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古い企業文化からの解放_「個」と「組織」の成長を促すフラットな組織(全5記事)

部下を「なんで?」で問い詰めるのは、無能の証拠 マネージャーに向いている人・向かない人の違い

2020年に日本マイクロソフトを退職し、現在は株式会社圓窓の代表取締役を務める澤円氏。多様な働き方や、新しいビジネスが展開される社会の中で、これからの企業カルチャーはどうなっていくのか。「古い企業文化からの解放 『個』と『組織』の成長を促すフラットな組織」をテーマに、本記事では、前職時代には「メールを見ない」と宣言した澤氏が、自分らしいキャリアを築く秘訣を語りました。

※このウェビナーの本編の視聴はこちら:Slack はたらき場所改革

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前職時代に「メールを見ない」宣言をした澤氏

澤円氏:さて、じゃあ質問が来てるっぽいので見ていきましょうかね。そっか、これあと(Q&Aのコーナーで)で答えるんだ。まぁせっかく見ちゃったんで答えていきましょう。

「電話やメールといった従来ツールの使用を止める・減らした上で、Slack等のチャットツールに移行していくべきなのに、新ツールにしたにも関わらず、旧ツールの使用を減らさないで、チェックすべきツールが増えただけという現状が見られます」。これも今の「やめる」理屈です。

僕は前職のマイクロソフトの時には、「メールを見ない」という宣言をして、本当にメールを見なくなりました。そうすると相手が考えてくれるようになる。だってマイクロソフト時代は、(Microsoft)Teamsがあったので。今、ちなみに僕は秘書の人とSlackでやってるんですけどね。ちゃんとそこは押さえてますよ。

「チャットがあるんだからそっちでやれよ」っていうのを徹底したら、すぐ定着しました。ですので、宣言した者勝ちです。

「新しくやること、やめることに関して勇気がいる決断もあるかと思いますが、その場合、一歩踏み出すマインドセットとしてのきっかけにどういったものがありますでしょうか」。そういうのを考えるのをやめて、まずやることです。行動あるのみ。まずやってみてから考える。やってみた結果を見て、それを分析するということです。ですので、まず取れる行動を取るんですね。

多様性を認めるためには、お互いの「自己中」を許容し合う

さて。「ダイバーシティ&インクルージョン」というのを聞いたことがある方は、多いんじゃないかなと思うんですけれども。「多様性を認めましょう」という言い方をされますが、なんか知らないけど日本だと「女性活用」というふうに書かれちゃうこと多いんですが、ぜんぜん違いますから。

お互いが自己中で過ごすことを「いいね」と言い合うこと、これだけです。多様性を認めるっていうことは、それぞれの「自己中」を許容し合うという、寛容度を高めることです。そしてそれをやるため、カルチャーを醸成していくためには、非常に重要なコミュニケーションのコツがあります。

「うちの会社は」とか「うちの部は」「うちの組織は」「うちのチームは」……デカい主語を使わない、ということです。ちなみに「男性は」「女性は」これもダメですね。デカい主語というのは、途端に説得力を失います。ですので、まずは最小単位で考えましょう。

「あなたは」「私は」です。「私はこう思う」「僕はこう思う」「あなたはどう思う?」「あなたはそう思うんだね」という、一人の・単体の意見というか。それを尊重しましょうと、そういうことです。

そのカルチャーという醸成のところでもう少しお話をすると、管理職の人が悩んでますよね、いろいろと。リモートワーク時代の管理職の悩みはこれですね、なんといっても「社員が仕事サボるんじゃないですかね」「やっぱり監視したいんですよね」とか言う人いるんですけど、心配しないでいただいてけっこうでございます。もうね、そういう人は前からちゃんとサボってますから。

YouTubeの見方が変わるだけです。前は上司に見えないようにうまーくディスプレイを調整して、スマホをノートパソコンの間に挟んだりとかしてYouTubeを見てたのを、家でソファーの上で堂々とYouTubeを見るようになっただけです。だからあんまり心配しないでいいです。結果は変わってないですから。

「マネージャーに向いていない人」の特徴

そもそも「自分の目の前に部下がいないとマネジメントできませんよ」っていう人は、マネージャーを今、辞めたほうがいいです。これはもうはっきり言っちゃうと、マネージャーに向いてないです。

そして、マネージャーに向いてないっていうのを測る、1つのしきい値がこれです。「なんで?」ってすぐ聞いちゃう人。「なんでそうなったの?」「なんでそうなの?」「なんでいつもそういうふうにミスるの?」「なんでこれ俺に言わなかったの?」……「Why」で聞く人。なんでも「Why」で聞いて問い詰めちゃう人。

