コロナ禍で注目を集める、研究開発型ベンチャーのポテンシャル

嶺井政人氏(以下、嶺井):ここからはセッション3、「研究開発型ベンチャーのファイナンス戦略」というテーマでセッションを進めてまいります。

本セッションのモデレータは、そーせいグループの野村さんです。よろしくお願いします。

野村広之進氏(以下、野村):どうも、よろしくお願いします。

嶺井:今このコロナ禍で、2010年設立のバイオベンチャーであるModernaが作ったワクチンが世界中で使われるなど、いつになく研究開発型ベンチャーに注目が集まっていると思います。バイオだけではなくディープテックや、ファイナンスにおいてのSPAC(特別買収目的会社)など、いろんな話題もあり注目を集めています。そんな中、本セッションの見どころはどんなところでしょうか。

野村:本当に今おっしゃっていただいたとおりで、世界的に注目されています。ただ、残念ながら日本でこれほどの動きを見せている会社は少ないんじゃないか、まだまだポテンシャルはあるんじゃないかなと思ってます。

そしてそれを引き出すのは、やっぱりファイナンスといった金融の力が欠かせません。その中で、今日はスペシャルというか、大御所のみなさまにお越しいただけました。

嶺井:そうですよね。なかなかこのみなさんが集まるセッションってないですよね。

野村:ないですね。ここまで濃縮した経験談はそうそう聞けないと思うので、私もがんばってお話を引き出していくようにしますので、みなさんの発言一言一言に注目していただけたらと思ってます。

嶺井:ありがとうございます、それでは今日はよろしくお願いします。それでは野村さんの準備ができましたら、セッション3「研究開発型ベンチャーのファイナンス戦略」のセッションを始めてまいりたいと思います。野村さん、よろしいでしょうか。

野村:はい、大丈夫です。

嶺井:それでは野村さん、よろしくお願いいたします。

レポートを書くのが難しい研究開発事業

野村:それでは改めまして、50分という短い時間ですけれども、「研究開発型ベンチャーのファイナンス戦略」というテーマで盛り上げていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。私は本セッションのモデレータで、そーせいグループIR&コーポレートストラテジー部長、日本語で言うところの経営企画のようなポジションを務めます、野村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

本日のメインはもちろんご登壇されているお三方なんですが、私が今マイクを持っていますので、このままの流れでちょっと自己紹介に入らせていただきます。

私はそーせいグループというバイオベンチャーで、経営企画のような仕事とIRを担当しています。実はまだ(入社して)1年も経っておらず、その前はみずほ証券でいわゆるセルサイドアナリストをしておりました。

そこでは、特にバイオ業界についてのレポートを書いていたのですが、やっぱり非常に苦労するんですよね。研究開発が先行するので赤字で、結果が出るかどうかもなかなかわからない部分があります。そういったレポートを書かせていただいて、そのあと今の事業会社に入ったという状況です。それ以前はシンクタンクにもおり、さらに遡ると、もともと理系のバックグラウンドで、薬と関係する薬学部で修士までやっておりました。

今日のテーマと関係のあるところですと、やはり日本では成長産業が少ない点については、経産省・厚労省等々、非常に手を尽くしてくれ、追い風も吹いています。そこでの委員も3〜4年ほど前から少しやらせていただいています。

ただ、私もまだ事業会社に来て1年未満ということで、今日はみなさま以上に、残りのお三方の経験をぜひ聞いて勉強させていただきたいなという思いで来ていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

社会人生活の半分を金融、もう半分をバイオに捧げてきた

野村:それでは、続いて岡島さまから自己紹介をお願いできますでしょうか。

岡島正恒氏(以下、岡島):はい、ステムリムの岡島と申します、よろしくお願いします。

私は1991年に三井住友銀行に入って、コマーシャルバンカーをやったのちにインベストメントバンカーをやりまして、その後アメリカのバイオベンチャーであるMediciNovaに転職しました。

