サステナビリティを謳わないことでの失敗談

市川祐子氏(以下、市川):ではそろそろ、次の質問にいってもいいですか。今、サステナビリティの開示が非常に求められています。

2社とも今は東証一部ですので、マザーズの時とは違った開示を求められているんじゃないかなと思っています。両社とも強化されているところなんですが、まずラクスルさんから「最近こういうふうにした」みたいなことをお話しいただけますか。資料を見ればわかるところだと、どういう過程でどうされたのか。

永見世央氏(以下、永見):自分の反省から先に言っておくと、これは僕の責任なんですけれど、会社の業績は着実に成長している中、「業績をしっかり推していく姿勢」は良くも悪くも強かったなと思う一方で、その裏側にある非財務情報をしっかり伝えきれていなかった反省は、正直あったなと思っています。

ESGに限らず、ほかの非財務情報についても、なんでも出せばいいという話では当然ないんですけれど、それをしっかり伝えていくことの重要性を過小評価していたと思います。自分の失敗だったなと思っていますね。

実際、今年の1月の時点で、社名はアレですけどロンドンのロングの投資家から「あなたたちは、ESGレーティングが付いてないからESG観点で評価できないし、0点ですよ」「だから投資できないです」と言われました。そこで僕はハッと目覚めて、自分の中で世界観が180度変わりました。

市川:それが起きたのは今年の1月ですか。

永見:今年の1月です。

岩谷渉平氏(以下、岩谷):そこから早かったですよね。

永見:そこからESGプロジェクトを立ち上げて、社外役員やコンサルティング会社、アドバイザーにもサポートいただきました。この前の6月のタイミングで、ESGのページを、すべてしっかり刷新しました。CO2のデータなども含めて全部出し直しました。

たまたま、それと連動するかたちで、MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)のESGのレーティングが初回でトリプルがついて。たぶんSHIFTさんも同じですよね。

山路亜紀氏(以下、山路):そうですね。

永見:まだ平均点なんですけど、平均点から始まるぐらいでちょうどいいかなとは思っています。しっかりと向き合っていかなきゃいけないな、と。

ESGについては、会社としてE・S・Gすべての項目を当初から完璧にできるわけではないです。特に我々みたいな成長途上の会社がリソースも少ない時に、何が重要なんですかというマテリアリティの議論は、けっこう時間を使っています。

さらにその前提となる、例えばSASB(サステナビリティ会計基準審議会)みたいな外部のいろいろな指針や、サプライヤーや顧客。従業員、投資家との対話・フィードバックもファクターインをした上で、取締役会で何度かディスカッションしました。

最終的には僕たちは「マテリアリティマップ」というかたちで、社会にとって重要なこと、我々にとって重要なこと、それぞれ何かを1枚のマッピングにまとめました。それを前提に今後、特に重要なものから取り組んでいく姿勢を示しました。

それが株価にどう反応したかは正直わからないんですけど、おおむねすごくポジティブでした。姿勢そのものや、開示の内容、マテリアリティの特定の仕方は、かなりポジティブに評価をいただきました。かなり遅ればせになってしまったんですけど、やってよかったと思っています。

ESGをメッセージングすることの意義

市川:ぜひ見ていただきたいのが、(ラクスルさんのコーポレートサイト上の)「マテリアリティの特定について」というところのメッセージの署名が永見さんのお名前なんですよね。CFOがこれを推進しているのがすごくわかりました。

永見:結局、ESGは最終的にはマネジメントコミットという話だと思っています。これは投資家から何回か言われたことあるんですけど、「最終的にはあなたは何にコミットしているか言いなさい」という。そこをちゃんと明らかにするプロセスだったかなと思っています。

なので、今回のイベントに未上場の方や上場直後の方がいらっしゃると思うんですけれど、私の失敗を乗り越えてください(笑)。大変だと思うんですけど、最初は少し粗々なものでも僕はいいと思っていて。早めにこのサイクルやプロセスを回すのは、今の時代の情勢や要請上も、すごく大事になってきていると思います。ぜひご検討いただくのがいいんじゃないかなと思いました。

