ガイアックスの本部長、土屋鞄製造所のマネージャーが対談
管大輔氏(以下、管):こんばんは。管大輔と申します。株式会社ガイアックスで本部長と新規事業の責任者を兼業しながら、複業でZaPASSというコーチングの会社で共同代表を務めています。
プライベートでは2019年よりオランダに移住しており、本日はオランダからお送りしております。どうぞよろしくお願いします。
西島悠蔵氏(以下、西島):みなさん、よろしくお願いします。西島悠蔵と申します。個人的には、東京からつないでいる人がほとんどじゃないかなと思ってるんですが。オランダでマウンティングされた感があるので、しっかりと東京からお伝えさせていただきます(笑)。
今は土屋鞄製造所という会社で人事のマネージャーをやっています。キャリアがすごく変わってまして、もともと全日本空輸(ANA)という会社でパイロットとして入社しまして、それから紆余曲折あって。今年34歳になったのですが、僕は転職を3回やってきて、今の会社に至っています。
僕は何回も転職を繰り返しつつ、複業でもキャリアを作ってきています。管さんとは違った視点でいろいろお話ができればと思ってます。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
司会者:よろしくお願いします。
本トークセッションの3つのテーマ
司会者:ということで、本日のトークテーマ「自分らしい一歩を踏み出すための、次のキャリア戦略の考え方」に移りたいと思います。さまざまな選択肢があるところで、大手が良いのかベンチャーが良いのかとか、今のところでがんばるのが良いのか、あるいは転職してチャレンジするのが良いのか。
もしくは複業でチャレンジしていくのが良いのか、本業でキャリアアップしてくのが良いか。あるいはキャリアシフトしてく上で、「やりたいこと軸」が良いのか「スキルアップ軸」が良いのかとか。「どっちが良いんだろう」といったテーマでお話ししていきます。
本日のトークテーマは、「お二人のキャリアの歩み方の違い」「やりたいこと軸orスキルアップ軸 やりたいことって明確に持ったまま転職しないといけないの?」「納得感ある意思決定をするためには? 今に集中するor戦略を立てる」の3つになります。トークセッションの後は、みなさんからの質問にお答えしていく時間を設けております。
新卒から勤続する管氏と、パイロットから人事に転職した西島氏
司会者:最初にこのテーマを受けてお二人が感じたことをお聞きしたいのですが、いかがですか?
管:そうですね。私と悠蔵さんはまったくキャリアの歩み方が違うなと思っていて。私はガイアックスに新卒から入って、ずっと1社でキャリアを積み上げてきたタイプですし。悠蔵さんは、パイロットから今は人事になられているくらい、キャリアをいろいろと歩まれてる感じなので。
2人の違った歩み方をみなさんにお伝えすることで、「こういうキャリアの選択肢があるんだな」ということを知っていただきたいです。とはいえ、キャリアを歩む中で大事にしなきゃいけない考え方もあると思うので、そのあたりも併せてお話しできたら良いなと思ってます。
西島:本当に「こんなに違うんだな」っていうくらい、お互いユニークなキャリアになってきてるとは思っています。僕は転職をしてきた分、「この辺りが大変だったな」「このへんは良かったな」などを中心に話せたらなと。今はいくつか複業をやってますが、やっぱり良い部分だけではないので。けっこう生々しい複業のしんどさとか、そういったところもちゃんとお伝えできればと思ってます。
転職を選ばず、今の会社で働き続けることを決断した理由
司会者:さっそく1個目のテーマ、「お二人のキャリアの歩み方の違い」から聞いていきたいと思います。実際に今までのキャリアをどのように歩んできましたか?