ちょうど1991年から30年経つんですけれども、15年間金融マン、コマーシャルバンカー・インベストメントバンカーの両方を経験したのちに、バイオベンチャーの経営者を丸15年経験したというところです。社会人生活の半分ずつを、金融とバイオに捧げてきた経歴になります。よろしくお願いします。

野村:ありがとうございます。岡島さん、見た目とは違うと言ってしまうと怒られますけども、非常にざっくばらんで優しい方です(笑)。今日は特に、日米での経験のところについて、その差も含めておうかがいしていきたいなと思っています。よろしくお願いします。

4社の研究開発型ベンチャーでCFOを経験

野村:続いて小林さん、よろしくお願いします。

小林直樹氏(以下、小林):株式会社モダリスでCFOをやっております、小林と申します。本日はよろしくお願いします。

私は30年強、ビジネス人生を一貫して財務からCFOということで。30年強と言うと年齢がバレちゃうんで、これ今日のトップシークレットなんですけど(笑)。

(一同笑)

財務・CFO系をけっこう長くやっているというところで、今日はお声がかかったのかなと思っています。ただ、業種や組織はいろんなところを経験してまして。(スライドを指して)ここに書いてあるようにバイオベンチャーが多いことは多いんですけれども、いろんな業界を経験しております。

今日の「研究開発型ベンチャー」というテーマで振り返ってみたところ、なんと4社の研究開発型ベンチャーでCFOをやっていたと知ることができまして(笑)。今日はそういう経験の中で、何かお役に立てるようなことが少しでも話せればなと思っています。どうぞよろしくお願いします。

野村:よろしくお願いします。小林さんには、モダリスの上場の時に少しだけ前職でお世話になっていまして。その時はバイオベンチャーの話であったんですけども、ご経験を拝見しましても、非常に多くの業界を経験されているんだなと。

小林:節操がないっていう(笑)。

野村:すいません、年齢をバラして申し訳ないんですけど(笑)。30年のご経験があるということなので、ぜひ今日はお話を引き出していきたいというか、本当にいろいろ教えていただけたらなと思ってます。よろしくお願いします。

マザーズ上場を果たしたハードウェアのスタートアップ

野村:バイオベンチャーのお二方に続きドローンの会社ということで、一番若手の早川さん、よろしくお願いします。ぜひ自己紹介をお願いします。

早川研介氏(以下、早川):ACSL(旧:株式会社自律制御システム研究所)のCFO、早川と申します。大御所のお二方のあとに自己紹介するのが大変恐れ多いところで(笑)。まずはちょっと会社の紹介に、少し時間を使わせてもらえればと思います。

我々ACSLはドローンを作っているメーカーでして、2013年に創業したあとに、これまでにいくつか資金調達をして、今マザーズに上場している会社です。少しユニークかなと思うのが、いわゆるハードウェア、モノ作りのスタートアップなので、今日はそういったところで少しお話ができればと思っています。

私自身はもともと、コンサルティング会社がバックグラウンドです。最初に入ったコンサルティング会社のあとに、プライベートエクイティの会社でのコンサルティング部隊で、いわゆる投資先企業の改革を進めていました。

今の会社には2017年に入って、CFOというかたちで資金調達などをリードしています。今日はお二方のお話も含めて、いろいろ勉強していきたいなと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

野村:よろしくお願いします。早川さんも非常にいろいろなご経験というか、いろんな会社さんに携わってこられたと思います。そこでのご経験も含めて、お話をいただければ。

あとドローンっていうと、非常に新しいですよね。バイオベンチャーって実は2000年代ぐらいからあったモデルで、もしかしたら、そのあたりの苦労もお話があるかもしれないですけれども。ドローンと言うと非常に我々もイメージしやすいし、新しく出てきた分野なので、そこでのお話を中心にお願いできればと思っております。よろしくお願いいたします。

投資先行型の資金調達コミュニケーションには工夫が必要

野村:それでは、さっそくテーマの1つ目に参ります。まずこのセッションを企画いただいた意図と言いますか、なぜ我々が注目されているかについて。「研究開発型ベンチャー」というセッションの名前なんですけども、ちょっと言い換えるなら「投資先行型」ということかなと思います。

