デューデリジェンスのスタイルはどう違うのか

小林賢治氏(以下、小林):DD(デューデリジェンス)のお話が出てきたので、ちょっとおうかがいしてみたいと思ったことがあります。VC以外にも多様な投資家が入ってきているということをこれまでお話ししましたが、VCの方々とDDのスタイルが違ったりとか、DDの期間が違ったり、聞いてくることの深度が違ったりするのかなど、いろいろと疑問点が浮かびます。そこで、実際にやってみてどうだったかについてお聞きしてみたいと思います。

これは中川さんからお聞きしてもいいですかね。すごく初歩的なことから聞いてしまいますが、例えばフィル(フィデリティ・インターナショナル)とやりとりするとなった時、相手は日本人なのか、資料は英語なのか。ベタなところからなんですけれども、そのあたりからお聞きしてよろしいでしょうか?

中川修平氏(以下、中川):もう少し大きな話は別途お話しするとして、確かにDDは基本的に「海外にいる外国の方」というんですかね。フィルのケースでは、シンガポールにいらっしゃるシンガポール人というのがデューデリを担当される方でした。

一方で難しいのが、最終的なDDをやっていく方の他に、いわゆるドキュメントだとか、もう少しビジネスデューデリ的なものがあって。それは国内にいる日本株を見ているアナリストの方だったりで、ディシジョン・メイキングをするのは日本株を担当しているファンドマネージャーの方がされていました。

このアナリストの方は日本語を理解する方でしたので、「ココナラという会社がどうやるのか」という判断については、日本語でいろいろ進んでいきました。ただ、「投資していきたいね」となった後のDDや、投資後のモニタリングはすべて英語であることに加えて、日本のベンチャー市場の慣習をもとにどういった契約書ができあがっていて、これは普通なのかどうかを知らない方々とも会話していかなければいけないと。こういったところが非常に難しい部分ではありました。

あと、これはフィルのケースといいますか、機関投資家に多いと思うんですけれども。上場できるかが投資する意義になってくるので、上場審査を通していくことに対してのハードルが残っていて、それを乗り越えられる確度がどれぐらいなのか。このあたりは非常に強く見られたのかなと思っています。

それ以外のところはかなりVCと似ている部分もあるかと。とりあえず、特徴的なのはそういうところかなと思っています。

小林:ありがとうございます。

グローバルスタンダードでのグロースシナリオへの理解

小林:上場株投資家の方々とIRでお話するとよく感じることではあるんですけど、相手が例えばグローバルテックの担当者(世界中のテック企業を投資対象とするファンドマネージャー)と、日本株や中小型株みたいな人(セクターではなく地域軸で投資対象を選定するファンドマネージャー)とでは、はっきり言って見方がぜんぜん違うじゃないですか。

ココナラのケースでは、アナリストの方は日本株担当の方だったとのことですが、日本株担当の方って、おそらくふだんはリクルートやトヨタ、ソフトバンクを見ている人ですよね。日本の中小型までフォーカスしてた感じなんでしょうか?

何が言いたいかというと、グロースを見ることに慣れているか否かや、日本というカントリーの特徴をどのぐらい説明しなきゃいけないのか、あるいはグローバルテックで見た場合、グローバルなコンプス(類似企業との比較)感を伝えたほうがいいのか。

例えば……ココナラの場合、イスラエルでしたっけ? 同種の上場企業があるかと思うんですけども、そういったところと比べてどうなのかなど、このあたりのバランス感っていかがだったでしょうか?

中川:そういう意味では、グロースを見られている方ですし、日本株担当と言いながらも、アメリカではベンチャーに対するクロスオーバー投資にどういうものがあるかとか、アフターマ-ケットのファイナンスがあるのかということは、よくよくスタディされてる方々です。

日本の未上場企業であったとしても、もちろんそのサイズが小さいという問題はありますけども、グロース企業を見るという面においては、むしろその観点がわかっている方々がご覧になってくださっていました。

今でこそ日本の機関投資家さんであっても、例えば赤字を踏んでいきながらグロースしていくことの意味を理解している方は増えていますけれども、それこそ2年前だとか、話を始めた3年前になってきますと、上場して赤字を踏むなんてことはありえないし、自分が出資する先では許されないという、かなり強い基準がおありでした。当時はそういったことを許容してくれる方々として、我々は海外の機関投資家を重視していました。

