メルカリアプリ内に出店できる「メルカリShops」

石川佑樹氏(以下、石川):ソウゾウCEOのmazeです。ふだんはGoogleのビデオツールを使っていて、Zoomはちょっと慣れてないので、もしかしたら不手際があるかもしれないですけど、あたたかい目で見ていただければなと思っております。

(今日の参加者は)40人ぐらい、今38名ぐらいの方が入っていただいてるかたちだと思うので、あともうちょっと待ちましょうかね。えーっと……どうしようかな。

笹倉宙希氏(以下、笹倉):雑談でもしますか(笑)。みなさん、こんばんは。僕はmazeさんの後にお話しさせていただきますけど、コーポレートの責任者のSasayanと申します。ちょっと数分、雑談トークでもしましょうかね、mazeさん。

石川:そうですね。先週の水曜日(7月28日)に「メルカリShops」をプレオープンしたんですけど、使った方っていらっしゃいますか? 今、メルカリのアプリ内に「ショップ」タブが出ているんですけど。

どうですかね? このイベントに来ていただいてるので、「メルカリShops」という名前はだいたいご存じかなと思うんですけど、どうでしょう?

笹倉:(この場で)リアクションするのは、なかなかハードルが高いかもしれませんね。

石川:(笑)。

笹倉:今CEOから見て、会社としてはどんな雰囲気ですかね?

石川:プレオープンしてから、けっこう反響をいただいていまして。その中でも(「メルカリShops」を)使っていただいて、けっこう売れている方も出てきたりして。こちらは、お客さまの動きなどを見ながら、毎日てんやわんやしているかたちですね。Sasayanさんはどうですか?

笹倉:そうですね。社内の雰囲気をざっくばらんに言うと、みなさんものすごい熱量でやっているので、動きも早いし、本当に全員野球みたいなかたちでやっているフェーズです。僕、昨日、ソウゾウのPodcastであるSouzoh fm(souzoh.fm)でお話ししたんですけど、「青春してるぞ!」みたいな雰囲気で、非常に楽しくやってますね。

石川:この後いろいろお話しできたらなと思うんですけど、今求められているサービスをいかに作るか。お客さまの反応や実際の声をいただきながら作っていくところは、けっこうおもしろい部分で。手触り感もありますし、そのへんは一定の手応えとともに進めてる感じかなと思いますね。

笹倉:では、みなさん徐々に集まってきましたし、ぼちぼち始めていきますか。

2020年に起こった2つの変化

石川:じゃあまず「メルカリShops」について、僕から20分ほど簡単にお話しさせていただければなと思います。よろしくお願いします。ここでは、「メルカリShops」というサービスを作るにあたって、どういう考え方で進めて来たのかをご紹介させていただければと思います。

「メルカリShops」を作るにあたって、何点か考えたことがあったんですけど。その中でも、特に去年1年間で起こったことを受けて非常にいろいろ考えました。

2020年に起こったことは、大きく2つあったかなと思います。一番大きかったのはコロナの感染拡大で、いろんな影響を受けたというところ。そのなかで、僕らの周りで大きく変化したことは2つあります。1つ目がオフラインでの営業が難しくなったこと。メルペイ加盟店さまに関しても、非常に多くの方が影響を受けていらっしゃったのがまず1つ目です。

2点目は、Work From Home(WFH)とかテレワークとか、あとは緊急事態宣言などで、外に出られなかったり、外に出てもお店がやっていない部分もあって、より多くの人がネットでモノを買うようになるという変化が起きたかなと思ってます。

この1つ目のオフラインでの営業が難しくなったというところなんですけど。メルペイ加盟店さま中心に、いろいろとヒアリングや調査を進めていく中で、特に生産者の方や小規模事業者の方が困っていらっしゃるとお聞きしました。コロナの影響もあって、ここがかなり死活問題になっている状況が見られました。

もう1つ、よりネットでモノを買うようになったという点は、実際に昨年の数字でも出ていまして、ネットショップ利用での1世帯あたりの支出額が、前年比で20パーセント以上増えています。(GMVが)数兆円あるようなネットショッピングのサービスさまの数字も、年率で20パーセント以上伸びていたり。

要するに、昨年はより多くの人がインターネットでモノを買うようになったことが、数字にも表れていると思っています。この2つの変化から考えたところとして、これによってオンラインでのソリューションの必要性・重要性が非常に高まった年だったなと考えています。

ネットショップ開設のハードル、4人に1人しか売れない現実

石川:そういう(ネットショッピングの)需要が非常に高まった一方、いろいろヒアリングや調査をする中で、難しさも見えているなと思っています。

まず1つ目が、いろいろな事業者さまの中でも、ネットショップ開設まで至っている方は、日本全体のわずか7パーセント弱でした。もう1つは、がんばってECサイトを作った方でも、その中で実際に売れている方は4人に1人、だいたい25パーセントぐらいしかいないというかたちで。このあたりに課題があるというところが見えてきていました。