市川:非常に学びがありました。SHIFTさんも実はマテリアリティをしっかり出されていて。

山路:代表の丹下が社会性が強いというか。「世の中を、良くしたい。そのために必要なパワーをどんどん使う」という思いがすごく強いので、昔から、会社としても丹下本人としてもいろいろやっているんですけど、それを「やっています」と外にあえて言うことに対して、最初はすごく違和感がありました(笑)。

(一同笑)

永見:非常にわかります。うちも同じでした(笑)。

市川:みんな言いますよね(笑)。

山路:「あえて言わなくてよくない?」みたいな(笑)。

市川:あえて言わないといけないんです(笑)。

山路:そうそう(笑)。こういう違和感があって、あまり言っていなかったんですよね。面談で聞かれたら話していたんですけど。

数年前に丹下がヨーロッパにIRにいった時に、とある大きな投資家さんから「いろいろホームページとか見ているけど、ESGに対する情報がまったくない。これじゃヨーロッパの投資家が入らないよ」と言われました(笑)。

その面談が終わったあとにすぐ丹下からメッセージが来て、「ESGをちゃんとやりましょう」と、そこから考え方を変えましたね。でも、やっていることはやっているし、それをちゃんと可視化して外に出していくことで、新しい対話も生まれます。それで、また会社も成長できるので、最近は積極的にいろいろ出したりもしています。

ESGに特化して投資家さんとの面談を組ませていただいたり、通常の面談の頭15分を「ESGチームの方とディスカッションさせてください」とお願いしてディスカッションさせてもらったり。このようなかたちのこともやっています。

市川:こちらから時間を取るって、いいですね。

ESGの発信を巡る未来予測

永見:岩谷さんにご質問なんですけど、まだ2021年現在だとESGは、どちらかというとネガティブスクリーニングぐらいなのかなと思っています。ただ、ここから3~5年ぐらいの世界観でいうと、もっと見られる比重や、それを用いた投資スタイルなどが出てくるんじゃないかなと思っています。そういうことは投資家の方の目線で言うと、どういうふうに見えていますか?

岩谷:インパクト投資、ESG投資、サステナブル投資と、それぞれ金額的には増えてきていますね。だいたい3,000兆円と言われていますけど、その中でも本当にアクティブにやっているのは、グローバルで300兆円か、もう少しあるかなという。表立ってやっているのでそのぐらいかなと思います。

日本だとその100分の1ぐらいのスケールだと思いますね。公募投信でアクティブに謳って、ESGでピュアプレーでやっているのがだいたい2兆~3兆円ぐらいだと思います。この7割ぐらいがここ1年ぐらいに発生したファンドの数値ですね。

だから欧州だと1~2割ぐらいで、アメリカだともう少し少ないですけど。新規で入っているファンドはそんなに多くないんですけど、日本は新規で立ったファンドがすごく多いですよね。それでお金を集めにいっているフェーズなんですね。だから、今ちょうど立ち上がった状態かなと思います。資金の裏付けもあると思いますね。

ピュアにESGと何も謳わなくても、ここに共感して、例えば利益の質そのもののサステナビリティは、みなさんの視点としてはそうだなって思っているので。「わざわざそんなこと言わなくても、もとからやっていましたよ」ということは、投資家もそうだったりする(笑)。

(一同笑)

だから、その動きは逆戻りはしないだろうと思います。ただ、もう1個逆サイドで「ESGだったら上がるから」「ESGだったらバリュエーションがつくから」という下心も今、入っていると思うんですよね。

資金流入期や立ち上がり期は必ず水圧が強いので、(ESGを)言えば(投資家が)つくので、投資家からコンサルタントから、いろいろなレイヤーでそういう人がかなり多くなったと思います。飯のタネにしようとしているという人も増えました。

この真贋を1回、「本当にそうなのか」ということを、すべてのバリューチェーンの中で問われる時は来ます。2024年ぐらいかなと思っているんですけど。

特にバリュエーションのメソッドや、やったことの効果を金額的にどう評価するかは、今は横に置いているところがあると思うんですけど。これを最終的に金銭に置き換えて評価する時に、1回試されるかなと思っています。

