「プレイフル」×「チームワーキング」

司会者1:2つの目のテーマは、すでにちょっと出ていたんですけど、「プレイフル」×「チームワーキング」で。最初に上田先生と田中先生でお話しいただければと思います。

上田信行氏(以下、上田):今のお話をちょっと続けてみると、例えば今日最初に見ていただいた授業のビデオは、80人ぐらいの1年生の授業に、上級生が16人入って一緒にやっているんですけれども。その6人の中で役割分担を決めると、自分の担当以外の作業になかなか注意が向かないんですね。

自分の役割はしっかりやるんだけども、全体を見た時にどこか穴が空いてたりとか。例えばスライドを次に送らないといけないんだけど、誰も気がついてないとか。そういうことがすごくあって。

ですからさっきおっしゃったように、役割を決めるというか、自分が責任を持つ守備範囲は決めておくんだけど、全体の状況をいつも見ておく。サッカーのゲームのように誰かが司令塔でいるわけじゃなくて、全員が自分で判断して行動している。そうなると、チームワーキングがうまくいくんじゃないだろうかと。

例えばポーンとボールが飛んできて、そこに誰もいないと気がつけば、すぐにそこに走って行くとか、あるいはそこに飛んでくると前もって予想できたら、すでに走りはじめているとか。そういうことができると、すごく活力が出てきますね。そういう状態をプレイフルと呼んでもおもしろいかな思ったんですけど、その辺はいかがでしょうか。

田中聡氏(以下、田中):とてもおもしろいアイデアだと思いますね。あらためて上田先生の『プレイフル・シンキング』を読みました。以前も出されてましたよね。その改訂版ですよね?

プレイフル・シンキング[決定版] 働く人と場を楽しくする思考法

上田:最初は2009年で、それから11年経って出したものです。

田中:当時読ませてもらったものと、今回新しく出された本を重ねて読んでいて、この『チームワーキング』にもかなり重なると思いました。「プレイフル・シンキング」ってタイトルですけど、そのタイトルから連想されるようないわゆる思考法とか思考術とは全く異なりますよね。ある意味でプレイフル・ドゥーイングだし、プレイフル・ワーキングと言ってもいいんだろうなと思うんですよね。

プレイフルの4つのP

田中:さらにそれも個人単位だけじゃなくて、チーム単位の大事さもすでにこの本には書かれていて。あとで振り返ってみると「あれ? 大事なことはもうほとんどこの本に書かれてあるじゃん」と思いながら(笑)、『プレイフル・シンキング』を読ませてもらいました。

だから「プレイフル・チームワーキング」って本当にしっくりくるなと思います。僕らの本に書かれてなかった、とても大事な発想もありますよね。

『プレイフル・シンキング』で紹介されている「4P」ってありますよね。「プロジェクト」と「ピア」と「プレイ」と「パッション」ですかね。それをもって4つのPだ、プレイフルだって書かれていたんですけど。

最後の「パッション」。僕らも「チームって生き物なんだよ」とか、「チームってすごく動くから、だからこそみんなでチーム視点を持って眺めようね」とか。その時に立場とか役割とか関係なく、お互いが自分の見ている視点や考えを共有し合って、お互いが思ったことを素直に伝えられる関係性が大事なんだよって言ってるんですけど。

そこに楽しさとか「ワクワクするよね」みたいな空気感を、どうチームの中に発信するかって、『チームワーキング』の本の中にはあまり書いていなかったんですけど、この『プレイフル・シンキング』を読みながら、とても大事な話だなって思って。あえて言うなら「パッションシェアリング」みたいな、そのあたりは重ねられるところかなと思いながら聞いてました。

チームワーキング ケースとデータで学ぶ「最強チーム」のつくり方

上田:あれは実は、MIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボのミッチェル・レズニックさんが言っていたことで。今、世界中の多くの子どもたちが「Scratch」っていう言語でプログラミングをしてるんだけど、その様子を見ていて彼が考えたものです。「クリエイティブ・ラーニングのための4つのP」と彼は言ってるんですけれども。

「プレイ」とは、夢中になって没頭すること

上田:もちろんラーニングってもともと「ing」ですよね。クリエイティブ・ラーンとか、あまり言わないですよね。だからやっぱりクリエイティブ・ラーニングって、続いている、変化し続けている、学び続けているっていう感覚が基本的にあって。クリエイティブに学び続けていくためには、やっぱり魅力的なプロジェクトを自分で設定しなきゃいけないと。

