2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
ハイスキル層の雇用リスク…自社への適性を見極めミスマッチを防ぐ"新採用術"(全1記事)
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岩田央子氏:こんにちは。みらいワークスの岩田と申します。本日はよろしくお願いいたします。本セッションでは「ハイスキル層人材を『お試し期間』を経て雇用へ 両者のミスマッチを防ぐ手法」についてお話いたします。
本日は、大きく2つのテーマでお話させていただきます。まず1つ目のテーマ「これからの時代におけるハイスキル層の人材の確保」について見ていきます。
まず、こんなお悩みはございませんでしょうか。「スキルレベルは高いのだけど、入社したらうちの風土とマッチしなかったことが多い」や「経験はあるはずなのに、入社したら期待されているパフォーマンスを出せていないことが多い」など。結果として「マッチする人材が採用できていない」というお悩みを抱えておられる企業は少なくないと思います。
では「なぜそこまでしてハイスキル層の人材を中途採用しなければならないのか?」を、まず見ていきます。この図をご覧ください。今までは事業環境の予見可能性が高く、新卒一括採用ですべてのポジションを捉えてきました。
ところが現在は働き方も多様化し、人材の流動性が高くなり、採用方法も新卒だけではなく中途・再入社・再配置など多様化しました。事業責任者候補として10年前に育成した人材と条件が変わってしまい、外から優秀な人材を雇う必要が出てきています。
さらにIoT事業、DX推進事業など、最先端の技術部門の自社にない事業を強化するにあたって、社内だけの人材では補えないため、外部から人材を採用したいという企業が増えてきています。
一方で、IoTやDX、データサイエンティストなど高いスキルを持つ人材を確保する難易度を表す指標において、日本は調査対象の34ヶ国で、なんとワースト2位でした。急速な技術の進化に、日本の人材が持つスキルが追いついていないのが現状です。ハイスキル人材は、海外IT大手やスタートアップも含めて世界的に争奪戦が激しくなってきています。
また、ハイスキル人材が争奪戦となる中で、ようやく採用に至っても入社後のミスマッチになってしまうケースも多くあります。ハイスキル人材は採用も難易度が高いのですが、入社後のマッチ度も難易度が高い現状があります。
入社前に抱いていた企業や組織に対するイメージと入社後のイメージとの乖離を感じる点としては、以下の4点が挙げられます。
1つ目が「報酬・昇進」。2つ目が「能力」。3つ目が「人間関係」。4つ目が「その他」、つまり裁量や仕事のやりがい。特に高い傾向のある①と④をご覧ください。①の「報酬・成果」においては、報酬のすり合わせは本来、入社前にできるだけ行う企業が多いかと思いますが「実際の昇給や昇格については説明がない、もしくは入社してみないとわからない」という現状があります。
そのため「入社後に期待されていること」「入社後どういうポイントで評価がなされ、どういうアウトプットが昇給・昇格につながるのか」。これをすり合わせずに入社してしまうケースが多くあります。
また、④の「達成感」「やりがい」「裁量」などについては、入社前にきちんとすり合わせておくべき重要なポイントなのですが、どうしても採用面接で数回会うだけでは互いにすり合わせきれないまま入社してしまうという現状があります。
スキル面だけ見ると人材要件とマッチした人材でも、実際に入社してこれらのギャップが絡み合った結果「社風と合わない」というかたちで早期離職につながってしまいます。これは新卒一括採用が主流な日本でよく起こる「中途採用は会社の文化と合うか不安」という人事の方の声につながっています。
ハイスキル人材の入社後のミスマッチから生じる問題をまとめると、以下のような点になります。「社風と合わずに早期離職に至ってしまう」という問題。また、それだけではなく、実際の現場では「現場とマッチしなかったために事業部内に混乱が生じてしまう」という問題に発展するケースもあります。コスト面においては「莫大な採用費をかけたが、それに見合わない結果となってしまった」。
ハイスキル人材の採用はこういったリスクを抱えており、容易ではない現状があります。また、実際のデータとしても35~49歳で転職を経験した人のうち、約4割が早期退職を経験するという調査結果が出ており、企業は早期退職のリスクを常に抱えていることがわかります。
ここまで見てきた「これからの時代におけるハイスキル人材の確保」についてまとめますと「人材の流動化が激しく、社内ではハイスキル人材を育てきれない状況であること」「急速な技術の進化に日本の人材が持つスキルが追いついておらず、ハイスキル人材を採用すること自体がとても難しい状況であること」。一方で、採用ができても「入社後のミスマッチ・早期退職のリスク」を常に抱えていること。
では、入社後のミスマッチを少しでも減らす方法はないのでしょうか。それでは次に見ていきます。
2つ目は「入社後のミスマッチを減らす3つの手法」について見ていきましょう。入社後のミスマッチを減らす手法として、大きく分けてこちらの3つが挙げられます。
