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How Might We Work #3|デザイン経営者たちが取り組む、リモートワーク経営(全6記事)

コロナ禍でも売上が右肩上がり、Webサイト作成サービス「STUDIO」 デザイン会社の経営者が語る、リモートワークの苦悩と変化

U-NEXT主催の「How Might We Work」、第3回目となる今回のテーマは「COVID-19、感染拡大からどう変わった? デザイン経営者たちが取り組む、リモートワーク経営」。新型コロナウイルス感染拡大やリモートワークは、会社・組織にどのような影響を及ぼしたのか。デザインを軸にした事業を展開する経営者4名がイベントに登壇し、デザイナー・デザイン会社の働き方の変化や課題について議論。各経営者たちが、コロナ禍で直面した課題や変化を明かしました。

コロナ禍でデザイナーの働き方はどう変わったのか

高野葉子氏(以下、高野):みなさん、こんばんは。このたびは「How Might We Work デザイン経営者たちが取り組む、リモートワーク経営」にご参加くださり、ありがとうございます。本日、このイベントのモデレーターを務めさせていただきます、Goodpatchの高野葉子です。よろしくお願いします。

はじめに、「How Might We Work」についてご説明させていただきます。U-NEXT主催の「How Might We Work」は、今回で3回目の開催となる、クリエーターたちのトークイベントです。新型コロナウイルスの拡大の影響もあり、今回もオンラインで開催することになりました。また、これまで全編英語で行ってきましたが、より多くの方にご参加いただけるよう、今回は全編日本語でお届けいたします。

今回のテーマは、「COVID-19、感染拡大からどう変わった? デザイン経営者たちが取り組む、リモートワーク経営」。新型コロナウイルス感染の対策として、リモートワークを導入する企業が急増して、1年以上が経過しました。リモートワークならではの働き方や工夫も語られるようになりました。

今回は、デザインを軸にした事業を展開をする経営者の方々にご出演いただきます。新型コロナウイルス感染拡大やリモートワークは、会社や組織にどのような影響を及ぼしたのか。デザイナーやデザイン会社の働き方は何が変わって、何が変わらなかったのか。それぞれどのような課題が生まれて、どのように解決に導いているのか。ナレッジを共有いただきながらお話ししていきたいと思います。

大手企業のコンテンツ作りに携わる「mount inc.」

高野:それではさっそく、スピーカーとしてご参加くださる4名に自己紹介をしていただきます。まずは、イムさんからお願いします。

イム・ジョンホ氏(以下、イム):僕からですね。mount inc.の代表をしております、イムと申します。僕は韓国人でして、1977年に韓国の釜山という所で生まれました。

30年くらい前に日本に来まして、2000年にビジネス・アーキテクツという会社に入社しました。そこから3年半勤めて、フリーランスを経て、2008年に梅津岳城とmountという会社を立ち上げています。

ご存じない方もいらっしゃると思うので、mountの紹介をします。今年(創業)14年目で14人の社員がいる会社です。基本的にはWebサイトを中心として、キャンペーンサイトから企業情報サイトまで、幅広く作らせていただいています。

方針策定からコンテンツ制作、UIの設計まで。いわゆるコンテンツとUI、両軸で作っているところが我々の特徴です。13年間で、110個ほどのWebサイトを作っています。

我々の実績を今、(スライドに)表示させていただいています。トヨタをはじめとする企業情報サイトや、星野リゾートの星のやさん、(サントリーのウイスキー)「山崎」の「YAMAZAKI MOMENTS」というブランデッドコンテンツ(企業やブランドを好きになってもらうためのもの)などを作っています。

直近ですと、ホテルオークラさんのウェディングのサイトから、コクヨさんの長期ビジョンのコンテンツまで、非常に幅広く作らせていただいています。今、(スライドに)サントリーさんの事例を映しています。最近ですと、任天堂創業家のYamauchi No.10 Family Office、ポーラさん、虎ノ門ヒルズ、ユニクロなどのWebサイトを作らせていただいています。

我々は初めてクライアントに会う時に、今(スライドに)映っている言葉を伝えるんです。読んでいただければわかるのですが、「クライアントに対して誠実に向き合って、よく聞き、よく話し、共感し、期待以上のもので返す」という言葉のとおり、コミュニケーションを非常に大事にしている会社です。以上です。

クリエイターがチームとなって働く「THE GUILD」

高野:ありがとうございます。では続いて深津さん、お願いします。

深津貴之氏(以下、深津):みなさん、こんばんは。株式会社 THE GUILDの深津と申します。僕たちGUILDという組織は、2013年に設立されました。

普通の会社とちょっと違うところとして、いろんなクリエーターがチームになって、プロジェクトごとにさまざまな案件をこなしていくんです。グループ、共同体としての制作会社として活動しています。

お客さん、あるいはチャレンジしている案件などもいろいろと幅広いです。例えば大きなものですと、自動車会社やメディア会社、大手の商社さんやECサイトなどのお手伝いをしています。また、スタートアップの小さな立ち上げから、シリーズB、シリーズC、上場といった支援の中で、内側に入ってお手伝いをすることもあります。

また最近ですと、GUILDそのものが実際に投資などをして、スキームのコミットをしていったり、内容のグロースそのものの支援などもさせていただいております。みなさん、よろしくお願いします。

高野:よろしくお願いします。

ノーコードでWebサイトが作成できる「STUDIO」

高野:続いて、石井さんお願いします。

石井穣氏(以下、石井):こんばんは。ノーコードでWebサイトが作れるサービス、STUDIOの代表をしている石井です。僕はもともとデザイナー兼エンジニアとして、学生時代にWeb制作会社を作ったり、旅行系(事業)のスタートアップを立ち上げ、プロダクト担当者をしていました。

