「地方都市と企業の未来地図について考えるセミナー」
山崎啓輔氏(以下、山崎):太田川ダムからお送りしています、本日のセミナー「地方都市と企業の未来地図について考えるセミナー」、スタートです。お願いします。
(一同拍手)
山崎:今回のイベントは、さまざまな方のご協力の元に成り立っております。まずは主催。こちらは静岡新聞SBSグループと、そのマーケティング会社でありますトムスの共催で行います。
そして、協賛が森町観光協会さま。特別協力としてKDDIまとめてオフィス中部のみなさまからいただいています。実は本日の配信環境。Wi-Fi環境であったり、モニターであったりも、KDDIさんのご協力で整備していただいています。
そして、ご協力はこちらの森町、太田川ダム、アクティ森、浜松ワークスタイルLab、エコッツェリア協会、そして一般社団法人日本ワーケーション協会。こちらの面々の方々よりご協力の下、お送りしていきます。よろしくお願いします。
(一同拍手)
山崎:では、主催の静岡新聞の大見さんより、今回の背景をご説明いただきたいと思います。
大見拳也氏:本日のイベントの主催であります静岡新聞社、静岡放送、浜松ビジネスセンターの大見拳也と申します。静岡新聞SBSは、現在「マスコミをやめる。決めた」という宣言のもと、企業変革に取り組んでおります。
中でも、私たち浜松ビジネスセンターでは、これまでメディアを通じての情報発信に特化して、静岡県西部の自治体さまや企業さまの、主に広報活動のお手伝いをしてまいりました。
しかし、一方的な情報発信だけではなく、より地域の課題や企業さまの課題に向き合い、あらゆる当社のリソースを活用しながら、あらゆる面でビジネス全体のお手伝いをしていこうという取り組みを始めております。
今回は、ワーケーションや働き方改革といった、今、まさに地方の自治体さま・企業さまが直面している課題について、みなさんと一緒に考えて議論しながら、よりよい地域づくりに貢献していきたいと考えております。今日は静岡県の企業のみなさん、自治体のみなさんと一緒に勉強していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。
山崎:大見さん、ありがとうございます。
(一同拍手)
山崎:よろしくお願いします。では、もう1つ主催のトムスについて、簡単にご紹介させてください。SBSグループのマーケティング会社となります。市場調査やWebマーケティングなどを行ってまいりました。
私たちのビジョンは、マーケティングに限らず、地方の“働く”。仕事は、もっとワクワク楽しいものにしたいというビジョンがございまして、今回のイベントの趣旨につながるところがございましたので、主催させていただきました。
ということで、本日のテーマ。お三方をお招きして、このダム際(ぎわ)で新しい働き方を考えるということで、沢渡さん、よろしくお願いします。
沢渡あまね氏(以下、沢渡):景色が新しいですね。
山崎:そうですね。こんな配信も1つのチャレンジとしてやっていきたいと思います。今回、こちらのエコッツェリア協会の神田さん、浜松のワークスタイルLabの沢渡さん、そして、一般社団法人日本ワーケーション協会の入江さん。そんなプロフェッショナル3人をお招きして、話を聞いていきたいと思います。
「ワーケーションで見えた地方都市の企業の『課題』と『希望』」
山崎:ではさっそく、浜松ワークスタイルLabの沢渡さんにマイクをお渡ししまして、お話しいただきたいと思います。よろしくお願いします。
(一同拍手)
沢渡:よろしくお願いします。みなさん、こんにちは。ダム際のプロフェッショナル、沢渡あまねでございます。「ワーケーションで見えた地方都市の企業の『課題』と『希望』」。こんな話を10分間、駆け足でしていきたいと思いますが、SNS投稿OKですので「#ダム際ワーキング」で盛り上げてください。よろしくお願いします。
沢が渡ると書いて、沢渡あまねと申します。作家、物書きをしています。ワークスタイル、組織開発専門の物書き、情報発信家をしています。私自身パラレルキャリアで、作家の顔、本日は浜松ワークスタイルLabの取締役。オンライン育休者向けスクール、育休スクラを提供するNOKIOOのアドバイザーなど、さまざまな仕事をしています。日産自動車、NTTデータ、大手製薬会社と、ITと広報の経験を元に、これまで350以上の企業、自治体、官公庁の改善、働く景色を変える支援をしてまいりました。
今日はみなさん、専門家と一緒にテレワーク・ワーケーション・ダム際ワーキングなどを支える業務改善、あるいはダイバーシティ推進、垣根のない働き方、DXイノベーション、地域活性、ビジネスモデル変革。こういうテーマを立体的に議論していけたらなと思います。また、今日のお話は私の新刊『バリューサイクル・マネジメント』を軸に、各論を展開していきます。
趣味はもちろんダムです。「ダム際ワーキング」。ダムをワークプレイスに変える。こういう仕事……というか、こういうワークライフをしているわけですけれども。
この、ダム際ワーキング漫画。太田川ダムを舞台にした漫画をデプロイしておりますので、よろしければダム際ワーキングのサイト、あるいは太田川ダム管理事務所。この奥にあります。管理事務所に貼っておりますので、ぜひ太田川ダムに来て見ていただきたいなと思います。
ワーケーションを始めて感じた、4つのこと
沢渡:今日のテーマは「ワーケーション」です。ワーケーションやダム際ワーキングに関するインタビュー記事もさまざま出ていて、ここ、太田川ダムでも対談したりしています。
「ワーケーション=遊んでいる」と思われると悔しいですから、私、ダム際でも必死に成果を出しています。
