「買わない理由を減らす」営業のコツとは?

今井晶也氏:「7つに細分化された営業プロセス」をみなさんと学んでいきたいと思います。この動画は、2021年8月27日発売の『セールス・イズ 科学的に「成果をコントロールする」営業術』と補完関係にあります。より詳細が知りたい方は、ぜひ書籍もチェックしてみてください。

これまでの動画でも、「買わない理由を減らすことで、成果をコントロールしましょう」と伝えてきました。では、具体的に買わない理由を作らない・減らす商談を実践するためには、どんなことをしたら良いのでしょうか。その答えは、セールスプロセスを細分化するという考え方です。

営業活動を大きなイベントとして見るのではなくて、7つの小さなプロセスに分割させ、小さなプロセスを問題なく前進させることで、最終的に買わない理由や意思決定における不安要素をなくしていくという考え方です。

マラソンに似ているなと思っていまして、マラソンで42.195キロメートル走り終わった方に「タイムを短くしましょう」と言っても、もう記録が出てしまっているので短くするのは難しいですよね。

ただ、中間計測地点を用意しておいて、そのモニタリングのポイントで、どれぐらいのスピードで経過をすればいいのか。指標を持っていれば、中間地点でうまくいってないことや予定外のことが起きた時に、改善ができたり対策が計れたり、軌道修正を行うことが可能です。

このように、営業活動もプロセスごとにマネジメントしていくことによって、買わない理由を対策をしていくことが重要です。セレブリックスでは、7つに分けたセールスプロセスを「コンサルティングセールスプロセス」と呼んでおり、プロセスごとにやるべきこと・やってはいけないことの判断基準を明確にしてモニタリングできるようにしています。

商談の準備は「勝ち方」の仮説・想定から

それぞれのプロセスの定義や、役割を解説させていただきます。まずは商談の最初のプロセス、アカウントプランです。アカウントプランは、攻略計画の策定と定義をしております。対象となる商談を受注にするための計画を描きます。どうやったらこの企業を受注できるか、勝ち方の仮説を立てる商談の準備だと捉えてください。

そして勝ち方の仮説・想定が立ったら、実際にお客さまと対面をして、最初の関係構築を行います。そのプロセスをアプローチと呼んでいます。アプローチは、信頼獲得と定義、目的を置いていまして、お客さまに受け入れてもらうための関係構築のプロセスを指しています。

挨拶や目的の提示、そして会社のピッチ。ピッチというのは、短いプレゼンテーションですね。これを行って、信用や興味を抱いてもらうのが狙いです。そしてお客さまは、信用した人や興味を持った会社には、自己開示をしてくれるようになります。

自己開示をしてくれるようになったお客さまに対して、ファクトファインディングを行います。ファクトファインディングは、課題設定と定義しています。いわゆる単純な聞き取り調査、ヒアリングではございません。お客さまに最終的に課題解決の必要性を認識していただくためのプロセスです。

適度に問いを与えたり、質問を提供することによって、課題の重要性や緊急性に迫る。こんなコミュニケーションを図っていきます。

「買わない理由がない」を導く、営業活動のプロセス

そして課題が設定できたら、要件定義とネクスト設定と定義される、オーダーコントロールを行います。オーダーコントロールの実施例の1つをご紹介すると、お客さまの提案評価ポイントを知る方法があります。お客さまがどんな基準で何を評価するか知っていれば、勝てる企画が作れますよね。

それになぞって作成するものが、企画作成になります。企画作成は課題解決策のデザインという定義をしています。お客さまの課題解決を実現するストーリーを描くわけです。課題解決の可能性を「見える化」することを目指していきます。

そしてこのストーリーを実際にお客さまに披露するのが、プレゼンテーションです。プレゼンテーションは、最適な提案と定義しています。解決方法と具体的なプラン、これをメッセージとして届け、異なる目的やニーズを持った関係者に対して資料やデモンストレーションを通して、わかりやすい提案を心がけていきます。