デューデリの中でも、今回の資金使途や、それを踏まえてどういうグロース戦略を描いているのかに対しての理解といいますか、我々が「こういうことをやりたいと思ってるんだけど」と考えていることに対して、もっと背中を押してくれるようなところに入っていただいてよかったと思っています。

小林:まさにグローバルスタンダードでのグロースシナリオというか、そういうものを体感してる方々だからこそ、この後押し効果も非常に高かったという感じですかね。ありがとうございます。

「セクター × 国」のバランス

小林:ここで徐さんの話に戻ります。DDのところで、上場株への投資だと「ぶっちゃけダメなら売ればいいか」っていう話もあるかと思います。ある意味でモメンタム投資的なこともできる中で、未上場株なので入ったからにはそうは簡単に抜けられないため、しっかりDDするっていうことはあったと思います。

その意味ではある程度の深さでDDする必要があったと思うのですが、投資家は日本をベースにされてた方が多いのか、それとも、どちらかというとセクターを見ていて、日本は「ちょっと見てみようかな」ぐらいの温度感だったのか。この「セクター×国」のバランスでいうと、どっちに重きを置いている方々が多かったでしょうか?

徐マリア氏(以下、徐):国内のVCもそうですけれど、事業会社も国内の方々なので、基本的には国内を見てらっしゃる方々だと思います。その中でヘルスケアを一定見ていたっていう方々は、そんなに多くはないですね。3割ぐらいのイメージです。

「見ていたけど、投資はできてない。なぜなら規制にかなり絡むから」っていう方が多かった印象はあります。やっぱり、この規制をどう乗り越えるのかがDDのポイントだったんじゃないかなと思います。

小林:国内でもヘルスケア特化型のVCって、あるにはあるじゃないですか。彼らだとフィットしきらなかったんでしょうか? これは、間尺というかサイズ感の問題だったんでしょうか?

:サイズ感もそうですし、思想ですかね。ヘルスケアのある領域に特化した事業会社とか技術はたぶん多かったと思うんです。私たちの事業はソフトウェアだったりサービスだったりと、わりと多岐に渡っていたので、それをすべてやっていると理解してくださるヘルスケアのベンチャーキャピタルの方は、そんなに多くなかったかもしれないですね。

小林:ビジネスの複雑性をきちんと受け止めてくれる鷹揚さを持って、さらにヘルスケアについても一定の許容度を持ってという、その部分をDDの中で乗り越えなきゃいけなかったっていうことですね。

:特にコロナでオンライン診療とかはすごく認知度も上がったりしたんですけど。制度がどうなるかは、実はまだ固まってない部分もありましたので。

小林:ありがとうございます。

自社株が金融商品化していく端境期のストラテジー

小林:次は荻野さんに、投資後のエンゲージメント、投資家とのやりとりについてお聞きしてみたいと思います。

先ほど、幅広くいろんな投資家に会うというよりも、自分たちの経営思想・経営哲学を理解した投資家としっかり伴走していくというお話がありました。

実際の投資後って、株主とはどんなことを話されてたんでしょうか?

荻野泰弘氏(以下、荻野):基本的には、グローバルSaaSのどういうところを見られているのかについてです。特に我々は今、バーティカルSaaSという、SaaSの中でも特殊な領域でやってるので。バーティカルSaaS領域の中のグローバルコンプス、その比較企業たちは今何が評価されているのかというところのディスカッションはとても多いです。

まさに投資後のエンゲージメントというところが、僕が今回リードを選んだポイントにはなります。僕が特殊なのかもしれないですけど、上場企業のCFOも経験しているので、それこそ投資家がその日のうちに売り買いしてしまったり、顔も見えない中であいさつもなく入ってきて、すぐに去ってしまうみたいなことは普通に受け入れられます。

たぶん今日の参加者の中には、未上場のスタートアップの方々もいらっしゃると思います。みなさんは「VCってセイムボートで、一緒にやっていく仲間だよね」「何年も一緒にやっていく仲間だよね」っていう感覚が強いと思うんですね。

我々のアンドパッドという株は今、だんだん金融商品になっていく階段の道すがらにいると思っていて、金融商品にはしたくないっていう、セイムボートでずっと持ち続けてほしいっていう社長の熱い想いがある。

