2024.11.26
セキュリティ担当者への「現状把握」と「積極的諦め」のススメ “サイバーリスク=経営リスク”の時代の処方箋
提供:株式会社アイデミー
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登坂直矢氏(以下、登坂):3つ目の質問をさせていただきたいと思います。先ほどとかぶるんですけども、ここでは企画段階というよりかはモデリングとか、あとはデプロイとか。そういったところも含めて、機械学習プロジェクトを企画職の方であるとか管理職の方々が進める上で、進行中のプロジェクトにおいて大事なことがあれば、ぜひ教えていただきたいなと思っています。
石川聡彦氏(以下、石川):PoC最中とかPoC後とか、ある程度、企画段階を越えたものっていうのでお話しさせていただくと……やっぱり現場のユースケースとか、エンドユーザー・利用者の方を巻き込んだオペレーションを構築していくことに限るな、と思うんですね。
やっぱり性能がどうかとか、99パーセントを目指すとか、99.9を目指すとか、シックスシグマを目指すとか、いろんな指標はあると思うんですけども。性能をいかに高めようっていう話は当然、大事なんですが、それよりもやっぱり効果を高く(出すこと)ですね。現場で使ってもらって効果が出やすいようなことって、UIとかUXとか、どういうオペレーションにするのか。
現場の方に無理のないオペレーションになってるのかどうか? とか、機械学習のモデルの更新とか、継続的に発生するアノテーション、ラベル付けの作業。こういったものも誰がやるのか? とか、やらないのか? とか。そういうことが決まっているほうが、現場にすんなり入っていったり、逆に現場からの抵抗がすごくあったりっていうものを、かなり規定していくんですよね。
なので機械学習モデルを進めることで、一番大事なことは何だろう? っていうところでいくと、やっぱりUI/UXというか。どういうオペレーションで、そのAIを誰が使うんだっけ? というところを具現化することが、僕は一番だと思います。
ただ逆に言うと、そういうことを強烈に推進するリーダーの方というか「機械学習・AIを使って、なんとしても成功するぞ」っていうマインドセットを持った人がいるというのが、正直、根本としては一番大事ではあるんですけれども。ただ、それは当たり前なので置いておくと、やっぱりそういった考え方は1つあるかなと。
登坂:そうですよね。実際に機械学習のモデルを作ったとて、オペレーションをする方々が使いやすいとか「機械学習モデルって使えるじゃん」とか。そういうふうに思ってもらわないことには、やっぱり実際の効果とかは出てこないというのは、けっこう耳に入ってくるところではあるので。そこがやっぱり一番大事かな、と思いました。
ただそう考えると、ビジネスプランナーの方にとっては、求められるスキルはけっこう多かったりはしますか。
石川:そうですね、やっぱり多くなってきますね。これはビジネスプランナーというより、プロジェクトマネージャーとかプロダクトオーナーという言葉のほうが近しいかなと思うんですけれども。やっぱりそこの領域がぜんぜん今、足りてないんですよね。
なぜ足りてないか? っていうと、AIのプロジェクトで成功したことがある、成功体験のある人がいないからなんですよ。やっぱりどの会社も、PoCでけっこう苦しんでるのは確かで。「実際に現場で使ってもらって」っていうところまでいっている会社はたぶん、僕が知る限り、プロジェクトが10あったら1つあるかないかぐらいなんですよね。
なので、一度完走した経験がある方が1人いれば、けっこう進めるっていう意味でも、いろんな知見とか参考になるのでできると思うんですけど。やっぱりそういう人、経験者がいないっていうのが、今は非常に課題だなと。
なので逆に言うとチャンスで。ここの部分で、1プロジェクトを実際に自分で「最初から最後までやったことがあります」っていう人がもしいらっしゃったら、かなり希少価値の高い人材だなと思っていまして。今後のAI時代に絶対に必要な職種、AIに特化したプロジェクトマネージャーとかオーナーだと思います。そういったところにぜひ、果敢に挑戦していただきたいなと思います。
登坂:ありがとうございます。そういった経験を持っている人もそうですし、そういう知見のある会社がどんどん、AIとか機械学習、深層学習を産業に取り込んでいって、そこが競争優位になっていくサイクルが作れると、やっぱりすごく強いなと思いました。
登坂:ちょっと話が逸れるかもしれないんですけど、石川さんの本の中で「機械学習プロジェクトは多産多死型である」とおっしゃっていたかなと思うんですけれども。
やっぱり既存の会社の合理的な経営判断とか入ってくると「機械学習プロジェクトにコストかけるのはどうなんだ?」みたいな判断も、けっこうあったりはするんですけど。そういったところはやっぱり、チャレンジをしていく。闇雲にチャレンジするわけではないと思うんですけれども、そういった精神がまず必要だと思われますか?