永見:そうですよね。

恥ずかしがらずに言語化すべし

永見:個々の活動の評価のメソドロジーはぜんぜん確立していないですよね。

岩谷:そうですね、グローバルなアジェンダとして重要かなと思います。

市川:「もともとESGインテグレーションと見ているんだ」ということが、よく国内の機関投資家がおっしゃることです。欧州などの機関投資家の方々は「お金の出し手がそっち(ESG)じゃないと(許さない)」という。ESGじゃないものは一般の消費からして、スクリーンアウトされているので投資されないです。地域ごとにステージが違うのかなという感じがしております。

岩谷:あと今未上場の方で、これから上場しようという方で、ミッションの中に本当に社会の課題を設定して、それをある程度解決していくかたちになっていたりするものは、そんなに飾らなくてもいいですよね。このアジェンダに入っていることが多いですね。だから無理して「やらなきゃ」って思わなくても、自然体で自己表現する。恥ずかしがらずに言語化するというので十分です。

市川:そして、まとめて出すということですね。SHIFTさんもホームページに社会課題の解決のページ1枚だけ作っていたりしますよね、(笑)。

山路:そうです(笑)。

市川:なので、まとめて出すのは大事じゃないかなと。

永見:意外と、検索性などの情報がどこにあるかが大事ですね。

市川:そうなんですよ。アニュアルレポートに書いてあるけど「見つけられませんでした」とか言われたことありますし。そんな感じですね。

事業側に当事者になってもらうための仕掛け

市川:あと10分ぐらいなので、次が4問目です。「社内へのフィードバック」について、これまでもお話に出ましたけど「特にこれは……」みたいなものが追加でありますか。まず永見さんから。

永見:これも上場以降あるあるの、しっかりしなきゃいけないポイントですよね。この点は弊社は比較的できているほうだと思います。社内の期待値と会社の事業の実態値、IRチームと事業側のチームが、本当にちゃんとアラインされているのがすごく大事なことかなと思っています。そうしないとIR活動もしっかり機能しないと思っているので、逆に言うと事業側のメンバーをIRに巻き込んでやっています。

Slackに「IR」というチャンネルを作っていて、経営メンバーと各事業のヘッドや幹部メンバー、IRメンバーみたいに、20人近いメンバーが入っているチャンネルがあります。すべての投資家面談の議事メモはそこでシェアされていますし、アナリストレポートやサマリーとしての決算後のフィードバックもあります。

あとは、仮に特定の変な株価の動きがあった場合は「これはそんなに気にしなくていいよ」なども含めて、話は全部共有しています。そこはすごく透明性高く共有できるようにしています。逆に言うと事業側に対する期待や、時には注文も含めて、そういったチャンネルで直接話すこともあります。

「実際に話者になってもらう」ことがすごく大事だと思っています。ふだんの1on1のIRのミーティングで、僕ともう1人、議事メモ担当的に事業のネクストトップみたいな人に入ってもらっていて。

基本は議事メモを取ってもらっているんですけれど、自分の当該事業の部分になったら、むしろ僕は振っています。AさんならAさんに「答えてもらっていいですか」と言って、話してもらう。さすがに伝わらない話を説明した場合は、僕がそこをまた翻訳してあげることをやって、そのあとまたフィードバックしてあげる。

事業側のメンバーが日頃、顧客やサプライヤー、事業という単位で物事を考えているところから、会社の株式価値や企業価値に、自分のコミュニケーションスタイルや思考をトランスレートできる練習は、サポートしてあげています。

時々スモールでも事業側のメンバーに話してもらうという、トピックベースでのスモールは実施しています。そういうことが非常に好調で、場合によっては毎回30~40人参加してもらったりしているので、そういったニーズもあるのかなとは思っています。

投資家のフィードバックは会社の方針を左右する

市川:山路さんはどうでしょうか。

山路:経営層や役員、グループ会社の社長・役員が入っている、自社内のSNSの窓があって、日頃は、そこで必要な情報共有を行っています。

例えば、みなさんにも知ってほしいことを言われたり、指摘をもらったところはその面談が終わったらすぐに私の中でビビッドな時に共有をしています。グループとしての外からの見られ方、期待値などですね。

