自分の得意なこと・持ち味を見つけられない人の特徴

志田帆歌氏(以下、志田):ここまでの話を踏まえて、「転職は確かな情報を元に、自分の持ち味と掛け合わせて選ぼう」という議題で進めたいなと思っております。

先ほどいくつか、強みや得意ってどうやって見つけるんだ? というお話があったかなと思うんですが、岡さんからお伝えいただいても良いですか? 

岡千尋氏(以下、岡):寺口さんからチャットでもうすでにいっぱい説明してもらってるんですが。

寺口浩大氏(以下、寺口):(笑)。

:「持ち味ってどうしたら見つけられるの?」って、けっこうよく質問としていただきます。これも先ほどのnoteにも書いているので、もし良ければ見てもらえたらなと思っているんですけれども、「苦しくなくできること」かなと思っています。

私がカウンセリングをやってる実感としては、これを自覚できてる人ってそんなにいなくて。7割ぐらいの人が、自覚しきれてない方が多いかなと思います。

あとは、「そもそもがんばったことがないです」とおっしゃられる方が多いかなと感じています。自分の得意とか、持ち味を見つけきれてない人の特徴で、結果が出てないとそれを「得意」と呼んではいけないとか、「がんばったことにしてはいけない」と思っている人はけっこう多いかなと思っています。

結果だけじゃなくって、行動とかプロセス、過程に目を向けることをまずは意識してもらえたらなと思っています。

キャリアは「点」ではなくて「線」で考える

:ここは一部、私たちのプログラムのワークを抜粋してきているので、もし良ければ持ち帰ってもらえたらなと思っているんですが、キャリアは点じゃなくて線で考えると思っていて。どうしても転職となると、今の仕事でがんばったことだけに集中しがちなんですが、これまでの人生の中で一番夢中になったことって何だっけ? ということだったりとか。

もしくは、「それがうまいこと思い出せません」という人に関しては、小学校や社会人になってからでもぜんぜん良いんですが、やってきたことを書き出して、一番記憶に残っていることをピックアップしてもらえたらなと思います。

それができたら次は何をしていくのかというと、「What」と「Why」で整理をしていくんです。その体験に対して何をがんばったんだっけ。「がんばった」という認知もない方に関しては、何を行動してきたのかを書いていってほしいなと思います。

「What」が整理できたら、なんでできたのかを振り返って、整理してもらえたらなと思います。それが自分の行動特性だと思いますし、自分の特徴になるので、「持ち味」「得意」というふうに言われる部分だと思います。

「なんでがんばれたのか?」は、環境要因の部分になっていくので、モチベーションを維持できたりとか、モチベーションが出る根本になるポイントになります。

そういうふうに整理をしてもらって、自分にはどんな得意があって、どういう要件が揃えばそれが発揮できるのかを、自分の中で話せたり整理できるようになっていくと、「自分の得意ってこれか」というものが見つかるかなと思っています。

それが1人では難しいとか、そこから仕事に結びつけることに一番苦戦される方が多いので。1人で難しい場合は相談でお待ちしてますので、ぜひ一緒にお話ができたらなと思っております。

ファーストキャリア→転職で変わる、会社を選ぶ要素

志田:ありがとうございます。寺口さん、何か補足ありますか?

寺口:そうですね。でも、ほぼ同じ話になっちゃうかもしれないので。

志田:ここで見つけた持ち味を活かしながら、じゃあどうやって正しい情報を得ていくかというところを、寺口さんからお話をお願いいたします。

寺口:そうですね、ありがとうございます。まさに今、(質問で)いただいていた「強み・弱みとうまく接続できる仕事が何かわからず、悩んでいます」というところに関しては、話せるかなと思っていて。

確かな情報をどうやって見極めるのかは重要です。僕も転職の相談を受けるんですが、ある程度自分の特徴に関しては話せるけれども、転職先をどう探すか、その中でどう選んでいくかで悩まれているなと。

(ポイントは)4つあるかなと思っていて。「経済」と書いているのは、産業や業界が成長するかどうか。ファーストキャリアって、会社の安定性とかで選ぶ人もけっこういるかなと思います。

転職で変わるなと思うのは、「安定性」というものから、「成長性」や「将来性」という言葉を気にする方が多いなと思っていて。会社が安定しているかどうかという話と、個人のキャリアが安定しているかどうかって、別物になることを実感するんだと思います。

:おっしゃるとおりです。

これから人材が集まるマーケットを予測して狙う

寺口:僕も銀行の時(勤務していた時)は、確かに会社は安定していたけど、辞令が出たら仕事内容も変わるし、一緒に働く人も基本選べないし、転勤が出たら場所も選べないし。定まっていることなんてほぼなかったなと思っていて。

そういう意味では、会社の安定を経験した人たちは、安定が欲しいというよりは安心が欲しいよねという話になるので。じゃあ、将来性のある業界の中で、自分自身も選択肢を持てるように成長していきたいという人が多いなぁと思います。

どうやって産業や業界が成長するかという話は、どちらかと言うとキャリア情報の収集では難しくて。例えば今はSaaSが伸びています。Software as a Serviceというものですね。予測のグラフを見るだけでも、(検索結果を表示しながら)成長が期待できます。

