2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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斉藤知明氏(以下、斉藤):ご質問の中でもいただいてるんですけど。池照さんは、(ムードメーターの報告を)毎朝やられているんでしたっけ?
池照佳代氏(以下、池照):ほぼ毎朝です。会議というか、オープンにする時は毎回です。
斉藤:何人ぐらいでされてらっしゃるんですか?
池照:3~4人ですね。
斉藤:だから「ちょっとしたチーム」ぐらいの単位でされてらっしゃっていて。
池照:そうですね。
斉藤:僕が「こうなのかな?」って想像したのが「How do you feel?」のムードメーターを使って、例えば「今日の自分は『7・7』です。というのも……」というトークが、1人ずつちょっとずつ展開されているのかなと思ったんですけど。
池照:そうです、そうです。
斉藤:ということですよね。
池照:そうです。必ずそれです。私のチームは3~4人でスタートしますけれども、(他社に)人事制度を作りにいったりしているプロジェクトのところは、10人ぐらいいるんですね。10人ぐらいいるところも、これは今、必ずやります。
結局、そのプロジェクトの執行役員もいれば新入社員もいたりするプロジェクトなんですよ。そうするとその会社も、半年前に始めた時は「執行役員の前でジュニアの人が発言をするとか意見を言うなんて、信じられませんでした」って言ってます。
私がこれを始めた時に、確かに一つひとつの言葉自体は言わず、ちょっと簡略化して4色(ムードメーターにおける位置を表す「赤青黄緑」)だけで言ったりするんです。「今日は黄色ですね。昨日こういうことがあって、こういうことが気になっちゃって午後の経営会議が心配です」って役員が言った後に。
その後に新入社員が「今日僕は緑なんです。昨日遅くまで資料を作ってて寝不足で」とかっていうのを話しながら「今日はこういうことを解決したいと思います」というのを全員が言ってからミーティングを始めます。
なので、やっぱりこれをやると違うのは、そこで自分の状態とか相手の状態をお互いが把握して「そんなにうれしいことがあったんだ」とか「そんな大変なことがあったんだ」というところをいったん共感してから始めるので、これがいいチェックインになってるんですよ。
このチェックインをした後に、本質的な課題・議題に入ってチェックアウトしていくという流れを作っているんですね。(これをするとしないとでは)私、ぜんぜんプロジェクトの進捗違うと思っています。
斉藤:なるほど。例えば「3・2なんですよ。今日」という(低い状態)のが一時的だと「あぁ、そうなんだね」で済ませていい気もするんですけど。1週間やってて、毎日「3・2ぐらい」という人とかがいると、やっぱり「なにか環境を変えないとだめ」という時に「(低い状態になる理由として)というのも……」とちゃんと語り続けてくれているから変えられるんですかね。
池照:そうですね。もしそうだとしたら、私だったら1on1をやりますよね。「ちょっと気になったんだけど、ずっと体調悪いのかなぁと思ってるけど、大丈夫?」とか。「なにか私にできることがある?」とか。もしくは言い出せないけど本当は休んだほうがいい人も、いっぱいいますよね。
なので、もし自分の相対的なスケールの中で、ずっと低いところで停滞しているという人がいたら、それはもしかしたら違うかたちでのマネジメントを講じたほうがいい時期かもしれないですよね。
斉藤:このEQ(感情知性)に触れての僕の解釈としては、まず「すごく大変なのかな?」と思ってたんですよ。この10×10(のムードメーターの図)を見た時に「いや、これを全部理解して、一つひとつに手を打って。もう1日がそれで暮れるわ!」みたいな気持ちだったんですけど。
どっちかというと「なんか武器を手に入れたな」という感覚に変わりました、というのが違いで。これって「お互いのことをまず知ることが大事だよね」というものなんですよ。自分で開示して、相手が知ってくれてると思うから、なんか相談しやすかったりとか。
池照:そう、そう。そうですね。
斉藤:1on1の時に「こういうことを話そう」という話の種ができたりだするので。「1個1個全部に対処しないといけない!」と思ってこれに向き合うと、すごい大変だと思うんですけど。
池照:そう思ったら大変ですよね。
斉藤:超大変ですよね。なんか、そうじゃないんだろうなと思っていて。相手の行動とか思考だけを見ると、すごく硬直化した組織になっちゃうし、機械的な組織になっちゃうから。「ちゃんと感情まで理解し合おう」というものだから、運用するとしたら、たぶん1日10分でいいんですよ。
池照:そうです、そうです。
斉藤:2分ずつ5人で話して10分でいいんですよ。10分やってみて「なんかこの人に相談しやすくなったな、気軽に頼りやすくなったな」と思うと、3時間1人で塞ぎ込んでいた悩み事が、10分で気軽に相談できる・解決できる。そういう類のものだと思うので。
斉藤:Q&Aやチャットでいただいている「すごく大変だな」と思われた方に、僕はこう解釈しましたよという共有でございましたし、もっと気軽に取り組んでみてもいいものなのかもしれないですね。
池照:本当そうだと思います。この前、斉藤さんからお話を聞いた時に、2歳のお子さんがいらっしゃるっておっしゃてて。子どもって本当に、感情がそのままじゃないですか。
斉藤:そうですね。
池照:もともと私たちは、それだったわけですよ。私たち誰もが、あそこにいたんです。なのに、そこから「役割」だとか「べき論」だとか「職位」だとかっていろんなフィルターがかかって、今の私たちの思考ができあがってるんですよね。
