2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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2020年に日本マイクロソフトを退職し、現在は株式会社圓窓の代表取締役を務める澤円氏。多様な働き方や、新しいビジネスが展開される社会の中で、これからの企業カルチャーはどうなっていくのか。「古い企業文化からの解放 『個』と『組織』の成長を促すフラットな組織」をテーマに、本記事では、「経営の三部構造」や「自己中」であることの重要性などを解説しています。
※このウェビナーの本編の視聴はこちら:Slack はたらき場所改革
澤円氏:今、これに参加しているみなさんは、多くの働き方が世の中にあることに気づいた。もしくは知ってたけれども、言語化がもっと明確にできた方が多いような気がします。もうデジタルの世界がやってきていて、それがインフラになり、そこの中で生きていかなきゃいけないんだということを実感してる人、多いと思うんですね。
じゃあ、このデジタルの世界を生きるために必要なことは何か? って言うと、マインドセットをアップデートする必要があります。このマインドセットのアップデートを行う上で「経営の三層構造」と僕が言ってるお話をしたいと思います。そんなに難しい話をするわけでありません。
まずはすべてのビジネス、すべてのお仕事、すべての会社組織というのは、社会貢献をするために存在をしています。社会貢献をしない会社や組織というのは存在しない、というのが僕の持論です。
そして明らかに社会貢献していない、だけどお金を儲けようとしている、というのは何かというと、犯罪組織です。それはそうですよね。誰かを不幸にすることによってお金を得るのは、犯罪ですからね。
誰かに対してプラスの貢献をする、それによってお金を得るというのが、ビジネスの本来の姿。これを定義し、そして浸透させるのは、経営者のお仕事になります。ですので「社会貢献だよ」というのは経営者視点です。
次は仕組み化、そしてそれを運用していく。社会貢献としての上位層があり、それを仕組化して運用していくというのがマネージャー視点。
それぞれのファンクションがありますよね。セールス部門やマーケティング部門とか、人事部や経理や総務とか。そういったファンクション部門が、それぞれの機能をちゃんと満たすよう動かしていくのが、マネージャーのお仕事となるわけですね。
そして個々のタスクの実行をしていく、これが一般社員の視点ということになります。視点が三層ありますよ、という話。そして経営者はまず、全体像が見えている、これが前提になりますよね。全体像が見えてなかったら、経営者としてはちょっとヤバいよって話なんですね。
自分たちの会社は世の中においてどのようなポジショニングで、どうやって社会貢献をしていくのか? というのを見るのが、経営者の仕事。そしてマネージャーは、内部構造が見えます。どのような仕組みで会社が運営されていて、その中で自分のファンクション、自分の部隊はどういう機能・役割を担っていって、社会貢献に対して貢献していくか? ってことですね。その内部構造が見えているのが、マネージャーのお仕事。
そして一般社員は、解像度が最も高い世界を見ることになります。これが三層構造ですね。大きい会社になればなるほど、これの階層がちょっと深くなっていったりとか、ファンクションが分かれていったりすることになるわけですね。
そして先ほど、伊藤(哲志)さんのお話にも出てまいりましたけれども「ネットワーク型」という話がありました。ファンクションが分かれているのは、ある意味で仕方がないんですが、ただそれぞれの人が見てる世界に興味を持って、横につながっていく。これがそういうことなんです。それぞれの見てる世界を共有していくことが、求められている。
そのためには、興味を持たなきゃいけないんですね。「ほかの人は何やってるの? どういう世界が見えているの?」と、お互いに興味を持つ。
横もそうだし、縦もそうです。自分のマネージャーはどういう世界を見ているのか? うちの経営者はどういう世界を見ているのか? 隣の部のマネージャーはどういう世界を見ているのか? 隣の部のチームメンバーはどういう世界を見ているのか? ……みたいな感じで、どうしても見ていかなきゃいけないってことですね。
(コメントを読んで)「今や一般社員が上流から下流の構造化をしたほうが早いし、求められているような気がします」。もう、そういう側面は大いにあると思います。ですので実際には、いわゆる外資系企業で“イケてる企業”っていうのは、大きな権限委譲が行われていたりとか。
「その範囲内は自分の頭で考えて行動しなさいね」というのが、それこそ今日のキーワードの「カルチャー」として根付いているというのが、大きなポイントになってくるかなと思います。素晴らしいご指摘だと思います、ありがとうございます。
「自分は仕事を通じて、世の中をどう良くしていきたいのか?」と思えるかどうか。これがポイントになってくるし「自分は仕事を通じてこうやって世の中を良くしたいんだ」……そしてこれが大事なんですね、「自分自身もハッピーになるぜ」という話です。「自分自身を幸せにするために仕事をしているんだ」と本気で思えるかどうかですね。これ、けっこうポイントです。
じゃあどこからやればいいの? まずは気持ちを解放しましょう、ってことなんですね。マインドセットで自由になることができます。
このスライドの部分だけをピックアップして僕がしゃべっていると「どういう自己啓発セミナーなんだろうか?」という雰囲気になりますが、別に終わったあとに壺や水を買わなきゃいけないとか、そういう話じゃないです。だけど「マインドセットがとにかく大事ですよ」というのは、もういくら強調してもしきれないぐらいです。
