脳科学者と「チームビルディング」を語る
斉藤知明氏(以下、斉藤):みなさん、おはようございます。本日のUniposウェビナーのテーマは「脳科学で導くあなたのチームビルディングに足りないもの~脳磨きが幸せな強いチームをつくる~」と題してお送りしますが、「脳磨き」というのは、なかなか新しいワードかなと思います。
すごくおもしろくて勉強になる概念だなと思いますので、ぜひみなさんにご紹介したいですし、一緒に考えていければと思っております。
本日のプログラムはこちらです。まず「チームビルディングって何だろう?」というところについて、聴講者のみなさん全員と考えていきたいと思っております。
このあとみなさんとのブレストを経たのち、「科学で導くあなたのチームビルディングに足りないもの」と題して岩崎さんにご講演いただき、ディスカッションに移っていきたいと思っております。
申し遅れました。私、Fringe81株式会社執行役員兼Uniposカンパニー社長の斉藤と申します。在学中にスタートアップを起業したり、第2新卒でFringe81に入ったり。そこで社内創業して、今では150人ぐらいのチームを率いています。
多様な個性・多様な役割を持つ一人ひとりのチームが、どうすれば自律的に意思決定できるような組織を作っていくことができるだろうか? ということを考えながら、自分たちの組織も運営しております。また「Unipos」を通じて500社以上のみなさまの支援をさせていただいていますので、その経験を通じて得た観点からも、岩崎さんのことをたくさん深掘っていければと思っています。
「リーダーシップのない組織」で起きる事例
斉藤:では、本日ご一緒させていただく、岩崎さんをお招きさせてください。脳科学者、医学博士 Ph.Dの岩崎一郎さんです。よろしくお願いします。
岩崎一郎氏(以下、岩崎):脳科学者で医学博士の岩崎一郎と申します。どうぞみなさん、今日はよろしくお願いいたします。
斉藤:よろしくお願いします。ではまずは、みなさんに対する問いかけからスタートをさせてください。「チームビルディングって何でしょう?」ということに関して、2つの問いをご用意しております。ぜひみなさん、チャットでお答えいただければと思います。
まず1つ目は「リーダーシップのない、マネジメントだけの組織では、どのようなことが起こると思いますか?」。今日の1つのキーワードにもなります「リーダーシップ」。リーダーシップがあるマネジメント、リーダーシップがないマネジメントでは、どのようなことが組織で起こると思うでしょうか?
続々とチャットをいただいてますね。「組織が硬直して成長しない」「必要最低限の報告しかしなくなる」「協働ができない」「シナジーゼロ」「烏合の衆」。「烏合の衆」というワードは、なかなか言い得て妙だなと思いますね。「方向がわからず組織として機能しない」「指示待ち人間ばかりになってしまう」。
これもありますね、「現場・職場の全員が不安を抱えたまま仕事をすることになっちゃう」「仲間意識、一体感、チームメンバー間の信頼感の欠如」。
Kさんが「集合知性を発揮できない」と、ズバッと言っていただいてますね。まさに岩崎さんの今日のテーマにもなるんじゃないかなと思っておりますので、きっと先に本をお読みいただいたのかもしれないです。
「ハラスメント、上意下達の関係性が生まれてしまう」「方向性がバラバラ」「萎縮してしまい発言・行動が抑制されてしまう」。なるほど。「ルーティーンを回してしまうだけの組織になる」。
そもそも「リーダーシップのある組織」とは?
斉藤:「リーダーシップ」ってよく言われる言葉ではありつつも、「リーダーシップのある組織って何なのか?」という定義は、統一した見解というよりかは、一人ひとりが「こういうものなんじゃないか」というご意思を持ってらっしゃるのかなと思っております。続いての質問にも移らせてください。
今度は「リーダーシップのある『信頼関係』をベースにした組織が浸透している職場では、どのようなことが起こると思いますか?」という2つ目の問いです。もう「イノベーション」って、一言コメントをいただいてます。
「互いの尊重が生まれる」「自信を持って仕事ができる」「失敗を糧にする習慣ができる」。なるほど、岩崎さんこの中で「まさに!」というものがあったりされますか?
岩崎:みなさんからすばらしいご意見をいただいて、ありがたく思っております。
斉藤:「チャレンジとPDCAが繰り返される」「できなかったことができるように自信が出る」「大きな組織では有効」「自ら考え自ら動く、能動的な組織になっていくのではないか」とおっしゃっていただいています。「各人が絶対的安心感を持って、能力を最大化できる環境になるんではないか」と、なるほど。
「おせっかいができるチーム」。「おせっかい」というキーワードも、一晩語れるぐらいおもしろいワードだなと私は思ってますけど、今日は自重させていただきます(笑)。「生産性が上がる」「自分で考えて動けるチーム・組織になる」。たくさんご意見いただきありがとうございます。
アメリカで脳科学の研究、帰国して起業
斉藤:「リーダーシップのある・ない」、もしくは「信頼関係がある・ない」というテーマで、マネジメントについてみなさんからご意見・ご感想をいただきました。
本日は「あなたの」というよりも「我々の」チームビルディングに足りないものって何なんでしょうか? というところを、メタ(高次)な視点だけではなく脳科学として、いわゆる科学的な視点から読み解いていくことを岩崎さんからお話しいただきます。
では岩崎さん、チームビルディングに足りないものは何なのか? ぜひお教えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
岩崎:みなさんにお時間を取っていただき、この「Unipos」さんのウェビナーを聞きに来てくださいましたこと、心より感謝申し上げます。
先ほどもご紹介いただきましたが、私はもともとアメリカの大学で脳科学の研究をしていて、それから日本に帰ってきて会社を立ち上げて、経営をしております。稲盛和夫さんの経営哲学を学ぶ「盛和塾」という経営者塾で勉強させていただきました。自分自身で経営をしつつ、脳科学の知識・研究も活かしつつやっています。
休憩中の「伸び」は、脳科学的にも意味がある
岩崎:稲盛和夫さんの紹介は、(とても有名な方なので)特に必要ないと思いますが。簡単に申し上げると、京セラを立ち上げられたりKDDIを創業されたり、あるいは最近だと、破綻した日本航空さんの再上場を果たされた経営者です。非常にすばらしい経営手腕を発揮されている方だというのは、僕が今さら述べる必要はないと思います。
この稲盛和夫さんの経営哲学が、実は脳科学的に非常に理にかなっているということを僕が見つけて、『なぜ稲盛和夫の経営哲学は、人を動かすのか?』という本を出版させていただきました。
僕が勝手に書いたのではなく、本の帯に書かれた「私の経営哲学の科学的根拠がこの1冊に示されている」という推薦のお言葉を、稲盛和夫さんご自身からいただいています。
今日はこの本の一部と、(スライドを指して)その隣に今出ています『科学的に幸せになれる脳磨き』という僕の新刊の内容を合わせて、1番目「みんなの脳が活性化する集合知性」、2番目が「リーダーシップとマネジメントの違い」。先ほど斉藤さんが問いかけをしてくださったことについて、お話しさせていただきます。
その中で、「脳磨き」についても少し触れていきたいと思います。では一度、脳をリラックスさせるという意味で「伸び」をしてみてください。声が出せる方は、思いっきり声を出してください。どうぞ。
(一同伸び)
岩崎:はい、ありがとうございます。ちょっとリラックスした状態になったと思います。これも脳科学的に意味があることなので、会議の場などでもご活用ください。