「管理職の1on1力を高める具体的な方法とは?」

榎本佳代氏:ではここまで、「『聴く』を組織に取り入れると、パフォーマンスが上がります」と。むしろ取り入れないことには成り立たない、だけど自然体じゃ難しいというのは、コメントでも共感いただいていたと思うんですけども。「IQが高いほど難しい」とか「仕事ができる人ほど難しい」とか(笑)。じゃあどうやってそれを、この変革が激しい中で取り入れればいいのか? という話を第二部でお話しいたします。

第二部はエール株式会社、プロダクト開発責任者の内田さんにお話をいただきます。篠田さんからお話があったとおり、エールは約2,000人のビジネスパーソンの「聴く」をご支援しております。

年間で言うと約6,000セッションほど1on1を実施してるんですけども。内田さんはそんなセッションデータをエールの中で一番見て、そして「良質な1on1とは何なのか?」を分析しながら、表面的な課題ではなく「どうやったら組織に本当に『聴く』が入るのか?」について、当事者のペインを深く洞察して、冒頭お話しした「聴くトレ」の開発も行っております。

今日はそんな内田さんから「管理職の1on1力を高める具体的な方法」について「なかなかうまくいかないよ」という企業さんのお声をたくさんいただくので、具体的なヒントについてお話をいただければと思います。内田さん、よろしくお願いいたします。

内田修平氏(以下、内田):よろしくお願いします。ただいまご紹介にあずかりました、内田と申します。今回リリースしたオンライン研修プログラム「YeLL│聴くトレ」の企画開発を担当しております。本日は「管理職の1on1力を高める具体的な方法とは?」というテーマについて、お話をしていきます。

本日のゴールは、みなさんの組織における管理職の1on1力向上に対して、課題“発見”のヒントと課題“解決”のヒントを1つずつ持って帰っていただきたいと思っております。私自身、前職ではマネージャーの立場で、約10人ぐらいのメンバーと1on1を実施してきたんですけれども、現場の1on1がうまくいくことって本当に難しいんですよね。

今回、プログラムの開発に際しては、これまで「YeLL」をご導入いただいた組織の責任者の方、人事の方、管理職の方々の、本当にたくさんの困りごとを聞いてきました。そしてエールに集まった1万件を超える1on1の定量・定性のデータを分析しながら、みなさんの抱える困りごとの本当の課題は何なのか? どうすれば管理職の方の1on1力を再現性を持って高められるのか? について、ひたすら考えてきました。

今日はその過程を通してわかってきたことをお伝えさせていただき、日々の現場で1on1を推進し試行錯誤されているみなさんにとって、なにかヒントになるものをお伝えできたらうれしいです。

管理職の「1on1力」向上の課題とは何か?

内田:さっそくですが、いきなり結論でございます(笑)。本日お伝えしたいことは、この2点だけです。1つめは、管理職の1on1力向上の課題とは何か? それは「『聴く力』の不足」ではなく「『聴く力』を身につける機会の不足」なんです。2つ目は、その課題を解決する具体的な方法とは何か? それは「『知識』のインプット」ではなく「『知識』を学ぶ関心を高めるサイクル」なんです。この2つをお伝えするために、このあとお話をしてまいります。

本日は3つのお話をしていきます。1つ目は、管理職の1on1力向上の課題についてです。人事や管理職の方の具体的なお困りごとの事例をご紹介しながら、本当に解決すべき課題は何なのか? をお伝えしていきます。2つ目は、その具体的な解決方法についてです。1つ目に定義した課題をどうやって解決していけばいいのか? これまでのエールの1on1の知見を踏まえ、具体的にお伝えしていきます。3つ目は、今回新しく開発した「YeLL│聴くトレ」についてご紹介していきます。

まず、管理職の1on1力向上の課題についてです。エールでは、先ほど榎本さんからもご紹介があったとおりさまざまな目的で導入いただいておりますが、半分以上が管理職の1on1力向上に対するご相談となっております。

この中でみなさんのお困りごとを聞きながら、1on1を推進していくステップを3つに分解して、どこに課題があるのか整理してみました。ステップ1として「1on1の実施の定着」。まず量を増やしていくことはできているんですけども、そもそも1on1を導入した目的達成に向けて、質を向上していくところでつまずいてらっしゃいます。

「それぞれが学んだ、それぞれのやり方」を実施してしまう

内田:では、実際にどんなふうにお困りなのか? 1on1を企画・推進する担当の方の視点と、1on1を実施する管理職の方の視点。この2つの視点から事例をご紹介していきます。まずはじめに企画担当の方の困りごとの事例を3つご紹介し、そのあと管理職の方のお困りごとの声をご紹介していきます。