管:2013年にガイアックスに新卒入社してから、2年半ぐらいで事業部長をさせてもらって。事業部長を3年やって、入社して7年目に本部長になりました。今は本部長と新規事業の責任者も兼任しています。
正直、何度も転職は考えましたし、ありがたいオファーをいただいたこともありました。ただ、転職するよりも今の会社でキャリアを積み重ねていくほうが、自分にとって将来の選択肢が広がりそうだなとその都度判断し、ガイアックスに残り続けているという感じです。
僕の中でけっこう大きかったのは、友人と起業することと、海外に移住することです。もし、この2つのどっちかを反対されてたら、会社を辞めてた可能性はゼロではなかったと思います。
複業しても良い、どこに住んでも良い。しかも、リモートワークも時差があるところでやっても良いっていう。そこまでOKされると、辞める理由がなくなったというか。それだったらこの会社でしっかりがんばり続けたいなということで、引き続き今もガイアックスの仕事にコミットしています。
「今の会社にいる理由」を定期的に見直す
司会者:辞める理由はなかったんですね。
管:そうですね。確かに今は「辞める理由がない」って感じですかね。半年に1回とか、この前もビズリーチに登録してみて、いろんなエージェントさんから「今の自分にはどんなオファーが来るんだろうか」というお話を聞いていました。
いろんな選択肢を聞いた中で、やっぱりガイアックスが一番良いなとあらためて思ったので。あと数年はガイアックスでがんばろうかなという感じですね。
司会者:ある種、常に「ほかの選択肢」と「ガイアックスでがんばること」を天秤にかけながら、常にガイアックスが残ってきたんですね。
管:そうですね。2~3年に1回、大きな意思決定をしていますが。ほかの選択肢もあることで、ただなんとなく今の会社にいるんじゃなくて、「ほかの選択肢を切って今の会社を選ぶんだったら、今の会社でしかできないチャレンジをいろいろやろう」と思えるので、また気合いが入り直すというか。
「この環境をしっかり使っていろいろやってやろう」という気持ちになるので、2~3年に一回は選択肢を広げて、今の会社にいる理由を見つめ直しています。
司会者:なるほど。
1社で長く働き続けることのメリット
司会者:最後にもう1個だけ。(会社に)残って続けたからこそできたこととか良かったことって、一番大きいのだと何がありますかね?
管:これは良し悪しがあるかもしれないんですが、個人的にはやっぱり新卒は会社に重宝されるな、というのがあります。僕はほかの会社を経験せず、新卒で入ったので。まっさらな状態なので、正直ガイアックスしかちゃんと知らないですし。
その分、ガイアックスの会社の理念や方向性、価値観とかはしっかりインストールされてる自覚もあるので、自然とガイアックスの価値観を外に発信することはできますし、体現しているんじゃないかなとも思っています。そういう意味だと、いろんな機会が巡ってきやすくなるのではないかと。
例えば、採用イベントによく呼ばれることもあります。ガイアックスの新卒採用の面接とか、管理職の面接は僕がやらせてもらうことも多いんですが、それは会社のことをちゃんと理解している、長年勤めていていろんな経験をしてきてる私だからアサインをされてるということはあると思います。
そういう意味で言うと、1社で長く働き続けるのは、その中でチャンスがたくさん巡ってきやすいのはあるかなと思いますかね。
ANAからリクルート、ベンチャーから老舗企業まで幅広く転職
司会者:今の管さんの話を聞いて悠蔵さんはいかがでしょうか?
西島:似てるところは、たぶん転職活動って大輔もやってるのかなという感じはあるんですよ。要は、自分の市場価値を知りにいくとか、どんな可能性があるかを知っていくのは、僕も同じ感覚を持っていて。
転職活動は僕も年に1回やっています。自分がやってきたことを職務経歴書に落とし込んで、「この1年はこんなことやったんだな」ということを振り返っていたりするので。キャリアについてはすごく考えたりとか、市場感を気にしてるっていうのは、すごく似てるところなのかなという感じはしました。
僕は逆に、全日本空輸からリクルート、リクルートからベルフェイスというベンチャー、ベンチャーから今は中小企業の老舗という感じで移ってきてるんですが。いろんな会社や業界を経験してるというのは、それ相応のお作法があったりだとか、変化対応を上手くしていかないとついていけないな、というところをすごく感じているので。
転職を経て、そういったところがついてきたのはすごく大きなメリットだったのかなと思います。。良い意味で、リクルートの時のやり方はベンチャーでは通用しなかったですし。今の会社で今までやってきたことが通用してるのって、たぶん1割~2割しかないなという感覚はあるので。そのへんはすごく、良い自分の鍛え方をしてきた感覚はありますね。
ただ、僕は1社でずっとやり続けるということはやれないので。今の大輔の話を聞いていて、ある種の羨ましさはありますね。
年数が経つほど「新卒」の希少価値は上がる
司会者:今の話を聞いて、管さんどうですか?