石川:そうですね。けっこう新規事業と似た傾向があると思うんですよ。もともとリクルートにいらして、最近、ニューズピックスにいかれた麻生(要一)さんと対談した時、まったく同じ話になったんですが。やっぱりAIのプロジェクトと新規事業というのは似てるし、スキルセットも似てると。それはいろんな困難に対して立ち向かう力だ、という話がありまして。それは本当にそのとおりだなと。
AIというのも新しい技術なわけなので、必要になってくるのは新規事業に、ある意味で必要な、企画力だったり突破力だったり熱意だったり、場合によっては根回しだったり。こういったものになると思うんですよね。なのでそこはどうしても必要になってくるかな、というところですね。
登坂:うん、うん。「新規事業と同じ」という感じで考えるとすごくわかりやすいのかなと、今、お話を聞いていて思いました。ありがとうございます。
登坂:じゃあ私から最後の質問ですが。けっこうコアな感じの(笑)、ディティールな話になってくるんですけど。
機械学習プロジェクトを進めたいんですけれども、部署間の調整をどうやってしたらいいか? とか。あとは現場とどのように調整を進めたらいいのか? みたいなところについて。ベストプラクティスはないかもしれないんですけども、なにかコツ、Tipsみたいなものがあれば、ぜひ教えていただけたらと思っております。
石川:なるほど。本当にケースバイケースですし、1つ明快な答えがあるわけではないんですが……ある意味で「新規事業と同じ」という前提でいくと、スタートアップと似た性格があると。要するに、ポール・グレアムっていうスタートアップの神さまのような人、もともとPayPalを作った方がおっしゃっていたのは「スタートアップでやることは3つだけでいい」と。「それは運動することと、寝ることと、顧客と対話することだ」っておっしゃってたんですよね。
なのでやっぱり、とにかく密接に……顧客というのがある意味で「R&Dの人と現場で適用してる人」っていう関係性で見た時に「R&Dの顧客が現場」っていう整理の仕方もできると思うんですけども。そこをやっぱり、膝を詰めて対応していくことに尽きるなと思うんですよ。
「学問に王道はない」じゃないですけれども、やっぱりそこが信頼の1つのベースになると思います。逆に言うとけっこうそれって大変な作業で、場合によっては海外含む地方の拠点にかなり足を運ばなきゃいけないと思いますし、機械学習に理解がある方だけでは、当然ないと思うので。お客さまと対話するってことは、けっこう心の折れることなんだと。なのでやっぱり「そこをやりにいくんだ」という熱意は、大前提になるのかなと思いますね。
登坂:まず進めたいというような熱意に加えて、相手の立場に立ちながら、機械学習の知識などがない方にどうやって説明をするのか? であるとか。あとはデータを取るみたいなところだと、おっしゃっていただいたように工場などに足しげく通うといったところも必要になってくるんじゃないのかなと思いました。
一方で現場の方々にとって、AIや機械学習の知識を身につけてもらったほうが、機械学習プロジェクトが進めやすいんじゃないか? みたいなところも考えたりはするんですけど。そこらへんは、実際に現場の方に知識を身につけていただいたほうが良かったりするんですかね。
石川:それはおっしゃるとおりですね。さっき「対話をするのが大事だ」と申し上げたのは、どちらかというとR&Dの中で担当企画者、中間管理職に近いような立場で申し上げました。全社でAIをどう推進していくのか? っていう視点で、ちょっと視点を変えてお話しした時、やっぱり現場の方の理解を促進させるのは非常に大事なことだと思います。
特にAIという技術って、ボトムアップ的に「全員が全員できるようになる」ことも大事なんですけれども、それはけっこう未来像だなと思ってまして。今のフェーズは、弊社ではフラグシップ・プロジェクトとか言ったりするんですが。まず、わかりやすいユースケースを作って、現場の方で成功事例をあげて「AIって使えるじゃん」っていう、最初の部分を作り上げる段階なんですよね。
