2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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北野唯我氏(以下、北野):さあ、始まりました。ワンキャリアがお届けするキャリアトーク番組、VOICE。よろしくお願いします。
休日課長氏(以下、休日課長):よろしくお願いします。
北野:課長、突然なんですが、小さい頃の夢って何ですか?
休日課長:なんですか、この冒頭のトークは……。親から聞いた話なんですけど、音楽教室の先生に「理生(まさお)君は何になりたいの?」と聞かれて、満面の笑みで「ペンキ屋さん」って言ったらしくて。
北野:おいっ!(笑)。
休日課長:もうその時に、母親は音楽教室を止めさせたらしいですけど(笑)。
北野:(笑)。今回は世界中に夢を届ける会社、そして21世紀を代表する会社を目指す2社からゲストをお呼びしております。それでは「VOICE」、スタートです。
さっそく今回のゲストのご紹介です。バンダイとBANDAI SPIRITSでゼネラルマネージャーを務める松原誠さん。そしてサイバーエージェント常務執行役員の曽山哲人さんです。本日はよろしくお願いします。
一同:よろしくお願いします!
北野:ちなみに曽山さん、最近いろんなメディアで人材のことを発信されていますね。YouTubeもやられていると思うんですけど。
曽山哲人氏(以下、曽山):そうなんですよ。
北野:これはYouTuberになるということですか? どこを目指してらっしゃるのか……。
(一同笑)
曽山:(笑)。YouTubeは、曽山という名前にちなんで「ソヤマン」というキャラでやっています。
休日課長:「いいね!」ですよね。(「ソヤマン」が動画冒頭でする挨拶)
曽山:うわ~、うれしい! 「いいね! ソヤマンです」という感じで。あれは反響学習という考え方なんですよ。
社外にノウハウを出したら、反響があるわけじゃないですか。そうすると(サイバーエージェントの)社員も見てくれるんですね。自分のノウハウを社外に出すことで社内にも伝えられるという、コロナ禍だからこそのチャレンジだと。そういう狙いです。
北野:たくさん発信されていると、チクチクって刺されたり、なんか言われたりしそうな気もするんですけど、そういうのはあまりないんですか?
曽山:コメントなどをみるとさまざまな反応がありますね。
(一同笑)
休日課長:え、社内的な反応は大丈夫なんですか?
曽山:社内には役員会で、「今度僕、個人でYouTubeやります」と事前に報告したのですが、みんな苦笑いしてました。
休日課長:苦笑い(笑)。
曽山:でもみんな応援してくれています。
休日課長:そういう感じなんですね。
北野:(松原さんに向かって)ゼネラルマネージャーって、前提として何をされるんですか?
松原誠氏(以下、松原):人事部全体の責任者になりますので、バンダイとBANDAI SPIRITSの人事に関わること。もっと言うと人に関わることはすべてやるんですけれども。今後の会社の方向性を作る人事制度、(それに携わる)人の育成、もちろん採用も含めて。そういったものを考えて、役員と顔を突き合わせていろいろ議論していくという仕事になります。
北野:なるほど。曽山さんは、最高人事責任者。さっき実は打ち合わせで課長も「CHOって何ですか?」って聞かれていて。確かに学生さんたちもちょっとわからないなと思います。これはふだんどういうお仕事をされているんでしょうか。
曽山:そうですね。Chief Human resource Officerなので、(頭文字で)CHOなんですけれども。大きくは3つあって、「経営」と「人事」と「社員」と話す仕事です。1つ目の「経営」は役員会。社長の藤田晋とかと一緒に、会社の未来を議論するというのが1つですね。
2つ目は「人事」。事業部で働いている人事もいるし、労務をやってる人事もいるので、彼らを経営者に育てていく。経営人事に育てるべく、人事に関する育成や作戦会議をする。
3つ目の「社員」は、毎月僕らは全社員にアンケートをとっているんですね。例えば「最近チャレンジをしていますか?」とか。それを基に面談をしたり、今はできないですけどご飯に行ったりして、直接コミュニケーションをとっています。
北野:課長、バンダイさんとサイバーエージェントさんに、現時点でイメージとかあったりします?
