2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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樹林伸氏(以下、樹林):何がすごくおもしろいかと言うと、5G(の話題)と少し離れるようでそうでもない部分もあるんだけど、編集者や作家とか、コンテンツを作る人間のすごい強みというかスキルがあるんだけど、そのスキルとは案外継承しにくいものなんです。
だからそれで会社を大きくしていくのは、やはりなかなか難しい部分があって。それが複数人いてくれればいいんだけれども、ある程度才能も必要だし。僕もすごくやってきたけど、そういうものを継承するのは、そんなに簡単なことじゃなくて。
今、佐度島が言っていたように、AIとかも含めてライトに継承できると組織になってくるので、どんどん大きくなってくるんです。大きくなるということは、もっとおもしろいものがたくさん作れるようになってくる。
そうなってくると、韓国とか中国とかがすごく漫画で勢いがあるんだけど、あれのすごいところは、漫画を描いている(のが)1人じゃないですよね。
漫画をチームでスタジオでやってるので、そういうスタイルが日本でもできるようになってくる。1人の才能で突破できるジャンルではあるから、二分化されても残るとは僕は思うんだけど。そうじゃない(チームの)スタイルで作られた漫画も、別ジャンルとして出てくるようになってくるかもしれないですね。
樹林:5Gの良さは漫画とは少しかけ離れていて、ゲームサイドの話になってくるので。田中氏や赤川さんが、今やっているスマホを使ったアプローチが、どういうふうに発展していくのか。赤川さんさっきからお話ししたがっていたし、聞きたい(笑)。
赤川隼一氏(以下、赤川):いえいえ。今の話もそうなんですが、聞いていて思ったのは、結局コミュニケーションの仕方で相手の受け取り方が変わるという問題があって。たぶん、3年前のテクノロジーだと今ほどできなかったのが、Zoomで違和感なく受容されてきている。
テクノロジーの話と人が(それを)受容する時間軸の話、両方あると思うんですが、極端な話、自分の好きな相手のアバターと、自分の好きなかわいい声でフィードバックされたほうが入るんだったら、そのほうが良いじゃん、という極論ってあると思うんです。
一足飛びに世の中はそこに行かないんだけど、バーチャル背景とか、ちょっとずつ顔がバーチャルで整形されても違和感ないようなもので、僕らは最終形と今の間を徐々に埋めていっている気がしていて。
結局、5Gとかテクノロジーがコミュニケーションの断絶を埋める方向に進んでいるんだな、というのを、さっきの佐度島さんの話を聞いて僕は感じていましたね。
樹林:さっきから聞いていると、みんな顔を出しているけど、リアルの顔をWeb上で見ることが減ってきているとか、スマホで見るのも減ってきているみたいな。だけどそれは、まったくのアバターだとちょっとつまんないじゃないですか。
その間というか、リアルなんだけどちょっと整形されている状態で出すとか。少し「なりたい自分」になって、Web上のコミュニケーションの中に登場する、なんていうのがスタンダードになっていく可能性がありますよね。
そうすると、ゲームも自分のアバターが動いているんじゃなくて、自分が動いているんだけれども、そのまんまの自分じゃなくてちょっと格好がいい、みたいなね。
赤川:そうですね。
樹林:バーチャル上では自分が太っているのが好きじゃないから、痩せて入ってみたりとか。そういうこともできるようになると、これはこれでおもしろいですね。
樹林:田中氏はどう?