管:そうですね。辞めてしまった瞬間に、もう新卒って名乗れなくなるんでね。あと、新卒がすぐ辞める会社ほど、逆に新卒で長くい続けると価値があると思っていて。例えば、同期が100人いて90人が数十年勤めるみたいな会社だと、新卒なんていっぱいいるので、その社内での新卒としての市場価値ってあんまりないと思います。
一方でガイアックスって、僕の上の世代の新卒はもうほぼ残ってないんですよね。僕は新卒9年目なんですが、ほぼみなさん退職されて、起業されている方が多いです。今、唯一残っている同期も産休に入っていて、普通に働いてるメンバーだと私しかいないんですよ。
ガイアックスの中で新卒って、年数が経つにつれて希少価値が上がっていくので、その分いろんな機会が巡ってきやすい。そういう意味でも、選択肢を比較検討した時に「ガイアックスのほうがおもしろそうだな」と、上回る理由の1つではあるかなと思いますね。
司会者:なるほど。ありがとうございます。
本業の金銭的余裕のおかげで、複業にチャレンジできた
司会者:「複業」というところにスポットライトを当ててみたいなと思ったんですが、管さんが「複業だからこそチャレンジできたな」とか「良かったな」ということって何がありますかね?
管:僕は友人と2人で会社を作ったんですが、もし本業を辞めてたら、自分たちがやりたいサービスよりかは、まず食べていけるようにお金になるサービスを作らなきゃいけないという思考になったんじゃないかなと思ってるんです。
僕の場合はガイアックスにフルで勤めているので、そこの給与がありながら複業でチャレンジできるっていうことで。最初の1年とかは本当にいろんなアイデアを自由に試しましたし、そこからコーチングというサービスに辿り着いて。
最近やっと複業のほうでお給料が入り始めましたけど、当初はまったくお金をもらわず。でも(本業があるから)、生活は普通に心配なくできるというかたちで、新しいことにチャレンジできたのは心理的な安全性というか、実際の身体的な安全性という観点でも、複業での起業へのチャレンジは良いなと今でも思います。
西島:今の大輔の話を聞いていて、僕は逆で。複業で挑戦じゃなくて、本業で挑戦がしやすくなった感じはすごくあるんですよ。起業することと業務委託で複業に入ることって、ちょっとニュアンスが違うんだろうなっていう感じがしていて。
なので逆に、現職は好きなように。自分がやりたいところにチャレンジができるっていうのは、今の大輔の話とはちょっと違う観点かなと思います。
もう1つ。複業をしていて良いなと思ってるのは、僕は今、本業の会社でマネージャーなんですよ。つまり、人をマネジメントしたりだとか、「チームを動かす」という感覚がすごくあるんです。どちらかと言うと、複業はプレイヤーで動くことがすごく多いので、見る世界観や感覚が変わったりするのは、すごくおもしろいところだなって感じはしますね。
だから、おもしろいです。大輔と1on1をしたりしますが、「ほかの会社のマネージャーってこういうこと考えてやってるんだな」とか、プレイヤーとして学びながらそれを自社に持ってったりとかするし。逆に、自社でやっていたことを複業で活かしたりとかするので、このへんのつながりはすごいおもしろいところだなと思いますね。
管:確かに。