2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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斉藤知明氏(以下、斉藤):ありがとうございました。宇田川先生のお話を聞いている中で、『他者と働く』という本を1冊目で出されたじゃないですか。その本を出された時におっしゃっていただいたのが「Amazonのレビューをけっこう見るんです」と(笑)。
「その中のお声であったりですとか、どういうふうに周りが捉えてらっしゃるのかって、けっこう気になるんです」とおっしゃってらした時に「あまり解決策にこだわってほしくない。本質を見据えてほしいからこそ、あえて解決策のようなことを表現しなかったんだ」というようなことを、確かおっしゃってたかな? と思っています。
ただ、本質的にその個人が課題に向き合う時に、他の人にではなくて、自分も課題の一部・問題の一部と捉え直す。ある意味、手法論というのは、考える中で、より宇田川先生のお考えが深められていたポイントもあるのかなと思うんです。こういうプロセスってやっぱり、生み出すのはとても大変でしたか?
宇田川元一氏(以下、宇田川):僕は一面で、理論研究者の側面があります。たぶん「リフレクティング・プロセスはよさそうだぞ」というのが、なんとなく理論的には直感としてあったんですね。だけどやっぱりセラピーの場でやられていること、当事者研究とか精神障害ケアの場でやられていることと、企業で実際に対話をするということでは、すごく差があるんだということは、フィジビリティ・スタディをやる中でよくわかりました。
どういうことかというと、やっぱりセラピーの場に来る方は、それなりに問題を感じていたりする。だから「モヤモヤした問題について語ろう」という準備が、比較的あるように思うんです。だけど、企業のちょっとした対話の場で「ちょっと練習してみてください」みたいな感じでやると「え、何を話したらいいんですかねー?」みたいな感じになりやすい。モヤモヤは感じることはあっても一定程度は日常業務が回っていて「何かを変えたい、変わって欲しい」とは思いつつも、困りごとが何か? という入り口がはっきりしないんですね。
「なにに困ってるか?」というのが、なかなか自覚しづらいんです。けど「モヤモヤする」という感じはある。その辺をどうするか? というのは、けっこう考えたところです。だからAさんは「なにか話したいことがあるようにしましょう」と決めたというのが、けっこう大きかったかなと思います。
宇田川:それで「問題解決策を言わない」というルールの重要性は、すごくあります。問題解決策を言うということは「今、立っている問題に対して、これ以上考えない」という話なんです。
だけど、今立っている問題っていうのは……例えば本の中で出てくる、ある新規事業開発部門のマネージャーの人に「部下のモチベーションが低くて困っている」という問題があった時。モチベーションをどう上げられるか? ということを考えちゃうと、その現象「モチベーションが低いという現象が、なぜ起きているのか?」という、その背景がぜんぜんひもとけないまま、表面のところだけを解決するってことが起きちゃうんですね。
だから「なぜそれが、どういう背景を持ってその問題が我々のチームに、ある意味『来てくれた』のか?」というか。それをひもとくことをどうやってやるか? その問題が自分たちのチームに発生したメカニズムをひもといて、その中でそれぞれが、どうその問題と関わっているのか? それをひもとく。
そうしていくと、モチベーションアップのための研修みたいなものとか、モチベーションアップのための声のかけ方みたいなことを学んだりするよりも、よっぽど自分たちなりの、地に足のついた1歩目、セルフケアの1歩目を進めるんじゃないかなと思って。
そこで、あえて「問題解決策を考えるというのを、1回保留してみましょうね」ということを言った次第ですね。
斉藤:それを今度、深掘っていくにあたって。1on1ってあるじゃないですか。2on2と対比すると、一番想起しやすいのかなと思うんですけど。1on1でこれができない理由って、何なんでしょうか?