だからまずは自分でおもしろいと思うプロジェクトをやりはじめて、そこに例えば「ピアーズ(仲間)」が入ってくるとよりおもしろくなる。そうすると、「パッション」がふつふつと湧いてくる。1人でもモチベーションが上がっていくことはもちろんありますけれども、みんなでわいわいがやがややってる間に「パッション」の熱量が上がってくるので、彼が言ってる「プレイ」というのは、「ジャスト・プレイじゃないんだ」と。

つまり新しいことに挑戦するとか、自分のバウンダリー、「自分はここまでだ」っていう限界をテストして、それを広げていくとか、リスクを取るとか、そういうことが「プレイ」なんだと。

例えば幼稚園の子どもたちが砂場で遊んでるのを見ても、みんなそういうことをやってるだろうって。いろんなことを何回も何回もやり直して、夢中になって没頭して。これがが「プレイ」。だから創造的な取り組みをするためにこの4つのPが必要なんだと言っていました。

僕はなかなかおもしろいなと思ったんです。その時に彼に「どうして4つなの?」って聞いたら「4つぐらいが覚えやすいんだ」って返事がかえってきて、ちょっとびっくりしたんです(笑)。「あ、それでいいの?」みたいな。

田中:(笑)。

上田:それでもひつこく、「例えば5つ目のPって何?」って聞いたら「パーシステンス(persistence)かな」と言ったんですね。やっぱり粘り強さみたいなものがあると、もっとクリエイティブに学んでいけるんだろうなって。

チームが進む方向と個人の思いを重ね合わせる機会が少ない

上田:最近彼は「パーパス(purpose)も必要かも」と言い始めたんです。やっぱり目的はすごく大事。例えば自分でプロジェクトを始める時は、最初からちゃんとゴールを決めているのではなくて、やっている間に「これってプロジェクトになるんじゃないか」とか「これっておもしろそうだから真剣にやってみようか」っていうところからプロジェクトが本格的にスタートするんですね。その時に「ゴールを意識して取り組む」ことが非常に大事なんだと言ってたように思います。

自分がおもしろいと思うことを本気でやっていく。それを自分のプロジェクトにすることが一番大事なんですよね。それがないと、パッションもピアーズもプレイもない。彼と話してた時にそういうことを言ってたので、「なるほど」と思ってたんです。

田中:おもしろいですね。だからこれも、チームとしてどこに向かって進むのかっていうことと、自分自身が本当に大事にしてるものを、重ね合わせるってことじゃないですか。そこがあまりに離れてると、いくら意味づけをしろって言われてもなかなか難しいと思いますし。でも多少なりとも重なっていれば、その意味づけは十分に可能だと思うんですよね。

日本の職場をみても、個人個人が持っている思いとか向かいたい方向性についてはあらたまって共有する機会ってこれまであまりなかったと思うんです。ある1人の上司が、どういうコンテクストでその目標になったのかとか、その表現にしたのかとかまったく共有されないまま、期初になると「これが私たちの今期の目標です」という発信だけが唐突になされる。そういうことが今、多くの職場に起こってることなのかなと、聞きながら思いましたね。

仕事のネックになっている「不完全は恥ずかしい」という気持ち

田中:あとさっきの上田先生のお話だと、常に実験的な思考でチーム自体が動いていくことが大事だっておっしゃっていたじゃないですか。我々も学生のチームを見ていて思うんですけど、さっきの役割分割の話の延長で、役割分割した上で途中で「今進み具合こんな感じだよ」とか「生煮えだけどこんな状況です」って共有しながら進められれば、もっと関わる機会って生まれるはずなんですけど。

例えば「いついつまでが締め切りです」って言われたら、そのギリギリまでとにかく自分の中で精度を上げるんですよね。「途中の不完全なものは見せたくない」「完成したものを納品したい」っていう発想が強すぎるんです。

だからもっとアップデート思考というか、バージョン0.2で1回出して、ズレを修正しながら0.3を出してって、このサイクルが高速に回す方が結果的には近道なのになと思ってます。学生チームをみていて“完成品納品主義”みたいなのを感じるところではありますよね。そのあたりいかがですか。