自分たちの事業に貢献してほしいという投資家と、金融商品になってしまって手離れがよくなってしまう、そのかわり熱い想いがなくなってしまう投資家たちに囲まれるっていうこの端境期において、創業者の想いと僕のファイナンシャルストラテジーとのバランスを見て選ぶというのが、我々のやり方です。

そういう意味で言うと、投資後もセイムボートであるエンゲージメントと、ファイナンシャルのプロとしての視点の両方を、うまく取締役会等々でディスカッションさせてもらいながら、次のシリーズDはもうちょっとアンドパッドが金融商品っぽくなっても受け入れられるような、創業者の気持ちの醸成もしているっていう感じですね(笑)。

CFOが引っ張っていかないと、成し遂げられない世界観がある

小林:さすが上場企業の取締役を経験された、荻野さんならではの考え方だなと思います。

実は私、荻野さんと同時期に、DeNAで同じようなポジションにいました。思い出話としてよく覚えてるのが、ぜんぜん社名で読んでくれない投資家っていうのがいて。「2432はさ、3632と比べてグロースがうんぬんかんぬん」みたいな。数字ばっかりじゃないかと思ったことがありました。2432はDeNAの証券コードなんですけども。彼らはたぶん、日々ブルームバーグで社名を入れることはないんです。証券コードで入れてるんでしょうね。

つまり、この会社が何であるかじゃなくて、ただの数字の羅列として見られているんじゃないか、と思ってしまったことがあるんですね。もちろん会社のユニークネスとかカルチャーを理解してくれる投資家もいらっしゃるんですけども、一方で日々のテクニカルなところだったり、数字面をすごく重視される投資家もいらっしゃる。そうした投資家と話す中で、「自分たちは金融商品なんだな」って思うことが、ままあったんですよね。

「あれ、株主ってこういう人たちだっけ?」ってことのイメージが未上場のころと大きく変化するので、上場後はかなり戸惑いを覚えますよね。

荻野:そう思います。特に創業者の方って、自分の株を切り売りしてじゃないですけども、その株をダイリューション、許容しながら成長している中でいうと、株主の方に対してすごく熱いものを求めていると僕は思っていて。

そこの想いを汲みながらも、いわゆるパブリックになっていく過程では、やっぱりCFOが引っ張っていかないと成し遂げられない世界観だなとは思います。

小林:そこに向けて、ある種感覚を慣らしていくというか、うまく調和させていくのは大事ですね。明確に意識したことはなかったですけれども、確かにいきなり切り替わると、資本家がすごく嫌いになっちゃうんですよね。なので、そこでステップを置くのはすばらしい考え方だなと思います。ありがとうございます。

資金調達におけるCEOとCFOの役割分担

小林:まさにCEOとCFOの考えの違いというか、今の株の捉え方について、特にレイター期になっていくにあたって、もしくはココナラさんみたいに上場していくにあたって、資金調達についてCEOとCFOの役割分担ってどうされているんでしょうか?

これはMICINのケースからおうかがいしてもよろしいですか?

:あんまり役割分担とかはないかもしれません。

小林:むしろないと。逆に言うと、チームとして一緒に動いてる感じになるんでしょうか?

:いや、ほぼ私に一任してくださっていると思います。

小林:なるほど、そういうことなんですね。CEOの原(聖吾)さんは、ガンガン「俺がプレゼンして」っていう感じではないと?

:まったくそんなことはないです(笑)。

小林:ちなみに、アンドパッドもわりとそのケースですか?

荻野:そのケースですね。基本的には、最後のマネジメントプレゼンテーションに出る数回ぐらいがCEOの稲田(武夫)の役割で、それ以外のコミュニケーションはすべて僕のほうで進めています。

小林:例えば、今回のラウンドのコンセプトについて「こういう方々に、こういう規模感で出してもらいたいんだよね」みたいなディスカッションは、当然取締役会などでされると思います。そこでもCEOとしてガンガン「俺が」みたいな感じではないでしょうか?