イノベーター理論でも最初にイノベーターがいて、アーリーマジョリティがいて、レイトマジョリティがいるような、よくある釣鐘状の正規分布のようなグラフがあると思うんですけれども。今のAI技術というのは、やっぱりアーリーアダプターに刺さらないと、レイトマジョリティはなに言ってもついてこないんですよ。
なので教育研修とかも大事ですし、将来的にそういったスキルをみんなにつけてもらうのは大事なんですけれども。それはボトムアップ的な教育研修だけではなくて、イノベーター層・アーリーマジョリティを見つけるような研修。
具体的には、現場であっても「AI、おもしろそうだ」って言う人って、絶対に何人かいて。そういう人が現場で「これ、AIでできるんじゃないか?」っていう課題を抽出したりするので。その彼・彼女を見つけることですね。これが全社という視点で見た時に、大事なことだなと思います。
登坂:確かに、そこはすごく大事ですね。私も前職の中の経験だと、やっぱり(そういった人が)けっこういるんですよね。AIとか機械学習を使って自動化とか、妄想も含めていろいろと考えたりするのが楽しかったりもするので。そういった方々がいると、現場からの業務改善の提案とかもなされてくるかもしれないですね。確かに、AI導入という視点で見ると、部署間の調整という意味合いでは、閉じられた方々の知識とかが最低限揃っていればいいのかな、というようなところは思いました。ありがとうございます。
登坂:私からの質問は以上だったんですけれども、ご質問を1ついただいていますね。「AI導入にあたっては、何から着手すべきでしょうか?」。こちら、いかがですかね。
石川:当然、お立場によって変わってくるかなと思うんですよ。けっこう現場に近い方と、もうちょっと全体をマネージされているような企画職、管理職っていう立場でお話しさせていただくと……まず現場に近い方からご質問いただいたのであれば、まず早く企画を作って、そしてプロトタイプを作ることが大事だと思います。
プロトタイプを作るのにデータが必要であれば「じゃあそのデータを蓄積することで、この会社の競争優位はこういうふうに生まれるんだ」という、ストーリーを描くことですね。やっぱりこれが実際、プレイヤーに近いような企画職の方が期待されていることだと思います。
もう一歩引いて、管理職とか全体をマネージする立場でそれを検討されている方であるとすると、やはりリーダーを見つけることだと思うんですね。これはやっぱり、AIでうまくいくことに、過去の実績は意外に関係ないと。若手の方がやっぱり多いんですけれども、別に年代も問わずに「機械学習がおもしろそうだ、AIを自分の強みにしたい」って思ってるような方を見つける。
実際に手を挙げさせるのもいいかもしれないし、ビジネスコンテストのようなかたちで募るのもいいかもしれないし、どれだけ熱意があるのかをeラーニングで見るのもいいかもしれないし。リーダーを見つけるというのが、やっぱりファーストステップとして大事なことかなと思っています。
登坂:ありがとうございます。現場の方は実際にやってみるというところ、管理職の方はリーダーの方を見つけるというところが、ファーストステップとしてはいいかもしれないですね。ありがとうございます。
登坂:もう1つご質問をいただいております。「顧客と技術の話が噛み合わない状況が多々あり、PMとして対応できる知識では限界がある気がしています。企画時点でどのような体制が必要でしょうか?」というご質問をいただいております。おそらく、お客さまと技術の話で噛み合わないみたいな課題感かなという感じなんですけれども。
石川:これもシチュエーションによってケースバイケースなので、ある程度そこを限定してお話しすると……ご質問をいただいた方は、IT企業さんとかAI系の会社さんにいらっしゃるんですかね。で、お客さまはそうじゃないレガシー寄りの産業であると。
「技術の話が嚙み合わない」っていうのがどういうところで起きるのかというと、どちらかというと「お客さまがAIの現状を過大に評価してる」という状況なのかな? と、仮説を立ててお話しすると。やっぱり、性能的に100パーセントを目指すような思想をお持ちでしたりとか。データ量が少ないのに、例えば無理にディープラーニングといった技術の利用を強弁に主張されるとか。そういった事態は、けっこう“あるある”なのかなと思ってまして。そういった前提でお話しさせていただきます。