端的に言えば、P/L(損益計算書)で現在利益が出ていなかったり、あるいはキャッシュフローがどちらかというとマイナスに寄っていることも多かったり、つまり投資が先行しているのが特徴なのかなと思っています。ここは投資家さんにとっても、どう判断したらいいのかわからない。

あと、そもそも事業の見通し自体が立ちにくいところが性質としてあるんじゃないかと思います。のちほど時間があれば触れたいんですけど、実はそういった質問が多かったというところもあります。

まずはこの投資先行型ベンチャーの資金調達について、他と比べてもいいですし、投資先行型の中だけでも構いませんけれども、どういう難しさがあるのか、特徴はどういうところにあるのかを、ざっとみなさまにご解説いただきます。それぞれの視点があると思いますので、最初は一番ご経験が豊富な小林さんからお願いしたいんですけれども。このテーマ、いかがでしょうか。

小林:経験だけ豊富で中身がないって思われないようにしなくちゃいけないですけど(笑)。

野村:そんなこと申し上げておりません(笑)。

小林:私もバイオが長いので、バイオがけっこう中心にはなってしまうかもしれないんですけども。簡単に言うと、非常に投資家泣かせのビジネスモデルで、資金調達は本当にコミュニケーションが大変なんだろうなと思っています。

実際自分でもファイナンスをしたり、IRや投資を受けたあとのコミュニケーションには非常に工夫したりしています。黙っていてもなかなか理解されないところがあると思うんですね。

研究開発型ベンチャーが投資家泣かせである4つの理由

小林:ここにいらっしゃる方にとってはもう釈迦に説法なんですけども、研究開発型の投資家泣かせのポイントが、だいたい4つぐらいあると思っていて。

1つ目は、本当にファイナンスの金額が大きいこと。ワンショットが大きいので、赤字になると。ですので株(式の発行といった)、エクイティで取る場合が多いと思うんですけども、希薄化リスクという危うい状況が常にあるというところですね。

2つ目が、非常に進み方がスロー。長いスパンがあるので、例えば4Qで対比をしたところで「あんまり変わってないですよね」となってしまう。ですので、4Qでの開示はあまり向いていないのが研究開発型ですね。当然ながら、中長期でのビジネスを展開するので時間もかかります。

3つ目が、これも当たり前と言えば当たり前なんですけども、非常に難解であるということ。研究開発型ですから、最先端の技術を使っていたり、世の中にまだないことを扱っていることが多いので、目論見書などを読んでいても「ちんぷんかんぷんですね」と言われたり。中でもバイオテックの場合は、学会の資料みたいになってしまって(笑)。これを一般の人は本当に解読できるんだろうかって思うこともあります。

4つ目が、もしかしたら一番聞くのがこれかもしれないんですけども、財務諸表の情報がほとんど役に立たないということ。研究開発型の場合、これは会計の原則ですけども、やはり将来どうなるかわからないものなので、全部費用で落ちていっちゃうわけですね。そうするとバランスシートのどこにも、これまでの成果みたいなものは載っかってきません。それで、全部累損に溜まっていく。

これは保守的に考えれば、会計的には正しいのかもしれないんですけども、投資家さんに対する情報としては非常に使えないというか。なので、私個人としては組み換えてバランスシートに持ってきて考えたりしています。

そういうことは会計ではもちろん認められてないんでしょうけれども、投資家に説明したりするコミュニケーションの中では、成果を上手に説明していくことは必要なのかなと思っています。

監査法人さんにも非常に丁寧に財務諸表をチェックしていただくんですけども、当の財務諸表で読み取れる情報が限定的であるところも、研究開発型の特徴ではないか。全部P/Lのエクスペンス(支出)で落ちてしまうので、財務諸表の定量情報に加えて研究開発進捗の定性情報を読み解く必要性が高いと思いますね。

野村:なるほど。僕はずっとバイオベンチャーばかり見ていたので、いちいち全部納得することばかりです。たぶん一番大きいのが、最初におっしゃっていたコミュニケーションの問題。これを難しくしている要因が、たぶんそのあとの4つ、「希薄化」や「長いスパン」、あと「難解である」「財務諸表に成果が表れない」のいくつかが該当するのかなと。私としては納得感があるというか、そのとおりだなというお話でした。