田中良和氏(以下、田中):持論があって。僕が思っているほとんどの人は、自分の見た目が好きじゃないと思っているんですよね。
変な話、東京にいると「自分の見た目が好きだ」というか、受け入れられる人が多いと思うんですが、たぶん社会全体に引き伸ばすと、実は「自分じゃないほうがいい」という人が多いのかなと思ってて。
変身願望というか、もしくはコンサートに行って「あの人になりたい」とか、みんな思うわけですが、実はそういうほうが普通なのかなと思うことがあるんですよね。
たぶん今、みんなが思っているよりも、見た目による区別というか、差別と言うといろいろ語弊があるんだけど、すごく大きいなと思ってて。僕も実際そうなんですが、弁護士さんに相談しに行って、すげぇボサボサとかヨレヨレとかだったら「こいつ大丈夫かな?」って。
樹林:(笑)
田中:思っちゃうじゃないですか。
樹林:思っちゃう。思っちゃう。
田中:経験則でもあるけど、本質的に関係ないことなわけですよね。けどやはり今まで、見た目による区別によっていろんな危機を回避したりとか、人物を評価していたわけですが、それを振り返ってみた時に、本当に意味があったのか? というのは、これから問われるなと思って。
田中:ちょっと話がそれるんですが、僕、子どもの頃に見て覚えているシーンがあって。「歌うま個人選手権」みたいなのをやっていて、そこでナンバー1になったらメジャーデビューできるという企画のテレビを見たんです。
すげぇうまい人がいたんですが、その人は「絶対メジャーデビューできない」と言われて、すごくダメ出しされたんですよ。そのコメンテーターのコメントが、「歌っている表情が悪いから無理だ」と言っていたんですよね。
樹林:ひでぇ!
田中:これ、ひどいなと思ったんですが、確かに僕もイチ視聴者として見ていて、歌がめちゃめちゃうまいけど、歌っているときの表情がなんか変なんですよね。顔が変なんじゃないんですが、若干表情が不愉快なんです。その人はプロのレコード会社の人なので、本当にひどいけど事実を言ってるんですよね。
樹林:確かに。
田中:だけどそこから現代に引き伸ばしてみると、ミュージックビデオとかを見ても、本人なんかまるで出てこないじゃないですか。本人なんか米津(玄師)どころか、もはや誰が誰なのかよくわからない。GReeeeNどころではない騒ぎが起きているわけですよね。
そうなると音楽業界もある意味、ボカロとかを経て、見た目なんかどうでもいいんだと。うまい曲とか感動できる表現ができる人が一番頂点なんだということで、今、その音楽プロデューサーがいたら「20年前はそうだけど、今はぜんぜん違う」と言うと思うんですよね。
そういった意味で、音楽業界の「見た目差別」という区別が消滅しつつあると思うんですが、さっき言った弁護士の話もそうだし、これって実はありとあらゆる分野で横行している……と言うと語弊があるけど。
田中:これからの時代こそ、人間の本当の能力で人が評価されるようになるというのは、全部がアバターになったりしたほうが、よほど人間的な社会になる、というのが僕のテーマなんですよね。
樹林:アバターに自分の要素はちょっと入っていても良い気はするよね。
田中:たぶんそうじゃない人も多いのかな、と思いますけどね。さっきの「自分的」というのが、見た目に依拠していないというか、「自分はもっと炎のような人間だから、ドラゴンになりたい」みたいな。「この見た目がドラゴンになりたいわけではない」という。
樹林:なるほど。
田中:語弊があるかもしれないけど、LGBTみたいな概念と、ある意味においてそれが似ているなと思っていて。なりたい自分が中心で、今の見た目とは別に、本質的には関係がないというのが、これからの時代なのかなと思っているんですよね。
里見治紀氏(以下、里見):さすが、ソーシャルネットワークをやられていた田中さんですよね。
里見:承認欲求でお金を使うのが、ソーシャルゲームの初期はやはり大きかったですからね。主婦の方とかトラック運転手の方とか、1人で(仕事を)やっていてなかなか社会的に認められてない人ほど、課金していたんですよね。