それで言うと「企画時点でどのような体制が必要なのか?」というと、お客さまのリテラシーを上げるように仕向けるしかないかな、と思うんですよね。やっぱり、既存のIT系のプロダクトの受発注とは違うので、アウトプットが最初の段階で定義しにくい、もしくはできないというのが、AI系のプロジェクトの限界でもありまして。ウォーターフォール的な開発が、そもそもそぐわない性質があるなと思うんですよ。
やっぱり、そこをご理解いただいてない状態で案件を受注するのがけっこう危険、というのは、まず前提としてあると思うんですよね。なのでうちの会社でも、これはeラーニングを使う方法もありますし、使わないこともありますし。やっぱりお客さまのリテラシーを上げ、お客さまと共同で勉強会をしながらサービス・プロダクトを作るようなかたちで、ご提案したりだとか。
もしくは保守・運用というのはそれぞれの会社でもやるんだけれども、お客さまに「どんどんそういう技術が根付くようにしましょう」というので、そういったプレイヤーの方と実際にアイデミーでチームを組んで開発を行うことも、あったりしておりまして。そういう社内勉強会とかを積極的に提案して、並行的にやるというのは1つの解決策になるのかなと思います。
登坂:ありがとうございます。確かに技術的な話の目線が合った上で、プロジェクトとして「ビジネス課題はこうで、ソリューションはこうで、性能指標としてはこれで」っていうのを決めていかないと、難しい部分もあるのかなというところで。
登坂:ちょっと性能評価みたいなところのお話の延長でもあるんですけども「お客さまに提供する新サービスにAI活用を企画するにあたって、SLA(サービスレベルアグリーメント)を提示する際の注意点や推奨などがあれば」というご質問をいただいております。
石川:これもケースバイケースなので、PoCフェーズと実運用フェーズで大きく変わるなと思ってます。まずPoCフェーズ、試作品開発フェーズを前提としてお話しすると、ある程度、性能とか、もしくは……けっこう話に出やすいのは「性能、90何パーセント」という正解率って意味でも、性能の話だけじゃなくて。「1回あたりの推論にかかる時間が、コンマ何秒以内にしなきゃいけない」っていうような、レイテンシー(転送要求を出してから実際にデータが送られてくるまでに生じる、通信の遅延時間)に関する議論だったりだとか。
「性能」と一口に言っても、いわゆるデータサイエンティストの考える性能だけじゃなくて、けっこう幅広かったりするんですよね。そういう性能は当然コミットできないし、コミットしないのが基本。機械学習を使ったプロジェクトのSLAとしてコミットできないというのは、1つ、PoCの時点で言えることと。
それが実運用になった段階では、ある程度、そこは見えていますので。「これぐらいの性能とかレイテンシーを目指します」というのは、当然、言うわけですけれども。ただやっぱり、性能が可変であるというのが、AIのプロジェクトの大きな特徴ではあるので。性能が上振れした時、下振れした時、どういうオペレーションにするのか? っていうところを同時に提示をするのは、やっぱりAIのプロジェクトで大事なことだと思うんですよね。
そこまで考えなきゃいけないと。PoCである程度、性能評価ができたとしても、それがずっと維持できるとは限らないわけなので。それはやっぱり、AIのプロジェクトの特徴かなとは思います。
登坂:ありがとうございます。確かに石川さんの本にも書いてありましたが、再学習をしていかないとモデルはどんどん精度が下がっていく傾向にあります。新しくどんどんデータが変わってしまうので。例えば日本語とかだとそうなんですけど、新しく「鬼なんとか」とか(笑)、そういった言葉が出てくるようにトレンドが変わってくるので。そういったところも含めて、じゃあそういった場合はどうするのか? というところも提示できるといいのかな、と思いました。
登坂:次の質問で、事前にコストの話はいただいていたんですけども、おっしゃるとおり案件にもよるところはあると思いますが「機械学習プロジェクトにかかるコストはどのくらいでしょうか?」。