EC開設が進んでいない理由として、どのあたりにブロッカーがあるのか、実際にアンケートを取ったりヒアリングをしました。その中で見えてきたのが、管理・運営できる人がいない、売れるかどうかわからないとか、ITに対する知識・経験がないというところです。

要するに、ネットショップを作成する、もしくは運営する知識・ノウハウがないというところが、1つのブロッカーになっていることがヒアリングから見えてきました。

もう1つは、ネットショップを作るところまではいけたんだけど、その後なかなか売れない。そこに対して、何が障害になっているのかを確認すると、特に一番大きかったのがECサイトへの集客ができていないのが非常に課題になっていそうだなと、ヒアリングの中で見えてきました。

ネットショップを「みんなのものへ。」

石川:これらを鑑みて、ここに対して、我々のこれまでの知見を活かせるんじゃないかと思って、「ネットショップを限られた人のためのものから、みんなのものへ。」ということで立ち上げたのが、今回の「メルカリShops」です。

「メルカリShops」は、スマホ1つで、メルカリ同様に誰でも簡単にネットショップを開設できるEコマースプラットフォームです。今回の「メルカリShops」を通じて、メルカリとしてEC化支援事業に参入するかたちで発表させていただきました。

今回の課題をどう解決していくのかなんですけど、まず1つ目が、ITに関するノウハウや知識がなければ、なかなかネットショップ開設は難しいという点。これに関しては、慣れ親しんだメルカリの体験、メルカリに出品する時と同様の簡単さでネットショップが開設できるというところで、ハードルを下げていけるんじゃないか、というのがまず1つ目。

もう1つが、ネットショップを開設してもなかなか売れないというところ。これに関しては、メルカリの1,900万人以上の顧客基盤を用いるとこと。これまでずっとマシンラーニング、AIを活用して商品のマッチングをやってきたので、そのあたりを活用して、お客さま独自の集客なしで売れる体験を提供する。それによって、解決していけるんじゃないかと考えました。

これは今までずっと、フリマアプリとしてメルカリが「かんたん」で「売れる」に取り組んできたところを、今回の事業者さまに価値提供、ソリューションとして提供すると。それによって、EC化に対する課題を解決していければと考えたのが、今回のサービスのきっかけでした。

「メルカリShops」の特長

石川:ここから「メルカリShops」の特長について具体的にお話ししたいと思います。まず1つ目、スマホ1つで簡単にネットショップが作れますよという部分なんですけど。先ほど触れましたけど、フリマアプリのメルカリへ出品するのと同様の簡単な操作で、ネットショップの開設・運営が可能です。

今回は事業者さま向けにより便利なかたち、事業者さまが求めるであろう在庫管理の機能なども、スマホ1つで完結するように作っております。

もし「メルカリShops」に触られた方がいたら、見たことあるかもしれないですけど、実際の画面の一番左が出品の画面です。メルカリの出品画面とかなり近しい体験になっています。

真ん中が実際の商品画面で、ここにサイズや種類を登録されていた場合は、そこを選んで購入することが可能になっています。右側がショップのページになっていて、このページを事業者さまが求める形にどんどん改修していけるようになっています。

今のフリマアプリのメルカリと「メルカリShops」の違いをいくつか抜粋すると、まず1つ目はアカウントの使い分けができますよ、というところで。フリマアプリの個人のアカウントは、けっこうプライベートで使われてる部分もあるのかなと思っています。

それがある種、紐づかないと言いますか、バレないかたちでお店を開くことができます。アカウントの使い分けができることで、安心してご利用いただくことが可能です。

もう1つは、まとめての出品や在庫管理の機能がついているということ。値下げの部分も、今回は値下げ交渉なしとしています。ネットショップなので、そのあたりがない分、物づくりの時間に専念いただければというかたちで作っております。

AIで1,900万人以上のメルカリ利用者と店舗をマッチング

石川:2つ目のポイントは、1,900万人以上のメルカリ利用者に届けることが可能というところです。これまでメルカリで培ってきた部分を活用して、その便益をネットショップの運営者さまにご提供します。

もう1つ大事なのが、このAIによるパーソナライゼーションかなと思っています。メルカリはさまざまな利用者さまに活用いただいており、その方々の要望や需要に対して、ネットショップさまの商品を提案、マッチングしていくということ。その部分でAI、マシンラーニングの技術を活用することで、売れる体験を提供していければと思っています。

次が3つ目、初期費用・月額利用料は無料です。これはメルカリと同様に、商品が売れた際にのみ、販売価格の10パーセントが手数料として発生するかたちになってます。なので、初心者の方や初めてネットショップをやるという方にも、気軽に開設いただけるんじゃないかと思っております。