では、企画担当の方の1つ目のお困りごとの事例です。こちらは「1on1が自己流で変わらない」というものです。こちらは大手研修会社さんの事業部長の方の事例でして、管理職の方のコミュニケーションに対する関心が非常に高くて、みなさんご自身で書籍を学んだり、外部のセミナーに出られたりして学ばれているかたちでした。

一方で、実際の1on1では「それぞれの方が学んだ、それぞれの1on1のやり方」を実施しているので、当然、マネージャーの1on1力にバラつきがある状態になっていました。また、会社として研修を企画していく仕事の特性上、非常にロジカルな思考の方が多かったので、そのマネージャーの上司にあたる方から「もっと部下の気持ちに寄り添ってほしい」というフィードバックを伝えても、なかなか響かない。1on1をする部下からすると、やっぱりなかなか本音や気持ちは相談しづらい。こういったお困りごとでした。

次に2つ目の事例で、「研修やっても効果が薄い」というものです。ほぼ100パーセントの顧客の方が話すお困りごとになっています。こちらはtoC向けのサービスを提供されている会社で、人事部の方なんですけども。組織としてはエンジニアとかデザイナーという、ちょっと職人気質の方が多い会社さんでして。そのコミュニケーションの改善のために、1on1を約1年半前に導入されていました。

導入にあたり、1on1を実施する管理職の方にコーチングの研修を実施しているんですけども、やっぱり研修だけだと実際のスキルが向上していないという状況でした。また、現場の管理職の方からは「また研修か」と、いわゆる「現場の研修疲れ」が起きていて。「ほかにどんな打ち手を打ったらいいんだ?」というと、それ(答え・打ち手)がなくて現場に任せるしかない。こういったお困りごとでした。

最後に3つ目の事例として、「1on1がほぼ業務の話」というものです。こちらは大手のSIerの事業部長の方のお困りごとで。組織の特徴としては、上司が部下の面倒をちゃんと見るカルチャーがけっこう根付いてる会社さんだったんですね。管理職のみなさんもそういった環境の中で育ってきたので、「上司はやり方を教えるもの」というカルチャーが強く、実際行っている1on1の中でもティーチングを中心とした「教えること」はやっているので、上司の方も「自分は1on1ができている」と思い込んでしまっている……ということが起きていました。

なので実際の1on1の中身を開けてみると「部下が業務の課題や進捗を相談して、上司がアドバイスをするだけ」になってしまう。こんな困りごとでした。

1on1を実施する管理職の2つの困りごと

内田:ここまで、1on1の企画担当の方の視点でお困りごとの事例を3つ紹介してまいりました。ここから今度は、1on1を実施する管理職の方のお困りごとを見ていきましょう。大きく「1on1って意味があるのか」「やってるんだけど正解がわからない」、この2つに集約されます。

例えば(スライドを指して)左上の40代のマネージャーの方の声として、「傾聴って本当に必要なの?」「部下が本当に成長するの?」と、いまいち「1on1の中で話を聞く」という意味が腑に落ちていない状況でした。

また右上の30代のマネージャーの方の声としては、1on1についてけっこう前向きな方でして「実践はしています」と。ただ「部下の反応がイマイチだったり、効果が見えづらかったりするので、これでいいのか正解がわからない」という不安になっております。ほかにもさまざまな管理職の方々の声が上がっているんですけども、言い方は違えど、この2つが困りごとなんです。

ここまで「1on1を企画・推進する方」と「1on1を実施する管理職の方」の、2つの視点で困りごとを見てまいりました。どちらも質の向上でつまずいている。中でも「上司の方の1on1のスキルの向上」、これが両者の共通の課題になっているんですね。

「聴く力を身につける機会」自体の不足

内田:では、この「上司に求められる1on1のスキル」とは何なんでしょうか? それは(スライドを指して)こちらのように、8個のスキルで分解できます。こちらは1on1で有名な世古(詞一)さんの資料を、エールで一部編集したものになっております。

よく1on1というと「傾聴が大事なんでしょ?」と思われている方が多いのですが、こちらの図にもあるとおり、傾聴力は相談のための1つのスキルでしかなく、時にはちゃんと厳しいフィードバックをしたり、冷静に評価したりするスキルも必要なんです。部下の状況や期待値に合わせて、8つのスキルを使い分けていくこと。これが上司に求められる1on1スキルです。

