高度が上がるにつれて酸素が薄くなる2つの理由
ローズ・ベアドントウォーク:標高約8,850メートルのエベレスト山が世界最高峰であることには、疑う余地はありません。しかし登山家からすれば、常にそうとは限らないようです。なんと、大気の物理的な作用により、世界で2番目に高い山であるK2よりも低いと体感することがあるのです。
まず第一に、山頂は地球の中心部から遠いため、高い標高の大気中の分子に働く重力が小さくなるためです。また、低い標高の大気には上層の大気が圧を加えるため、高い標高よりも物理的な圧力が大きくなります。
残念なことに、私たち人間の肺の機能は、この変化に適応するには少し時間がかかります。そのため、高く登れば登るほど、一呼吸あたりで取り入れる酸素分子が減少してしまうのです。
エベレストの体感標高は、天候によって737メートルも変わる
標高は空気の密度と大きく関係しますが、関係してくるのは高さだけではありません。つまりエベレスト山頂の大気圧に関係するのは、山の高さだけではないのです。
エベレスト山頂の大気圧は、なんと天候によって最大で34ヘクトパスカルも変動します。これは、高度で言えば737メートル差に該当します。エベレストの標高は、K2よりもわずか250メートルしか高くありません。そのため、K2の体感標高がエベレストよりも高く感じることがあるのです。
これは至極当然のことで、天気が良ければ気圧は高い上に、登山家は年間でも天候の良い、5月から10月の間を狙うからです。つまり、登山家はエベレストの体感標高が低い時に登頂するのです。別の見方をすれば、本来のエベレストの標高を体感したわけではないとも言えますね。
今後は体感標高が上がることはないかもしれません。気温が上昇すれば、気圧も上がるからです。これは、温まった空気では分子が激しく動きまわって衝突するためです。
エベレストは最終的には、空気に限定して言えばですが、登頂しやすい山となるのかもしれませんね。