荻野:そこは膝詰めでの議論ですね。ただ、冒頭に申し上げたようにファイナンシャル・ディシプリンを作って、「これでやる」って枠を僕はもう作っているので、そういう意味ではディスカッションはもう終わっていて、この枠の中で「あとは荻野さんに任せる」っていう感じです。徐さんと同じですね。「一任されて進める」という進め方でした。

投資家は結局CEOの人柄を見ている

小林:これはココナラとのコントラストがおもしろい気がしますね。創業者の南(章行)さんは、資本市場にいらっしゃった歴が長いじゃないですか。彼はもともとバンカーでもあって、その後PEファンドにもおられた。たぶんご自身も相当、金融市場に対する接し方の感覚をお持ちです。いろいろウィルがあったと思うんですけど、中川さんとはどうやって分担されてたんでしょうか?

中川:まず、どういう資本政策にしたいかという議論については、やはり当時CEOだった南と私の間で、非常によく議論しました。彼が全体的な大きな考え方を思想として持っているので、それをどういったかたちで実現していくか。こういうところでまず役割分担があったのかなと思います。

フィルのケースでいっても、VCから資金調達すると本質的に変わらないんだろうなと思っています。大事な役割分担が何かと言うと、これは機関投資家の中ではロングオンリー中心になるのかもしれませんけれども、企業をよく見て投資しようと思っている機関投資家って、結局社長という人を一番よく見ているというところがあると思うんです。

特にインターネットというセクターは、サプライチェーンよりも「その人がどういう世界を作っていくか」という、トップダウンが作りやすいというのもあると思うんですけれども。

そういった意味で、南が解決したいと思っている社会課題が何かとか、それに対してどれぐらい強い情熱とか野心を持っているか。こういったことって、本当に創業社長しか語れないことです。それだけはCFOが絶対肩代りすることができない部分だと思うんですね。

そこについては南もよくわかっていて、「これだけは俺が話す」と思っていました。かつ、そういったところが機関投資家にいったん受け入れられた後は、基本的なプロセスは誰が肩代わりしても大丈夫という中でいえば、ほとんど私でやっていたという役割分担になると思います。

小林:ありがとうございます。各社それぞれのスタイルがあって、非常に興味深いですね。

IPOにどう協力するのが正しいか、対話を重ねる

小林:残り5分というところで、そろそろラップアップに入りたいんですけども、その前に1点だけ。また中川さんの指名になってしまって申しわけないんですけども。

アウトパッドにしてもMICINにしても、あるいはオーディエンスの方々にしても、IPOってどうやって売ってもらうのか、またイグジットをいつやってもらうのかというのは、非常に聞きたいところなんじゃないかと。投資家って、入ったタイミングでリスク許容度が違うじゃないですか。例えば「IPOにはまるっと出てください」なのか「好きにしてください」なのか、このあたりの既存株主との交渉で意識されたことってあるでしょうか?

中川:実はIPO直前というより、それこそラストラウンドでフィルに入っていただいた時から始まっていて。自分たちはどういうIPOを目指し、アフターマーケットをどういうふうに作っていくべきか、そういった中でココナラがどう成長していくかっていう、そこのすべてのストーリーを合意いただきながら、フィルに入ってもらうようなプロセスだったんですね。

例えば、バリエーションでいえばもっとつけられそうな投資家群もいたけれども、海外機関投資家に入っていただく意味を合意してもらってる時点で、自分たちのIPOにおいてどのように協力するのが、そのVCあるいは既存株主として正しいか。こういった会話を重ねてきたっていうのが、まずベースとしてあります。

その中で、まさにリスク許容度と言うと、VCというのは基本的には上場するまでのリスクをとって、そこのグロースマネーを提供するというのが本質的な部分であるかと思います。

やはり市場からの見られ方で言うと、オーバーハングの問題というのがありますから、そういったところを総合的に、会社のスタンスを理解してもらうことを2年前から始めています。この対話をずっと続けてきた中での直前の交渉で言うと、そこに対する協力を仰ぐというのが一番プッシュしたところです。

もちろん、そうは言ってもなかなか難しいのが、先ほどのCEOの人物に投資しているという、投資家と会社の関係性です。やっぱり信頼関係の軸になっているのって、CEOであると私は思っていて。

CEOが信念を持って「どういう会社にしていきたい」かを語る。それに対して合意したなら協力するのが筋だよねという交渉を、南が主導して行っていました。イグジットをしたくないと思ってらっしゃった方には、かなりテコとして効かせながら、全体としての交渉を進めていたというのがココナラのケースです。