そして最適な提案を行ったら、最後はクロージングで意思決定の後押しを行います。クロージングは説得ではありません。お客さまに納得して決めていただくためのサポートを行うプロセスです。結論の回収や条件交渉や調整に応じたり、社内稟議のサポートなどを行います。

このように7つのプロセス、観測対象において、プロセスでそれぞれ買わない理由がなければ、全体の営業活動で見ても買わない理由がない。こんな状態を作れます。そして買わない理由がなければ、売れる確率が高まる。つまり、成果をコントロールできるサイクルが作れるというわけです。

ついやってしまう、買う気のない顧客へのゴリ押し

プロセスごとのやるべきこと・やってはいけないこと、これらの判断基準をセレブリックス、そしてセレブリックスの創業者が行った購買者のリサーチや23年間分の営業メソッド、これらを踏まえてデータとして作り上げたものを本書で解説しています。

では今日は限られた時間の中で、一例をご紹介したいと思います。コンサルティングセールスプロセスにおいて、判断基準を持たずに営業活動をしている場合、どんな間違った営業活動が行われているのか。その具体例を見てみましょう。

先ほど7つのセールスプロセス、コンサルティングセールスプロセスをご紹介させていただきましたが、実はこのセールスプロセスも、目的に応じて大きく2つに分けることができます。

1つが、具体的な購買検討に入る案件の獲得を目的としたリードセールス。つまり商談の前工程と案件を受注につなげるため、ないしは決着をつけるためのコアセールス。後工程に分けることができます。

当然、ゴールが違えばお客さまの状態や心理、関心事も違います。例えば前工程であるリードセールスであれば、お客さんはまだ「買おう」と思って商談に参加していません。なので、営業からのアタックや展示会・イベント、こういった機会を通して情報を収集している程度で、ぜんぜん買おうと思っていないお客さまなわけです。

一方で後工程のコアセールスであれば、購入を検討しているお客さまなので、興味がある内容は自社にこの商品が合うかどうか。あとは現実性。こんなところを重視します。

それなのに、私たちは買おうと思っていないお客さまに、機能や商品の強みをゴリ押ししたり、買うことを検討しているお客さまに、課題とマッチする理由や競争優位を示せていないケースが散見されます。

購買者の関心ごとと訴求内容がちぐはぐで、このようなことで「買わない理由」を作ってしまっていることが、実際にあったりするんですね。みなさまも、まだ買うと決めていないお客さまに商品の強みや機能の説明を行ってませんか? お客さまは買おうと思っていないのであれば、機能の違いなどにそんなに興味を持っていないかもしれません。

商談におけるアイスブレイクは不要?

さあ、残念ですが、お時間が来てしまいました。この書籍では、もう一歩踏み込んでこのコンサルティングセールスプロセスの中で、買わない理由を対策するためのテクニックを学ぶことができます。

例えば「事前準備は、お客さまを起点とした3C分析で大局観を捉えると成功しやすいよ」というお話や、「実は商談において、アイスブレイクが不要かもしれません。もしもどうしてもアイスを壊したいのなら○○を話せ」というお話であったり、「アプローチで信頼を獲得するためには、ドラマチック曲線を描くのが重要だよ」というお話。

そして「課題設定する公式として、3つのステップと7つのファクトという考え方がありますよ」という話や、「意思決定者を商談の場に呼び出す魔法のトーク」。こうした具体的なメソッドを学ぶことができます。

この『セールス・イズ』では、具体的なプロセスごとのノウハウ・技術を惜しみなく解説をしており、明日から現場で使っていただける生の情報をこれでもかというほど詰め込んでみました。ぜひ本書を使って、科学的に成果をコントロールする営業術を身につけていただければと思います。

私からの本書に関連する情報、および新規営業法人営業に関連するノウハウ・最新情報は、これらのSNSで取得することができます。ご興味のある方は、ぜひQRコードをお読みください。そして2021年8月27日発売、新規営業・法人営業で成果をコントロールするためのメソッド本『セールス・イズ』、ぜひご購入いただければと思います。ご清聴ありがとうございました。