山崎:素晴らしい。
沢渡:「ワーケーションは成果出るんだぞ!」というリアルに向き合っていただけたらなと思います。実際、私はダム際を始めとして、ワーケーションを始めて感じたことが大きく4つあるんですね。
1つ目。集中&リフレッシュできる。総務の領域では「健康経営」といわれていますね。テレワークで運動不足になる。でも、ちょっと飽きたら歩いたりできるわけですね。それが健康経営。
2つ目。新たな発想が浮かびやすい。これはイノベーションにつながります。そして実は、ダム際ワーキングやワーケーションをやらなくても、自由な「場所に囚われない働き方」をするためには、ペーパーレスな業務環境が必須です。ここにいても決済できる、あるいはチャットでやり取りできるといったデジタルワークシフトが、ワーケーションをはじめ、人たちを自由にする。イノベーティブにする。
3つ目。一方で、都市側のチャンスとしては、平日に地域にお金を落とせる。我々も今日、アクティ森さんのレストランで「ダムカレー」を食べてきましたよね。おいしかった。つまり、平日に観光動線を作れる。観光産業がこれによってBtoBに変わっていく。個人ではなく企業。働きたい人たち。
ただしそのためには、4つ目として地域側のマインドチェンジ。あるいはインフラ整備もめっちゃ重要。これを逃すともったいない。こんな4つの気付きを得ました。
ワーケーションの本質は、固定化された環境からの解放
沢渡:ワーケーションの本質は、固定化された環境から解き放たれる。同じメンバー、同じ仕事、同じ景色、同じ考え方の人たちだけを集めて、イノベーションが起こりますか? 新しい発想が起こりますか? という話なんですね。これをぶっ壊す必要がある。
一方で、ワーケーションする企業側が「ワーケーションしてみよう!」となっても、ワーケーションを受け入れる地域の課題などさまざまあります。あとでじっくり突っ込んでほしいんですけれども、例えば「(その地域のお店は)水曜が一斉定休で、せっかく他の地域から人が来たけど食事するところがない。お金を落とすところがない」とか。
「14時の壁」。これを「ニジカベ」と私、呼んでいるんですけど、NiziUみたいでしょ?(笑) お店が14時で一斉に閉められると、結局、食事難民になってしまう。地域の食材を味わえない。これ、たくさんあるんです。あるいはきれいなトイレがないとか。こういうところはきちんと投資していかないと、もったいないことになるよなという課題があります。
ワーケーションを「実施する側」「提供する側」双方の課題
沢渡:ワーケーションの課題。ワーケーションする側の企業、個人。そして、ワーケーションを提供する側の地域、行政、飲食店など。これら双方のデジタルワークシフト。デジタルを使って問題、課題を解決していく。これが大事なのかなと、私は実感しています。
ワーケーションを実施する場合は、どこにいてもつながれるやり方をしなければ、業務に穴を空けてしまいますよね。
仮に空けても「その日はもう、アイデア出しをする!」と決めきれば、それでリフレッシュしながらでいいと思うんですけれども。とはいえ「決裁が止まってしまう」などの問題もあると思うので、デジタルを使って滑らかに仕事をするやり方に変えていく必要がある。これは前提条件になってくるのかなと思います。
もう1つ。ワーケーションを提供する側。「14時壁(ニジカベ)」に対して「14時以降も、24時間365日店を開けろ!」と、ブラックなことを言うつもりは毛頭ございません。技術の組み合わせで、地域の外の人・地域に住む人が平日にお金を落としてくれる環境、キャッシュポイントって作り得るんですね。
例えば、施設でもスマート予約、スマートロック、スマート決済を使って、ワーケーションできるカフェを無人運営。スタッフを少なく運営することも十分可能ですし、私もそういう施設を利用しています。
あるいは最近見かける、コンテナ型のワークスペースを使ってお金をかけず、初期投資を抑えておしゃれなコワーキング空間を作ったりとか。フードサービスも、例えばデリバリーサービスを組み合わせるとか。あるいは道の駅の間にワーキングスペースを作って、そこに道の駅の配送の途中でついでに予約で食材を落としていくとか、予約で売るとか。そうするとデリバリーコストがかからないですよね。という話なんです。
こういう組み合わせで解決していく。新たなキャッシュポイントを生むことが十分可能なわけです。
「ワーケーション」の1行で領収書が切れるのが理想?
沢渡:あるいは、領収書が増えすぎるとけっこう精算面倒くさくないですか。神田さん、よくやられていると思うんですけれども。ですから「ワーケーションパッケージ」みたいなもの。すべて食事も宿泊も、なんなら交通費も込み込みで、1行で「ワーケーション」で領収書が切れる。
山崎:それ、ありがたいですね。
沢渡:こういうものがあると、お互いに経費精算が楽。それで会社が地域にお金を落としてくれるモデルになりやすい。こういうデジタルや業務改善で解決していきたいなと。今日はそういう話を立体的にしていきたいと思います。よろしくお願いします。
山崎:よろしくお願いします。ありがとうございます。
(一同拍手)
山崎:ワーケーションという、今、流行りの言葉ですけれども。ご自身で実践されていて、さらに企業にも導入されている沢渡さんのお話、僕も知らないところが多くておもしろかったですね。
沢渡:ありがとうございます。
山崎:また、トークセッションのほうでも深堀りをさせていただけたらと。
沢渡:働く景色をジャンジャン変えていきましょうね。
大見:ここから変えていきましょう。