そのスタートアップを事業譲渡してから、共同創業者の甲斐(啓真)と出会って、今のSTUDIOをやっています。STUDIOのサービスのリリースは3年くらい前なんですが、その頃から世界屈指のデザインファームであるIDEOのファンドや、横にいる深津さんが代表しているTHE GUILDからも投資を受けて、サポートをしてもらっています。

リリース当初は、スタートアップとかデザイナーに活用されることが多かったんですが、最近ではデジタル庁のサイトでも使われるなど、より幅広い層にSTUDIOが浸透してきていると思っています。どうぞよろしくお願いします。

高野:よろしくお願いします。ありがとうございます。

コーチングスクールを展開する「THE COACH」

高野:続いてこばかなさん、よろしくお願いします。

小林かな氏(以下、小林):よろしくお願いいたします。株式会社THE COACHの代表を務めております。「小林かな」というので、「こばかな」と呼んでいただければと思います。

私のキャリアはデザイナーからスタートしております。新卒でDeNAに入ったあとに、THE GUILDで深津さんのもとで2年くらい修行させていただいたあと、デザイナー兼コーチングのコーチとしてフリーランスを経て、今の会社を創業しております。

コーチングというのは、最近よく聞くようになってきた技術なんですが、対話のようなコミュニケーションの技術です。クライアントというコーチングを受ける人が、本当はどういうことをしていきたいのかという(ことを引き出すために)、質問などのスキルを使って、内面に寄り添った対話を行うものです。

私たちはコーチングを教えるコーチングスクールです。完全オンラインのものを2020年の11月にリリースしまして、すでに300人以上の方に受講していただいています。本日はよろしくお願いいたします。

高野:よろしくお願いします。ありがとうございます。

「このままいったら、もしかしたら潰れるかも」経営者の苦悩

高野:では、続いてトークディスカッションに移っていきたいと思います。今回のテーマに基づいて、さまざまなキーワードをいただいております。「リモートワーク経営」「COVID-19オンライン」「デザイナー経営者」などのキーワードを基に、質問をしていきたいと思います。よろしくお願いします。

最初の質問にいきたいと思います。「COVID-19の感染拡大によって、事業に影響や変化はありましたか?」。どなたから行きましょうか(笑)。では、イムさんからよろしいですか?

イム:うちは結果的に、去年の3月から7月までを含めて、ざっくり言うと去年の売上が前年比の50パーセント近くまで減りまして。3月くらいに緊急事態宣言が発令されてから数ヶ月、新規の仕事が取れない状況になって、非常に経営的にも追い込まれました。

「このままいったら、もしかしたら潰れるかも」なんてことを思いつつ、個人的にもすごく精神的に落ち込みましたね。 

でも、少し冷静になって考えると、世界規模で落ち込んでいるということを認識して、「じゃあ、mountという自分たちの会社をどうしていくか?」ということを、この時からじっくり考えるようになりました。それが事業に対する影響や変化になります。

高野:ありがとうございます。他のみなさん、いかがですか?

石井:STUDIOはWebサイトが作れるサービスで、僕は逆にけっこう追い風になったなとは思いました。公開サイト数をKPIにしているんですが、去年の僕たちのKPIとしては、STUDIOで作られるサイトが3〜5月はなかったんですけど、6〜7月頃からグイッと伸びて、そこからは順調に右肩上がりで増えていますね。

イム:へえ。

高野:リモートワークでみなさん追い風ですよね。

石井:そうですね。

高野:チームで編集することができたり。

石井:僕たちのサービスは、オンラインでのコラボレーションを売りにしているので、リモートでも簡単に制作ができるのが良かったんじゃないかなとは思いました。

コロナ前に比べて、タクシーの利用回数が劇的に減少

高野:ありがとうございます。深津さんはいかがですか?

深津:そうですね。GUILDという会社はクリエーターの集合体なので、事業の変化、影響はけっこう個々のプレイヤーによって変わってくるところはあるんですが、会社全体、チーム全体としての売上やインパクトはそんなに大きくなかったと思います。

おそらく、GUILDの多くの案件が、年単位でお客さまと寄り添って一緒に何かをしていくものなので、唐突にちょっとしたことで(関係が)切れたり、新規(案件)が増えたり、という影響が少ないのだとは思います。

一方で僕個人としては、けっこういろんなクライアントのところをぐるぐる回りながら、ミーティングや調整をすることが多かったので、タクシーをものすごい量使っていたんです。

高野:はい(笑)。

深津:タクシー(移動)がゼロになったおかげで、作業に集中したり、新しいことができるようになったり、時間的な余裕は大きく増えたと思います。

高野:確かに。経営者の方だと、移動時間がなくなるというところで、だいぶ大きなインパクトを生みそうですね。

深津:そうですね。

コロナ禍に起業、完全フルリモート制での始動

高野:ありがとうございます。こばかなさん、いかがですか?

小林:うちの会社は、コロナ禍の真っ只中に立ち上げたので、実は最初からフルリモートです。2人目のメンバーとも対面でほとんど会わない中で、立ち上げからやってきています。ずっと(オンラインで)ミーティングをし続けているんだけれど、1年後に初めて会ったメンバーがチラホラいるようなやり方ですね。

なので、これまでとはやはり少し違う組織の作り方になってきていると思います。また、事業の内容に関しては、オンラインのコーチングスクールなので、追い風かなと思っております。

コーチングというのは、人生に悩みを持った方々から相談を受けるサービスです。コロナ禍ではやはりキャリアに関するお悩みが増えてきているので、需要が高まってきているのを感じます。

高野:ありがとうございます。そうですよね。オンラインでご相談ができるという需要は、すごく追い風ですよね。

小林:そうですね。

高野:ありがとうございます。

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