次が注力カテゴリのところですね。まず1つ目のカテゴリとして、フードがあります。卸先に困ってらっしゃるような農家さんや漁師さん、コロナをきっかけにECをやってみたいという街の飲食店さん。あとは観光地もかなりダメージを受けられているところがあるので、地方の特産品を売られているようなところを中心に使っていただきたいなと考えています。

次がクリエイターさまのジャンルです。ハンドメイド、手作りの物を作られているような方だったり、個人でアパレルブランドをやられているような方、ステイホームを充実させるような雑貨などを作られている方に使っていただきたいなと考えています。

こういった注力ジャンルに関しては、メルカリの利用者さまにアンケートを取ったところ、わりとハンドメイド作品やご当地グルメ、食品・食材の地方の名産品などは、メルカリのお客さまからも非常に需要が高いので、そういったところのマッチングをしていければと考えています。

先週水曜日(7月28日)に、クリエイターさま、生産者さまと小規模事業者さまを中心に先行のショップの受付開始を始めました。もしかしたら、みなさんのメルカリのアプリ内にすでに登場してるかなとは思うんですけど、1週間かけて「ショップ」タブを登場させていきました。

メルカリアプリ外でも、スマホで1つでネットショップを開設可能に

石川:これからの「メルカリShops」が、どう広がっていくのかというところなんですけど。ここまではメルカリアプリ内の話をさせていただいて、これからは左側のメルカリアプリ外に関しても、Webサイトの形でネットショップ開設できますよというところで。

それも一気通貫に、メルカリアプリ内・外を問わず、スマホでネットショップの開設・運営ができるプラットフォームを作っていければなと考えています。「メルカリShops」を通じて、さまざまなすべての価値あるモノに対して、新たな売れる場所を提供していければと思っております。

簡単ではありますが、「メルカリShops」を作る上でどういうことを考えて、ここまで作ってきたかを簡単にご説明させていただきました。ありがとうございます。

じゃあ次、Sasayanに、ソウゾウが実際に中でどういうかたちで進めているのかを話していただければと思います。よろしくお願いします。

「Go Bold」を体現するメルカリ経営陣

笹倉:こんばんは。ソウゾウのコーポレートの責任者をやっております、Sasayanと申します。今日はお忙しい中、ご参加いただきまして、本当にありがとうございます。

僕からは、いわゆる行動規範と呼んでいるバリューと、組織図についてお話ししたいなと思っています。特にバリューについては、雰囲気がわかるようにエピソードを交えてお話できればなと思っております。

バリューは、実はメルカリグループ共通のバリューと、ソウゾウ固有のバリューがあります。まず、ソウゾウも含めて、メルカリグループ共通のバリューからお話ししたいなと思っています。わりとメディアにも出ていて有名なこの3つについて、1個1個お話ししたいなと思っています。

まず「Go Bold」、大胆にやろうというところで、グループ全体として非連続の成長や、イノベーションを起こしたいという思いがあり、こういうバリュー、行動規範を掲げています。

僕はこの7月からソウゾウにジョインしてるんですけれども、6月まではメルカリ本体のコーポレートで、主に中期計画や予算の作成といった予実管理の責任者をやっていました。経営会議にも参加して、メルカリグループのmaze(石川佑樹)さんも含めて、経営陣と議論する機会が多かったんですね。

その中で、やっぱり僕が感じたのは、そもそも経営陣がすごく「Go Bold」だなあというところで、それが会社全体、グループ全体のカルチャーになっているとすごく感じています。

僕はこれまで何社か上場しているインターネットのベンチャー企業に勤めていたんですけれども、やっぱり上場していると、「トップラインの成長を重要視しています」といいながらもどうしても利益を意識してしまい、利益からの逆算で中期計画や事業計画を立てがちになることが多いかなと思っています。

成長のための逆算で投資計画を立案

笹倉:メルカリグループでは文字通りトップラインからの成長の逆算で事業計画を作っています。事業の成長のためにどれだけ投資するのかという観点から、計画をプランニングしていく。それが結果として将来利益の最大化につながっています。

これは口で言うのは簡単なんですけども、上場企業において実際にできるかというと、非常に難しいところがあって。そこがメルカリグループの経営陣でできているのが、やっぱりすごいなと思っています。

だからこそ、我々はこのソウゾウというチャレンジができていまして。資金的バックアップであったり、人的リソースのバックアップが非常にしやすい。そういったメガベンチャーのスタートアップならではの戦い方ができるのは、やっぱりソウゾウで働く醍醐味の1つかなと思っています。

その経営の意志、グループの意志を受けて、我々も今非常に大胆なチャレンジをやっているところです。それが「Go Bold」というところで、みんなで大胆に挑戦している感じになっています。

