2024.11.25
「能動的サイバー防御」時代の幕開け 重要インフラ企業が知るべき法的課題と脅威インテリジェンス活用戦略
なぜ今、副業解禁なのか?|「複業研究家」西村創一朗が語る、コロナ禍でもうまくいく複業制度のつくりかた(全1記事)
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西村創一朗氏:前回のパートでは「そもそも副業とは何なのか?」「サブと副業とパラレルの副業はどう違うのか?」そんなことをお話しいたしました。続いて今回のパートでは、いよいよ本題となる「なぜ今、副業解禁が進んでいるのか?」といった、世の中の背景などにフォーカスしてお話ししていきたいと思います。
みなさんご存知のとおり、それこそ私が会社員時代、入社3年目の頃に副業を始めた時では考えられないようなレベルで、たったこの5年で副業解禁が一気に加速したなと感じています。
私が副業を始めた2014年当時はですね、なんと副業を認める会社はたったの3.6パーセントしかありませんでした。96パーセント、ほとんど10割の会社が副業を禁止していた状況が当たり前だったのが、7年前の2014年当時なんですね。
ところがそこから大きく世の中の流れは変わりまして、この5年間で副業を認める企業の数は3倍以上に増えました。こちらは2020年8月時点のデータになりますが、「従業員の副業・兼業を認めていますか?」という質問に対して、49.6パーセントの会社が兼業・副業を認めていると。
そしてさらに、15パーセント、2割近くの会社が「将来的には認める予定です」と言っていて、将来的に認める予定の企業も含めると、7割近くの会社が副業を認めている。そんな時代になってきているんですね。
つまり、昔は圧倒的にマイノリティだった副業OKの会社が、今やマジョリティーに。過半数を超えてきて、むしろ副業を禁止し続ける会社の方がマイノリティになりつつあるといったことで、時代の大きな変化・逆転現象を感じます。
では、なぜこれほど一気に副業解禁が進んだのか一言で言うと、一人ひとりが持っているスキルやタレント性、そういったものが重要な個の時代になりつつある中で、副業禁止では優秀な人材を惹きつけ続けることができないからなんですね。
最近ですと、DX、デジタルトランスフォーメーションといった形で、今までアナログでやっていたものをどんどんデジタル化していくことで、ビジネスモデルそのもの、あるいは組織そのものをデジタル化していく。
そんな流れが進んできている中で、エンジニアやマーケター、デザイナーといったクリエイター人材・デジタル人材ほど、非常に引く手数多です。「うちの会社でぜひ働いてくれないか?」、そんな声を多く受ける時代になってきています。
今の時代はヘッドハントで「うちの会社で働かないか?」「うちの会社に転職しないか?」ということだけではなくて、「副業でうちの会社を手伝ってくれませんか?」「このプロジェクトをやっていただけたら、50万円、100万円お支払いします」。そういったオファーがSNSやスカウトマッチングサービスで多く行き交う時代の中で、副業禁止の会社で働き続けるとことはむしろマイナスでしかないんですね。
副業すれば、年収を200万、300万円上げることができるかもしれない。にも関わらず、副業禁止だと副業を受けることができない。であれば、今後副業をする可能性を考えて、そもそも副業がOKな会社に新卒で就職をする。あるいは、副業禁止の会社から副業OKな会社に転職をしていく。そんなことで今、デジタル人材を中心に人材の大移動が起こっているんですね。
もはやそういう(時代の)中で副業禁止では、優秀なスキルを持ったデジタル人材を中心に、優秀な人材を採用することはおろか、働き続けてもらうことができずに離職が続いてしまう中で、多くの会社が副業解禁に踏み切っている。そんな背景があります。
これは非常にショッキングなデータではあるんですが。今、副業禁止の会社で働いてる方もいらっしゃいますが、就職、あるいは転職するとして、副業解禁していない企業に入社したいですか? 所属したいですか? と、ビジネスパーソンに聞きました。
つまり、副業禁止の会社に入社したいか、所属したいか。そういった質問に対して、3割弱の人が「絶対にしたくない」と言っていて。……「絶対」って、相当強烈な意志を感じますが。次に49パーセントの方が「できる限りしたくない」と、回答している。
そして最後に「どちらかというとしたくない」。こういった方はだいぶマイルドではありますが、どちらかというとしたくない方まで含めると、なんと9割近くの方が副業解禁をしていない会社には所属したくないと答える。そういう時代になってきているんですね。
もはや副業禁止では優秀な方は採用もできないし、つなぎ止め続けることすらままならない。そんな時代になっているということを、ぜひみなさんに知っておいていただきたいなと思います。
約9割のビジネスパーソンが副業禁止の会社には入社・所属したくないと、これだけ明確に答えているわけですね。このデータを見て、みなさんはどうお考えになりますか? それでも副業を禁止し続けますか? あるいは副業を解禁することを考えますか? ぜひこの問いにについて考えてみていただけたらと思います。
実際にこの5年間で副業解禁が進んでいる中で、2016年以前で副業が認められている会社は、私がかつて所属していたリクルートグループもそうですし、ヤフージャパンさんやサイボウズさんとか、いわゆる社名がカタカナでIT系のビジネスを展開している、新しい業界の企業のみ認められていたというのが、これまでの副業だったかなと思います。
こうした個の時代の到来がある中で、時代の変化を大きく感じる前に一番初めに口火を切ったのが、実はロート製薬さんだったんですね。5年前、2016年の2月にロート製薬さんが自社のビジョンミッションバリューをアップデートするタイミングで、副業解禁を決めて発表したことが大きくメディアで取り上げられました。
というのも、それまでは副業なんていうものはIT業界のみ認められているもので、メーカー、製造業、金融業界、不動産、そういった日本を高度経済成長期から支えてきたような、伝統的な業界・産業においては、「副業解禁なんてありえない」という、常識・固定観念が蔓延していたわけですよね。
そんな中で、製造業・メーカーのど真ん中にいる上場企業の製薬会社であるロート製薬さんが副業解禁をしたことで、どうやら対岸の火事ではなく、こちら側でもはや変革が起こっていると。「うちの会社にとっても副業解禁は検討せざるを得ないテーマだ」といったことで火がつきました。
メディアでもこぞって取り上げられただけではなく、ちょうど当時、政府で議論が進んでいた働き方改革推進会議の1つのテーマに副業解禁も取り上げられました。
ソフトバンク、コニカミノルタを筆頭に続々と副業解禁が進んで、その後、新生銀行・みずほ銀行、あるいはカゴメ、アサヒビールといった飲料メーカーさん、そして三菱地所といったデベロッパーさんであったりとか。
直近だと、九州電力などのインフラ系の企業だったり、第一生命のような生命保険会社、IHIのような重工系の会社に至るまで、もはや副業を解禁していない業界の方が少ないんじゃないかなというくらい、全業界で副業解禁が加速した、そんな5年間だったかなと思います。
これまでのパートでは「なぜ今、副業解禁なのか?」、そして「この5年間でどんな会社が副業解禁をし続けてきたのか?」そんなことをテーマにお話をして参りましたが、次のパートではでは、そんな中でも「なぜ今なお、副業を禁止し続けてる会社がいるのか?」「その理由はいったい何なのか?」といったことをテーマにお話ししたいと思います。
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