石川:難しい質問ですよね。いわゆる総価格っていう話で言うと、PoC・試作品のフェーズで、安くて一番カジュアルな「1ヶ月以内で検証するもの」で数百万。200~300万から500万ぐらい。で、実運用となると数千万とか、場合によっては億を超えるような案件になってくるというのが、やっぱり多くの構造かなと。
じゃあ、コストをひもとくとどうなってるのか? というと、基本的には人月チャージになってくるわけですよね。「AIのモデルを作る」ということに対して、コストがめっちゃかかるケースは、実はまれで。つまり、機械学習のモデルを作るのにかかるコストというのは、あんまりなかったりするんですよね。
じゃあ何にコストがかかるのか? それは継続的なアノテーションですね。ラベル付け。「『画像1枚あたり、例えば1円かかる』とすると、1万枚アノテーションするのにこれぐらいコストかかります」とかですね。そういうアノテーションの部分とか、あとは付随システムとの接合っていう、いわゆるシステムインテグレートの話が多いんですよね。
なので、コストを事前に見積もるっていう視点でいくと「どれくらい案件が複雑なのか?」っていうところ。それは、ITのシステムが最初にコストを見積もると思うんですけども、それとそこまで大きく変わらないかな? という印象があります。AIの特殊なところで言うと、データサイエンティストの人月単価は、確かに超高いというのはあるんですけれども。そこに何人月もかかるケースも少ないので。
なのでどちらかというと、一部の自動運転とかそういうプロジェクトは除いてなんですけれども「どういうシステムの大きさになるのか?」というところが大事な点かな、と思います。
登坂:ありがとうございます。既存のシステムとのつなぎ込みの部分と、データを集める時にきれいなデータがもともと手元にあれば一番いいんですけれども、それがない時が一番コストがかかるかなと思いますね。
登坂:もう1つだけ、質問いただいてますね。「社長のマインドを変えるためにはどのようなアプローチがいいでしょうか?」。なかなか難しそうなご質問ですね(笑)。「DXを社内に推進している組織に従事しています。もっとドラスティックに変えさせたい」と。「現在、AIプロジェクトを展開させておりますが、社長から『DX推進』のメッセージを出してもらうために、どういうアプローチがいいか?」。
石川:なるほど。じゃあ最後のご質問として答えさせていただくと、やっぱりそれは競合の動きという情報を、社長にインプットし続けることに尽きると思うんですね。例えば今、トヨタがなんであれだけ自動運転に力入れて、DXに力入れて、『トヨタイムズ』の編集長に香川照之さんをアサインしてるのか? って思うと(笑)。「競合の脅威」、これ1本だと思うんですよね。
自動車産業という「産業の構造」も変わってきてると。競合が日産・フォルクスワーゲンから、Google、Apple、Facebook、Teslaになってるわけじゃないですか。競争環境が変わることで変わること(状況)が、社長にとって一番怖いことというか、驚きをもって受け止められることだと思うんですよね。
なのでこういう「今まで異業種だと思ってた会社が、自社と同じような事業をこういうふうに展開しようとしてます」だとか。もしくは「自社と似た会社はAIのこういう取り組みをやっていて、こういう成果あげてます」だとか。やっぱり、競合のDXが絡むようなニュースとか事例とか、場合によっては論文とかリサーチとか。そういったものをインプットするところが、一番効くんじゃないかなと思います。
登坂:ものすごく実用的なアドバイスをありがとうございます(笑)。「ソフトウェアが世界を食らう」という論文か発表が、確かけっこう前に出されていたんですけど。ソフトウェア・システム・ITっていう武器を使って、どんどんオールドエコノミーと呼ばれている産業をディスラプトしてきている新規参入者が、けっこう今もう出てきているような状況なので。
そういった競合の事例を出すというのは、すごく危機感が迫るようなものがあるんじゃないのかなと思います。ありがとうございました。そろそろ終わりのお時間になってきてしまったので、質疑応答はこちらで終えさせていただければと思います。
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