上田:それ、実はすごく感じていることなんですも。田中先生がおっしゃっているフィードバッキングというか、プロトタイプをどんどん修正していこう、そのサイクルをできるだけ早くやろうっていう、そういうことがすごく大事だと思うんですよね。

僕がメディアラボにいた時は、とにかく「見せろ」って言われるんですよ。「どんなものができたの? 話はいいから見せて」って言って。そこでまずすごいなと思うのは「Awesome!(すごい)」と言うんですよね(笑)。

まず「すごい」って言ってから「ここもう少し工夫するともっとすごくなるよ」とか言うんですよ。そしたら「あぁ、そうか」と思って、次の日また作っていくんですよね。

だからそのスピードがものすごく早くなっていく。そのためにとにかく、出来たら見せるとか、ちょっと進んだら見せる。そうすると必ず前に進めるんですけれど、それをずーっと自分の中だけで持っていると、途中で落ち込んで、もうギブアップとなるんですよね。

福井の方に聞いたのですが仕事の仕方で一番ネックになっているのが「人に恥ずかしいものは見せられない」「ある程度仕上がってから出す」という考え方だそうです。「中途半端なものはまだ不完全だから恥ずかしい」という気持ちがあるそうです。

田中先生のお話を聞いていてこのことを思い出したんですが、なにか共通点がありそうですね。

挑戦する風土を作る、失敗の数のKPI

田中:私、新規事業の研究もやってて、その中で新規事業を生み出し続ける組織に共通する特徴を調べているんですけど。1つ日本ですごくおもしろい事例として、サイバーエージェントっていう会社がありますよね。あそこはいろんな新規事業を生み出していくことで有名な会社ですけれども、彼らはとてもおもしろいKPIを持っていて。

挑戦する風土とか、事業を作り出していく風土を作る時に、風土って言っててもわからないから、実際にアクションだよねと。事例(行動)の数で風土が決まってくるから、その事例(行動)の数をちゃんとKPI化をしようって言うんですよ。

彼らが大事に思ってるKPIが4つあって、まず1つは、従業員から上がってくる起案の数。アイデアを出してくる数、これは当然ですよね。2つ目は決議の数なんですね。とにかく打率じゃなくて打席だと。経営陣がちょっとでも芽のあるアイデアだったら起案させる、通すと。で、3つ目、4つ目がおもしろいんですけど、3つ目は失敗の数。

上田:おぉ。

田中:成功の数じゃなくて失敗の数をKPIにするんですよ。ある程度の失敗の上にしか成功は成り立たないって割り切っていて、見るのは失敗。で、4つ目が失敗した人の敗者復活がどれくらいできているのか。

失敗した人が「結局、あの人はどこにいっちゃったんだろう」になると、自ずと次に手を挙げづらくなると。だから失敗して思いっきりコケた人にこそ、セカンドチャンスを与える。どんどん新しいところで活躍している姿を、ほかの社員の人たちに見せてあげるっていうんですね。

だから意図的にそれぐらい振り切って、失敗とか、失敗した人の次のことを考えさせるっていうのが、組織的になにか新しいことにチャレンジしていく風土をつくる上では大事なんだろうなと。「失敗しないように」とか「失敗しても大丈夫だよ」って言うだけでは、なかなか人の意識とか行動って変わっていきにくいのかなと思った次第ですね。

作るべきは、失敗や軌道修正を当たり前に組み込んだ組織

上田:まさに打席ですよね。1回失敗して「あぁ……」って落ち込んだりじゃなくて、もうどんどん出していく。とにかく毎日プロトタイピングのスピードを上げて、回数をどんどん出すと、逆に失敗も当たり前になってくる。

うまくいかなかったらすぐにやり直せばいいって考えていくと、今、田中先生がおっしゃったようにスピード感が上がって、前に進めるパワフルなエンジンになるような気がするんです。

田中:そうだと思いますね。最近企業とか経営でも、アジャイル経営とか、アジャイルな組織をどう作っていくのか。失敗とか軌道修正を当たり前に組み込んだ組織をいかに作っていくのかが大事なんでしょうね。

(「Time's up!」の表示が出る)