一般の社員で言うと、毎回決算発表の翌日か翌々日に、社内の決算発表会を行っています。役員が登壇をして、リアルタイムにコメントや質問を受け付けながら、外にはなかなか出せないような部分も含めて、可能な限り生々しく話すようにしています。それまでに投資家と面談があったら「こういうところを見られているよ」「こういうことを今フィードバック受けているよ」と対話をしたりしていますね。

岩谷:300~400件やって、何件ぐらいが「本当にこれは価値のあるフィードバックだ」と思いますか。「これで経営変わるな」「これでネガティブが減った」みたいなフィードバックです。

永見:重要投資家は松本と分担しているところもあるんですけど、意外と多いです。クォーターで5~10件ぐらいある気がしますね。

市川:私のイメージより多いです。

岩谷:何気ない一言だったりするんですか?

永見:何気ない一言だったりします。「そのアングルで考えたことなかったので、質問ありがとうございました」みたいな何気ないものでもありますし、実際のフィードバックもあります。

あとは「グローバルのこの会社と比較してみたらいいんじゃないか」みたいな話もあったりしますし、それはいろいろありますね。実際、その投資家に紹介してもらうこともあったりしますね。

山路:確かにそうですね、6〜7件ぐらいで。ずっとうちのことを見てくださっている投資家さんが3人ぐらいいるんですが、決算が終わったらすぐに会いに行って、まずはフィードバックをもらいます。それはそれですぐに経営層に上げるんですけど、それと含めて6件、7件ぐらいですかね。

市川:そうすると、IRの質も上がりますよね。フィードバックすると(IRとして)出す質も上がるんじゃないかなと思うんですが。

山路:把握していることを聞かれるだけだと、こちらの頭があまり回っていないというか。ちゃんとこっちも頭をフル回転させる面談というのは、ぐったりするんですけど(笑)、でもすごくためになることが多いですね。

岩谷:その量を上げないといけないなって思いました。350に対して10って(笑)。

(一同笑)

永見:いや、岩谷さんは毎回その5~10件に入っていますので(笑)。

岩谷:こちらの力不足で少なすぎるかもしれないですね(笑)。ちゃんとした飽きない対話をするにはもっとやらないとね。

「同業他社のため」のIR発信の意味

市川:次、岩谷さんに聞きたいです。IRについて、ほかにいい会社があるんでしょうか。そのあとはオフレコにしますので。

山路:すごく聞きたかったです。

永見:聞きたいですね。

岩谷:今出ていなかった話でいくと、マクロの分析をちゃんとしているIRはいいと思っています。業界統計を独自に取るIRですね。例えば、すかいらーくさんは、内外の飲食業の統計を解析して、そこから自分の店舗展開・ブランド展開にどう紐づけたかの、わりとトップダウンのチャートを入れたりしています。あれは自分たちだけのためじゃなくて、同業他社の経営のためにも視点を提供するというコンセプトらしく一応入れているそうです。

わりとそういうのはいいかなと思います。規制業種と戦う時に、規制緩和に向けたプロセスや、エネルギー・医療でタイムホライズンが書いてあることも、それに近いかなと思っていたりします。だから外側にあるイシューで、仲間たちが共通でタックルしていかないといけないものを書いてあげるのは、すごくいいなと思いますね。

市川:ありがとうございます。すみません、あと残りが3分なんですけど(笑)。

永見:僕も岩谷さんに聞きたいことが、ご飯何杯も食べられるぐらい出ているので……。

(一同笑)

株価を巡る過大評価、過小評価について

永見:コロナじゃなければ、このまま居酒屋に突入したいぐらいなんですけど(笑)。みなさんにとって参考になるなと思って僕もいくつか質問します。1個は、会社の事業の実力は、せいぜい線形か二次関数ぐらいなんですけれど、それとはぜんぜん違うタイミングでいきなり期待値や株価がボンと上がってしまったり、本来このぐらいの実力値はあると思うんだけれど、株価がすごく下がっちゃったり。