メルカリグループ全体でアウトプットを最大化する

笹倉:次は「All for One」ですね。すべては成功のためにと、まあ本当に見たままなんですけれども。全員で最大のアウトプット、パフォーマンスを出していくところが社員にすごく浸透しています。

個別最適な「All for One」もあれば、グループ全体でのアウトプット最大化という考え方もされていて、すごく浸透しています。わかりやすくいうと、例えば事業会社がいくつかあって、それこそメルカリの日本事業もあればメルカリのUS事業、そしてメルペイという事業体もあって、それぞれの事業責任者が自分の事業を最大化することをミッションに置いてるんですけれども。

それぞれの事業責任者がミッションを負いながらも、グループ全体でアウトプットを最大化するという視点も持っていて。今回、我々ソウゾウという会社を立ち上げるにあたって、グループ全体からの支援をすごく受けています。

今いるメンバーは、採用で入ってきているメンバーも増えているんですけれども、ほとんどはメルカリやメルペイから来ているメンバー。それを快く送り出してくれる会社であるし、さらにヘルプが必要であれば、いろいろなリソース提供とサポートをしてくれる会社というところですね。

個別最適ではなくて、グループ全体で本当に「All for One」でやっていく。いろんなサポートが得られるのも、ソウゾウのメリットというか勝ち筋というか、作っていける1つかなと思っています。このバリューもすごく浸透しているかなと思っています。

スピード感を持ちながら、期待値を超えていく

笹倉:次のページをめくっていただいて、「Be a Pro」ですね。プロフェッショナルであれというのは、わりと当たり前のことではあるんですけれども。1つ勘違いされやすいのは、自分の領域で「プロフェッショナルたれ」というだけじゃなくて。

例えば「リーガルのプロフェッショナルです」というだけにとどまらず、その案件や事業を成功させるために、自分はプロとしてどう動くのが「Be a Proであるか」というように、自分の領域を超えて動いていくことも求められます。

特にソウゾウにおいては、スタートアップでまだまだ整っていないところがたくさんあって、落ちているボールがあるので、それをみんなで「Be a Pro」で拾って、相互にクロスしながら進めているのが、今の状況かなと思っています。

次が最後なんですけれども、ソウゾウ独自のバリューということで、「Move Fast」ですね。まず始めようというところで、ここには先ほどCEOのmazeさんの思いがすごくこもっています。我々はスタートアップとして始めて、本当に速いスピード感で進めていこうという思いがすごくあります。

メルカリグループ自体、スピード感がすごく速いと思ってるんですけども、その中でもやっぱり群を抜いて、このソウゾウという会社はスピード感が速いなと思っています。

速いこともすごく大事なんですけれども、加えて意識してほしい前提があって。ここはまだ議論中ではあるんですけれども、「Beyond Expectations」。速く動くのは当然なんだけれども、かつ期待値を超えていくかたちで動いていきましょうということを、前提として意識する。

やはりまだスタートアップで、整っていないことがたくさんあるので、「事業の成功のために本当に何が必要なんですか?」ということを考えながら、素早く動いていく。自分の役割を超えて動いていく、それが「Beyond Expectations」という前提において求められているというところと。

衝突が起きても、お互いを尊重し合う

笹倉:あともう1つ、この「Move Fast」に込められている前提として、「Respect Each Other」という概念があって。速く動くと、その分コンフリクトなどが生まれるんですけれども、そこは本当にお互いを尊敬して動いていきましょうと。素早く動くからこそ起こる衝突を、お互いに尊重し合いながら、尊敬し合いながら進めていきましょうというところは、この「Move Fast」に求められています。

ソウゾウの社員はまだ人数が少ないんですけれども、全員にすごく浸透していて、日々の業務の会話の中でも出てくるバリューになっております。

バリューについての説明は以上です。このバリュー自体もまだ解釈や議論の余地があって、そこを創造しているフェーズなので、もし加わっていただける方、バリューに共感いただける方がいたら、これにもっと色をつけていく、思いを込めていくこともできるのかなと思っています。

(スライドを指して)次は組織図ですね。こんな形になっておりまして、CEOのmazeのアイコンがちょっとおかしなかたちにはなっているんですけれども(笑)。

先ほど話した石川(maze)がCEOとして立っていて、名村(suguru)が、ソウゾウとメルカリグループのCTOも兼務していて、その下にエンジニアリングの組織がぶら下がっています。

この後のスモールQ&Aにも出てもらいますけれども、篠原(unryu-in)という者が、プロダクト組織を見ています。また、ソウゾウディビジョンというかたちで、グロースに近いところの領域はmazeが直接見ており、僕がコーポレートとHRを見ているという組織図になっております。

みなさん、何かご質問があれば、これをイメージしながらご質問していただければなと思っております。私からは以上になります。