では、この中でどのスキルを磨いていけばいいのか? それは黄色い枠で囲まれている部分の「聴く力」になります。みなさん、右上の面談のスキルに関しては、これまで管理職の上司にあたる方々にたくさんお手本もいましたし、実際に自分もそれを受けて、良さだけでなく苦しさも共に体験をしていると。だからこそ個人差はあれど、一定のスキルとしては担保できていますし、今後の1on1の中でも必要なスキルなんですよね。

一方で黄色い枠の「聴く力」に関しては、先ほど篠田さんから話もあったとおり、構造的な変化と共に必要になってきたスキルなので。当然、学校でも教えてくれてないし、管理職の手本となる方もほとんどいないし、自分も受けたことがない。そんな中で「じゃあ1日の集合研修でコーチングを学んだので、これからは1on1をやってください」って言われても、やっぱり無理なんですよね。つまり「聴く力」が不足しているのではなく、単純に「聴く力を身につける機会」自体が不足している。これが1on1力向上で本当に解決すべき課題なんです。

「聴く力」を身につける、3つのサイクル

内田:ここまで1つ目の話をしてきました。「管理職の1on1力向上の課題とは何か?」それは「聴く力」の不足ではなく、「聴く力を身につける機会」の不足です。では、この「聴く力」をどうやって身につけていけばいいのか? 具体的な解決方法について、お話をしていきたいと思います。

ここで本題に入る前に、30秒ワークを挟みたいと思います。みなさんに1問考えていただきたいんですけども。過去ご自身がなにかに取り組まれてきた中で、いろんなスキルを身につけてきたご経験があると思います。その経験の中で「スキルを身につける際に、何が大切だったか?」。ご自身の頭の中で考えてみていただけますでしょうか。

……いかがでしたでしょうか。なにか重要なポイント、1つ浮かびましたでしょうか。ではここから本題の「『聴く力』を身につける具体的な方法」についてお話をしていきます。先ほどのワークで考えていただいたことが、「ここは一緒だった」とか「ここは違った」というふうに、答え合わせをするような感覚で聞いてみていただけたらなと思います。

さっそく結論なんですけども、「聴く力」を身につけるには、スキル習得に必要な3つの要素を満たす学習サイクルを回す。これをやることで誰にでも身につくスキルです。何事にもまず「やってみたい」「やらねば」と思う、「関心」が大事なんです。その上で実際のやり方や体系だったり概念を「理解」して、さらに「実践」の中での経験を通して、きちんと振り返りをしていく。このサイクルを回すことで、「聴く力」は誰にでも身についていきます。

では「聴く力」が身についていく、実際のプロセスを見ていきましょう。まず関心の部分でいきますと、自分の上司の方がなにか悩んだりした時に「親身になって話を聞いてくれたことがあって、自分がうれしかった・自分にとって良かった」。そういった体験や環境があると、「自分の部下にもやってあげたい」というふうに関心が高まっていきます。

その上で、いざ管理職になって1on1の研修を受けた時には、やっぱり「部下のための時間として考えることが大事である」とか「傾聴の仕方が1on1の中でも大事なんだ」というふうに、概念ややり方を頭だけ(理解)ではなく腹落ちしていくことができるんですよね。

さらに、自分のものになった知識をもとに実践をすることで、部下が喜んでもっと関心が高まったりとか、例えうまくいかなくてもちゃんと振り返りをして、やり方を改善して理解を深めていく。この3つのサイクルがきちんと回ると、「聴く力」は身についていきます。

しかし実際の1on1では、この3つのサイクルは回っていません。まず関心については、「1on1ってやる意味あるの?」「傾聴って本当に必要なの?」と関心が高まっていない状態です。その上で理解を深めるための研修を行っても「頭ではわかるんだけど、実際の現場は違うんだ」というふうに腹落ちしません。

もし、もともと関心があって研修で理解が深まった方がいても、1on1を実施することはできているが、なかなかうまくいかなかったり「これが正解なのか?」と不安になったりします。

さらにプレイングマネージャーとして日々の業務に追われている中では、振り返りも十分にできないので、「1on1ってやらないほうがいいんじゃない?」っていうふうに、だんだん“諦めモード”に入ってしまうんですよね。こんなふうに3つのサイクルが回らない状態では、「聴く力」は身についていきません。

上司に不足している「聴かれた体験」を提供すること

内田:では3つのサイクルをどうやって回せばいいのか? こちらをお話ししていきます。まず大事なのが、関心を高めること。そのために上司に不足している「聴かれた体験」を提供すること。これが第一歩です。