休日課長:バンダイさんは僕の中で老舗というイメージが(あります)。ちっちゃい頃からあるというイメージ。あと、もう強烈におもちゃという印象がすごく強いですね。
サイバーさんはエッジのある人がめっちゃ集まってるというイメージ(笑)。
曽山:ありがとうございます。
休日課長:尖っている人が多いみたいなイメージが、けっこう勝手にありますね。
曽山:ありがとうございます。「ABEMA」にも以前出演いただいていますよね。
休日課長:ありがとうございます。お世話になってます(笑)。
北野:さて、今回の「VOICE」では、人事の視点から会社のことを知り尽くすお二人に、なぜ人気企業でいられるのか、その強さの理由や、ヒット事業やコンテンツを生み出す人材をいかにして集めているのかなど、その秘密に迫りたいと思っています。
休日課長:秘密、いいんですかね。聞いちゃって。
北野:いや、だってYouTubeやられてるくらいです。なんでも聞いてOKですよ、たぶん。
休日課長:かなりオープンな(笑)。
曽山:今日はどこまで、(つっこんだ)質問をしていただけるか(笑)。
(一同笑)
北野:はい。それではさっそくトークのお題を見ていきましょう。
休日課長:最初のテーマは「知られざるエンタメプロダクトの最新事情」ということで。
北野:僕、そもそもめっちゃガンダム好きだったので。小さい頃、ガンダムのプラモデル作ってましたし。それこそ、『たまごっち』とかもめちゃくちゃ流行ってたんで。僕らの世代でもめちゃくちゃ流行った時期ありませんでした?
休日課長:だって僕、買えなかったですもん(笑)。
北野:え、買えなかった!?
休日課長:今でもよく覚えてるんですけど、買えなかったですもん。もう人気すぎて。
北野:そうですよね。なんかそういう(人気のおもちゃメーカーという)イメージが強いんですけど、でも実はバンダイはおもちゃだけじゃないという話があるので。そこらへんも、ご説明いただいてもよろしいでしょうか。
松原:仮面ライダーで言えば、みなさん変身ベルトのイメージが強いかと思いますが、例えばその洋服を作ってみたり。ガンダムはプラモデルだけではなく、例えばガンダムの世界観をコンセプトにした施設も展開しています。
我々はそれをキャラクターマーチャンダイジングと呼んでいるんです。キャラクターを軸にして、いろいろな事業を展開することで相乗効果を生み、キャラクターが持つ世界観などを幅広く世の中に伝えていくことができるんです。
北野:すごいですね。今でもガンダムのイベントがあるとTwitterとかのトレンドに上がってきたりして、僕もついつい見ちゃいますもん。すごいちっちゃい時からの記憶があるので。いろんなエモーショナルな気持ちが結びついているビジネスだなっていう。
松原:そうですね。ガンダムは40年以上続いている、日本でも非常に珍しいぐらい大人気なキャラクターの1つなんです。今ですと2世代が同じアニメで共通し合えるという。ここまで長く続くのは非常に難しく、珍しいんですけれども。
世代を超えて楽しめるということが、新しいものを生んでいくこともありますので。さっき言ったように事業を横に広げることと、縦に深さを持たせること。これを両方やっていきたいと思っています。
北野:この(スライドの)図の中で、バンダイは赤、BANDAI SPIRITSは青になっていますが、これはどういう違いなんですか?
松原:簡単に言うと、みなさんに馴染みのある赤いマークのバンダイは、いわゆるおもちゃ。おもちゃの中でもお子様向け、もしくはファミリー向け。そういった広く一般向けのもの。一方で、青いマークのBANDAI SPIRITSのほうは、どちらかというと、我々がハイターゲットと呼ぶ層に向けています。
キャラクターのファンの中でも、よりコアな方々に向けて、こだわりの強いものを手がけています。それこそ単価も少しかけながら、ファンの心の深いところに届くようなものを作っているんです。
休日課長:(2社に)分けるメリットってなんだったんですか?