同じ投資先行型モデルでも、バイオ業界は少し違う

野村:1つ思うのが、やっぱりバイオベンチャーは投資先行型ベンチャーの代表というか、一番極端な例だと個人的には思っていて。確かにバイオベンチャーって、これがすごく大事というか、ポイントだなと思います。

早川さんにちょっとおうかがいしたいんですが、これはほかの先行投資型ベンチャーでも同じなんでしょうか。実はずっと疑問に思っていたところでして、もし可能なら「うちではちょっと違います」とか「やっぱり同じ悩みなんです」というところを含めて、ちょっとこのテーマで解説していただけないでしょうか。

早川:先ほどおっしゃっていたように、業績の先を見通しづらい、かつ過去の業績が使えないというところはまさしく、定義的にこの投資先行型・研究開発型のベンチャーかなと思っています。過去の業績ではなく、いかに将来的なストーリーを理解してもらうかというところは、もう本当にどの企業でも当てはまるところなのかなとは思っています。

一方で我々がバイオベンチャーの方々と少し違うと思っているのは、売上が立つ時期が多少早いところがあります。我々はモノづくりのベンチャーで、お客さんがすでに(製品として)使っているところもあります。

「全部の試験をパスしたらようやく売れます」というものではなくて、あくまで実証実験的な、その前段階のフェーズでもある程度売上が立ってくる。なので、最後に一気にドーンと売上が立つのではなくて、ある程度売上が立つ。そういったところは少し、見せられる部分が違うのかなと思っています。

デットのファイナンスができるというメリット

早川:その意味でどういったところが特徴かを考えると、2つあります。1つはどういったステークホルダーに、どうコミュニケーションするかというところです。

我々はハードウェアの会社で、昨期は赤字になってるんですけど、その前の期は黒字化を達成しています。その意味で、今は資金調達については必ずしも株式ではなくて、デットのほうで借り入れるというオプションも出てきています。銀行に対しては「ちゃんと黒字化できています」という実績を見せられるので、その枠を作ってもらえるところが1つ。(デットを)資金調達のオプションとして持てるのは、非常に大きいのかなと思っています。

もう1つは、主に投資家向けにはなるんですけど、財務の情報が出ていない中で何をもって事業が進捗しているのかを、積極的に開示をしていくところです。

例えば「受注残としてこのぐらい出ています」とか、「機体の出荷としてこのぐらい出たので、昨期よりもちゃんと伸びてますよね」だとか。そういった財務以外でのコミュニケーションをしっかりしていくところは、ファイナンスの素地を作るという意味で非常に大事に考えてますね。

野村:なるほど。ありがとうございます、非常にわかりやすいですね。やっぱりバイオベンチャーとは、デットのファイナンスができるところは非常に違う。最近ようやくバイオベンチャーでも多少出てきてるんですけども、事業が違うので。そこ(資金調達の方法)での有利不利はないと思うんですが、ちょっと違うのかなと思います。

小さいことでも「研究の成果が出ている」アピールは欠かさない

小林:早川さんにおっしゃっていただいた中に、いいヒントがありました。うちの会社もプラットフォーム型なので、実は共同研究でスタートして、少しコストをリカバリーしながら進めていくというモデルがあるんですね。

これのいいところはいっぱいあるんですけども、よく投資家さんから言われるのが「バイオベンチャーはすごく夢もあるし、大きいことを取り込んでいいんだけども、実績を早く出してくれない?」ということへの手がかりになるかと。

要は「1回見てみたい」と。本当にちゃんと起承転結の結までいけるかがわからないと、信じたいんだけど信じきれないっていう。どんどんP/Lは悪化していくし、研究はやってるようなんだけどよくわからない、みたいな(笑)。