社内で考えている実力値や株価水準と、上にも下にも大きくかい離して、株価の期待値ギャップがでかくてマネージできていないタイミングがありますよね。本来は全部がスムージングされると思うんだけど、でも一方ではしょうがないじゃないですか。

その上にいった時や下にいった時に、どういう姿勢で経営者として取り組むべきかみたいな話を、知りたい方は多いんじゃないかなと思っていて。

岩谷:確かに。株価が動いてくれるのはいいことなんで、実態に合わせてなるべくスムーズに時価がつくのが上場株のいいところだろうとは思います。だから、かい離しにくい仕組みにはなっているんですよね。非上場の未公開の場合よりは、みなさんがトランザクションしてくれるので、それよりは近いんだとは思います。

かい離してしまった時は、ロングタームで見るのが一番いいと思っています。「かい離しちゃった」と感じるのは、短いチャートで見ている方が多いですね。

僕らは年足や四半期足を使うんですけど、たぶんエムスリーだったらまだ20個ぐらいしかないわけですよね。それぐらいのチャートで見にいくと、意外とかい離がなくなっていたりします。だから手を下せない時、これはもうどうしようもないなという時は、年足で均してみるのが一番いいと思います。

永見:なるほど、一気に解像度を下げてみると。

岩谷:解像度を下げることですね。事業の打ち手が3年タームなのに、株価形成は0秒タームでいくので、すごくずれると思います。

マーケットに評価をされるということ

永見:特に想定より下がってしまうパターンと連動する話で、質問の2点目です。これも関係される方がオーディエンスにいらっしゃると思うので、あえて質問するんですけど。経営者なら、ロックアップが解除されたタイミングで一気に売られていて、実力値とはかけ離れて株価が大きく下がるストレスみたいな話があると思っています。

それがないように例えばブロックで売ったり、事前にそこはちゃんとさばいておいたり、そういう話はあると思います。一方で未上場の時は、経営者は株式の需要と供給についての深い洞察がぜんぜんないです。

でも、需要と供給がしっかりマネージしなきゃいけない要素もあるのかなと思います。逆の側面で言うと「ぜんぜん出来高ができません」みたいに悩んでる経営者も、僕らも含めてけっこうあります。その株価の需給や出来高などについてどう向き合うべきなのかを教えていただけるとうれしいです。

岩谷:マーケットにプライスをさせる作業になるから、自分たちで「こういうプライスだ」と思うことと、人々にそれを問うことは別の作業になると思います。取引をさせることは、売り手と買い手が出るということなので、異論と反論、味方と敵が現れるんですよね。

それが議論をすると、ある程度のところに1回合意ができるのが「今日の終値」みたいなやつですね。休戦みたいなことになると。これをやらせることがすごく大事だと思います。

それが流動性を作る感じですが、2~3割ぐらい流通株を作っておいて、その中でロングオンリーの長期ガチホ(注:ガチホールド。長期保有の意味)の投資家じゃない……要は異論を迎え入れる感じですけど、売り手や、ならず者のわかってくれない人たちを、どんどん味方に巻き込むコンセプトがすごく必要だと思いますね。そこは最初に少し違和感があるかもしれないですね。

市川:私のお勧めとしては、ヘッジファンドの中でも「船の行き先はわかってくれるけど、売買が頻繫にある」という人たちを入れていくのがいいかなと思います。

永見:すいません、私の質問で過ぎちゃいました。

市川:そろそろラップアップですかね。本当に今日はいい議論が聞けたかなと思っていましす。一番最初にみなさんがおっしゃった「同じ船に乗る仲間」というのが、上場後も続くと。

ただ、VCの方みたいにずっと乗っていてくれるんじゃなくて、ワンタッチみたいな人たちもたくさんいる中でどうコミュニケーションしていくかで言うと、かなり量や質も必要になるということかなと思います。

今日本当にいいお話ができました。みなさんにまとめを聞く時間がなくなってしまいましたけれども(笑)。岩谷さん、永見さん、山路さん、ありがとうございました。