仕組みとか、そういう話だけじゃないんです。アップデートするには、これ無料でございますから。なにしろ自分の気持ちだけですからね。それをアップデートするんだったら、ぜんぜんコストはかからない。じゃあどうアップデートしていけばいいのか? という話なんですけど、これがもう「自己中になりましょ」って話なんです。自己中になればいいんです。
「自己中になる」って日本語で言うと、どちらかというとネガティブな受け取り方をする人、けっこう多いんですけれども。でもこれは、かの有名なハーバードビジネススクールでも、こういうふうに言ってるんですね。学びのフレームワークのアップデートということで、こういう説明のされ方をします。
まず「知る」ということが、ずっと価値を持ってたんですね。知識の蓄積。なぜかというと、知ることにコストがかかったからです。「いい先生の話を聞くんだったら、いい大学に入らなきゃいけない」とか「いい図書館に行かないといいレポートには巡り合えない」とか、そういう話です。
だけど先ほどの、僕が社会人になって1回目に出くわしたグレートリセット。全世界のリセットボタン「インターネット」の登場によって、この知識の蓄積のコストが劇的に下がったんですね。すごく簡単に知識が得られるようになりました。何回かクリックすれば、地球の裏側で書かれた優れた論文も、翻訳エンジンを使って日本語で読めるわけです。
そうなってくると、「知る」ということの価値は総体的に下がり、なにかを「する」ということが価値を生むことになります。超実践主義です。ですのでシリコンバレーとか、あるいは深センとかバンガロール(インドのシリコンバレーと呼ばれるIT都市)とかっていう所は、もう「とにかくやるぜ」っていうカルチャーなんですよね。
そして「どんどん、とにかく半製品でもいいから、中途半端でもいいから出しちまえ!」っていう話です。もう、世の中は一歩進んじゃってるんですね。「どうありたいか」というふうに考えましょう、ってことになる。
どうありたいのか。「being」というキーワード。最近だと「Well-being」とか、そういうようなキーワードで語られてますけれども。
「どうありたいのかを突き詰めるために、何をすればいいんですか?」というふうに、僕のところによく質問がきます。「澤さん、どうやればいいんですか。何から始めればいいんですか?」。
まず始めることです。「やめる」ことを決めてください。何かを「すること」を決めるんじゃなくて、「やめる」ことです。何かをやめてください。例えばミーティングをやめてみてください。これも毎回イベントごとに聞いてるんですけど、もしわかったら挙手ボタンを押してください。
定例ミーティングがあるという人。毎週何曜日何時からのミーティングがありますよ、という方、どのぐらいいらっしゃいます? これ、たぶんすげぇ多いと思うんですけど。おぉ、すげー! 一気にカウントがアップしてますね、いいですね、ありがとうございます。
「今(ミーティングを)やってます」。今やってるのに聞いてるんかい。いいですね、僕はそういう人好きですよ。ありがとうございます。
じゃあ次の質問いきますよ。「定例ミーティングでしゃべらないことのほうが多い」という方、どのぐらいいらっしゃいます? 発言しないことのほうが多いという方、どのぐらいいらっしゃいますでしょうか。定例ミーティング、出るには出るんだけどあんまり発言しないな、っていうことが多い方。これも多いですね。いいですね、ありがとうございます。
はい、出るのやめましょう。試しに出るのやめてみてください。何が起きるか試してみてください。よろしいですかね。そうすると、時間が生まれるんですよ。「やめること」を決めると、時間が生まれます。
ちなみにテレワークにすることによって何がなくなったかというと、移動時間がなくなりましたよね。通勤時間がなくなりました。通勤時間がけっこう長かった人は、いきなりそれが浮いた時間になったっていうのを体験した人も多いんじゃないかと思います。そのぶん家にいるといろいろなことが起きている、という方もいらっしゃるとは思いますけれども。
いずれにせよ「時間」。これがキーワードなんですよ。時間は貸し借りするものです。これ、外資系あるあるなんですけれども、60分のミーティングが45分で終わると「15 minutes back to you.」って言います。「15分返すね」。なぜかというと、借りてる感覚があるからです。返すんです。
僕はみなさんからまず30分、時間をお借りしています。それに対して価値というかたちでお返しをしてることになりますね。こういう時間の貸し借りが行われなきゃいけないよ、という話です。
もっともっと自分のために時間を使っていいんですよ。なぜかというと、時間は有限なんです。めちゃくちゃ貴重なリソースなんです。もうこれは疑問の余地がないんですね。「でもなぁ、なんかなぁ。会議に出ないっていうのは難しいような気がするな……」って、できない理由を探さないでください。まずやってみてください。やってみてから考えていきます。
そして「私は(会議に)出ません」ということも含め、「こう思う」ということをどんどん発信する。そして、もしチームメンバーを持ってらっしゃる方、マネージャーの方は、ぜひそういう情報発信をしてもらってください。「あなたはどう思うんだ」ということを遠慮なく発信をしてもらって、基本「いいね」って言ってあげてください。
「あなたはそう思うんだね」と。お互い自己中であることを認め合えばいいんですよ。「あなたはそう思うんだね」というふうに、それだけでいいんです。正しいとか間違ってるとかってジャッジなんて、必要ないんです。とにかく発言してもらうことです。よろしいですかね。
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