宇田川:やっぱり、1on1は大事なものだと僕は思うんですけれども。1on1で難しいなと思うのは、その上司と部下の関係というものの中で語られることに制約されることですよね。
斉藤:なるほど。
宇田川:だからよくあるのが「毎月、同じ問題について話しちゃう」みたいな。
斉藤:はい、はい!(笑)。
宇田川:毎月同じことが「進んでないねぇ」と言って、お互いに傷つくみたいな、そういうことが繰り返されちゃうわけです。でも2on2って、要はリフレクティング・プロセス。なにをしているかと言うと「他の人たちの視点を借りる」ということなわけです。
「それって、私からはこう見えますよ」という視点が少し入ってくること。「ああ、そっか。そういうふうに見ると、こういうことなのか」というのが、わかってくる。だから、もう少し起きている現象を立体的に捉えるために、他者の視点を借りるというところが、このやり方の大事なところかなと思っていますね。
斉藤:だからこそ、この著書の中でも触れていらっしゃいましたけど、CさんDさんっていうのは、AさんBさんに比べて少し関係性の遠い人にするんですよね。
宇田川:そうですね。はい。
斉藤:特にDさんでしたっけ? 「Dさんは他部署の人とかにするのがおすすめ」だと書いてありましたよね。
宇田川:ええ。本の中で最初に出てくる例で言うと。A・B・Cさんは事業部門の人なんですけど、Dさんは開発部門の人なんですよね。
「ちょっとはわかってるけど、でもあんまりよくわからない」みたいな。そういう人から話をしてもらうと「あーそっか。そういうふうに見えるか」みたいなところが出てくるし。そこでさらに判定させていくと、なんで問題がその組織に訪れたか? というのが立体的に見えるって、そんな感じですかね。
斉藤:なので、この「あえてすごく遠い人だけと話す」という手法もあれば「近い人とちゃんと密接に話す」という手法もあると思うんですけど。その“いいとこ取り”をしようとされてらっしゃるのかなって思っていまして。
この完全に遠いところの人だけだと、問題の深掘りが深くまでたどり着けない。「それってそもそもどういうことなの? その業務を知らないんだけど」というので、難しくなってしまう。遠い人だと、そもそも、そこの解像度を上げるための会話ができない。
逆に言うと、近しい人だと同じところに拘泥してしまう。こだわってしまうので「その両方の観点を取れるよね」と。ある意味、客観的な観点も取れるし、主体者として「それをどんどん深掘っていくプロセスも取れるよね」という2軸があるから、立体的だという表現をされてらっしゃるのかなと思ったんですけど。
宇田川:そういうふうに理解していただけるといいかなと思います。
斉藤:まさにチャットの中でもいただいていたのが「近い人」「遠い人」とある中で、このファシリテートも含めて、どういう場作りをしていくといいんだろうな? という。2on2(の話)だけに、このディスカッションを終始するつもりはないんですけれども。
そこから見えてくる「どういうふうに組織の慢性疾患と向き合っていくか?」というのを考えるにあたって、これをトライできる組織って、例えばその人事の方が今日のウェビナーに参加されて、帰ってから「じゃあ、これをチームでやってみてよ」と言っても、あんまりワークするイメージが湧かないんですね。
宇田川:はい、はい。
斉藤:その場だと。だから宇田川先生的には、これはどういうふうに組織に組み込んでいくと効力を発揮するものなんでしょうか。
宇田川:その質問はよくあるんですけれど、困ってたらまずはトライしてみたら? と思います。そんなに時間も、MAX1時間ぐらいだと思うので。ですので……集める人数を最小限にしているんです。
要はどちらかと言うと、現場の人が「ちょっと最近、大事なことについて話し合えてない感じがするから、ちょっと話したいんだよね」と言って「こういうことと、こういうことがあったんだけど。私、なんだかよくわかんないんだよね」みたいな感じで、Aさんが話し始めるぐらいの、そんなノリでいいんじゃないかと思うんですね。
これを「制度として導入して」というふうにやると……「1on1がけっこう流行って制度として導入したんだけど、現場がやってくれないから報告を義務付ける」とか。何のためにやるのか、現場はよくわからない。導入した側からしても「なんでやらないのか?」となって、上手く行かないものを無理やり機能させるために、余計にやることが増えて。その結果として、余計に現場はやらなくなる、という悪循環が起きてしまいます。
そういうのよりも、現場の人が「なんか大事なこと話せてないよね?」というところで。「ちょっとやってみようか!」というノリでできるといいんじゃないかなと思います。
だから「大事だけれども話し合えていないことってなにか?」というのを、日頃からウォッチしておくことが、むしろ大事なんじゃないかと思いますけどね。
斉藤:先ほどのプレゼンテーションのパートでおっしゃっていただいていたとおり、たぶんその1つめに大事なポイントとして「Aさんが課題を持っている当事者であり、発案者」。発案者に限らなくてもいいかもしれないです。「課題を持っている当事者であり、発露できる」という前提がないと、この2on2というのがワークしないんですよということ。
それ、プレゼンのパートの中でもおっしゃっていただいていたかなと思うんですけど。今のお話も聞いている中で、すごいキーだなと思いました。
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