CEOがIPO後のストーリーを語れるか

小林:この話について、ココナラの南さんと中川さんにお話をおうかがいする機会があったんですけども、やっぱり一番すごいなと思ったのは「こういうIPOと、こういうアフターマーケットにしたいんだ」っていうビジョンがあって、そのためには「こういう条件を満たしていく必要がある」と語ることができる。

例えば、オファリングサイズはこうでなきゃいけないし、流動性はこのぐらいが必要で、そうじゃないとちゃんとした機関投資家って入りようがないし、みたいな一連のストーリーが、極めて整理されていたんですね。「とりあえず売ってください」とかじゃなくて、どういうふうにしたくないかを伝えて協力してもらう、っていう観点があった。

あともう1点、おもしろいなと思ったのが、「こういう売り方であれば、あなた方もしっかりとリターンを出せますよね」っていう実利の観点。「リターンを放棄しろ」みたいな交渉じゃなくて、きちんと「こういうかたちでリターンをみなさんに提供できますよ」っていう、資本主義的に押さえたという点もありました。

その両面で、すごくうまく説得できたのかなというところを思いました。これまでオンザセイムボードだった株主と、初めて明確にコンフリクトする日が、ある意味IPOの売出しの話だと思うんですけども、まさに中川さんが今おっしゃったように、そこに向けてどういうシナリオを作っておくかよく考えて、長期戦を踏まえた上で手はずを整えていく必要があるんだなと改めて思います。

変化し続ける市場で、ユニークな資本政策を描く

小林:そろそろお時間が迫ってきました。みなさんから最後、大型調達を進めるにおいてこういうところを気をつけてほしいなど、オーディエンスの方々に向けてひと言お願いできればと思います。荻野さんからよろしいでしょうか?

荻野:僕は大型であればいいというものではないと思っています。本日聞いていただいたみなさんには、自分たちの会社がどのくらいのスピードでの成長を求めているのか、その成長に対してどれだけの投資が必要なのかを考えていただきたいなというのが1点です。

あと、本日は話に及ばなかったんですけども、我々はエクイティだけではなく、デットもブレンドして資金調達を進めている会社です。このデットの環境も良くなってきているので、エクイティだけじゃない資本効率を考えた調達をぜひ進めていただきたいと思います。

小林:ありがとうございました。次に中川さん、お願いできますでしょうか。

中川:会社のビジネス戦略と、それを支える資本政策の関係。この2つを目指していく中で、必要なのはどういうマネーなのかを考えながらやっていく。こういったことの考え方って、過去の方々がやってきた中にいろいろあると思うんですね。

それとは別に、もう1つ大事な視点は市場がどういうふうに動いていってるのか。冒頭で小林さんからご説明があったように、いろんな投資家が今、レイターステージに入ってきている。これも時代の流れだとか、いろんな環境の中で変わっていく。先ほど申し上げたように、ココナラの2年前と今の環境って違うと思っています。

社内の内部のありようがどうなのかと、外部環境がどうなのかを総合的に考えてやっていくのが求められると思います。今の状況ではこうだと思いますけども、また2年後は変わってるということを、いろいろアンテナを張り巡らせてやっていく必要があるのかなと思ってます。

小林:ありがとうございます。最後に徐さん、お願いします。

:私はみなさんほど経験もなくて、オーディエンスの方と同じぐらいの成熟(度)だと思うんですけれど。私たちは特にヘルスケアという独特な世界でやっていて、そこに対しての資本市場の見方もそうですし、未上場のマーケットの見方も少しずつ変わっていって、自分たちの事業のあり方もどんどん変わっていく中で、瞬発力を持ってそこにフィットしようとしてきた努力の積み重ねで今があるのかなと思っています。

今日はアンドパッドやココナラのみなさんからいろんな示唆をいただけているので、一緒にがんばっていければなと思います。

小林:ありがとうございました。非常にコントラストのある調達を経験された方々にご登壇いただいたことからもうかがえたと思うんですが、未上場の調達に「これが正解」みたいなものがあるわけではありません。あと、マーケット自体がそもそも変化してもいる。

みなさまがそれぞれ「こういった資本政策がいい」「こういったファイナンスがいい」と、ユニークなものを模索していくことが必要なのかなとあらためて感じたセッションでした。みなさま、今日は本当にありがとうございました。

一同:ありがとうございました。