なので、感情は誰でも持っていて刻々と動いていて。今もみんな持ってるはずなんですよ。でもあえて聞かれないと自分で言語化はしないので。「今、私はワクワクしてるな」とか「斉藤さんの一言で、霧が晴れたな」とか。
そういう感情を時々定点で見ながら「私の感情も動いているということは、相手もそうなんだな」という。そこだけ見られれば、なんか十分なのかな? という気はするんですよね。
斉藤:感情を吐露しあう。感情をちゃんと伝えあうという前提が生まれると「これ、どう思う?」という時に、ちゃんとレスポンスしてくれる組織になりそうですね。
そこがないと「伝えたからね」「ああ、確かに! 僕もこれが大事だと思ってたんでやります!」という組織と、「いや、なんか伝えたからね」「わかりました」っていう組織だと、前者のほうが絶対に伝達率が高いし行動も増えそうだなと。
結論、EQでマネジメントしていく理由って、やっぱり世の中に対して成果を出すことなんですよね。
池照:そうです。
斉藤:それはちゃんと活用しましょうということですよね。
池照:もう完全にそうです。これ、さっきも伝えきれなかった部分なんですが、ピーター・サロベイ博士とジョン・メイヤー博士は「組織でパフォーマンスが上がるには?」というテーマで、このEQ理論というのを出したんですよね。
なので、私自身も「組織でパフォーマンスを出すには?」というテーマで、ずっと研究・勉強しながらこれを続けてきたんですが。やればやるほど思うのは、これは組織だとか仕事のパフォーマンスだけじゃなくて、人生の質が上がります。
人生の中での、お互いの関係性、家族の関係性、パートナーとの関係性、友だちとかの関係性。それらすべてにおいてのことを言っている。もしくは自分との関係性ということを言っているので。「仕事だけ」にするのはもったいない分野だな、とすごく思ってます。
斉藤:やってみます。
池照:やってみましょう。今、少しフィーリングが上がった?(笑)。
斉藤:上がりました。僕はこのウェビナーを通して「9・4」が「9・6」ぐらいまで上がった気がしますね。
池照:いいですね。たぶん家に帰って、お嬢さんの表情とかを観察すると、たぶん「10」ぐらいまで上がると思いますよ。
斉藤:僕はもう娘に向き合ってる時は、もうずっと大喜びですね。
池照:そうですよね。
斉藤:ずっと「9・10」です。
池照:有頂天状態ですよね。きっと。
斉藤:そう。でも「寝るよ」って言ってピアが下がり始めた時に「おい!」って思う時は、ちょっとあるかもしれません。唖然としてるかもしれないです(笑)。
池照:いいですね。素敵です。ありがとうございます。本当に。
斉藤:ありがとうございました。ではお時間がきてしまいましたので、こちらで終わらせていただければと思います。池照さん、最後に一言ございますでしょうか。
池照:はい。ありがとうございます。さっき、ちょうどお話の中でも言ったんですが。私は10年ちょっと、毎日今もちょっとずつ学びながらなんですが、EQはやればやるほど本当に自分自身と向き合う時間が持てて。あと、自分自身の周りの大切な人との関係性がとてもよくなるツールだなと思っています。
これはスキルであって、鍛えられて高められますので、ぜひみなさん、人生後半戦になったという方も含めて。私もそうですが、一緒にちょっとずつ高めていければなと思ってます。今日は、本当ありがとうございます。
斉藤:いやぁ、楽しかったです。ありがとうございました。
池照:楽しかったです。ありがとうございます。
斉藤:Uniposをやってて「伝え合うこと」を大事にしてるなと思うんですけど。お使いいただいているみなさん、最初は「『いいね!』をもらってうれしかった」という効力があるんですけれど、だんだん「『Unipos』使えば使うほど思うんですけど、これはやっぱり『贈るツール』ですね。贈るほうが大事ですね」とおっしゃっていただくことが増えてきていて。
池照:やっぱり「発信」ですよね。
斉藤:そうなんですよね。発信する習慣がある。「ちゃんと伝えてなかったことがもったいなかったな」とおっしゃっていただく人が増えていると、ありがたいなと。そうお気づきいただけるというのは、やっぱりこういうサービスの提供者としては冥利につきますね。
池照:そうですね。「背中を見て育てよ」という美徳も、もちろん日本にはあると思うんですが、発信する美徳も逆にあると思っていて。それも選択できるというのも、このEQの1つだと思っています。
表情で魅せる美徳もあれば、発信してみんなと関係を作っていく美徳もある。美徳にもいろいろあるよという。一人ひとりが自分の美徳を持てればいいですよね。
斉藤:いや、思います。僕もこれメモして、パラメーターにしてずっと追っていきたいですね。グラフにして。
池照:あーいいですね。1年後ぐらいやりましょうよ。私「やっぱり池照さん5以上しか使ってないよ」って(笑)。「相当見栄っ張りだよね」とか言われて。
斉藤:おもしろいかもしれない(笑)。なんかエクセルとかでまとめてみようかな。
池照:やりそう(笑)。
斉藤:めちゃめちゃやるんですよ。もう家の収支計画表とかめっちゃエクセルで作ってるんで。
池照:すごいです。でもそれやったらぜひシェアしてください。
斉藤:もちろん、もちろん。
池照:ぜひぜひお願いします。
斉藤:さっき「やります!」って言う時、若干不安になりながらだったんですけど。宣言しちゃったんで、やろうと思います。
池照:大丈夫です。途中で私が定点観測しながら、おせっかいに関わります。「どうしてる? どうしてる?」って(笑)。
斉藤:でも、本当にありがとうございました。またぜひご一緒させてください。
池照:はい。本当ありがとうございます。もうちょっとお話をおうかがいしたいぐらいなんですが、ぜひまたの機会にお話しさせていただければなと思っています。
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