関心を高めるには体験することと環境を整えること、さらに2つの方法があるんですね。関係に関して具体的な事例としては、例えばヤフーさんでは管理職の1on1と人事評価を明確に結びつけて、それによって「管理職だからやらなきゃ」というかたちで関心を高めています。しかし、なかなかそのように制度を変えていくこと自体は難しいし、時間がかかる。そういった状況においては「聴かれた体験」をまず提供すること、これが必要です。

実際にエールで「聴かれた体験」をした方の8割以上の方について、聴く関心が向上しております。ここで「聴かれる体験」を通して「聴く関心」を高めようという取り組みをされていた、安全自動車さんの事例をご紹介いたします。3分ほどの動画をご覧くださいませ。

(動画が流れる)

中谷象平氏:残念ながら僕ら、安全(自動車)社内のマネージャー世代って、いいお手本が過去にいなかったわけですよね。要は社会人として厳しく育てられてきたわけですね。そうなるとやっぱりそれが、自分が成長したプロセスの中での成功体験なので。そうすると、そう振る舞ってしまう。

だからやっぱり1on1の中で、コーチというか上司の役割って非常に大きいし「それを社内でやりたい」という強い思いがあったので。まず良質な体験をしてもらいたいと、ここが一番大きなポイントですね。

奥村淳氏:まず最初、私の個人的なところはまず「面倒くさいな」というところからのスタートでしたね。「1on1をやることで何が良くなるんだろう?」とか。どうしてもやる前だと悪いことばっかりのほうを、疑っちゃうっていうんですかね。

今思えばですけども、最初に担当していただいた方が非常に、まったく否定しないし、共感していただけるところが非常に多かったので。話しやすいというのが第一印象でしたね。

逆に社外だったからよかったなと思いますね。言いにくいこと、会社に対する愚痴じゃないんですけども(笑)。なかなかやはり、例えば自分の上司とそういうことをやっていても「おそらく否定されるんじゃないかな?」とか、そういうことがまったくないので。すべてをまずは受けとめていただけるというところは、逆にまったく知らない方のほうが話しやすかったっていうのはありますね。それとあとは、応援してくれているところっていうのは、ものすごく励みになるというか。「よし、がんばってみよう」という気持ちは非常に強く受けましたね。

「自分がこういうふうに思っている」「こういうふうに言っているのに部下はやってくれない」っていうところが、話していくうちに「いや、待てよ」「部下はどうなんだろう?」っていう。部下から見た「上司としての私」はどう見えているのか? 私が言ったことに対して、部下はどういうふうに思ってるんだろう? ということを考えるようになった。

一番良かったのが、会話が少なかった部下との会話が増えたと自分は感じたので。それを本人に言ったんですよね。そうしたら本人もやっぱり「部下との会話が増えました」というようなことを聞いたので、非常にいい方向にいってるなっていうところは、実感できた瞬間でしたね。

金子美佐氏:エールさんから聴かれた内容を、私が1on1で使います。答えを彼らは言ってきているわけではなくて、「どうしてそういうふうにしたんですかね?」っていう感じの聴き方ですよね。で「どうしてそういうふうな行動だったり、考えたんだろう?」っていうのを使わせていただいてます(笑)。

(動画終了)

内田:いかがでしたでしょうか。ご覧になっていただいたように、安全自動車さんのように“背中を見て学ぶ”厳しいカルチャーの中でも、「聴かれる体験」を通して「聴く関心」を高めることが可能なんです。

知識のインプットではなく、知識を学ぶ関心を高めるサイクル

内田:次のステップです。高まった関心を起点に、理解・実践のサイクルが回るサポートが必要になってきます。理解に関しては、すでにみなさんもやられている研修などの方法を通して知識をインプットし、やり方や概念を理解してもらうことが必要です。関心が高まった状態でインプットをすると、理解が深まっていきます。

この上で実践に関しては、振り返りの機会を提供していくことが必要です。みなさんとても忙しいので、個人の振り返りに任せるとどうしてもバラつきが出てしまうんですよね。だからこそ仕組みでサポートすること、これが必要なんです。

例えば先ほど話した研修と組み合わせて、3ヶ月後にリフレクション研修を行ってみたりとか、マネージャーで集まって1on1に関する座談会をしたりすることで、個人に依存せず組織として実践ができていきます。このように理解・実践のサイクルが回るサポートとすること、これが必要です。