すごい釣り竿を持っていると、みんながチヤホヤしてくれる。違う誰かになるというのが、初期のソーシャルゲームのよさだ。
田中:でもさらに最近、おもしろい話があって。あるベンチャーが「介護アバターを作っているんです」と言って。
「何、それ?」と聞いたら、地方には暇な人がいて、お爺さんお婆さんと話したいんだけど、見た目がお爺さんお婆さんに適していないから、Zoomミーティングでアバターになってお爺さんお婆さんと会話して、それで介護というか暇つぶしというか、ボケ防止かわかりませんが、そういうのをやっているベンチャーがあって。
確かにそれ、地方のお兄ちゃんとかお姉ちゃんの見た目だとちょっとまずいんだけど、アバターのほうがいいとか、謎の現象があるなと思ったんですよね。
樹林:(笑)。でも介護の現場とかだったら、5Gとかすごく即応性もあるし、やはり距離が近く感じるんですね。即応性があって画像が綺麗だと、目の前にいるような感じでできるようになってくるかもしれないね。
樹林:僕らコンテンツを作るプロ側も、アマチュアのやっていることに負けないような工夫が、これから絶対必要になってくる。あと5分くらいで質疑応答に入りますが、また少し里見くんから。
里見:ちょっと5Gと違うかもしれないですが、やはりZoomって使っていてすごいですよね。おもしろい話が、完全にこれはCiscoのイノベーションのジレンマの教科書に出てくるような事例で。CiscoはWebexという、会議室と会議室をつなぐナンバーワンの会社だったんですよね。
新規事業でZoomをみたいなものを社内の人が作っていたら、「いやいや。うちはこれのナンバーワンのやつなんだから、そんなのいらねーよ」と言ったので、独立してZoomを作ったら大爆発したという(笑)。
樹林:あらまあ。
里見:今、WebexもZoomを真似したのを出していますけど、思い切りイノベーションのジレンマにはまって。こっちで勝っているから新規事業の芽を見失っちゃったというか、見逃しちゃったという。
やはり会議室と会議室をつないでいると、大声を出さないといけないし、結局みんなの表情も見れないし。マイクの性能が良すぎて、人が紙をめくる音がすごくイライラするんですよ。ジャワジャワって。それがZoomだと顔も見れるので。
おもしろいなと思ったのは、2つの会議室をつないでいた時に、5人ぐらいいるんですけど、みんなの顔が見れるように、目の前にタブレットなりパソコンを置いて。それぞれ全員Zoomに入ると、そこでみんなの顔が見れて、それこそチャットでも他の人の会話を邪魔しないで、違うことを議論したりできるので、いろんな会議の仕方も本当に変わってきますよね。
樹林:確かにね。
里見:これも5Gになれば、Wi-Fiがないところでもスムーズにどんどんできるという。
樹林:佐渡島くんも、なにか一言。
佐渡島庸平氏(以下、佐渡島):さっき田中さんがおっしゃっていた、アバターになって自分らしくないんだけど、自分の見た目とかは関係ないところで自分らしさが出てくるということは、本当にもっともっと起きていくんじゃないかと思っていて。
先々週オープンした、OriHimeというロボットを障害者の人たちがベッドの上から動かして、そのロボットを中心に展開されているカフェがあるんですよね。働いてるのがロボットなんだけど、全部寝たきりの人だけなんですよ。
樹林:それは聞いたな。
佐渡島:その人たちと話せるとなった時に、心の中で何が起きているかのほうがどんどん重要になってきて。やはり今まで漫画家とかも、締め切りを守れるとかがすごく重要だったのが、結局、自分でファンコミュニティを作ってSNSで出していくってなると、意外と締め切りを守らないのも味になったりする可能性がぜんぜんあって。
樹林:あると困るよ(笑)。
(一同笑)
里見:なるほど。
樹林:「俺、守らなくていいじゃん」みたいな感じで(笑)。
佐渡島:今まで「守らなきゃいけない」となっていたのが、現実社会の抑えてしまっている物理的な車や人だとか、そういうところの無駄を少なくするために、僕らがすごく我慢しないといけなかったので、より心に自由になれるはずです。田中さんとかがやってたりするREALITYとかは、まさにイーロン・マスクを超える可能性はあるという。