「なぜ」で考えるのは大事です。自分を内省して、自分で考えるのは大事です。だけどほかの人に対して「なんで? なんで?」っていうふうに問い詰めるのは、これは申し訳ないけど無能の証拠です。

「What」で聞いてください。「何があった?」、つまり解決しなければならない課題というものを、いかにして掘り出すか? が大事なんです。そして次がこれです。「How can I help you?」って聞いてください。「どうやったらあなたを助けることができますか?」。これがマネージャーの仕事です。

そして「メンバーとして働いてますよ」という人は、そのようにお願いをしてみてください。「そしたら私はもっと良く仕事ができます」というふうに握ってください。それが理解できないんだったら、僕はいろんな転職サービスの顧問をやってますので、ぜひご相談ください。

困ったら人を頼ればいいんですね。もっと言うと、困ってる人がいたら助けてあげればいいです。困ったら人を頼ればいい。そして、自分が「最強」になれる場所を見つけてください。自分が最強になれる場所であれば、遠慮なく活躍することができるし、人を助けやすくなります。ですので、自分はどこで最強になれるんだっけ、ということをぜひ自分で分析してもらいたいんですね。

キャリアは「年齢」と「ポジション」だけでは決まらない

そして、カルチャーを醸成するという意味でいうと、やっぱり雑談ってめちゃくちゃ大事です。オンラインでも雑談の機会は設けて、どんどん雑談してみてください。

そして、キャリアは2次元で考えないようにしましょう。年齢とポジションだけがキャリアではございません。よくあるのが「年齢が同じなのに自分よりもポジションが上だ」とかって、ここの部分が嫉妬になります。「自分より若いのに同じポジションだ」という、ここが嫉妬になります。

そんなこと考えてる暇はないんです。キャリアは2次元で考える必要はなくて、宇宙遊泳だと思ってください。「自分は広い宇宙空間の中にいるんだ」ぐらいに思っといてください。そのためには外のものさしが必要です。どんどん社外でいろんな接点を持ってみてください。

いろんな方法があります。オンラインサロンであったりとか、オンラインのイベントのボランティアとか。いろんな活動があるので、どんどんそういうところにちょこっと行って、なにかしてください。フルスイングである必要はないです。小さいひと振りを積み重ねてみてください。

今こそ自己中になる大チャンスですからね。とにかく「今、自己中にならなかったらいつなるんだ?」っていうぐらいの話です。ですので、まずはちょっとでいいのでなにかしてみる。ほんのちょっとの勇気を持って、ちょっと行動してみる。情報発信をしてみる。なにかそういったことを行動してもらえるといいかなと思います。

戦争なき時代の武士にとって、最も大事なのは「世間体」

最後になんですが、「江戸時代の武士にとって大事だったもの」というものをご紹介したいと思います。これ『武士と世間』という本から持ってきた話なんですが、やっぱり戦争がなくなった時代の武士にとって、最も大事なのは「世間体」だったんですね。

日本語だと、世間体って「人の目」というふうに受け取りますけれども、「世間」という語源なんですけど、これ、サンスクリット語で「loka」っていう言葉なんです。梵語ですね。そちらでは「壊され、否定されていくもの」というふうに定義をされていました。

「人の目」っていうのとぜんぜん違うんですよね。もしくは人の目というものはそもそも、壊されて否定されていくものだとも言えるかもしれないですね。

そしてこれ(loka)が中国に渡り、漢字が当てられたんですね。まずは「世」という字が当てられました。そして、それは「時間」を意味します。そして「間」という、これが「空間」です。だから時間と空間なんですよ。

考えてみてください、テクノロジーは何のために存在しているのか? 時間と空間を解決するためなんですね。時間と空間の制約を仮想的に変えていくのが、これが「時間と空間を超える」ということになります。これがテクノロジーの役割です。そういうふうに考えてください。

そしてテクノロジーを使うと、時間と空間の制約を受けづらくなるので、おもしろいことができるんです。先ほど言ったように、未来というものは変えることができるし、そこで相談をしていって、いろんな人と相談をし合いながらおもしろい未来を作る。これが仕事なんですよね。過去のことをほじくり返すことじゃないんですよ。

「未来はおもしろいに決まってるので、一緒に未来を作るんだ」というのを僕の最後の言葉にして、プレゼンテーションを終了とさせていただきます。ありがとうございました。

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