ここで、最後に1つ重要なポイントをお伝えします。この関心・理解・実践、3つの要素は、ここまでお話ししたように一つひとつ個別に施策を打つのではなく、3つに対して施策を打っていくことが必要なのですが、サイクルが回らないと効果を発揮しません。いくら体験をして関心が高まっても、そこにタイムリーに研修がないと理解は深まっていかないし、研修した内容の実践がまた1ヶ月後になってしまうと、もうやり方を忘れてしまっています。この3つの要素がサイクルとして回る、この仕組みを作ることが必要なんです。

ここまで2つ目のお話(具体的な方法について)をしてきました。聴く力を身につける、機会の不足を解決する具体的な方法とは? それは知識のインプットではなく、知識を学ぶ関心を高めるサイクルなんです。

あらためて、本日お伝えしたかったことはこの2点です。管理職の1on1力向上の課題とは、聴く力の不足ではなく、聴く力を身につける機会の不足。そして、それを解決する具体的な方法とは、知識のインプットではなく、知識を学ぶ関心を高めるサイクルなんです。

この2つについてお話をしていきました。なにかみなさんのヒントにつながっていればうれしいです。

1on1力向上のためのオンライン研修プログラム

内田:最後に、今回開発した1on1力向上のためのオンライン研修プログラム「YeLL|聴くトレ」を簡単にご紹介してまいります。

ここまでお話ししてきた、関心、理解、実践のサイクルが回る、1on1に必要な聴く力を身につけるためのオンライン研修プログラムになっています。まず最初に、管理職の方が実際に部下の立場になって、社外の聴く人材・サポーターに話を聴いてもらう。こうした聴かれた体験を通して、関心を高めていきます。

その後、聴くに関する研修動画で理解を深めて、社内の1on1で実践をしながら、サポーターがその振り返りを伴走していくプログラムになっています。つまり、この3つのサイクルとして回る仕組みを提供する、新しい研修プログラムになっております。

ここから、プログラムの3つの特徴を簡単にご紹介してまいります。1つ目の特徴は、体系立てた聴くを学べるショートな研修動画です。エールはこれまで、クライアントの方だけでなく約1,800人(イベント開催時)のサポーターの聴く力の向上を含めた、約2,000人のビジネスパーソンの聴く力の向上に取り組んできてまして。

そのエールの知見を、10分×4本の動画にまとめ、体系立てた学びの機会を提供していきます。動画のコンテンツについても、第一線で活躍するビジネスパーソンであり、聴くを探求し続けている講師が伝えていくプログラムになっています。

2つ目の特徴は、AIマッチングです。社外の副業人材1,800人(イベント開催時)の中から、NRI(野村総合研究所)さんと共同開発したAIによって、一人ひとりの性格・特性に合わせて、ぴったりのサポーターをマッチングします。これによって、良質な聴かれる体験を提供していきます。

最後に3つ目の特徴は、理解と実践、振り返りが回るサイクルです。まず最初に研修動画を見ていただいてから、間を空けることなくサポーターとの1on1セッションをします。その中で、動画について学んだこと・感じたことを、まず自身の言葉で言語化をしていきます。さらに、セッションが終わった後に簡単なアンケートにお答えいただきまして、言語化した自分の言葉をちゃんとアウトプットすることで、実践に向けた意識づけがされていきます。

その上で実践をしていくと、たとえうまくいかなくても、先ほどの動画や自分でアウトプットした言葉に立ち返ることができるし、サポーターが伴奏することで学びの意欲も継続していきます。こういった3つのプログラムの特徴があるものになっております。

ここで、実際にプログラムの一部を体験したマネージャーの方の具体的な変化をご紹介します。最初はやっぱり「聴くだけで部下が成長するの?」という、けっこう懐疑的な状態からスタートしたんですけども。プログラムを通して、ご自身の聴き方とか思考の癖、価値観について徐々に気づきが生まれていって。

部下との1on1で「じゃあ実際に褒めてみよう」と実践したら、部下も喜んでくれた。こういった実践を通して、最終的には相手に寄り添うことの大切さを理解し、最後はやっぱり「部下と対話を続けていきたい」。こういった変化が起きていきました。

プログラムの構成としては、2.5ヶ月の期間で管理職の方に聴く力を身に着けていただくプログラムになっております。最初に導入研修の動画を受講していただいた後、前半1ヶ月が聴かれる体験、後半1.5ヶ月が理解と実践の学習サイクルを毎週行う、この2部構成になっております。

エールの「聴くトレ」にもし興味を持っていただけましたら、ホームページからご連絡いただければ幸いです。

ここまで長時間になりましたが、管理職の1on1力を向上する具体的な方法というテーマでお話をしてきました。本日のお話の中で、なにかみなさんの組織におけるヒントになっていましたら幸いです。ご清聴ありがとうございました。