松原:事業を進めていく中で、ターゲットが違ってくると、戦略上も分けて進めたほうがやりやすい部分(があります)。分けなくていい部分もあるので、そこは一緒にやりながら。分けたほうがいい部分を分けることでより機動力が増し、やりやすくなる。ということで、今は2つの会社でやっています。
休日課長:なるほど。
北野:バンダイさんは何十年も続いているブランドを育ててこられていると思うんですけれども。一方で最近で言えば、『ウマ娘 プリティーダービー』って知ってますか? 課長。
休日課長:なんかTwitterのトレンド、いっつも入ってますよね。
北野:いっつも入ってます。
休日課長:『ウマ娘』が何かすると、絶対入ってくる……。
北野:そうなんですよ。
休日課長:走るんですよね? キャラクターがね……そこまで知ってます(笑)。
曽山:完璧です!(笑) 。
休日課長:(笑)。
北野:そういう爆発的なヒット作を生み出しているサイバーエージェントさんなんですが、あらためてサイバーエージェントさんの事業について簡単にご説明いただいてもよろしいでしょうか。
曽山:サイバーエージェントは大きく3つの事業を展開しています。もともとは、(スライドの)一番下に書いてあるインターネット広告事業から始まりました。これは企業向けの、インターネットプロモーションをお手伝いするというものです。
なので法人営業ですね。私自身も、最初の6年間はそこで働いていました。今はAIを活用して、例えば広告のコピーやバナーのデザインなど、広告のクリエイティビティに関するものを全部AIで作って、それを基にクリエイターがより良いものにする。さらにそれを世の中に出す前に、どれぐらいの反応になるかもAIで予測・分析をして、広告効果の最大化を図っています。
その後、メディア事業に参入しました。なかでも今注力しているのが「ABEMA」。テレビのイノベーションを目指し、新しい未来のテレビとして展開する動画事業です。。他にも「アメーバブログ」など、ユーザー向けのサービスを運営しています。課長にも(アメーバブログ)お使いいただいていますけれども。
そこに、12年前ぐらいから、ゲーム事業を始めまして。直近だと、『ウマ娘 プリティーダービー』という新しいゲームが生まれています。この3つ(の事業)がそれぞれ連動するかたちでやってるんですね。そこが非常に私たちの強みだと思っています。
北野:ここまで聞いても、やっぱり両者とも出自が違うというか、歴史が違う感じがしてそれぞれの強みがあるのかなと思うんですけど。最近僕『ウマ娘』のことを知りたくて仕方ないんで。
曽山:ありがとうございます。
北野:これ、まずCygamesさんという会社が作ったという印象があったんですね。
曽山:そうですね。Cygamesはサイバーエージェントのグループ会社です。
北野:サイバーエージェントさんは、1個作ったもので世の中を巻き込んでいく。いわゆるメディアミックスみたいなところがさすがだなって思うんですけど。
まさにこのインターネットから生まれたからこその、後から生まれたからこその秘策もいろいろあると思うんですけれども、そこらへんポイントを教えていただいてもいいですか?
曽山:ありがとうございます。『ウマ娘 プリティーダービー』はすでに900万ダウンロードされているんですね。まず2016年に、このプロジェクトをやりますと発表したんですよ。今2021年じゃないですか。(アプリを)リリースしたのが2021年2月なんで、5年間かかってるんですね。
もともとは2018年にリリース予定だったのですが、そこからさらに延期したんです。Cygamesのすごいところは、クオリティに対する強いこだわりです。ユーザーに喜んでもらえるものを出すということで、開発期間を延ばしたんですね。
北野:いや、これ、おもしろいですね。やっぱりオンラインとオフラインというくくりで、ちょっと言っていいのかわからないですけど、それぞれ特徴的な強みを持つバンダイさんとサイバーエージェントさんの比較とか。
あとは両者がどう見てるかもちょっと聞いてみたいなと思うんですけど。今の話を聞いてみて、松原さんはどのように感じたかとか。バンダイさんはどうやってこのキャラクタービジネスをこのネットの時代に展開していこうとお考えか、話せる範囲で聞いてもよろしいですか?
松原:リアルなものも、実はデジタルとは非常に近いところにあるというか。我々はリアルとデジタルの融合をどこまで進められるかということでずっとチャレンジをしているところがありまして。
やはりリアルだからこその良さっていうのは、デジタルを通すからこそ伝わるのも多分にあるんですね。実はそこに境界線は、それほどないんじゃないかと思っていて。
例えば、どうやったらキャラクターを使ったアイテムが世の中に広まるかといった時に、今ですとデジタルがいろんなところに発信をしていってくれるので、当然そういったものも使います。あとはおもちゃそのものにデジタルを多分に使った商品も出ています。
最近ですと、スマートウォッチ型のデバイスを腕に着けて、心拍数などの活動データで「デジモン」というキャラクターを育成していく『バイタルブレス』という商品を出しています。このように、従来あるようなおもちゃとは少し違う概念のものにチャレンジをしたり、おもちゃそのものにデジタルを融合させています。
あとは先ほどお伝えしたようにデジタルを使ってどうリアルなおもちゃを展開していくかという時に、やはりデジタルでしかできないこともあるんです。
例えば先ほどフィギュアの話をしましたけど、フィギュアも非常にファンの方に愛されて年々(マーケットが)拡大しているんですが。やはりリアルなものをどう伝えていくかという時に、今までは大規模な会場を借りて、そこにたくさんの方に来ていただいて、実際に手に取っていただいて、ということをやってきたんですけれども。
これを、例えばデジタルを使って配信するにしても、やはり大元のリアルに徹底的にこだわっていなければ、その良さは伝わらないので。リアルなものを作り込んで作り込んで、できるだけそれを生に近いかたちで配信していくと。やはり我々ならではのリアルへのこだわり(があります)。
ここを徹底的に妥協しないでやることで、デジタルの良さを生かせるのではないかと思っているので。
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