1つ目は「ビジョンの事前共有型」です。経営者や役員から「この事業は会社の中でどのような位置づけなのか」、また「この事業をどうしていきたいのか」など、企業の将来性について発信をいただく方法です。本気で取り組む思いがあることを経営層から発信することで、目先の仕事内容だけではなく、会社の目指すものへの共感ができるかを候補者側は見極めることができます。
2つ目は「現場体感型」です。配属先の社員と選考中から会う機会を創出します。最近は、既存社員とのオンラインランチやオンライン会食などを実施する企業もあります。これは会社の良いことのアピールだけではなく、配属現場の生の声を聞いてもらい、会社の悪いところも含めて候補者に入社の判断をしてもらえることがメリットになります。
3つ目は「実務を通じたすり合わせ型」です。実際に一緒に働き、風土や上長と合うかを体感してもらいます。具体的には、実務を通じて上長と話し合いを重ね「役員や上長が求めているものは何か」「入社後の自分はどういう動きを期待されているのか」、また「どのような裁量を持たされて、どのように進めていくのか」。これをすり合わせていきます。
スキルのチェックよりも、会社の方向性や考え方、会社が求めるものと本人の希望する形とのすり合わせがポイントとなります。このすり合わせが「入社後の会社の文化とは合うか」「この会社に入り、長く勤めてもらえるかどうか」。これにつながっていきます。この3つの手法の中でも、特に入社後のミスマッチを減らすには「実務を通じたすり合わせ型」が有用になります。
ハイスキル人材は「業務スキルをどれだけ持っているか」よりも「スキルを適切に活かせる環境があるか」ということ。また「活かすためのコミュニケーションを取っていけるか」。これが重要なポイントになります。
弊社の話となり恐縮ですが、弊社ではこのエッセンスを織り交ぜた「大人のインターン」というサービスを立ち上げました。「大人のインターン」サービスを活用し、入社後のミスマッチを減らした事例を共有させていただきます。「大人のインターン」とは、業務委託契約にてまずは実務に関わっていただき、その後、正社員として正式就業となるサービスです。
ステップ1としては、クライアントの課題を弊社にて人材要件に落とし込ませていただきます。そして、弊社のご登録プロの中からマッチングし、ご紹介をし、その後に業務委託として3ヶ月以上のお試し稼働となります。稼働期間や稼働量などに関しても、候補者とのすり合わせをすることができます。お試し稼働に双方の合意が取れたら、実際に正社員として入社するという流れになります。
それでは「大人のインターン」の特徴とメリットについて説明させていただきます。
企業側としては、入社前に価値観や考え方、仕事への基本姿勢のすり合わせができます。また、採用開始から約1ヶ月での参画が可能なために、早期の人員確保が実現します。参画期間は、早期の入社を希望であれば3ヶ月程度。互いに納得いくまで時間をかけて、半年~1年の業務委託を経て入社というケースもあります。正社員登用は、両者の意向に合わせてタイミングを図ることができます。
候補者側のメリットとしては、お試し期間に上長が候補者に求めるものを共有することで、入社後早期に期待に応えることが可能になります。また、参画後に業務内容や考え方のズレをすり合わせるために、弊社が定期的にフォローをさせていただきます。
参画後「人材を増やしたい」などの人材増減や稼働いただく工数などの稼働量、お試しの稼働期間なども調整が可能です。
具体的な「大人のインターン」の成功事例を紹介させていただきます。以下のような人材の課題があった、国内大手メーカーグループのコンサル会社での事例になります。「売上規模を拡大する計画がある中で、案件に合わせたコンサルタント人材が不足していた」「会社の風土とマッチしているかに重きを置く採用方針のため、スキルマッチで入社しても風土と合わないケースがあった」。
そこで、弊社からお試し期間を経て入社となる「大人のインターン」サービスをご提案し、具体的な候補として、人材業務分析からキャリアをスタートし、テスト・リリース・導入定着化など、IT PMOにスキルを広げてきたコンサルタントをご提案いたしました。具体的な業務内容は「事業戦略に合わせた戦略の改善」「業務の可視化と問題点の洗い出し」で、週5日・3ヶ月をまずは業務委託で参画いただきました。
結果、企業側も候補者側も双方がお互いに信頼し合え、正式に正社員として入社に至られました。ここでポイントとなったのは、スキルや風土とマッチするかという点だけではなく「正社員登用時に求められるものが何か」「どういう期待・役割があるか」を弊社が入り毎月打ち合わせを行い、すり合わせていきました。その結果、3ヶ月後の入社時点では即戦力としてのスタートダッシュを切られました。
「大人のインターン」として稼働が可能な人材として、具体的にどのような登録者がいるかを少しご紹介させていただきます。現在、弊社では戦略系人材、業務系人材、IT・デジタル系人材、企画系人材など、約13,000名のハイスペック人材が登録しており、企業さまの採用課題や事業課題に応じてご紹介が可能となっております。
どんなデータベースがあるのか気になる方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。まずは課題のヒアリングからさせていただき、御社に合ったご提案をさせていただきます。
最後までご清聴ありがとうございました。
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