樹林:あるね。
佐渡島:そっちに行っている人たちの生き方に、最終的には全世界が行くと思っているんですよね。
佐渡島:その時に必要なツールや感覚が何なのかをいち早く知るのが、未来のコンテンツへの理解だと思っていて。
Netflixとか、アメリカとか中国ってあまりにも数の論理が強いので、ある種0.5歩先じゃなくて、0.1歩先のビジネスでむちゃくちゃ儲かっている状態だと思っていて。REALITYとかは、0.5歩先から1歩先に近い挑戦で。その中での試行錯誤は、僕はすごくウォッチしているというか。
さらにそこから生まれるコンテンツは、今までのコンテンツが人の心を癒やしたり助けたりだとかと比にならないくらい、人の人生を変えていくコンテンツになるんじゃないかと想像しているんですよね。
樹林:ものすごいな。今、すごく気になったのは佐渡島が言った、「心」という部分で。日本人っていろんな外国人との付き合いがあるし、いろんな海外の絵やコンテンツを見ることあるけど、日本人の持っている心の豊かさというか、ある種面倒くさい面も含めてなんだけど、その「深み」って世界でもけっこう有数だなと思って。
だから日本人の作るコンテンツって、噛んでいくうちに良くなっていくものが多いんだよね。だからオタク文化は世界に伝わっているんだけど、そういう人間たちが考える新しいサービスを世界にどうやって売っていくか。誰が作って、どうやって売っていくか。
樹林:田中氏は今、まさにその可能性が一番あるところにいて。質疑応答に入らなきゃいけないけど、一言ぐらいないですか?
田中:最近、REALITYってグローバル化しているというか、多言語化しているんですが、日本は日本以外のユーザーのほうが多いんですよね。このビジネス、ネット業界でずっとやっているんですが、初めて自分の作ったコンテンツで、1個のアプリで全世界の人が同時に使っている状態を見ているんですよ。
これ、同じアプリで見ないと差分がわからなくて。当然、InstagramでもFacebookでもそうなんですが、自分で作ったものが全世界で使われていると、言語がわからないんだけど、同じような使い方をすることが伝わってくるんですよね。
だから日本ライクで作っても、グローバルでこういうサービスでも通用するんだということが、自分の中でもわかってきていて。日本のこういうコミュニティ、ミラティブもそうだと思うんですが、広義のコミュニティ関連ビジネスというのは、「世界観作り」にあるところがあるんですよね。
今までのFacebookやInstagramとかって、やはり機能だけじゃなくて。まさに樹林さんを筆頭にですが、いろんな世界観やストーリーとか、そういうのをひっくるめて、コミュニケーション・コミュニティを売るビジネスに、今、昇華されつつあるので。
しかもそれが、日本から作ってもグローバルでウケるということが証明されるのは、すごく意義深いと思っているんですよね。
樹林:それ、本当にそうだな。楽しみになってきた。5Gってそれだけじゃないですが、IT全体の中で日本の質は高くないから、これから絶対変わってくると思う。コロナのせいでポカーンと空いた時間、けっこうよかったような気がしますね。
樹林:もう質疑応答に入らなきゃいけないので、赤川さんも一言、短くお願いしたいんですが。
赤川:そうですよね。ありがとうございます。レイテンシの話をずっと考えてたんですが、学びとしてコミュニケーションの中でも、バイアスを壊すテクノロジーとして5Gもそうだし、あらゆるテクノロジーってそうあるべきだなというのをすごく感じたんですよね。
それこそアバターもそうだし、僕らがやっているゲームとかも、ゲームの中ではトランプ派とバイデン派も、たぶんむっちゃ仲良く遊んでいたりしていたはずで。
さっきの漫画の作り方もそうだし、日本的なものが世界で伝わるのもそうだし、やはりテクノロジーとか、特にレイテンシーに近くなっていくと、いろんなバイアスが壊れていくのに価値があるんだなとすごく感じて、僕は学びを得ていました。
樹林:なるほど。
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