そういう中で、小さい成果を出していく。小さいというか共同研究なので、まだ大きいところにまで契約はいってないんですけども。パートナーである製薬企業さんの信証が得られるような小さいマイルストーンを、少しずつステップアップしていくことは、当社での取り組みとしては1つあるかなということで、お話を聞いていて思いましたね。

野村:ありがとうございます。ドローンの場合だと最初にちょっと売上が立ったり、見せられる部分が少しありますと。一方バイオベンチャーも「将来期待してください」とお手上げするんじゃなくて、少しでも見せられるところはちゃんと見せなきゃ、という主旨ですよね。

小林:そうですね。

自由度が高いアメリカの資金調達事情

野村:なるほど、岡島社長はいかがですか。岡島社長は日本のみならず、海外も含めてご経験があると思います。今のお二人の話も絡めてでも、絡めなくてもどちらでもいいんですけども、投資先行型ベンチャー、資金調達の特徴について。

岡島:投資先行型のベンチャーというのは、開発と資金調達が車の両輪です。やっぱり資金調達ができないと開発もできないので、極めて重要なんですね。

日本の場合は今言ったようなところで、やっぱり投資家さんのレベルがあまり高くない。高くないと言うとちょっと怒られるんですけど、専門性の低い方が多くて。私の前職はアメリカのバイオベンチャーなんですけれども、さまざまな手法で要は資金調達ができる。単にエクイティと言っても、野村さんのところが直近やられた転換社債とか、単にエクイティファイナンスとか、あとMSワラント(行使価額修正条項付新株予約権)みたいにさまざま。

アメリカの場合は、自由度が日本と比較にならないほど高くて、例えばエクイティファイナンスをしますと、おまけでワラント(新株引受権)をつけますよと。それが環境に応じて、環境が良ければもちろんワラント0でいいんだけども、環境が悪いと「じゃあワラントを50パーセントつけましょう」とか「75パーセントつけましょう」「100パーセントワラントつけましょう」となる。

前の会社でも、環境が悪い時は100パーセントのワラントをつけたこともあるし、75パーセントのワラントで済んだ時もある。投資家は何をするかと言うと、エクイティファイナンスが終わった瞬間からすぐ株が売れますから、いきなりもう空売りして、株を全部売っちゃうんですね。損して株を売るわけです。

それでワラントが手元に残って、要はそのワラントのバリューと売って損した部分が釣り合うかみたいな話ですね。結局ワラントだけ持っていれば、ダウンサイドリスクが回避されるような仕組みだったり、かなり自由度が高いことが分かります。

資金調達力=開発力となるのが開発先行型ベンチャー

岡島:そういった意味では、アメリカでの資金調達で困ることはなかったんですけども、やっぱり日本の場合はそういう自由度が高くない。本当にマーケットがクローズしちゃうと、まったくエクイティで資金調達ができないところがあります。

アメリカの場合は、リーマンショックの直後はちょっと無理でしたけども、しばらくすると「ワラントをいっぱいつけることによって、投資家がエクイティも買ってくれる」というような状況がありました。

その自由度が上がってくれば、たぶんこういった開発型のベンチャーも資金調達しやすくなると思うんですけども。これは野村さんと経済産業省の研究会でもディスカッションしましたが、日本はやっぱり個人投資家さん中心のマーケットなのでなかなか難しい。

プロの投資家がお金をなかなか出せないことが大きな問題としてあるんじゃないかなと。何が言いたいかというと、開発先行型のベンチャーは資金調達力が開発力だったりするのかなと思ってます。

野村:なるほど、なるほど。おもしろいですね。それはあとのテーマでもぜひ触れたいところです。今岡島さんがおっしゃったのは、たぶんMediciNovaでデュアルリスト(日米両方の市場に上場)していたからこそ、アメリカでは非常に良い調達環境があって。一方で日本だとどっちかといえば個人投資家さん中心で、中身も理解されないことが多いということで。

実は我々が先日やったCB(転換社債型新株予約権付社債)って海外でのオーバーナイトで、次の日というか6時間後には価格が決まってるような状況だったんですけど、そういうこともできない。環境の違いが非常に大きいというのは、おっしゃるとおりだと思ってます。