田中:おっ(笑)。

上田:おもしろいですね、「Time's up!」って出ると、もうちょっとしゃべりたくなる(笑)。

司会者1:すいません、ありがとうございます。それでは松下先生も入っていただいて、田中先生のお話の続きをやっていただけたらと思うんですけど。

松下慶太氏(以下、松下):先ほどのサイバーエージェントのKPIの話で、僕の最近の関心を重ねて言うと、ワーケーションもそうなんですよね。つまり「ワーケーションに行くと生産性が15パーセント上がります」とか、逆に社内で制度化する時に「いや、それ成果が出るの?」とか。「出るかもしれないし、出ないかもしれないです」「じゃあ制度化できないよね」っていう、そこでけっこう止まってるんですよね。

成果を上げるために、じゃあ効果測定をどうするんだとか、生産性の定義をどうするんだみたいな議論になってて。そっちにいくと何のためにやっているのか分からなくなったりします。

そのあたりが、「自分が働きたいように働く」とか、ワークスタイルを考える上でとても大事になってきます。もちろん成果を出すためにワークスタイルをスタイリングしていくんですけども、それが予測可能な「これをやれば絶対そうなるから」とか、逆に成果出なかった人には「お前がわがままを言ってるからこうなるんだ、もう言うとおり働け」みたいな感じの世界観になると、なかなかしんどいことになると思います。

ワークスタイル・アフターコロナ 「働きたいように働ける」社会へ

アイデアが出てくる組織の風土を「生成」するという考え方

松下:また上田先生と田中先生の話を聞いていて、言語の能動態と受動態とは別に「中動態」っていう態があるという話とか、芸術作品を作るみたいな。慶應義塾大学の井庭崇さんも創造は製造ではなく生成(ジェネレイト)とおっしゃっています。

なにかアイデアが出てくるとか、なにかをするって、個人の中から沸き起こるといったものというよりも組織とか風土含めてジェネレイションあるいはジェネレイトしていくものと捉えられるんじゃないかって思います。

例えば上田先生はクリエイティブですけども、でも僕は上田先生はクリエイティブである以上にやっぱりジェネレイティブだと思っています。それは人を巻き込んだりとか、さっきの4つのPにもつながってくると思います。

小説家とか画家とかが「神が降りてきた」とか、漫画家が「キャラクターが勝手に動き出すんですよ」みたいな表現がされることってよくあると思うんですけど、ちょっとそれに近い気がしていて。自分がプロットを決めて全部最後まで書いていきます、小説を書きます、漫画を描きますとかじゃなくて、なにかコアになるキャラクターであったり軸があって、それが動き出すっていうイメージですね。

チームワーキングも、やっぱり自分がチームワーキングに対して何かするっていうクリエイションをするんじゃなくて、チームをジェネレイトしていく。そういうふうに先生の『チームワーキング』の本を読んで思いましたね。そのあたりどうですか(笑)。

創造的なアイデアを持っている人ほど、自分でお蔵入りにしてしまう

田中:とてもおもしろいなって思いながら聞いていましたね。アメリカの経営学会で発表された研究にもあるんですけど、アイデアの「創造性」の高さと、そのアイデアを実行する「実行性」の高さっていうものは、自然環境下では実は反比例するっていう研究があるんですよね。クリエイティブなアイデアを持っていれば持っているほど、人はそれを実行したいって思うはずだという前提を覆した研究なんですけど。

これは会社組織の場合ですけど、むしろ創造的なアイデアを持っていれば持っているほど、会社で通していく時に生じる軋轢が先に頭に浮かんできて、結局、個人の中で「お蔵入り」するんですよ。

ただ、この研究のおもしろいところは、「ただし、こういう条件の場合は創造的なアイデアを実行しようと思う」ってところまで言及されている点です。それが何かっていうと、今まさにおっしゃられたようなジェネレイティブな組織があるかどうか。そういう環境がある組織だと本人が知覚できているかってことなんですね。

だから自分が持っている想像的なアイデアを誰かが理解してくれて、一緒になって生まれる「この組織だったら前に進められるかもしれない」っていう自信、あるいは知覚みたいなものがあって、初めて創造的なアイデアを実行に移してくれるっていうわけですよ。

それがないと個人が思ってしまっている環境で創造的なアイデアを持っていても、絶対にお蔵入りすると。よく会社が新規事業起案コンテストとか、なにか新しいものを出せって言うんですけど、誰も出さないと「うちにはイノベーターがいない」ってすぐに結論づけるのは時期尚早だよねと(笑)。

