次に来る新潮流とは?

質問者1:すいません。質問にまいりました。今日はみなさん、素晴らしいお話をありがとうございました。

江端:ちょっと自己紹介を簡単に。

質問者1:鹿毛さんに大変お世話になっております。お台場の球のついているテレビ局の辻と申します。ちなみに僕もiU(情報経営イノベーション専門職大学)で特任教員をやっております。また来年からコーポレートファイナンスを教えます。よろしくお願いします。

特に誰(に対する質問)っていうわけではないので、みなさんにおうかがいしてみたいんですが。マーケティングの世界やクリエイティブの世界って、ナラティブもストーリーもそうですが。いろんな言葉が出てくる中で、つまるところは鹿毛さんのおっしゃっている心やインサイトをどう捉えていくかだと思うんですけれども。

この次に来たる波として、みなさま方が大切にしたり、予測しているものって何かありますか? もしくは「逆に言うと、これが引き続き普遍的に大事になっていくのではないか」というものはあったりしますでしょうか?

江端:どうですか? すごい深淵な質問なので、本田さんから(笑)。

(一同笑)

本田:「これからナラティブで」って言っている時に、さらにその次が来るって言うと、私自身が頭が追いついていかない感じがしますけど(笑)。どうでしょうね。

でもやっぱり、人間中心とか、私の話も物語が企業にあるというよりは人々の中にあってということで。そこに企業も入っていくというか、「ヒューマンセントリック」というか、人間的になっていくのは大きな流れなんじゃないかなと思いますよね。

質問者1:ありがとうございます。

一番大切なことは、自分にとって一番大切な人を見続けること

江端:(射場さんは)どうですか?

射場:正しいかわからないんですが、自分にとって本当に一番大切な人たちをしっかり見ていれば、大事なものって見えてくるんじゃないかって。

もしくは、その人たちのコミュニケーションやSNSの使い方が変われば、自分たちもその人たちに伝えるために変われるだけで。「次にこれが来る」とかではなく、一番大事なのは、自分たちが本当に一番大事だと決めた人たちを見続けることじゃないかなと思っています。

質問者1:嵐のように。

射場:そうですね(笑)。あの人たちは、ファンの思いや反応をしっかり見続けているので。そうすると、嵐が変化することができるんですよ。SNSをやろうと思ったらやれるし。別にそれはSNSになることが重要なんじゃなくて、ブランドにとって大切な人たちが喜ぶものは何かと考えることが重要なんじゃないかなと思っています。

質問者1:ありがとうございます。