どういう産業がどれくらい伸びると予測されているのか。基本的に伸びる産業って、まずお金が集まって、後から人が集まるという構造なんですよ。なので、お金が集まり始めているマーケットはどこなのかを見てみる。「キャリアの将来的に、これから人が集まり始める前の段階はどこかな」というのがわかるかなと思います。

業界が伸びていても、ビジネスモデルが弱い会社は勝てない

寺口:例えばこれは、適当に(ブラウザで)「○○ 業界 予測」で調べたんですが、ベンチャーキャピタルもそういう情報を出してたりするので。お金がどういう業界や産業に集まってるのかを見ると、(将来のキャリアが)見えやすいなと思います。

業界が伸びるのはわかるけど、その中で勝てる会社がどこなのかというのは、僕はこれは本当に無知だったので。いわゆるビジネスモデルが強い会社じゃないと、業界が伸びてても勝てない。

しんどいのはビジネスモデルがそんなに強くない場合。言ってることは壮大だけど、ずっと売り上げや利益が一定のケース。結果、何が起こるかというと、全体のパイが伸びないので、社内の人たちでの蹴落とし合いみたいになることもある。

だから、良い人が集まっても、仕事上の性格は悪くなるという構造になっちゃうので。伸びてる会社って、、構造上でマーケットが伸びるし、売り上げも伸びるし、利益も伸びるので、お互いに削り合う必要がないんですよね。

なので、健全にマーケットを見て仕事ができるから、伸びている会社に行くと楽しく仕事に向かうことができるなと思います。ビジネスモデルを検索して、今はどういうモデルが強いのかを見てみる。ハードルが高そうに見えるんですけど、どこかから何かを仕入れて、加工して売ってるのが基本なので、数学IIとかよりぜんぜん簡単です。

(一同笑)

ビジネスの基本は「四則演算」

寺口:ビジネスって基本は四則演算だなと思いました。足し算、引き算、掛け算、割り算。なので、僕も最初は苦手意識があったんですが、数学よりも簡単じゃんと気づいてからは、ビジネスモデルとかを見るのが自分のキャリアにも効くし、楽しく勉強しています。

可能性や、その先にどのような選択肢があるかというのは、これはもうキャリアの運用ですね。資産運用と一緒で、キャリアもこれから運用していくことになるかなと思っていて。

それは今、僕らがやろうとしていることなんですが、じゃあその中で、どうやって自分のキャリアを運用していくか? キーワードは「選択肢」と「可能性」かなと思っていて。

どういうところから、どんな理由で人が集まってきてるか。その先にどういう選択肢があり得るのか、実例を基にちゃんと自分のキャリアを運用していく。見えてるものがないとやってみたいとかチャレンジしたいとか、なりにくいし。挑戦と安心はセットだと思うので。

キャリアの実例をもとに可能性と選択肢を適切に見ていくところが、キャリアを運用する上で、できることを増やしていく上でもそうだし。今の自分のキャリアから、そもそも今、どういう可能性があるのかというのを知ること、まず確かな情報を知るのはめっちゃ大事だなぁと思っていて。

なので、経済知識や事業知識とかは、徐々に身に着けていったらいいと思うんですが、キャリアの運用知識はすぐに着けられることもあるかなぁと思います。まだすべての情報が全部溜められているわけではないんですが、暗中模索するよりは、こういう仕事選びのための“地図”を見てもらえるとうれしいなあと思っています。

「自分に合う会社かどうか」だけで就職先を決めるのは危険

寺口:「組織にフィットするか」というのが最後の話ですね。でもやっぱり、ほとんどの人が「この会社は自分に合うのか」というところで、4番目しか見ずに転職や就職をしちゃうので。上の3つが抜けてるから、それは本当にもったいない。

情報があるのにアクセスしてなくて、合うか・合わないかだけで(会社を選んで)、そんなに精度の高くない意思決定をしてしまう結果、後悔してしまうというのは、なんとかしたいなと思っていますね。

:確かに。ユーザーさんとかも話をしていて、短期的に「ここじゃない場所であれば、フィーリングが合いそうなところに行きたい」という。もともとそういう考えで来てくださる方もけっこう多いなと思っているんですが。

中長期的にどう自分のキャリアを伸ばしていきたいのかをもう少し考えていけたら、すごく目線も変わるだろうなと思うし。「どうありたいか」というところと、具体的な選択肢を知らないことで、キャリア迷子になっている人が多いなと思います。こういった選択肢がクリアになっていると、すごく良いなと思って。

寺口:それぞれ別で考えたほうがいいんですよね。自分と向き合うのと、世の中を知るのはアプローチが別なので。これがごっちゃになるともやもやします。ポジウィルさんは、ちゃんと自分を解き明かしてくれてサポートをしてくれると思うし、役割分担だなと思っていて。

確かな情報、どういう選択肢があるのかは絶対知っておかないといけないと思うので。ちゃんとこの2つの話は別で考えるのが、頭をクリアにするには大事かなと思います。

志田:ありがとうございます。