むしろそこにいる人たちが「この会社は想像的なアイデアを誰も理解してくれない」と思ったら、そりゃ誰も手を挙げないですよって話です。今の松下先生のお話とも符合するかなと思い、紹介しました。

なにかを生み出さない限り、創造的な活動とは言えない

松下:さっき上田先生がおっしゃった、MITでは「まず見せろ」ということも、それにつながってくると思います。最初に田中先生がおっしゃってたような、「学生の完パケ志向」というか(笑)。

(一同笑)

田中:完パケ(笑)。

松下:そのあたりをどう崩すのかが、ある種ワーク・スタイリングにもつながるかなっていう気はしましたね。

上田:クリエイションとジェネレイションって、とってもおもしろいと思うんですよジェネレイションって言うと、場の力が働く。それとクリエイティビティっていう言葉をみんなが使ってるんですけど、クリエイティビティって非常にわかりにくい言葉ですよね。

僕、アメリカで聞いたんですよ。「クリエイティビティってどういうことだと思う?」って聞いたら、「クリエイションしないとダメだ」と。つまりクリエイション(創造)し続けてることが、クリエイティブ(創造的)な活動だって。

だからクリエイションというのはジェネレイションですよね、つまりなにかを生み出す行為。極端に言うと、生み出さない限りクリエイティビティって言えない。だから「作れ、生み出せ」っていう感じなんですね。

「リアクション」がチームを活性化させる

上田:クリエイティブって言うとなにかそこに価値観があって、クリエイティブなものとそうでないものがあるような、すごいものを想像してしまうんだけど、ジェネレイションって言うと、生み出すことに価値があって、そのクオリティというよりも、とにかく「作れ、作れ」っていう。

だから「もっとジェネレイトしろ」、もっとアウトプットしよう。そうすると必ずあるのがリアクションですよね。リアクションが返ってくるから、そのフィードバッキングのスピードが速くなる。

僕はアクションよりも、リアクションのほうがおもしろいと思うんですね。ですからもっとリアクティブなエンジンを持って、人が球を投げてきたら、次はおもしろいところに返す。そういうようなことがメンバー全員でできると、例えばチームワーキングも活性化していくんじゃないかと思うんですよね。

みんな投げられた球をまた同じところに回すからおもしろくないので、ちょっとフェイント、スポーツでいうフェイントやフェイクをかけてやると、だんだん活性化していきます。だからとにかくジェネレイトとか、その場をおもしろくしろと。そういうことが僕も大切かなと思うんですけどね。

松下:そうですね。あとはジェネレーティブだと、自分を棚に上げられるんですよね。「誰かにそういう感じにされたんで」みたいな(笑)。よくアイドルである「友だちが応募しました」論理ですよね(笑)。

(一同笑)

でもあれってわりと示唆深いなと思っていて。あれこそ「自分がアクションを起こして応募した」じゃなくて、なにかジェネレイティブな環境を考える、ある種大きなメタファーになっていくんじゃないのかなと思ってます(笑)。

最初の1人目の後に、2人目が続くかどうかが大事になる

田中:「ファーストペンギン」の話にも近いですね。実は、ファーストペンギンって自分の意思で最初に大海原に飛び込む勇敢なチャレンジャーっていうより、実際は群れで「どうしよう?」とバタバタしている時にうしろにちょんと押されて飛び込んじゃったみたいな人となんだとか(笑)。

要するに、最初の1人目がどうこうではなく、1人目が飛び込んだ後に、2人目、3人目になっていけるかのほうが実は大事で。それはリアクティブって話ともかなり近いのかなと。

松下:TEDの動画でありますよね。デレク・シヴァーズの「社会運動はどうやって起こすか」。最初の人も大事なんだけども、それをおもしろいって認めて、2番目に真似しだすセカンドペンギン的なやつが大事っていうのはあるかなと思いますよね。

司会者1:ありがとうございます。このテーマ、すごく盛り上がってるんですけれども、ちょっと時間のほうがきまして。

上田:僕はそろそろフェードアウトできればいいんですよね?

司会者1:ちょっと時間も長くなってきたので、一旦ここで10分休憩を入れようかなと思っています。先生方もちょっとお疲れかもしれないので少しリフレッシュしていただいて。

田中:いや、ぜんぜん疲れてないですよ(笑)。

(一同笑)

司会者1:じゃあ10分後にまたよろしくお願いします。